「マツダ」の販売戦略とは
最終更新日:2022年01月18日
ユーザーが保有するマツダ車種の資産価値を高めたり、年次改良を全車種に適用できるようにしたりと新しい提案をしてきたマツダ。そんなマツダの販売戦略のポイントについて紹介していきます。
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広島県を本拠地とする自動車メーカーのマツダは、2020年に設立100周年を迎えました。
主要車種といえば、美しいデザインが魅力のコンパクトカー「デミオ」、スポーツコンパクである「アクセラ」、誕生より30年以上経った今でも愛され続けるオープンカー「ロードスター」、人気のSUV「マツダCX-5」が有名です。
マツダの販売戦略のポイント
「100周年特別記念車」のCMで「退屈だと思うクルマは、絶対につくらない。」と宣言したマツダの販売戦略についてみていきましょう。
小刻みな年次改良によるブランド価値向上
どの自動車メーカーも自社のブランド価値向上を狙う中、マツダはその手段を従来の2年おきのマイナーチェンジではなく、小刻みな年次改良に変更しました。
従来のマイナーチェンジは、マイナーチェンジ直前の価格下落が大きくなることで、価値を下げてしまうことがデメリットとなっていました。ですが、年次改良することで下落幅を抑制。下落を抑えることできる点が、年次改良の大きなメリットとなっています。
マツダは各車種の基礎となる共用部分に対して改良を続けることで、改良が全車種に適用できるようにしていました。その本領を発揮したのは、販売から1年半で行なわれたマツダ3の改良です。
一部の変更点を除き、プログラム変更により行える改良であったため、すでに車を購入している人にも適用できるのが画期的でした。ユーザーが、改良のタイミングを気にせず、欲しいときに買えるメリットを付与する改良方法は、販売促進の努力が実った結果と言えるでしょう。
資産価値の維持を大事にした戦略
中古車販売においてもウェブで在庫を共有できる仕組みを開発。広域販売を標準とすることで、必要とされる場所で高値で販売することが可能となり、お客様の大切な車の価値を守ることを実現しています。
新車販売においても、残価設定クレジットを設定。業界では一般的に購入後の標準残価が50%であり、相場によっては追金が発生することもあります。しかし、マツダは50%の上を行く55%を保証型で展開。これもまた、お客様の大切な車の価値を守ることに繋がっていると言えます。
また、割安なパッケージ価格で売り出すメンテナンスパックの導入で、車の価値を守りつつ、残価設定ローン中は、ユーザーにほぼ出費が発生しない仕組みを構築。さらに、スカイプラスという独自の自動車保険に加入すれば、年に1回最大5万円(免責5千円)のボディリペアがついてくる仕組みになっています。
お客様の大切な車の資産価値を守ることも、マツダならではの販売戦略の一つです。
新世代販売店への切り替え
マツダのショールームといえば、以前はブルーとホワイトがテーマカラーでした。しかし、2014年からシックなモノトーンを中心としたテーマカラーに切り替えました。
「マツダらしさ 心がときめく」店舗デザイン
「マツダのクルマの魅力が引き立つ」新車ショールーム
「絆が強まる」店舗ゾーニング
上記の3つの提供価値に加えて、「品格あるたたずまい」「惹きつける力」「クルマを美しく魅せる」「居心地のよいしつらえ」4つの店舗デザインコンセプトを演出。
商談をするスペースは仕切られており、プライバシーに配慮されているのも従来のショールームと大きく変わった点でしょう。
プレミアム志向に力を入れることで、従来の大幅値引きを卒業し、ライバル車よりも値引きが10万円以上少ないというデータもあります。値引きを増やして販売台数を増やす手法でなく、残価設定クレジットを導入し、その保証率を他社よりも5%程度高く設定する戦略で応戦。
2020年2月現在で、全店舗数733のうち、次世代店舗を176店舗にまで拡大し、新しいプレミアム戦略を地域性を考えながら導入。新しいマツダをユーザーに売り込む戦略といえるでしょう。
マツダの販売戦略まとめ
マツダの販売戦略は、全車種につながる効率のよい「年次改良によるブランド価値向上」と「お客様の大切な車の価値を守るwin-winな戦略」に加え、新生マツダを売り込む「新世代販売店への切り替え」を武器に、選ばれるメーカーとしての販売戦略を打ち出しています。
このように、他メーカーとの差別化を積極的に推進することで、ブランド価値向上に向けてマツダらしさを確立しているのでしょう。