営業効率化の方法とは?戦略の考え方・ツール・事例を紹介
最終更新日:2022年03月09日
営業を十分にかけるには、リサーチや提案準備、顧客とのやりとり、移動などで新規顧客を開拓したり既存の顧客に新たなアプローチをかけたりと、かなりの時間やリソースを要します。とはいえ、近年ではリモートワークの導入や働き方改革などの背景も相まって、ますます営業効率の良さが求められるようになりました。
この記事では、営業を効率化する目的を振り返りながら、営業効率化の方法や効率化に役立つツール、Webマーケティングによる集客戦略について紹介します。
営業効率化で得られること
営業効率化の最大の目的は、新規顧客や成約などの獲得にかける生産性向上、つまり収益の拡大です。効率化に向けた具体的な行動を実施することで、以下ような利点が得られます。
成約確度が高い顧客の営業に注力できる
様々な見込み客や営業先がある中でも、自社と相性の良い業界やニーズのある顧客がいるはずです。効率化して時間をつくれれば、その分成約に近い顧客の営業に注力できるようになります。
例えば、1日2時間のムダを減らせば、1ヶ月あたり40~46時間を成約確度の高い顧客に使えることになるのです。アプローチする時間が増えれば、それだけ商談数が増える可能性もあります。
このように営業効率化によって売上向上が見込めることは、言うまでもありません。
顧客満足度が向上する
実際の商談をこなすだけで時間に追われてしまうと、顧客の満足度にまで配慮が行き届かないことが往々にしてあります。
しかし、営業効率化を行なえば、営業をかける前のリサーチや資料準備などの提案準備に時間をかけられるようになりますし、浮いた時間を顧客とのコミュニケーションや顧客ニーズへの対応に使えるようになります。
顧客との接触の機会が多いと、ヒアリングなどによって新たなニーズを汲み取れるかもしれません。顧客ニーズから課題を見つけて解決手段を提案できれば、顧客の満足度が向上します。結果として、営業の効率化が成約確度の高い顧客の創出にもつながっていくのです。
社員のモチベーションアップに繋がる
営業効率化によって商談場所までの移動負担が軽減されると、営業社員の体力的負担も軽減されます。
また、これまで営業前までに用意しなくてはならなかった営業資料や調査資料の作成など、実際の営業以外の業務を減らせると精神的負担も低減されるでしょう。
負担軽減によって働く環境が改善し、気持ちの余裕が生まれると、社員のモチベーションアップにも繋がります。顧客とのコミュニケーションを確保する時間が増える分、営業のスキルアップも期待できます。
さらに、営業として必要な本質的なスキルの学びや学習にも時間をかけられるようになります。
営業を効率化する上で重要なこと
営業効率化といえば、営業ツールの導入や営業フローの改善などイメージする方も多いでしょう。事実、それらに取り組むことで、これまで無駄だった時間がカットできます。しかし、効率化する本来の目的、つまり「売上拡大」の観点で最も重要なポイントがあります。それは、
です。そこを焦点に考えると、効率的な売上・利益アップのためには、集客費や人件費などに適正なコストをかけて顧客獲得ができているか、そして、自社と相性の良い「成約確度の高いターゲット顧客に営業の時間をかけられるか」がカギと言えます。
上記のように営業活動の入り口となる「リード獲得」を効率化することができれば、自然と営業効率化にも繋がります。実施しようとしている効率化のアイディアが、最終的に
- リード獲得がしやすいか?
- 顧客育成への繋がりやすいか?
という視点を念頭に置いて、効率化を進めていきましょう。
営業効率化の方法
ここからは、営業効率化のために取り組める具体的な方法について解説します。自社の営業活動の中で、どんな業務に時間を割いてしまっているのかを整理しながら進めていきましょう。
営業意識の改革
ツール導入など、自動化できる業務によって営業社員の時間を増やすことは有効ですが、それだけで営業業務全体が効率化できるとは限りません。日々の現場で、顧客の課題に直面する営業社員の意識改革も重要です。
特に、新型コロナのような前例のない環境変化が起こった今では、営業を管理するマネージャーや経営者はもちろん、外部のコンサルタントでさえ今後を予測することは、そう簡単ではありません。
営業効率化プロジェクトで現場の営業社員が積極的に関わり、部署全体が動きやすくなるような体制づくりを行いましょう。アイディアや指示を待つのではなく、現場から発信するような組織に変えていくことも大切です。
Web集客・リード獲得方法の改善
興味を持った見込み客から問い合わせがくる、インバウンドセールスにWeb集客は非常に効果的です。市場やターゲットを選定し、コンテンツSEOを実施することで狙った層のリードの獲得も可能です。
Web集客施策の中でも、Zenkenが提案する「ポジショニングメディア」は、成約率の高いリード獲得ができるメディアです。
ポジショニングメディアとは
ポジショニングメディアとは、競合他社や自社の強みを明確にする「バリュープロポジション」の考え方を具体化したWeb集客メディアです。
「○○の市場において○○な強みを持つのはこの企業」というように、競合他社には存在しない自社にしか提供できない価値を分かりやすく伝え、その価値を必要とするユーザーだけを集客します。
「顧客から選ばれる理由」を明示することで、自社の価値に納得・認知した購買意欲の高いユーザーが集客できるのが特徴です。ユーザーは自社製品の価値を分かった上で選んでいるため、商談や成約にも繋がりやすいメリットがあります。120以上の業界で8,000サイト以上の導入実績があり、導入した企業から、
- 自社製品の良さを理解した問い合わせが増え、成約までのリードタイムが短縮した
- 資料請求からの商談率が数%だったのが80%まで改善した
- 新規問い合わせが増え、そのうち4割が成約に繋がった
といった効果を実感して頂いております。より詳しくはこちらをご覧ください。
SFAツールの導入
SFAとは、「Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)」の略語で、日本語では「営業支援システム」「営業支援ツール」と訳されます。
SFAは、企業の営業部門の顧客や案件に関する情報、業務プロセスをデータ化して蓄積・分析できるシステムです。
例えば、営業社員が何件の顧客を抱えていてどの企業に対して営業をかけているか、今は商談のどの段階にあるかなど、1人ひとりの営業の進捗状況を「見える化」し、活動を管理しやすくします。
SFAの主な機能は、顧客管理のほか、社員のスケジュール管理、ToDoリストなどの行動管理機能、日報や週報などのレポート管理です。営業社員の行動や成果をリアルタイムで社内に共有し、管理者が把握することもできます。
代表的なSFAツール
Salesforce(セールスフォース)
画像引用元:Salesforce公式サイト(https://www.salesforce.com/jp/)
世界で大きなシェアを持つSalesforceは、日本でも大手をはじめとした数多くの企業が導入しているクラウド型の営業支援ツール。商談プロセスの一部を自動化して営業の生産性を改善できるほか、商談の状況をダッシュボードやレポート機能で確認可能です。
AIによる見込み客の評価やサポートもあり。1ユーザーあたりの価格設定となっており、月額3,000円からプランがあります。
Senses(センシーズ)
画像引用元:Senses公式サイト(https://product-senses.mazrica.com/)
「現場ファースト」の営業支援ツールをコンセプトに、現場にフォーカスした機能が充実しているSenses。直感的に使いやすい案件ボードを使って、営業組織のリモートワークを支援してくれるクラウド型SFAです。
名刺やアジェンダのスキャン、自動文字起こしができ、入力負荷を低減してくれる機能があります。ユーザーあたり月額25,000円からのプランがあり、無料トライアルも可能です。
eセールスマネージャー
画像引用元:eセールスマネージャー公式サイト(https://www.e-sales.jp/)
国内の大手企業から中小企業にまで活用されている、国産ベンダーのSFAツールです。案件・顧客管理などの基本的なSFA機能のほか、TableauやDropboxなどのツールとの連携機能あり。
社内SNSとしても役立つのも特徴です。クラウド型とオンプレミス型から選べるようになっており、1ユーザーあたり月額1,000円からと、導入しやすい料金プランがあります。
移動時間の効率化
外回りの営業時にかかっている移動時間を短縮できると、営業効率化につながるのはいうまでもありません。顧客の情報をエリアごとにリストアップして、早く回れる「訪問ルート」をつくったり、エリアごとの顧客にまとめてアポイントをとったりして、極力移動せずにすむように改善しましょう。
また、遠方の顧客にはオンライン商談やリモートでのコミュニケーションを申し込むなど、オンラインツールを上手く活用すれば時間を大幅に短縮できます。
社内業務の効率化
見積書や契約書など、営業で使用する書類のフォーマット化も効率化に有効です。これらの反復性の高い業務をフォーマット化しておけば、営業の度に作成しなくて済むため手間が省けます。
クラウドツールを導入して、自動的に書類を作成できるような仕組みを作るのもおすすめです。契約書などで押印が必要な場合は、電子捺印などの電子契約システムを導入すればスムーズに手続きを進められるようになります。
このようにルーティン化しがちな作業を効率化するツールは、上述したSFAのほかにもCRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)など、さまざまなツールが登場しています。
営業の効率化だけでなく社内全体の業務効率化にもつながるため、多くの企業がこのような自動化ツールを取り入れているのです。
営業効率化の事例
営業効率化を実現して成果につなげた企業は、どのような施策を講じたのでしょうか。ここからは、実際の事例を紹介しながら営業効率化について考察していきます。
コンピューターシステムの製造・販売メーカーA社
以前は主に展示会による集客でリードや新規顧客を獲得していたA社。コロナ禍によってリアル展示会での集客ができなくなり、Webによる集客に力を入れはじめました。
ホームページのリニューアルにはじまり、ビジネスマッチングができるデータベースサイトへの広告出稿、SNSによる情報発信など、Web周りのさまざまな面で集客環境を整えます。
ところが、これらの施策でいくつものリードを獲得できるようになっても、いざ追客をすると断られるばかり。一向に成約や受注に結び付きません。
そこで、Webでの集客方法や広告出稿を根本から見直すことに注力しました。まずは、
A社の強みや価値を必要とするユーザー向けに情報を発信してリードを集める、独自の「ポジショニングメディア」を立ち上げます。その結果、データベースサイトに広告を出稿していた頃に比べ、リード獲得数は減少したものの、成約数が大きく改善しました。
これまでは資料請求が30件あっても成約数は0件でしたが、10件の問い合わせ中3~4件が成約につながったのです。適切な施策により、売上向上はもちろん営業効率化にも繋がりました。
オンラインバンクも手がけるB銀行
営業支援ツールを活用し、さまざまなチャネルで分散していた顧客データを統合したことで営業が効率化された事例もあります。
B銀行では、営業やコールセンター、デジタルマーケティング部門にSFAを導入。氏名や年齢、性別などのデータはもちろん、
部署を越えて共有できるようにしたことで、営業だけでなく社内全体の業務が効率化されました。
POS-レジシステムの開発を行うC社
飲食店や美容室・エステなどのタブレットを使ったレジシステム「POS-レジシステム」を扱うC社は、当初、電話やメールによる営業活動を行っていました。その中で
その結果、移動時間やメール作成に割いていた時間が従来の1/5程度にまで大幅に短縮され営業効率化に成功しました。さらに、遠く離れた顧客や先方の忙しい時間帯にもアプローチできるようになったことで、顧客獲得や成約数アップにつなげています。
営業効率化は課題の洗い出しから
営業効率化は、生産性を向上してリード獲得や新規顧客開拓につなげ、売上を向上させるという最終目的があります。そのために、どのような営業においても、効率化の前にまず取り掛かるべきなのは、自社(チーム)の現状の把握と課題の洗い出しです。
営業のリスト作成に時間や手間がかかっているのか、それとも、顧客との距離や対面での商談の難しさによって活動が滞っているのか。現状の課題を把握してから、それぞれにふさわしい改善方法を検討しましょう。