バリュープロポジションキャンバスの作り方や考えるコツを解説
最終更新日:2022年02月24日
バリュープロポジションキャンバスとは
自社が提供する製品やサービスを開発したり見直したりする際にはバリュープロポジションキャンバスを作成しておくと、ターゲットのニーズを捉えて売上アップやサービス利用の増加につながります。
しかしバリュープロポジションキャンバスが理解できないという方や、分かっていてもなかなか進まない方もいるでしょう。
重要性や作成するためのコツや注意点も合わせてご説明します。
バリュープロポジションキャンバスを使うメリット
バリュープロポジションキャンバスは顧客とのニーズのずれをなくすための土台を図式化したものです。
作成することのメリットは主に2点です。
- 要望を正確にとらえられる
- 重要視していなかった価値を発見する
上記を把握することがなぜ大切なのでしょうか。
要望を正確にとらえられる
自分や自社が、ターゲットに「求められている」と思って提供していたことが、実は違っていたという状況がニーズのずれです。
例えば価格の安さが求められていると思って他社よりも安い価格を設定したけれど顧客が一番求めているのは品質であった、などが挙げられます。
価格と品質のニーズを間違って捉えてしまった結果、安く提供できる新製品を開発したのに「チープな商品」といったイメージをもたれてしまい、開発コストや労力が無駄になってしまいhます。
重要視していなかった価値を発見する
バリュープロポジションキャンバスを利用すれば、今まで重要視していなかった提供する商品やサービスの大きな価値が見つかるケースもあるのです。
発見した価値に今後力を入れていくよう方向性を変えれば、売上アップや契約増加につながるのです。
バリュープロポジションキャンバスを埋めていこう
バリュープロポジションキャンバスをつくる際によく使われるのは、3等分された四角が左側、同じく3等分された円が右側にある図式です。
これは書籍「バリュー・プロポジション・デザイン」の図で、バリュープロポジションキャンバスの考え方が広がったきっかけにもなったものです。
左側の四角は自分や自社が与えるものの価値、右の円はターゲットの情報を表しています。
何を提供するか、ターゲットは誰かを設定する
まずは提供するサービスや商品の何を指しているかを左側の四角に記入します。続いて右側のターゲットも同じように設定します。
両者2つの設定が終わったら、続いてそれぞれを構成する3つの点を記入します。
右側のターゲットを構成するのは下記の3つです。
- ターゲットにとっての利益
- ターゲットが解決したい課題
- ターゲットが悩んでいる点
左側の提供する商品やサービスの価値は下記の3つで構成されます。
- ターゲットにとっての利益になる部分
- 商品やサービスの内容
- ターゲットが嫌と感じる部分を取り除くもの
それぞれに当てはまる内容を記入します。
バリュープロポジションキャンバスはターゲット設定から埋めよう
バリュープロポジションキャンバスの図式を埋めていく際には、必ずターゲット側から埋めて下さい。
提供するものから先に埋めた場合、現在ずれた認識をもっている先入観で現状に合わせた顧客になってしまう場合があるためです。
対象の想定がずれていたら、ずれを埋めるために作成する意味がなくなってしまいます。
バリュープロポジションキャンバスの価値を埋めていく
ターゲットの設定が埋まったら、続いて左側の商品やサービスを提供する価値を埋めていきます。それぞれの1、2、3が対になっているので、埋めていく上でニーズのずれがあった場合には気がつけます。
例えば家電製品を考える際、ターゲット側の1に「使いやすさ、分かりやすさ」と書かれているのに、左側の1には「豊富な機能、豊富なボタン」となっていれば、ニーズとはずれてしまいます。「直感的な操作感、少ないボタン」などがニーズをとらえている内容です。
誰が見ても分かるように簡易的に書こう
各項目は簡潔にまとめて記載しましょう。
バリュープロポジションキャンバスは今後のサービス改善や商品開発、リニューアルする点の検討などの基本的な道筋として利用します。プロジェクトなどで複数の人が参考にする情報となるため、誰が見ても分かることが重要となります。
バリュープロポジションキャンバスのターゲット設定で注意するべき点
ターゲットを設定するときは下記の3点に気をつけましょう。
- 過去に設定していても新しく考える
- 根拠をもって設定する
- 商品やサービスの理想と結びつけない
過去に設定していても新しく考える
別の商品開発やサービスを展開している際にターゲット設定は既に考えられていた場合もあるでしょう。しかし過去に考えた設定が新しく検討するものとずれている可能性があるため、新しい商品やサービスには流用するのではなく、再度根拠をもって設定し直すことが必要です。
売上が落ち込んでリニューアルする場合などは、そもそもターゲット設定で悩んでいる点や解決したい課題がずれていたのが原因だったということも珍しくありません。
根拠をもって設定する
ターゲット設定で一番陥りやすい点ですが、根拠なくイメージで設定してしまうことです。収入が高い会社員は必ず高級車に憧れている、女性であれば誰しもが結婚をしたいと思っているなど、先入観で決めてしまうと、悩んでいる点などもずれてしまいます。
商品やサービスの理想と結びつけない
商品やサービスを開発する際の理想や目標がある場合は、顧客の設定が理想に流されてしまいがちなので注意しましょう。あくまで客観的なデータをもとにニーズや悩みを設定して下さい。
バリュープロポジションキャンバスのターゲットはペルソナをつくろう
バリュープロポジションキャンバスに限らず、ターゲットを設定する際にはペルソナをつくるとニーズや悩みを考えやすくなります。
ペルソナとは細かい設定を考えた人物像を指し、複数の細かい条件が決めてターゲットを絞る方法です。
ペルソナで決めておくべき点
ペルソナを考える際に、下記の点などを考えておくと具体的な人物像がつくられます。
- 年齢や性別
- 住んでいる地域
- 職業、収入
- ライフスタイル
- 家族構成や恋人の有無
- 人間関係
- 趣味、考え方
商品やサービスはターゲットが30代女性など大まかに決まっていることもありますが、情報が少ないとニーズや要望はバラバラです。
さらに詳細な情報を加えていくことで解決したい課題や悩んでいる点などが絞られてきます。
具体的に設定することでニーズが絞れる
同じ年代でも結婚しているか独身か、友人が多いか少ないかでも商品やサービスに求めるニーズは変わってきます。
考え方や価値観、生活スタイルが異なる複数のターゲットに対して大まかにカバーすると考えるのではなく、特定の一人に対して届けるイメージでつくるのです。たくさんの人を捉えようとするあまり、いずれのニーズからもずれてしまうことも珍しくありません。
バリュープロポジションキャンバスの客観的なターゲット設定のコツ
設定を考える際、実際のニーズとずれないためには客観的なデータをもとに悩みや要望を設定しなければいけません。
客観的なデータを集める具体例としては下記があります。
- 直接ターゲットから収集したデータ
- Webサイトのアクセスデータも活用する
- 従業員に対してインタビューし集める
直接ターゲットから収集したデータ
バリュープロポジションキャンバスは、提供するターゲットからのデータをもとに作成するのが一番理想的。
ターゲットへおこなったインタビューやアンケートは貴重な客観的データです。他にもカスタマーセンターなどを設置していれば、問い合わせに寄せられている声などを収集するのもリアルなデータが集まります。
Webサイトのアクセスデータも活用する
ターゲットへ直接インタビューやアンケートをとっていなくても、Webサイトをもっていればある程度のデータも集められているかもしれません。アクセス解析が導入されていれば、よく見ているページやすぐに離脱するページや閲覧している時間、利用している端末などが分かるのです。
従業員に対してインタビューし集める
ターゲット設定の年齢や性別などが一致している従業員に対してインタビューを実施する方法もあります。
注意すべきなのは事前に目的を伝えてしまうと商品への思い入れなどが影響する可能性がある点です。ターゲットの人間像に利用することを伝えず、商品やサービスとの関わりがほとんどない人物へインタビューすることで客観的なデータが集まります。
客観的なデータがない場合
新しく立ち上げた会社や規模によっては全くデータがない場合もありますが、インターネットを活用することで客観的なデータを集められます。
例えば通販サイトのレビューなどをチェックし、年代や性別などで絞る方法です。内容によっては生活スタイルが垣間見える書き込みなどもあります。他にもTwitterやFacebookなどのSNSも活用できるツールです。
独自のインターネット調査は手間がかかることもあり、難しい場合もあるでしょう。どうしても集められないときや収集の手間をかけたくない場合にはマーケティング会社に依頼をする方法もあります。
バリュープロポジションキャンバスで価値を見つけられないとき
バリュープロポジションキャンバスを作成時に、客観的なターゲットの設定ができてもニーズをとられる価値をなかなか見つけられないこともあります。
バリュープロポジションキャンバスの価値を見つける3つのポイント
提供するものの価値には3つのポイントがあります。
- ターゲットが望んでいる
- ライバルは提供できない
- 自分や自社は提供ができる
上記3つの条件に合う特徴を探してみましょう。まずは過去の事例などを集めて見直すと見つかりやすいです。
ターゲットが望んでいる
ターゲットから相談を受けて柔軟に対応していることはないでしょうか。ターゲットがわざわざ相談してくる内容は、求められておりニーズがあるということです。過去に多くの問い合わせを受けて改善した事例を洗いだしてみるのもよいでしょう。
他にも特別にサービスをして喜んでもらえた事例にも、ターゲットの要望が隠れています。
商品レビューやお客様の声がデータとして集まっているのであれば、統計をとるなどで見直すと見つけやすいです。
ライバルは提供できない
自分や自社が提供しているのに、ライバルができていないことを探してみましょう。普段は当たり前に提供しているケースも珍しくないので、しっかりリサーチしなければ見つけるのは難しいです。
手伝いをしてくれる人や会社、交流のある同業他社やユーザーからの声を見直してみましょう。「すごい」、「やってくれるのはここだけ」などと褒められた事例がないでしょうか。
また現在では提供できていないけれど、今後力をいれていき上達したいと考えている分野でもよいです。
自分や自社は提供ができる
自信をもって提供できるのは大きな価値になります。もっとも得意としていることや、成長していることを探してみましょう。
今まで時間や費用や労力をかけてきたこと、研究や経験を重ねてきた点でも構いません。サービスや商品を提供するのにずっとこだわってきたことはないでしょうか。
自分や自社だけではなく、協力してくれる業者や専門家がいる場合も同様に提供可能といえます。
バリュープロポジションキャンバスのテンプレートはこちら
バリュープロポジションキャンバスを使ってマーケティング分析をしたい方向けにパワーポイントのテンプレートをご用意いたしました。
ご自身で作られたい方は下記ページよりダウンロードしてください。
テンプレートはこちらから
ダウンロード
バリュープロポジションキャンバスはなぜ作成するべき?
バリュープロポジションキャンバスを活用することで、提供する商品やサービスに大きな価値をつけられます。
ライフスタイルが多様化している現代では、同じ年代や性別でも求めているニーズはさまざまです。また現在提供している商品やサービスのライバルが多いと感じている方も多いでしょう。
バリュープロポジションキャンバスで価値をあげよう
現状として提供している商品やサービスのなかで大きな価値がなかった場合でも、バリュープロポジションキャンバスを使い見直すことで新しく価値を付加できます。ターゲットがもつニーズに合わせた商品やサービスを提供でき、他社との差別化をはかれるのです。
他にはない特徴やメリットがあると思っていても、対象が求めていなければ、他社と類似の商品やサービスでしかありません。
売上や契約数などを上げてライバルと差をつけるためには差別化が欠かせません。
バリュープロポジションキャンバスは方向性の決定にも役立つ
バリュープロポジションキャンバスは商品やサービスの方向性を決める土台にもなるため、下記のタイミングに作成するのがおすすめです。
- 新しい商品やサービスを開発するとき
- リニューアルや見直しを検討するとき
バリュープロポジションの分析からZenkenにお任せを
バリュープロポジションキャンバスの重要性とやり方は理解できても、なかなかうまく考えられないことも珍しくありません。
- データがなく分析ができない
- ターゲットが求めているニーズがわからない
- ニーズに応える価値が見つからない
上記のようにうまくいかない際は、ターゲットのニーズデータからバリュープロポジションの分析を得意としているマーケティングのプロにお任せください。
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