「日産」の販売戦略とは
最終更新日:2022年01月18日
技術力の高さを活かして、新しい日産の販売戦略のポイントについて具体例をあげて紹介していきます。
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トヨタやホンダとも並び日本の3大自動車メーカーの一つである日産自動車は、かつて「技術の日産」と呼ばれていただけあり、技術力の高い自動車メーカーとされていました。
フェアレディ、スカイラインといったスポーツカーはもとより、最近ではコンパクトカーの「ノート e-POWER」や、SUV型の「エクストレイル」ミニバン「セレナ」プレミアムスポーツカー「GT-R」が人気を集めています。
日産の販売戦略のポイント
木村拓哉を起用した「やっちゃえNISSAN 幕開け篇」のCMが「日テレCM大賞2020」大賞を受賞した日産の販売戦略についてみていきましょう。
取り扱い車種削減&車齢の若返り化
かつては、どのメーカーも豊富なラインナップを誇っていましたが、昨今取り扱いラインナップが絞られてきています。なかでも取り扱い車種削減に力を入れているのが日産です。2019年度の決算事・業構造改革計画発表記者会見において、2023年までにモデル数を69から55以下に削減することを発表しました。
取り扱い車種が少なくなると、その分販売台数が少なくなる懸念もあるでしょう。しかし、売れ行き好調な車種の販売に力を入れ、売上が振るわない車種はなくすというスリム化は、効率よく販売する戦略として有効です。
また、商品ライフサイクルを短縮し、車齢を4年以下に設定することで、よりユーザーに注目されやすくなることが期待できます。従来の日産車は、他メーカーに比べて車齢が長いのがネックになっていたとも考えられます。実際、スズキの平均年齢が1.8歳。ダイハツが2.5歳で、ホンダ2.9歳の中、日産は6.14歳と高齢。
取り扱い車種をスリム化し、車齢を4年以下と大幅に若返り化させることは、ユーザーを飽きさせない販売戦略といえるでしょう。
電動化戦略
日産は、世界のどの車メーカーよりもいち早く電動化に着手しました。その1台目は100%電気自動車の「リーフ」。リーフは発売以来、累計生産台数50万台超過と、世界一売れている電気自動車と称されていました。
その後、2016年に小型車としては世界初のEVにエンジンと発電機を付加したシリーズハイブリッド車「ノートe-POWER」が発売。非常に売れ行きが好調であったノートが2020年12月にフルモデルチェンジされ発売されると、発売1ヵ月後の受注台数が2万台を超える売れ行きになりました。
燃費が良く価格も抑えたガソリン車である「ノートe-POWER」が人気を博したことにより、電動化戦略は一気に加速し、ノートとセレナのほか、エクストレイル、ジューク、2022年発売予定の新型キューブにも導入されています。
一気にリーフのような電気自動車にシフトするのではなく、ユーザーがガソリン車でありつつ燃費が良いハイブリッド車に注目している市場を見極めた販売戦略だといえるでしょう。
新時代の100%電気自動車の導入
技術の日産が自信をもって開発したのが、国内初の完全新型クロスオーバーEV「アリア」です。2019年の東京モーターショーでは「アリア コンセプト」として展示されていたものがついに実現。
2WDモデルとe-4ORCE仕様の4WDモデルを持つ、アリアは1回の充電で最大の航続距離が610キロ。かつ30分の急速充電で、最大375キロ分充電できるスピーディーさも魅力でしょう。
また、注目したいのが電動で4つのタイヤを制御する技術を取り入れたe-4ORCE。路面によってドライバーが運転の仕方を変える必要がなく、安定した運転を実現できるのが強みです。滑らかな加速も2つの電気モーターを採用しているe-4ORCEならではでしょう。さらに、ステアリングの精確さにより、急操作をしたときも、安心して運転することができる作りになっています。
このように日産の独自の技術力を活かし、新しい日産の顔を売り出す施策が、メーカーとして選ばれる販売戦略の1つといえるでしょう。
日産の販売戦略まとめ
日産の販売戦略は、「取り扱い車種削減&車齢の若返り化」による効率的な販売方針に加え、日産が得意とするe-powerを中心とした「電動化戦略」、そして新たな「100%電気自動車の導入」に集約されています。
従来からの自信をもって打ち出せる技術力を活かし、新時代のカーライフを提案する日産の姿勢が、「日テレCM大賞2020」で大賞を取った「やっちゃえNISSAN」のTVに表れているのかもしれません。