自社採用とは?方法や戦略・メリット総まとめ
最終更新日:2024年04月03日
求人票などを見て応募してくるのを待つのではなく、企業側から積極的にはたらきかける自社採用にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
優秀な人材を確保する企業の多くが導入をはじめている自社採用の具体的な進め方について解説します。
自社採用とは
自社採用とは、言葉の通り外部の力を借りることなく、自社の力で採用を進める採用方法です。
一般的な採用方法といえば、求人情報誌や求人サイトなどへの広告出稿やハローワークへの求人票掲示など、外部の求人媒体を利用して応募を待つスタイル。
それと比較して、外部の求人媒体などを利用せず自社の力で、自社が用意した方法で採用業務を行うことから、攻めの採用や能動的な採用方法と位置づけられます。
自社採用のメリット・デメリット
まずは、自社採用を導入するうえで知っておきたいメリットとデメリットから確認していきましょう。
自社採用のメリット
自社採用には大きく分けて3つのメリットがあります。
- 採用コストの削減
- 欲しい人材の確保
- 競合との差別化
一つひとつ見ていきましょう。
採用コストの削減
一般的な採用方法と違い、求人広告の出稿や採用管理システムへの登録などで発生する費用をカットできます。
例えば自社で採用サイトを作成・運営ができると、どんなキーワードでユーザーが流入したのか、どんなコンテンツを読んだのかなど、ユーザー心理がどのようなものかを数値に落とし込んで考えることができます。
動きがわかる分、対策も立てやすいので、どうしても受け身の姿勢になりがちな求人広告への出稿よりも、具体的な採用プランをもって対応できる点も魅力です。
自社採用であれば無駄な費用を使うことなく、効率的に採用活動へと費用を充てることができます。
欲しい人材の確保
自社が欲しい人材に合わせたアプローチができるため、採用後のミスマッチ回避が期待できます。
ターゲットを絞ったり、特定の採用条件を付与したりするなどの改善が自由にできるのはうれしい点でしょう。
競合との差別化
一般的な採用方法だと、テンプレートに合わせて募集することが多く、他社との違いが分かりにくいものです。また、掲載できる情報量も限られており、差別化がしづらいデメリットがあります。
しかし、自社採用だと掲載できる情報量が多いため、自社のブランディングを戦略をもって行なうことができます。結果、長期的な採用戦略の基礎をつくりあげることも可能です。
自社採用のデメリット
続いては、自社採用を導入するデメリットを3つご紹介しましょう。
- 初期投資が必要
- 戦略的な継続運用が必須
- 一定の広告費が必要
デメリットの要因を一つずつまとめました。
初期投資が必要
自社で作成できるデザイナーやエンジニアがいる場合は、そこまで気にする必要はありません。しかし、外注するとなるとそれなりの費用がかかってくるでしょう。
また、すぐにサイトなどが完成するわけではないので、一定の準備期間が必要です。
戦略的な継続運用が必須
反応などをみながら、戦略を自社でたてて、継続的に運用することで成果につながります。社内に運用スタッフを割り当てるか、最初だけスポットの運用会社に依頼するなど運営方法を考える必要があります。
一定の広告費が必要
TwitterなどのSNSやコンテンツマーケティング、SEO対策で上位に表示させて流入させるには時間がかかります。そのため、自社採用のためのサイトを作ったとしても、宣伝をしなければ訪問してもらうことは難しいもの。そこで、宣伝するための広告費が必要です。
自社採用のポイント
では、自社採用を成功させるためのポイントを3つご紹介しましょう。
- 目的や方針の明確化
- SNSによる採用ブランディングを
- 条件を絞りすぎない
目的や方針の明確化
1つ目は、採用に対する目的や方針を明確にしてからスタートすることです。
自社に必要な人材をより明確にするためには、ペルソナ設定がおすすめです。ペルソナ設定とは、ターゲットとする年齢や性別、行動、価値観、ライフスタイルなど細やかに設定することです。
若手を育てたいと考えて採用するのと、幹部候補となる人物が欲しいのと、即戦力になる人材が欲しいのとでは、当然ターゲットとなる年齢も価値観も異なってくるはずです。
そうやって設定したペルソナの心に響くアプローチの仕方を考えることで、採用活動も楽になるでしょう。
一方、万人受けするアプローチの方法を選択してしまうと、応募数は多くても自社が求めている人材が必ずしもそこに含まれているとは限りません。そのため、選考に手間がかかってしまうだけになる可能性も。
設定するペルソナは、実際の採用時の選考基準とも摺り合わせる必要があるため、上司や必要部署の意見も聞きながら行うのがおすすめです。
SNSによる採用ブランディング
2つ目は、採用ブランディングにSNSを活用することです。
採用ブランディングとは、これまでの応募者を待つ手法ではなく、ターゲットとする人材に効果的なアプローチを行うマーケティング手法。
具体的な方法として、TwitterやFacebookといったSNSなどを利用したコミュニケーションやメッセージング、クリエイティブアウトプットなどがあります。
積極的かつ継続的に情報発信することで、自社ブランドイメージを確立させることができ、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
その際も、前述した自社の目的や方針からブレないようにすることと、企業の公式アカウントとして情報の質を保持することも大切です。
条件を絞りすぎない
3つ目は、求職者に求める条件の絞りすぎに注意することです。
自社が求める理想に近い人材を集めることができるのが自社採用の魅力ではありますが、あまりに間口を狭くしてしまうと逆効果になりかねません。
優秀な人材を見逃したり、理想が高いあまり応募が少なくなったりとのデメリットが生まれてしまいます。このような本末転倒の結果にならないためには、他社の募集条件なども確認し、比較してみることも大切でしょう。
自社採用をすすめる方法
では、具体的に自社採用をすすめるためにおすすめの方法を4つご紹介します。
自社採用サイト(ページ)
もっともポピュラーともいえる方法が、自社採用サイトの作成です。
自社採用サイトとは、その名の通り採用を目的としたサイトやページのこと。現在あるコーポレートサイト内に採用情報に特化したページをつくる方法が一般的です。
コーポレートサイト内に作成することで、募集している企業のことも知ってもらうことができます。
多くの場合、応募者はその企業について事前に調べるものです。そのときに、採用サイトがあることは安心感につながります。
逆に、採用サイトがないと積極的に募集をしていないのでは?と感じさせてしまうこともあるので、ぜひつくっておくことをおすすめします。
また、せっかくつくるのであれば「企業の魅力が十分伝えられる」ようにしましょう。具体的には、入社後のイメージを感じられるものにすることです。
社内の写真や従業員の仕事風景、インタビューなどを掲載するのもおすすめ。それに加えて、よくある質問などを掲載しておくと、より具体的なイメージを抱きやすくなるでしょう。
デザイン的にはオシャレものではなく、企業のイメージに合った、見やすく・伝わりやすいものにするのがポイントです。
リファラル採用
欧米でよく取り入れられているリファラル採用とは、自社に在籍する社員やその友人、知人などに紹介もしくは推薦してもらう採用方法です。
企業のことを分かった人からの紹介ということで、適正やスキルを備えている人材を見極めた上で採用しやすいメリットがあります。
また、あらかじめ社風や業務内容、風土などについて説明を受けていることから、企業が欲しい人材とマッチしていることが多く、入社後の定着率が高いのも強み。
紹介した人材が入社したら紹介報酬を支払うなど、インセンティブの仕組みを作ることで、社員も積極的に紹介してくれるようになります。
社員や友人などが紹介する際に説明しやすいように、自社サイトにも情報を積極的に掲載し、実際に仕事をしていく際のイメージが持ちやすいようにしておくこともかかせません。
ダイレクトリクルーティング採用
ダイレクトリクルーティング採用は、求職者へ企業から直接アプローチする採用手法です。
分かりやすく表現すれば、スカウトと言い換えることができるでしょう。具体的には、人材データベースにアクセスし、経歴やスキルなどをみて、自社に欲しいと感じた人材にコンタクトを取ります。
ダイレクトリクルーティング採用を導入するメリットとしては、潜在層をターゲットにできる点が挙げられます。チャンスがあれば、報酬次第でと考えている人材を発掘することも可能です。
ダイレクトリクルーティング採用を積み重ねていくことで、採用のノウハウが蓄積され、リクルーティングの質向上にも役立つでしょう。
ダイレクトリクルーティング採用のデメリットは、採用にかかる工数が増加し、短期的にすぐに結果が出にくい点です。しかし、試行錯誤しながら続けいくことでノウハウも身につき、長期的に考えるとプラスになるでしょう。
求職者に自社の魅力を伝えていくためには、企業ブランドの確立を会社全体で取り組み、かつ採用情報を一元管理することがポイントです。
最近では、ダイレクトリクルーティングサービスもいくつか提供されているので、試してみるのも1つの方法でしょう。
ソーシャルリクルーティング
最後にご紹介するソーシャルリクルーティングは、FacebookやTwitterなどのSNSを活用した採用方法です。20代の若手のSNS利用率はほぼ100%といわれる時代だからこそ、有効な方法でしょう。
SNSは、種類によって特徴があるため、使い分けが必要です。
30~50代が主流のFacebookは、仕事関係や友達関係の面識ある繋がりが特徴。Twitterは、20~40代のユーザーが多く情報の拡散力が高いのが特徴です。
Instagramは、10~20代と若い世代が多く使っておりハッシュタグによる情報収集がメイン。LINEは、20~50代と年齢層が広く、アクティブ率が高いのが特徴でしょう。
SNSを活用したソーシャルリクルーティングは、求職者との距離を縮めやすく、親近感を持ってもらいやすくなります。好感度を持ってもらえれば、この企業で働きたいと感じてもらうこともできるでしょう。
ソーシャルリクルーティングは拡散力があることから、自社を知らない潜在層などにもアプローチできるなど、採用候補者を増やすことができる点もメリット。また、求職者が自由に発信しているSNSを閲覧できることから、人柄やポテンシャルを知ることもできます。
企業アカウントを定期的に更新することや、反応があったらスピーディーに返すなどコミュニケーションを積極的に取っていくことが運用のコツです。
自社採用サイト(ページ)をつくるメリット
自社採用サイトを作成するメリットは大きく分けて7つあります。
採用にかかるコストの削減
もっとも大きなメリットとなるのが、採用にかかるコストを削減できることでしょう。求人誌に掲載すれば当然のことながら、掲載料が発生します。また、人材紹介サービスの利用についても紹介料が必要でしょう。
自社採用サイトの作成を1から行う場合には、サイトの作成費用やサーバー代などは必要となりますが、一時的な投資と考えると決して高い出費ではありません。
また、求人誌などにも掲載しつつ、そこから自社採用サイトに呼び込み、紙面だけでは伝えきれない魅力などを伝えるのもおすすめです。併用していくことで、求人誌への掲載料の費用対効果もよくなるでしょう。
データを活用できる
求人誌などとは違って、応募に至らなかった人材でもアクセスした人のデータを収集することができます。たとえば、どんなコンテンツに興味を持ったのか、どこからページにたどり着いたのか、どのページで離脱したのかなど、さまざまなデータを得ることが可能となります。
そのデータを元に、PDCAサイクルをまわし、自社採用サイトの改善や充実などにつなげることができます。
求人検索エンジンからの応募者を増やす
自社採用サイトを持っていると、会社名や職種といったキーワードを入力することで、条件にマッチしている求人を探せる求人検索エンジンからの流入を増やすことができます。応募者の間口を広げることができるのは大きなメリットでしょう。
採用に要する時間がスピーディ
新卒採用ではなく、欠員や補充目的に行う中途採用の場合、できるだけ早い人材確保が欠かせません。外部の採用サイトだと、出稿手続きや情報が掲載されるには一定の時間が必要です。
しかし、自社採用サイトであれば、すぐにでも告知が可能。急を要する採用には非常に役立ちます。
内定辞退率の減少
選考に時間をかけて採用通知を出しても、最終的に内定辞退をされてしまうと、そこに要した時間が無駄になってしまいます。
自社採用サイトからの応募の場合、サイト上に活躍している社員の声や働き方の紹介がされているので、気持ちを盛り上げながら面接、二次面接と進めることが可能。
熱量があるまま選考の案内ができるため、内定から入社までの間、気持ちの変化を起こしにくい状態にすることができます。
掲載情報に制限がない
自社採用サイトでは、掲載情報の量に制限が課されていないため、応募者が知りたいと思っている情報を漏らさず掲載することができます。
たとえば、待遇や諸手当の他、選考や入社後の情報など、応募者のニーズに応えることができるでしょう。また、画像や動画を使い視覚的に訴えかけることで、入社後のイメージをさせやすい点もメリットです。
ミスマッチの減少
自社採用サイトを経由して応募してきた求職者は、会社のことをしっかりと理解し、その上で納得して応募してきています。応募者の考えや想いなども引き出しやすいため、ミスマッチのない採用活動がしやすくなります。
オウンドメディアリクルーティングとは
最近注目されているオウンドメディアリクルーティングとは、自社が保有するメディア、ホームページ、ブログ、SNS、YouTubeなどを用いて自社の魅力を発信することで、欲しい人材を採用する手法。自社採用サイトもオウンドメディアリクルーティングの一つです。
企業のSNSアカウントで積極的な発信を行ない、その発信に共感してくれた人材とコミュニケーションを取ることで、よりニーズに合った人材を集めやすくなります。
昨今、人材不足はもとより、優秀な人材をいかに確保するかが企業の課題ともなってきています。そのためには、認知度を上げること、採用の間口を広げることが欠かせません。
オウンドメディアリクルーティングのメリット
文字数や掲載できる写真や動画に制限がないため、自社の魅力が伝わりやすくなります。応募時に魅力を十分に理解し、そこに共感する人材を狙って集めることが可能です。
またコンテンツを充実させることで、流入を増やすことができ、潜在層にもアピールが可能。情報が拡散していくことで認知度をあげることにもつながります。
企業に親近感を持ってもらえるので応募時のハードルを下げる効果も期待できます。
すべて自社で運用する能動的な採用方法であるため、採用力を高める長期的なメリットも得られるでしょう。ページの閲覧数や離脱率などを見て、すぐにPDCAをまわせるので、改善もスピーディーです。
まとめ
人材不足が顕著に叫ばれる今、待っているだけのリクルーティングではよい人材を得にくい状況です。積極的に企業側から魅力を発信して、他社ではなく自社が選ばれるための仕組みをつくっていくことが大切です。
自社が持つ魅力を求職者へ効果的に伝えるためにも、採用マーケティングの戦略は欠かせません。
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