O2Oマーケティング戦略の基礎知識~広告手法や事例も紹介~
最終更新日:2022年01月18日
O2Oマーケティング戦略の基礎知識
O2Oマーケティングは、顧客をオンラインからオフラインへ誘導するマーケティング施策です。
インターネット上で集客や販促施策を実施している場合でも、オフラインで店舗を構える企業は実店舗への客の誘引は重要課題。そこでO2Oマーケティング施策を実施し、インターネットから実店舗に顧客を誘導します。
スマホがすべてのデバイスの中でもっとも活用する機会と時間が長くなった現代、看板やチラシの費用対効果に限界を感じている事業者がほとんどなのではないかと思います。
O2Oマーケティングでは、デジタルマーケティングの特性を活かし、ペルソナの明確化と狭域ターゲティングでユーザー獲得を目指します。
そのためにはターゲットが「欲しい!」「利用したい!」と思える商品やサービスの広告を、最適のタイミングで表示する必要があります。
それではまず、O2Oマーケティングの基礎知識について、説明していきましょう。
O2Oマーケティングとは?
O2O(Online to Offline)マーケティングとは、オンライン(Web)上でユーザーが起こすアクションを、オフライン(店舗)の集客や成約、購買につなげるマーケティング施策です。
おもにWebサイトやアプリ、SNS、オンライン広告などから、店舗への来店を導く手段として使われます。
O2Oマーケティングでは、スマホによるインターネットの利用者が増えている現在、クーポンの発行やスマホの位置機能を使い、オンラインでは獲得できない特典が実店舗にあることをアピール、店舗に行く「理由」を提供します
。
O2Oマーケティングの戦略にも変化が
現在は前述した「オンラインtoオフライン」だけでなく、「オフラインtoオンライン」の事例も散見されるようになりました。
オンラインからの一方通行ではなく、相互通行でオンラインとオフラインの往来を活性化させる戦略を選択する企業も出てきています。
オフラインからオンラインへと誘導する例として、ユニクロのバーコードスキャン機能が挙げられます。これは店頭で販売されている商品のバーコードから、ECサイトの商品ページにアクセスできるシステムです。
このバーコードスキャン機能により、顧客は店舗でECサイトに掲載されている商品情報や、すでに購入した人の評価などを確認しながら買い物が可能になりました。
このようにオンライン・オフラインの双方を相互的に活用することで顧客の利便性が高まり、その結果事業全体の売上向上につながります。「顧客の便利が売上アップにつながる」という傾向は、BtoCだけでなくBtoBビジネスでも強まっていくと考えられます。
店舗集客型デジタル広告(O2O広告)の定義とその活用について
さて、O2Oと類似したマーケティング戦略に「オムニチャネル」や「OMO」と呼ばれるマーケティング戦略があります。O2Oマーケティングとの違いを見ておきましょう。
O2Oとオムニチャネルの違い
オムニチャネルとは、オンラインとオフラインを分けずに連携させ、顧客の流入経路を確保するマーケティング手法です。
「オムニ」には「すべて」という意味があります。オンライン・オフラインにこだわらず、すべてのチャネルを使って顧客を誘導します。
したがってインターネット上の広告だけでなく、商品カタログやチラシなど、複数の販路から集客するのがオムニチャネルです。多様な流入経路を用いてさまざまな局面で顧客と接触し、購買意欲を刺激して行動(販売)につなげます。
O2OとOMOの違い
OMO(Online Merges (with) Offline)とはオンラインとオフラインの壁を排除し、2つを同時に進めるマーケティング戦略です。顧客が商品やサービスに触れられるように効率よく提供します。
オンラインとオフラインを分けることは、メーカーや企業側からすれば自然なことかもしれませんが、ユーザ目線で考えれば、販路や販売チャネルなどは関係ありません。
OMOではオンラインとオフラインを紐づけし、データをひとまとめにします。2つ販売チャネルがつながることで、顧客がわかりやすく利用しやすい体制づくりが可能です。
OMOというマーケティング戦略はまだ日本に定着していませんが、近い将来オンラインとオフラインの融合を実現する企業が出てくるに違いありません。
O2Oマーケティング戦略で実施される広告手法
O2Oで使われる具体的な手法を紹介します。O2Oマーケティングでは、顧客にECサイトと実店舗を行き来してもらうことで、売上アップを狙います。O2Oマーケティングの代表的施策として挙げられるのが、スマホアプリを利用したクーポンの配布です。
日常生活を占有する勢いのスマホで活用シーンが多いSNSや、スマホ搭載機能である位置情報を使った集客も有用です。もう少しくわしく説明していきます。
ECサイトと実店舗の連携
ECサイトで購入した商品を実店舗で受け取れる仕組みが代表的なものです。ECサイトと実店舗どちらでもポイント利用が可能な場合がほとんどなので、実店舗のみでセールになっている商品のアピールなども効果的です。
また物流との連携もあります。実店舗だけでなく自宅やコンビニなどさまざまな荷受け場所を消費者に提供することで、ユーザーの利便性が向上できます。
顧客の選択肢を多様化させることで、購買行動のパーソナライズにもつながり、カゴ落ちや外出自粛などの購買機会損失を減らす効果も期待できます。
アプリのクーポンを活用した実店舗への誘導
O2Oマーケティングには、ECサイトと実店舗で配布するクーポンを活用する方法があります。
たとえば、店舗アプリをダウンロードした顧客は、電子会員証によりクーポンを入手。オンラインで特典を受け取った消費者を自然な流れで実店舗に誘導します。
オンラインでクーポンを配布できる店舗アプリには、有料・無料のものがあります。いくつかピックアップしてみました。
無料の店舗アプリ
はじめて店舗アプリを利用するなら、無料のものから試すとよいでしょう。無料の店舗アプリを紹介します。
P+KACHIFREE(ピーカンチフリー)
iPadで手軽に始められるアプリです。クーポン発行だけでなくポイント付与などの機能も無料で取り入れられます。顧客はダウンロードするだけで電子会員証が入手できます。
フリープランなら初期費用、月額費用ともに無料で利用可能。はじめて店舗アプリを導入するなら、おすすめの店舗アプリです。
みせめぐ
無料の店舗アプリです。顧客はクーポンの発行や商品をスライド式で見られて使いやすい仕様です。またデジタル会員証や電子レシートも利用できます。
無料ながら多機能の「みせめぐ」は、自社と顧客、両者の使いやすさが特徴のアプリです。
有料の店舗アプリ
機能が充実した店舗アプリを使いたいなら、有料のものを検討するとよいでしょう。有料の店舗アプリを紹介します。
アプリメンバーズ
クーポンの発行以外にできることが多く、顧客の利便性が高いアプリ。なかでも自社独自のアイコンを作成できる機能は、競合他社との差別化が可能です。
アプリメンバーズは、ダウンロード数に応じて月額費用が変わります。イニシャルコストとランニングコストは以下のとおりです。
- 初期費用:30,000円
- 月額費用:21,700円
みせプリ
ルーレットを回して獲得するタイプのクーポンが発行できるので、顧客にくじ引きのような体験を提供して販促につなげられます。4つのプランは切り替えが可能です。プランにより費用が変わるため、クーポンの発行ができる安価なエントリープランから取り入れるのがおすすめです。
エントリープランは、以下の料金で導入できます。
- 初期費用:30,000円
- 月額費用:4,980円
SNS経由で実店舗に誘導
SNSの運用は、ターゲットとのコミュニケーションを円滑におこなえます。O2Oマーケティングに活用できるSNSをそれぞれ見ていきましょう。
Twitter(ツイッター)
Twitter運用のメリットは、なんといってもその拡散力です。自社をまだ知らないユーザーにアピールできます。ハッシュタグを利用し、新商品やキャンペーン情報を投稿すると、多くのユーザーが目にするでしょう。
また、ユーザーの反応をリアルタイムで確認できるため、ユーザーから直接ヒントを得て広告を工夫することが可能です。
有益情報とともに発信することで、ユーザーの関心を引きつけることができます。加えて、タイムラインによる投稿は広告費が不要なので、コスト面から見ても有用です。
Twitter集客・宣伝方法のコツとは?
Instagram<(インスタグラム)
写真や動画などのコンテンツが主体となるInstagramは、自社や商品のファンを増やす目的の運用がおすすめです。
インスタ映えという言葉もあるとおり、ターゲットが魅力を感じる写真や動画の撮影が肝となります。Instagramの活用は、テキストだけの紹介よりも、リアルな商品の魅力がユーザーに伝わりやすいでしょう。
たとえば、生活の一部として商品を紹介や、店舗の和やかな様子を投稿。写真や動画を通して空気感を演出することで、顧客に商品を認知してもらうだけでなく、商品のファンになってもらえるでしょう。
Instagramでは商品やターゲットを明確にすることが大切です。ターゲットにわかりやすく伝えることを心がければ、新規顧客の獲得が可能です。
また最近ではライブコマースでインスタを活用するメーカーやインスタグラマーも増えてきています。
Facebook(フェイスブック)
実名性が高いSNSとして、ミドルエイジのターゲティングに向いたSNSです。Facebook内のシステムを利用し、性別、趣味嗜好などから、丁寧なターゲット設定ができます。
また、Facebookには複数の広告メニューがあり、目的に応じて掲載する場所の選択が可能です。広告の予算は、1日100円から掲載期間ごとに決められます。
広告メッセージの配信は、キャンペーンを知らせる際に役立ちます。ユーザーとのコミュニケーションを図りながら実店舗への誘導を目指します。
LINE(ライン)
LINE公式アカウントを活用する方法です。チャット形式で会話できるため、リアルタイムな問い合わせに対応でき、円滑なコミュニケーションが図れます。メッセージ機能によるユーザーとのやりとりに加え、ショップカードやメルマガの配信も可能です。
日常的な連絡手段として使われるLINEであれば、友達追加のスタンプ参入などで潜在顧客の獲得も目指せます。また、日頃からLINEの扱いに使い慣れているユーザーからは親近感を得やすく、広告として敬遠される可能性が低くなる点もメリットのひとつです。
TikTok(ティックトック)
TikTokはほかのSNSと連携することで、新規顧客の開拓にもつながる影響力を秘めたツールです。10~30代の利用者が多いですが、とくに若い10代をターゲットにしているビジネスなら、ぜひ活用すべきSNSです。
ユーザーが気軽に投稿できるツールのため、バリエーション豊かな楽曲とともに商品を印象づけるプロモーションに適しています。
ユーザーが面白いと感じる、こだわったコンテンツの作成には時間がかかりますが、TikTokを利用している企業はまだ少ないため、競合との差別化にも役立ちます。
GPS(位置情報)を活用して誘導
スマホの位置情報を利用する方法です。位置情報の利用は、GPS単純に実店舗への道案内をするだけではありません。決められた場所まで移動すると、商品情報やクーポンが表示され、近くにある実店舗に誘導する仕組みです。
GPSの他には、スマホがWi-Fi通信を許可する状態になっているユーザーが実店舗の付近を通りがかった際、情報をプッシュ通知する方法もあります。
また、ごく小規模な範囲で電波を届けるビーコンは、入店時に情報やクーポンを発信する目的に使われます。
ファッション業界を活性化する実店舗とECをつなぐ取り組みも
厳密にいえばO2Oマーケティングではありませんが、ECサイトと実店舗販売の垣根を取っ払う仕組みも開発されています。
たとえば株式会社バニッシュ・スタンダードが手掛ける「STAFF STARTO(スタッフスタート)」は、ECサイト上でも店舗スタッフが接客できる仕組みとして、「Staff Tech(スタッフテック)」サービスを提供しています。
店舗スタッフが動画などを活用して店舗にある服をコーディネートし、自らがそのコーディネートを試着して見せることで、顧客に店舗での購入に近い体験を提供することができます。
スタッフスタートを通して販売された売り上げが記録され、店員ごとの売り上げ実績が可視化されます。売上ランキングの公開やコンテストの実施など店員のモチベーションを上げる取り組みも行われています。
顧客はリアルな購買体験ができ、店舗スタッフは成功体験を手に入れることができますし、企業は店舗スタッフの人事評価にも活かせる仕組みである点も特徴的です。
デジタルで業務のあり方そのものを改革していける、好例であると思います。
「STAFF STARTO(スタッフスタート)」についてくわしく見てみる≫
ゲーミフィケーション型インセンティブの提供
ゲーミフィケーションとは、ゲームの仕組みをゲーム以外で活用することです。たとえばデジガチャは、ゲーム仕立てでポイント獲得やランクアップなどのインセンティブを顧客に提供します。
ランダムに発生する特典は、ユーザーのわくわく感を演出します。ユーザーが得たインセンティブを、実店舗で使用できる体制を整えれば集客につながるはずです。
店舗に出向く理由が多ければ多いほど、消費者は背中を押されるものです。
なぜ店にお客さんが来ないのかではなく、どうすればお客さんが店に足を運んでくれるのかを考えることが大事なのです。
O2Oマーケティング広告の成功事例
O2Oマーケティングによる成功事例を紹介します。紹介する成功例は、どれもオンラインからオフラインへと顧客を誘導している事例です。
たとえば、TikTokのユーザー目線を意識し、広告のやり方を工夫したチュロスの移動式販売店。
また、スマホの位置情報システムを活用した楽天チェックは、ユーザーが気軽に店舗へ足を運べるよう促しています。
さらに入れ替わりが激しい商品と豊富な品数を活かし、こまかな商品情報をオンラインで広告する100円ショップのダイソー。
O2Oマーケティングによりどのような実績をあげたのか、もう少しくわしく見ていきましょう。
「Churros Avenue」客の8割がTikTok経由
大学生カップルにより立ち上げられた、チュロスの移動式販売店を紹介します。その集客方法はTikTokの投稿です。
投稿動画を撮影する際に意識したのは、チュロスができあがる過程の「動き」です。軽快な音楽に合わせ、さまざまな見せ方で思わずチュロスが食べたくなるような動画を公開しています。
2021年5月時点で、1日の来客者は約220人。メニューの価格は350~600円ほどで、その売上は約9万円だといいます。
「Churros Avenue」は、TikTokユーザーの感性をくすぐる動画投稿を通じて売上を伸ばした好例です。
「楽天チェック」位置情報でポイント付与
楽天チェックとは、店舗に出向くだけで楽天ポイントがもらえるスマホアプリ。加盟店舗はコンビニやドラッグストアなど、ユーザーが日常的に利用する店舗に効果的です。オンラインECサイト、オフラインの実店舗を問わず貯めたポイントを使用できます。
ユーザーはアプリで加盟店を確認し、店内の特定の場所へ行きチェックインボタンをタップするだけ。位置情報で簡単にポイントが貯まる仕組みは、商品を買わなくてもポイントを入手できるため、「気軽に店舗へ立ち寄れる」と感じるユーザーの心理をついています。
購入を目的に出かけていない、通りがかりのユーザーも店舗へ誘導しています。
「ダイソー」LINE公式アカウントで商品情報のコンテンツマーケティング
100円ショップのダイソーでは、取り扱う商品情報をこまかく発信しています。現在は100円商品だけでなく、300円や500円の商品も含め、取り扱う品数は7万点以上。
ダイソーは商品そのものが安価なのでクーポンは発行していません。しかし、入れ替わりが激しい季節商品や日用品など、取り扱う商品情報をいち早くユーザーに知らせ、来店を促すとともにオンラインショップも展開をしています。
また、ダイソーの商品情報はニュースアプリのスマートニュースでも展開しています。日常的にアプリを使用するユーザーは、つねにダイソーの新商品などの情報に触れているので、知らず知らずのうちに購買意欲を刺激されてしまいます。
O2Oマーケティング戦略・広告まとめ
オンラインとオフラインの特性を活かし、双方向で売上向上を目指すのが、O2Oマーケティングの本質です。顧客が日頃から使い慣れているSNSやインターネットを活用することで、Web上のECサイトからオフラインの実店舗にもお客さんを誘導することができます。
ただ、O2Oマーケティングをはじめるにあたり、何から手をつければよいかわからない方もいるかもしれません。とくにデジタルマーケティングにくわしい社員がいない場合などは、二の足を踏みがちです。
そのような場合は、デジタルマーケティングにくわしい専門会社に依頼するか、マーケティング会社などのコンサルを受けるなど外部リソースを活用しましょう。
このページで紹介した店舗集客アプリを活用するだけではなく、複数のWebマーケティング施策を組み合わせて、顧客獲得のルートをできるだけ多くしていくことがなにより大事です。
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O2Oマーケティングは、オフラインだけでなくオンラインのオウンドメディアやECサイトを充実させることではじめて成立します。ターゲットを明確にし、SEOを施したメディア制作と運用は、ある程度の費用をかけてでもプロに依頼すべきです。
Zenkenでは120業種以上のメディア制作や運用実績があり、マーケティング戦略立案などのお手伝いもしてまいりました。O2Oマーケティングに限らず、Webマーケティングに関することであれば、いつでもご相談に乗ることができます。
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