病院で使えるSWOT分析を具体例とあわせて解説
最終更新日:2022年12月01日
SWOT分析とは?基本をチェック!
SWOT分析は病院の経営戦略やマーケティング戦略などを立案するときに活用されています。
SWOT分析の概要と特徴
SWOT分析は内部環境と外部環境に分けて、自院を取り巻く環境を分析するフレームワークです。内部環境と外部環境にはそれぞれ以下の項目が分類されます。
内部環境
- 自院の強み(Strengths):競合する他院よりも優位な点
- 自院の弱み(Weaknesses):競合する他院よりも見劣りする点
外部環境
- 機会(Opportunities):自院にとって有利に働くもの
- 脅威(Threats):自院にとって障害になるもの
SWOT分析のSWOTは、「Strengths」「Weaknesses」「Opportunities」「Threats」の頭文字です。強み・弱み・機会・脅威をリスト化して経営戦略やマーケティング戦略を立案します。
SWOT分析を導入するメリット
SWOT分析を導入するメリットは、内部要因(強み・弱み)と外部要因(機会・脅威)をかけあわせて経営戦略などを立案できることです。具体的には以下のようになります。
項 目 | 自社の強み | 自社の弱み |
---|---|---|
機 会 | 自社の強みを活かして機会を活用する戦略を考える | 自社の弱みで機会の逃さない戦略を考える |
脅 威 | 自社の強みで脅威に対抗する戦略を考える | 自社の弱みが脅威にさらされない戦略を考える |
SWOT分析を導入することで、機会・脅威に対応する戦略を立案できます。
SWOT分析の導入における重要ポイント
SWOT分析の導入にあたり重要になるのが目的を設定することです。各項目を洗い出す前に「マーケティング戦略の有効性を検証する」など、SWOT分析を導入する目的を明確にします。最初に目的を設定する理由は、目的が曖昧だと各項目を正確に抽出できないからです。
目的が明らかになったら、内部要因・外部要因を洗い出して、それぞれを掛け合わせます。内部要因と外部要因を掛け合わせるときのポイントは、自院でコントロールできない外部要因に合わせて自院でコントロールできる内部要因の活用方法を考えることです。
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病院におけるSWOT分析の具体例とは?
病院では、経営戦略立案などにSWOT分析を活用できます。参考に架空のA病院を対象にSWOT分析の具体例を紹介します。A病院の概要は以下の通りです。
A病院の概要
- 病床数130床の地方病院
- 一般病床100床、療養病床30床
- 脳外科の実績が豊富
- 県内の大病院と関係が深い
- スタッフの接遇は評判が良い
- 地域の患者から支持されている
- 在院日数が長期化している患者がいる
- 看護師・看護助手の質が低下している
- 地域医療連携室が形骸化している
Strength
A病院の強みをまとめると以下のようになります。
A病院の強み
- 脳外科の実績は他院よりも優れている
- 大学病院と関係が深いため必要に応じて専門性の高い治療・検査につなげられる
- 古くからある地域密着の病院で地域の患者から支持されている
病院Aは地域から愛されている脳外科に強い中病院と評価できます。
Weakness
続いてA病院の弱みをまとめます。
A病院の弱み
- 在院日数が長期化している患者が存在する
- 人員不足で看護スタッフの質が低下している
- 地域医療連携室を業務に組み込めていない
大きな課題といえるのが、在院日数を上手くコントロールできていないことです。地域医療連携室を有効活用できていないこととつながっている可能性があります。
人員不足で看護師の質が低下し、インシデントが頻発している点も弱みといえるでしょう。看護・ケアの質が低下し続けると、地域の患者から支持されなくなる恐れがあります。
Opportunity
A病院の機会として次の点が挙げられます。
A病院の機会
- 高齢化の進展により患者増を見込める
- 脳外科の症例数が多いため優秀な医師を確保できている
高齢化の進展はA病院にとって追い風になると考えられます。
強みと機会を掛け合わせると、高齢化の進展により患者増を見込みえるため、脳外科を中心に急性期病棟を強化していく戦略が描けます。ポイントは戦略に合致する入院患者を確保していくことといえるでしょう。
具体的な対策として、地域の医院との関係強化、救急患者受入態勢の拡充などが考えられます。優秀な医師を確保できている点を活かしたいところです。
次に弱みと機会を掛け合わせて、機会を逃さない戦略を考えます。A病院の課題といえるのが、在院日数が長期化していることです。地域医療連携室を解説しているものの業務に組み込めていないため、適切な入院支援・退院支援を行えていないことが原因と考えられます。
業務フローを見直し、適切なタイミングで入院支援・退院支援を行える環境の構築が望まれます。また看護の質の低下が続くと、外来患者、入院患者の減少につながる恐れがあります。人員不足の原因を見極めて、適切に対処しなければなりません。
例えば残業が多いため看護師業界で評判が悪くなっているのであれば、働き方改革を実行して働きやすくなった環境を積極的に発信するなどが考えられます。
Threat
A病院の脅威は以下の通りです。
A病院の脅威
- 診療報酬改定(診療報酬引き下げ)
- 競合病院がリニューアル予定
他の病院と同じく、A病院にとっても診療報酬改定は大きな脅威となっています。また近隣の競合病院がリニューアル予定である点も気になります。外来患者の減少などにつながる恐れがあるからです。内部環境と脅威を掛け合わせるとどのようになるのでしょうか。
強みと脅威を掛け合わせると、自院の特徴を活かして収益を拡大させる戦略が描けます。例えば脳外科の実績を活かして新規入院患者や救急受入患者を増やすなどで、収益を向上させられる可能性があります。収益の向上を見込めない場合は、業務効率を改善して人件費を見直すことも可能です。
弱みと脅威を掛け合わせると、医療サービスの品質向上により競合病院のリニューアルに対抗することが考えられます。例えば看護の質を向上させて褥瘡の発生やミスを減らしていく、情報管理を徹底してクレームを業務改善に活かすなどに取り組むとよいでしょう。
診療所・病院の集客方法・マーケティング戦略まとめ
SWOT分析で病院の経営を支えるヒントを探ろう
SWOT分析は、内部環境と外部環境に分けて環境を分析するフレームワークです。活用することで、自院の強み・弱み、機会・脅威がわかります。分析結果を経営戦略やマーケティング戦略の立案にいかすことができます。
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