採用オウンドメディアとは?導入効果や成功・制作事例を一覧紹介
最終更新日:2024年05月29日
「求人応募をかけているけれど、求める人材がなかなか集まらない」そうお悩みではありませんか?
新しい人材を獲得するには、ハローワークやマイナビなどの求人媒体で求職者にアプローチを行うほかに、採用オウンドメディアを通じて行う方法があります。
採用オウンドメディアは自社の描くビジョンや社風などを自由な形式でユーザーに伝えることができるため、求職者はそれらを理解したうえで応募してくれるようになります。そのため、自社の求める人材とマッチングしやすいというメリットが生まれます。
本記事では、採用オウンドメディアを失敗させない方法を、メリット・デメリットや成功事例をご紹介しながら解説します。
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採用オウンドメディアとは?
オウンドメディアの意味
オウンドメディア(Owned Media)とは、「Owned=自社で所持する」メディアを意味します。元々は、企業のパンフレット、カタログといった物理的なメディアもオウンドメディアに含まれますが、Webの世界においては、自社で運営するWebサイト、ブログ、SNSのことを指します。
オウンドメディアは、自社の商品(サービス)について認知度を上げる、ユーザーとコミュニケーションを図り、関心を持ってもらうなどの目的で制作されます。その他にも、
- リードの獲得…資料請求・メルマガ登録・問い合わせなど、ユーザーとの接点を作る
- ブランディングの確立…商品やサービスのイメージを印象づける
- マネタイズの推進…広告・有料コンテンツなど、オウンドメディアを通じて収益化する
- 採用力の強化…自社に関心を持ってもらえるコンテンツを配信し、優れた人材を確保する
といった目的もあり、各社さまざまな用途でオウンドメディアを導入しています。この記事では、「採用力の強化」を目的としたオウンドメディアについて解説します。
採用オウンドメディアの定義
採用オウンドメディアとは、「採用活動を目的とした、自社で所持するメディア」を指します。自社に関心を持ってもらえるコンテンツ(例:企業が抱えるビジョン、社員インタビュー、働き方紹介など)を発信し、「この企業の求人に応募してみたい」という求職者を集めることが狙いです。
求職者を集める方法には、採用オウンドメディアのほかにも、「求人サイト」や「採用サイト」がありますが、どのような違いがあるのかについても解説します。
採用オウンドメディアと求人サイトとの違い
求人サイトとは、求人情報を掲載し求職者から応募を集めるWebメディアです。その代表格として、「マイナビ」や「バイトル」などがありますが、採用オウンドメディアとの違いは、運営主体が自社ではなく媒体社であること。そのため、
- 掲載期間
- 掲載スペース
- レイアウト
- デザイン
- 文字数
など、媒体社のルールに従わなければならず、掲載できる内容にも制限が設けられます。一方、採用オウンドメディアは、自社で運営するため、掲載期間や内容などの制限を気にすることなく、自社の魅力を自由な表現で、最大限にアピールすることができます。
採用オウンドメディアと採用サイトとの違い
比較項目 | 採用サイト | 採用オウンドメディア | 併用メリット |
---|---|---|---|
ターゲット | 顕在的な求職者 | 潜在的な求職者 | 潜在的な求職者にもアプローチし、興味・関心を喚起できる |
コンテンツ更新頻度 | 低 | 高 | 定期的な更新により、常に新鮮な情報を求職者に提供し、認知を高める |
コンテンツの内容 | 企業特徴、仕事内容、選考フロー | 企業ビジョン、商品(サービス)への想い、社員インタビュー | 企業文化や働く環境の魅力を深く伝え、企業への理解と共感を深める |
ブランディング効果 | 限定的 | メディアの大きさに比例 | 企業の魅力を多角的に発信し、ブランドイメージの構築に貢献 |
採用力の強化 | 直接的な応募促進 | 関心喚起から応募促進まで | 求職者との接点を増やし、採用サイトだけでは出会えない優秀な人材の獲得 |
採用サイトの運営主体は自社にありますが、採用オウンドメディアとは役割が異なります。採用サイトは、求人情報の発信と応募窓口としての役目があり、公式サイトと連携しているか、コーポレートサイト内に設置されています。
- 企業特徴
- 仕事内容
- 選考フロー
など、採用に関する具体的な情報のみが掲載されており、コンテンツ内容が頻繁に更新されることはありません。一方、採用オウンドメディアは、求人情報ではなく、
- 企業ビジョン
- 商品(サービス)への想い
- 社員インタビュー
など、企業の有り方、働く社員の姿勢、仕事への考え方などのコンテンツがメインになります。自社について深く知り、興味を持った求職者を、採用サイトへと導く「橋渡し的な役割」を果たします。
採用サイトは、すでに自社に興味があり、応募を考えている顕在的な求職者が訪れますが、採用オウンドメディアはまだ自社への応募を考えていない、潜在的な求職者もターゲットになります。
自社で働く魅力を知らない、まだ転職を考えていない潜在的なユーザーに対して、興味を持ってもらえるアプローチを仕掛けるのが、採用オウンドメディアの役割です。
自社の価値を正しく伝えて、採用力を強化しませんか?
自社の強みをしっかり伝わる場を作ることは、企業の価値に共感する人材を集める求心力にもなります。大切なのはその伝え方…。企業ブランドを高める採用オウンドメディアを作り、定着率の高い人材を獲得しませんか?
採用オウンドメディアが注目される理由
近年、採用オウンドメディアを導入する企業が増えていますが、その理由は「なぜ」なのでしょうか?その理由について解説します。
優秀な人材の獲得が難しくなっている
近年では少子高齢化が進み、自社で活躍してもらえる優秀な人材の獲得が難しくなりつつあります。
そのような状況の中でも、自社の認知度を上げたり、就職や転職を希望する求職者にアピールしたりするなど、応募につながる入り口を広げる必要があります。
求人サイトや人材紹介などは、登録している求職者にしかアプローチできませんが、採用オウンドメディアには制限はありません。幅広い求職者に対してアピールでき、自社の存在を見つけてもらいやすいメリットがあります。
また、専門知識を持った優秀な人材は、一般的に知られるキーワードではなく、専門的でキーワードで検索し、仕事探しの情報収集をします。そのため、専門的なキーワードを盛り込んだコンテンツを採用オウンドメディアに掲載することで、優秀な人材が集まる可能性も高まります。
働き方に対する価値観が多様化している
ワークライフバランスが重視されるに加えて、新型コロナウィルスの影響でリモートワークが推進されるなど、働き方も多様化しています。
これまで、働き方に対する価値観といえば、「お金を稼ぐため」「生活安定のため」が主流でしたが、「育児や介護も大事にしたい」「趣味などプライベートも充実させたい」など、お金だけではない様々な価値観が生まれています。
働き方への考えが一変する中、求職者は「自分の価値観に合った働き方をする」ことを重視しています。そのため、採用オウンドメディアでは、
- 企業の価値やビジョンに共感できるか?
- この企業に一緒に働きたいと思う仲間がいるか?
など、仕事内容や待遇だけではない、これまでとは違った価値観に対応するためのアプローチが必要になっています。
求職者の情報収集も変化している
スマートフォンの急速な普及によって、あらゆるWebサイトへのアクセスが容易になりました。膨大なWeb情報に常に触れられ、情報を集める際には、自分にとって必要な情報と、そうでない情報を選別できるリテラシーも高まっています。
求職活動も同様で、働きたいと思える企業を探すため、様々なキーワードで検索し、情報を取捨選択します。このような求職者に対し、豊富な情報の中から、
- 見つけてもらう
- 知ってもらう
- 選んでもらう
ためには、採用オウンドメディアが効果を発揮します。採用オウンドメディア導入で期待される効果は他にもありますので、次項で詳しく紹介します。
採用オウンドメディア導入の3つの効果
導入効果 | 詳細 |
---|---|
採用ブランド力の向上 | 企業独自の価値を蓄積し、他社との差別化を図ることで、採用ブランド力を向上させる。 |
企業ブランド力の向上 | 採用ブランド力の向上が企業ブランド力を高め、自社の付加価値を増大させる。 |
インナーブランディング力の強化 | 社員を巻き込むことで企業ビジョンの理解を深め、意識改革や業務効率の向上に寄与する。 |
採用ブランド力の向上
採用オウンドメディアは、従来の採用サイトでは伝えきれない、企業ビジョンや企業文化、職場の雰囲気といった「その企業独自」の情報(コンテンツ)が発信できます。
企業独自のコンテンツを継続的に発信し続けることで、その企業でしか提供できない価値がメディア内にストック(蓄積)されます。
採用オウンドメディアを運営することは、中長期的に見れば、他の企業では真似できない付加価値を積み上げる取り組みでもあり、採用におけるブランド力向上にも貢献します。「この企業で働きたい」という求職者の労働意欲にも大きな影響を与えます。
常時、企業の魅力を伝えるコンテンツを配信していくため、期間限定で「新卒採用サイト」や「中途採用サイト」などを開設する必要がなく、年間を通じて常に求職者を集める媒体として効果を発揮します。
企業ブランド力の向上
採用ブランド力が上がることは、すなわち「企業ブランド力の向上」にも寄与します。求職者を魅了する企業ビジョンに基づいたコンテンツ提供は、中長期的に見れば「企業の付加価値(ブランド力)」を高めることにもつながります。
採用オウンドメディアは、いつしか自社のブランド力を向上させる「資産」となり、外部のコンサル会社に依頼せずとも、自社ブランディングを確立することができます。
インナーブランディング力の強化
インナーブランディングとは、自社の企業ビジョンや文化を社員に伝えて浸透させる活動です。自社に対する理解が深まれば、社員は理念に基づいた行動を取るようになり、意識改革、業務効率の向上、商品(サービス)の品質アップといった効果も期待されます。
採用オウンドメディアは、社員を巻き込むことで様々なコンテンツが生まれ、企業ビジョンに改めて触れる社員も増えますので、インナーブランディング(ビジョン浸透)の推進にも貢献します。
自社の価値を正しく伝えて、採用力を強化しませんか?
自社の強みをしっかり伝わる場を作ることは、企業の価値に共感する人材を集める求心力にもなります。大切なのはその伝え方…。企業ブランドを高める採用オウンドメディアを作り、定着率の高い人材を獲得しませんか?
採用オウンドメディアの具体的なメリット
採用オウンドメディアで導入で期待される効果を「俯瞰的に」紹介しましたが、具体的にはどんなメリットがあるのか、さらに詳しく解説します。
メリット | 具体的な効果 |
---|---|
自社の認知度が高まる | 特定のキーワードで検索する求職者にアプローチし、ミスマッチの少ない採用活動を展開。 |
アピールしたい情報が発信できる | 様々な部署の社員のインタビュー、社内イベントのレポートなど、自由に制作・発信できる。 |
自社と相性が合う人材が集まる | 企業ビジョンや文化を詳細に発信し、共感した高い意欲の人材の採用率が向上。 |
潜在層にも知ってもらえる | SEO対策により検索エンジンで上位表示させ、潜在的なニーズがある人材へアプローチ可能。 |
採用コストが抑えられる | 長期的に継続的な応募が可能で、広告コストをかけずに人材を獲得することができる。 |
自社の認知度が高まる
採用サイトは、すでに自社の存在を知っている求職者のみ接触が図れますが、それ以外へのアプローチは不可能です。採用オウンドメディアを導入すれば、たとえば、
- 「Webディレクター フルリモート」
- 「M&Aアドバイザー 未経験」
- 「保健師 残業少なめ」
など、特定のキーワードで検索する求職者にアプローチすることができます。欲しい人材にピンポイントで自社の存在を知ってもらい、ミスマッチの少ない採用活動が展開できます。
アピールしたい情報が発信できる
採用オウンドメディアでは、様々な部署の社員のインタビュー、定期的な社内イベントのレポート、社内風景の写真など、アピールしたいコンテンツが自由に制作できます。
求人媒体には、掲載できる文字数や写真の数、レイアウトに制限があるのが一般的です。限られた枠の中で、伝えたいことを絞る必要があるため、スピーディーに人材を募集する告知ができますが、他社との差別化が難しくなります。しかし、採用オウンドメディアでは、
- 社員のコラム
- 社内イベントレポート
- 人事が今後トライしていきたい組織改善
- 社内風景の動画
など、枠にとらわれず自由な形で発信できます。採用とは直接関係のないコンテンツを楽しんでもらい、「この職場の雰囲気、いいかも…」と求職者を啓蒙できる利点があります。
自社と相性が合う人材が集まる
採用オウンドメディアでは、企業ビジョンやポリシー、会社の雰囲気など、実際に働く上で重要な情報が求人サイトよりも自由にアピールできます。
そのため、求職者に対して求人情報(仕事内容・勤務地・待遇など)だけではない、企業文化や空気感といった内容の濃い情報も発信でき、企業ビジョンに共感した、働く意欲の高い優秀な人材の採用率もグンと上がります。
また、社内の雰囲気を事前に知ってもらうことで、入社後、ギャップを感じて早期離職になる事態を防ぐ効果もあります。
潜在層にも知ってもらえる
採用オウンドメディアは、コンテンツの内容によっては、現在、求職活動をしていないユーザーを集めることもできます。
求人サイトは、求職中の人しか見ないため、潜在的なニーズのある層、すなわち漠然と転職を考えているユーザーにはアプローチできません。しかし、採用オウンドメディアでは、
- 商品・サービス
- 働き方
- 職種
- 業界用語
に関する検索キーワードでSEO対策を行い、検索エンジンで上位表示させることで、潜在ニーズがある人材へのアプローチが可能です。
コンテンツの作り方次第で、これまで接触できなかった他業種からの人材も獲得できる可能性があります。
採用コストが抑えられる
採用オウンドメディアを運営し、サイトを訪れるユーザーを分析すれば、アクセスを集めるコンテンツや、応募につながりやすいコンテンツが見えてきます。
検索ニーズに合わせてコンテンツを改善し続ける(PDCAを回す)ことで、応募数を増やし、自社にマッチした人材の採用率を上げることができます。求人サイトは、広告を出稿したタイミングで反応が得られますが、掲載が終了すれば反応も止まります。
しかし、採用オウンドメディアを活用すれば、継続的な応募が可能です。期間が限られた求人サイトの広告掲載よりも、長期的な視点に立てば、広告コストをかけずに人材を獲得することができます。
自社の価値を正しく伝えて、採用力を強化しませんか?
自社の強みをしっかり伝わる場を作ることは、企業の価値に共感する人材を集める求心力にもなります。大切なのはその伝え方…。企業ブランドを高める採用オウンドメディアを作り、定着率の高い人材を獲得しませんか?
採用オウンドメディア導入におけるデメリット
採用オウンドメディアを導入することは、多くのメリットがあるものの、デメリットもあります。予め注意すべき点についても触れます。
運営に手間がかかる
採用オウンドメディアを活用しようとなると、求人サイトへの掲載に比べて大きく作業量が増えるのは否めません。サーバーの準備やサイト構築、デザイン、文章の執筆など、多くの作業が必要になります。
また、作ってしまえばそれで終わりというわけではなく、常にコンテンツを更新して充実させていかなければ、「宝の持ち腐れ」になってしまいます。
多くの工程が必要になるため、他の業務の片手間に採用オウンドメディアを運営するのは難しく、それだけ人件費がかかります。
すぐに効果は出ない
自社の採用オウンドメディアが、狙ったキーワードで検索結果の上位に表示されるようになるまでには、SEO対策を行っていても数ヶ月の期間がかかります。
そのため、担当者だけでなく、社内全体で「採用オウンドメディアが十分に機能するようになるまではある程度の時間がかかる」と共通認識を持つ必要があります。
すぐに結果が出ないから止めてしまったとなれば、それまでに費やした労力やコストが無駄になってしまいます。
採用オウンドメディアの運用には、腰を据えて取り組まなければなりません。
社外発信に向けたコンテンツ品質の担保
採用オウンドメディアは、社外に向けた企業ブランドの構築に役立つ一方で、誤った情報や企業イメージの誤解を招くリスクもあります。
不適切なコンテンツが公開されると、企業の評価が下がることも考えられます。そのため、公開する情報の正確性と品質を徹底的に管理することが不可欠です。
これには、コンテンツの事前チェック体制を整えること、広告的表現におけるリーガルチェックを徹底すること、また発信する情報のブランドガイドラインを明確にすることが有効です。
もし採用オウンドメディアの制作や運営を外注する際は、依頼先のコンテンツ品質における担保体制もチェックしておくとよいでしょう。
自社の価値を正しく伝えて、採用力を強化しませんか?
自社の強みをしっかり伝わる場を作ることは、企業の価値に共感する人材を集める求心力にもなります。大切なのはその伝え方…。企業ブランドを高める採用オウンドメディアを作り、定着率の高い人材を獲得しませんか?
採用オウンドメディアを成功させる6つのポイント
ポイント | 説明 |
---|---|
自社の魅力を整理する | 獲得したい人材に向けて、自社の魅力や他社との違いを明確にし、コンテンツに組み込む。 |
ペルソナを設定する | 採用したい人物像を具体化し、必要とする人材をピンポイントで獲得するためのコンテンツ作りを行う。 |
採用計画を立てる | 採用計画を基に、人数確保に必要な応募者数や面接者数などを設定し、メディア全体の方向性を決める。 |
採用オウンドメディアを制作する | 内製または外部委託で採用オウンドメディアを制作し、戦略設計やコンテンツ制作などを行う。 |
定期的に更新する体制を作る | 社内で定期的な更新業務ができるチーム体制を作り、継続的な運営を行う。 |
SEO施策やSNSを運用しPDCAを回る | SEO施策やSNS運用を通じてメディアの集客力を高め、PDCAサイクルを回して効果を最大化する。 |
(1)自社の魅力を整理する
獲得したい人材を魅了させるため、「自社の魅力」や他社との違いを整理し明確化しましょう。そして、自社の魅力をコンテンツに上手く組み込んで求職者へアプローチしていきます。
求職者にとって、収入と同じくらい重要なのが職場環境や働きがいです。社員のインタビューのリアルな声や開発秘話などのコンテンツで魅力が感じられると、共感を呼びやすくなります。
(2)ペルソナを設定する
ペルソナとは「採用したい人物像」のことです。つまり「誰」に向けて採用オウンドメディアを開設するのか、その「誰」を決めます。
採用オウンドメディアでは、必要とする人材をピンポイントで獲得するためのコンテンツ作りが不可欠ですので、ペルソナ設定が非常に重要になります。
現在の職業、年齢といった属性はもちろん、転職の動機、目指したいキャリア像、働く上で大切にしていることなど、内面も含めて人物像を具体化。
自社が求める人材獲得に成功しているなら、すでに在籍している社員を参考にすると、よりリアルな人物像が設定できます。
(3)採用計画を立てる
採用オウンドメディアを導入する前に、まず「採用計画」を立てます。今後の売上予測や、売上達成に必要な採用人数を算出。
採用計画を立てた上で、人数確保に必要な「応募者数」「面接者数」「内定者数」を設定します。過去の採用活動の履歴を参考にするのも良いでしょう。
計画をもとに、「誰に向けてどんなコンテンツ作るのか」採用オウンドメディア全体の方向性を決めます。
(4)採用オウンドメディアを作成する
採用オウンドメディアの方向性を決めたら、実際に作成に入ります。作成する方法として「内製するか」「外部に依頼するか」の2択になります。
内製するならメディアが作れる専門知識と技術を持った人材が必要です。作成後も、引き続きコンテンツの発信、SNSを活用した拡散といった、地道で継続的な運営も行わなければなりません。一方、外部委託すれば、採用オウンドメディア作成に必要な、
- 全体の戦略設計
- 採用市場調査
- 競合調査
- 自社の強み整理
- ペルソナ設定
- 採用オウンドメディア設計
- コンテンツ・デザイン制作
- メディア公開後の運営(更新)
をすべて依頼できますので、「餅は餅屋」というように、採用オウンドメディアで実績があり、一緒に伴走してくれる外部パートナーへの依頼がおすすめです。
(5)定期的に更新する体制を作る
採用オウンドメディアは作ったからといって、検索エンジンですぐに上位表示されるわけではありません。むしろ、作成後の「継続的な運営」こそが重要で、メディアの価値を上げるには、求職者に必要なコンテンツを作り続けることが必要です。
数ヶ月で継続が止まったり、月に数回のコンテンツ発信だけでは十分な成果を上げるのは難しいでしょう。そのため、社内で定期的な更新業務ができるチーム体制を作ることが大切です。
(6)SEO施策やSNSを運用しPDCAを回る
(5)にも関わることですが、コンテンツ作りには「SEO施策」も必要です。検索エンジン最適化の施策ですが、平たくいえば、「検索者(求職者)が検索するキーワードで上位表示させてメディアに訪問してもらう」施策です。
欲しい人材をピンポイントで獲得するには、「エンジニア,フルリモート」「Webコンサルティング営業」「外国人,エンジニア,採用」といった特定のキーワードでコンテンツを作成すると効果的です。
また、コンテンツをSNSで情報拡散することで、集客力がさらに高まります。これらの施策を行い、PDCA(計画・実行・評価・改善)を回しながら上位表示を目指し、より集客力の高いメディア運営を目指します。
採用オウンドメディアに必要なコンテンツ事例
採用オウンドメディアを導入したいものの、「何を掲載すればよいのか」イメージがわかない方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、採用オウンドメディアで用意すべきコンテンツを紹介します。
コンテンツタイプ | 説明 |
---|---|
企業が抱えるビジョン | 経営者の思いや今後のビジョンを示し、求職者から「ここで働きたい」と共感してもらえるようなメッセージを発信する。 |
商品・サービスに込められた想い | 商品・サービスの特徴とその背景や開発者の想いを伝える「ストーリーテリング」で、読み手を魅了する。 |
社員インタビュー | 現在働いている社員のインタビューを通じて、職場のリアルな声や働きがいを伝える。 |
働き方の紹介 | 「ある社員の一日のスケジュール」を紹介し、入社後の働くイメージや、福利厚生などの情報を提供する。 |
働き方に関する会社の取り組み | 評価制度、フレックスタイム、休暇や手当など、働き方に関する企業の取り組みを紹介し、求職者の関心を引く。 |
社内研修制度 | 社内での研修内容やカリキュラムを紹介し、未経験者も安心して応募できるようにする。 |
転職者アンケート | 転職者のアンケート結果を公開し、実際の転職後の動向や企業文化への適合度を示す。 |
プライベートも含めた従業員の写真 | 社員の仕事風景だけでなく、社内イベントやプライベート写真を通じて、社風や人間関係を伝える。 |
企業が抱えるビジョン
経営者の思いや今後のビジョンを示し、求職者から「ここで働きたい」と共感してもらえるようなメッセージを発信します。公式の「経営者のあいさつ」とは違い、求職者に対して直接伝えたいことを言葉にします。
商品・サービスに込められた想い
商品・サービスの特徴をアピールするのは勿論ですが、「どのようにして誕生したのか」、商品が生まれる背景、開発や営業担当者の想いなどを「物語風」に伝えることも、読み手を魅了する方法として効果的です。
「ストーリーテリング」という手法ですが、開発から販売成功に至った流れをストーリー化することで、読み手に共感してもらい、強いインパクトを与えることができます。
社員インタビュー
現在働いている社員にインタビューをし、「入社を決めた理由は?」「仕事のやりがいは何か?」「将来、何を目指すのか?」などを語ってもらい記事化します。「この職場と自分はフィットできるのか?」動画や画像を駆使しながらリアル感を持たせて伝えます。
働き方の紹介
「ある社員の一日のスケジュール」を紹介し、入社後の自分が働くイメージを伝えます。また、福利厚生や社内制度など、求職者にとって気になるポイントも紹介します。ほかの企業にはない、ユニークな社内制度があれば、その企業らしさを伝える手がかりにもなります。
働き方に関する会社の取り組み
働き方を重視する求職者をターゲットにしたい場合には、採用オウンドメディア内で、働き方に関する取り組みをきちんとアピールしましょう。働き方として注目されやすい点として、たとえば次のようなものがあります。
- 評価制度
- フレックスタイム
- 休暇や手当
- 介護や育児などを踏まえた柔軟な勤務
- 残業時間 など
休暇制度などを活用している社員が多いことをアピールしたい場合、実際に取得した社員にインタビューをし、記事にすると信憑性がより高くなり効果的です。
社内研修制度
ITやWebなど、専門業務で未経験者にアプローチしたい場合、求職者は入社後、スキルがしっかり身にくのか不安になるケースが多くあります。
社内で研修を実施している場合は、社内研修の内容などを掲載しましょう。不安を解消し応募者の増加につながります。具体的なカリキュラム内容、研修期間の情報に加え、研修風景などを掲載すると魅力がしっかり伝わります。
転職者アンケート
個人を紹介する社員インタビューのほか、入社後の動向を伝えたい場合に有効なのが転職者アンケートです。
「転職者全員」または「○○名」とアンケート人数を記載すれば、個人だけでなく転職者全体が動向が把握できます。なかにはネガティブな内容もあるかもしれませんが、包み隠さず掲載することで透明性も高まります。
ネガティブな回答を課題として、改善中の場合には合わせて掲載しましょう。「社員の声をきちんとすくい上げる企業」という印象を持ってもらえます。
プライベートも含めた従業員の写真
仕事風景だけでなく、社員向けイベントや、社員のプライベート写真を載せるコンテンツもあります。
プライベート写真を載せることで、社員の「人となり」を伝え、仕事だけでは垣間見れない一面が見られます。社内の人間関係や、社風を伝えたい場合に効果的です。
自社の価値を正しく伝えて、採用力を強化しませんか?
自社の強みをしっかり伝わる場を作ることは、企業の価値に共感する人材を集める求心力にもなります。大切なのはその伝え方…。企業ブランドを高める採用オウンドメディアを作り、定着率の高い人材を獲得しませんか?
採用オウンドメディアの成功事例
採用オウンドメディアに成功している企業の成功事例を集めました。ユーザーに興味を持ってもらうためにどんなコンテンツを発信しているか、ぜひ参考にしてみてください。
サイボウズ式
サイボウズ株式会社の採用オウンドメディア
ソフトウェアやクラウドサービスを展開する「サイボウズ株式会社」の採用オウンドメディアです。企業風土や職場のチームを紹介する記事や「働き方とは」「会社とは」など、求職者に考えさせるコンテンツが豊富に発信されています。
採用オウンドメディアの典型的なコンテンツ内容で、しっかりと求職者にアプローチできている事例です。
キャリアハック
IT業界やWeb業界で働く人がターゲットのエン・ジャパンの採用オウンドメディア
人材採用や人材紹介事業を行う、エン・ジャパン株式会社が運営している採用オウンドメディアです。「キャリアハック」はIT業界やWeb業界で働く人をターゲット読者にしており、ITの専門ノウハウやプロジェクトの開発秘話、働き方に関する記事など、バラエティに富んだコンテンツが投稿されています。
コンテンツを通じて転職そのものへの関心を高め、自社の転職サイト・人材紹介サイトへの登録や求人閲覧へと繋げる導線が取られています。
メルカン
株式会社メルカリの採用オウンドメディア
大ヒットフリマアプリで知られる「株式会社メルカリ」が運営するメルカン。働く人に焦点をあてた記事や職種ごとに専門性の高い記事などが、実際にメルカリで働く社員の手で発信されています。
求職者が何を知りたがっているのか、どんな情報を求めているかをユーザー目線で予測して作られたコンテンツやキーワード選定は秀逸で、まだ転職を考えていない潜在層にも上手くアプローチしています。
OnLINE
LINE運営の働き方をテーマとした採用オウンドメディア
人気SNS「LINE」を運営するLINE株式会社が手がけた、事業や働き方に関するテーマのコンテンツが発信されている採用オウンドメディアです。もともと採用担当者のブログだったコンテンツを、採用オウンドメディアとして独立させ運用が開始されました。
LINEのビジョンやカルチャーを社員インタビューやニュース形式で発信して、ユーザーのニーズを満たしています。
フルスイング
株式会社ディー・エヌ・エーの採用オウンドメディア
スマホ用ゲームアプリの開発や配信事業などを行う「株式会社ディー・エヌ・エー」が運営する採用オウンドメディアです。プロ野球の横浜DeNAベイスターズを保有している知名度と社風を表すために、サイト名には野球用語が使われています。
DeNA社員やインターン生のインタビュー記事を中心に、人と働き方に関するコンテンツを発信。企業ブランディングを高めて労働環境へのイメージを向上させ、より多くの求職者に応募してもらいたい狙いがうかがえます。
ディレタマ
Webディレクターを目指す方向けのZenkenの採用オウンドメディア
ディレタマは、ITコンサルティング会社のZenkenで「Webディレクター」として働きたい方を集める採用オウンドメディアです。同業内での転職や完全未経験の転職ではなく、「Webディレクターに近い職種からのジョブチェンジ」というケースを重視ししたコンセプトで制作されました。
社員インタビューでは、現役ディレクターによる過去の職業から転職した経緯と入社後の心境などをコンテンツ化。また、Wenディレクターに近いさまざまな職種を網羅し、Webディレクターになるために必要な事項もまとめています。
他にもWebディレクターを検討中の方向けの読み物として、作業工程や必要なスキルを解説するコンテンツも多く作成し日々更新しています。
栄養士のお仕事大百科
委託給食会社グリーンハウスの採用オウンドメディア
栄養士のお仕事大百科は、委託給食会社の大手でもある、株式会社グリーンハウスの採用オウンドメディア。栄養士の資格をもつ新卒者及び資格取得予定の学生を採用ターゲットに制作されました。
実際にグリーンハウス様で栄養士として働くスタッフに栄養士を志したきっかけや役職、そして仕事のやりがいや注意している点などをインタビュー形式にて掲載しています。
学生時代に経験しておくべきアルバイトや調理経験の有無など、実際に栄養士として勤務する人にしかきけない情報も質問し、新卒者に役立つ情報を盛り込んでいます。
読み物として栄養士の基本知識から求人情報まで幅広い情報を掲載しており、栄養士を目指す方が情報を検索した際に流入できるコンテンツも豊富な点が特徴です。
タクビー
大阪のタクシー会社 未来都の採用オウンドメディア
タクビーは、大阪にてタクシー会社を運営する未来都への応募流入を目的とした求人オウンドメディア。新卒にこだわらず、異業種からの転職も重視しているので、一般的な企業と比較した際の年収や、勤務体系の違いなどを掲載しています。
全国からの流入ではなく、大阪でタクシー運転手を検討している方向けに設計しているサイトです。選べる大阪府内の各営業所の掲載や具体的な募集要項など、エリアを限定しているからこそ伝えられる詳細情報はしっかりと掲載しています。
未経験者が不安になりやすい点を払拭するため、定着率や未経験者割合が高い点もアピール。実際に勤務する社員のインタビューもコンテンツとして盛り込んでいます。質問内容はタクシー運転手に対して、ネガティブなイメージをもつ方向けにポジティブになれる回答が中心です。
キャリデン
山口県の歯科クリニックの採用オウンドメディア
キャリデンは、山口県の「公園通り歯科」への求人応募を検目的とした採用オウンドメディア。現在、歯科医または歯科衛生士として働く方で、仕事に対してやりがいがなく不満を感じている方が主なターゲットです。
抱えている悩みに対して公園通り歯科ならなぜやりがいを感じられるかを解説し、キャリアアップを目指す方が応募を検討しやすい導線を意識しています。
勤務している歯科医師及び歯科衛生士へのインタビュー内容としては、過去に勤務していた際の仕事内容と現在勤める公園通り歯科様の違いが中心です。
転職後に続けられている理由が分かりやすく掲載されており、応募を考えているけれどミスマッチだったと不安になる方の疑問を解決しています。
自社の価値を正しく伝えて、採用力を強化しませんか?
自社の強みをしっかり伝わる場を作ることは、企業の価値に共感する人材を集める求心力にもなります。大切なのはその伝え方…。企業ブランドを高める採用オウンドメディアを作り、定着率の高い人材を獲得しませんか?
採用オウンドメディア導入で欲しい人材の獲得を
求人サイトよりも自社の魅力をより深く伝えられる採用オウンドメディアは、求職者の潜在的なニーズに訴求することができます。
インターネット上には膨大な情報が溢れ、働く価値観も多様化している現代では、自社の理念や働く環境をより詳しく伝えることで差別化につながります。
- 求人広告や人材紹介でターゲットとなる母集団形成ができない
- 競合他社の増加、人材縮小により年々採用単価が上がっている
- 人材を採用しても「思い描いていたのと違った…」とすぐに退職される
といったお悩みがあるなら、Zenkenにご相談ください。業界を問わず、8,000件以上のWebマーケティング支援実績があり、採用戦略においては、貴社に入社したい求職者を増やす「採用ブランディング戦略」を得意としてます。
採用ブランディング戦略って何?もっと詳しく知りたい方のために、「定着率の高い人材を獲得!採用ブランディングメディア」の資料をご用意しました。ご興味のある方は、こちらからダウンロードしてください。