営業のDXとは?考えるポイントやデジタル化の事例を紹介
最終更新日:2024年04月23日
営業のDXに興味があるものの、営業をDX化すると具体的にどんなメリットがあるのか、疑問に思っていませんか?また、DXをどう進めれば良いのか分からず、お困りの経営者の方や営業責任者の方もいることでしょう。
この記事では、営業のDXについて詳しく解説しています。営業DXのメリットや効果、推進する方法のほか、デジタル化の事例もご紹介します。営業のDXやデジタルツール導入を検討されている方は、ぜひ最後までご一読ください。
営業のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
事業をより良くすることを目的に、テクノロジーを用いてさまざまな活動を行い変革をもたらすことをDX(デジタルトランスフォーメーション)といいます。この概念は、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授が論文にて提唱したものです。
近年、IT技術を取り入れていく流れ、デジタル化がさかんに進んでいますが、企業によってはアナログな古い体制のまま…、ということもあります。そういったアナログ作業をデジタルに切り替えていくことがDXなのです。
なお、営業のDXとは、様々な営業のプロセスにおいてデジタルツールを導入し、営業活動の最適化を図ること。たとえば、IT技術やデジタルツールを活用することで、作業を自動化したり、適切な見込み客に営業ができるようになれば、営業活動の効率化が実現します。
営業DXがなぜ必要なのか
近年、多くの企業が人材の確保に苦戦。採用ができない、社員が定着しないなどの人手不足は深刻化しています。サービス業界、医療業界、飲食業界をはじめ、あらゆる業界で今後も人材不足が懸念される予測が立っています。
そのため、今、人手不足となっている企業はもちろんですが、将来のことも見据えて、少人数でも営業活動を行える仕組みをつくっておかなければなりません。
また、新型コロナの影響を受け、人々はすぐに手に入る商品やサービスを求めるようになってきました。ビジネスにおいても、顔と顔を合わせて会うのではなく、デジタル技術を活用したオンラインでの商談が行われるようになっています。
このような顧客のニーズを満たしたり、非対面での商談に対応したりするためにも、営業のDX化が必要とされているのです。
営業のDX化(デジタルトランスフォーメーション化)のメリット・効果
効率的なマネジメントが可能
営業DXを推進してデジタルツールを導入すれば、実施された営業活動、契約内容、商談の状況などに関する情報がシェアしやすくなります。その結果、効率的なマネジメントができるのです。
たとえば、顧客との商談については実際に顧客のところに行かずにオンラインで行えば、簡単に同席することができ、商談の内容や社員の様子をチェックできます。ツールを活用すれば、リアルタイムで社員の進捗状況が分かるので、スムーズな指導も可能となります。
生産性が向上し、人材不足の問題の解決を目指せる
昨今は多くの業界で人材不足が慢性化しており、今後も人を増やすという形では、生産性面のカバーは難しいでしょう。
そこで、さまざまなデジタルツールを導入するなどして営業をDX化すれば、生産性がアップして少ない人数での営業活動の実現を目指せます。その結果、現在や将来的な人材不足の解消にもつながるのです。
たとえば、遠方の顧客と面談する際、オンラインで面談をすることで、労働者の出張の手間や時間を削減できます。また、AIチャットボットを実装することで、顧客や社内の人たちからの質問に対し、実際に人が受け答えをする手間を省くことが可能です。
このように、DX化を推進することで、非効率な業務の効率化や自動化が実現し、一人あたりの労働時間を短縮したりすることができます。
多くの人がいなくとも売上を上げていく営業体制が整うと同時に人件費の削減にもつながります。
営業活動の幅が広がる
Zoomをはじめとしたツールを用いてオンラインでの商談ができれば、非対面でも商談を進められます。
実際に移動する手間や時間、距離的な制約がなくなるため、そういった理由で営業ができていないかった・営業先候補から外していた顧客にも営業が可能になります。
さらに、例えばお問い合わせがあった方に、商品概要のプレゼン動画が送られるというようなプロセスが自動化できれば、それだけでも説明する工数が削減ができるのです。
また、オウンドメディアやブログを活用すれば、インターネット検索から集客を図ることも可能です。オウンドメディアなどのコンテンツ経由で獲得した見込み客は、ある程度自社商品やサービスに興味を持っています。したがって、成約に至る可能性が高いのも魅力です。
営業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める方法
ここまでは、営業のDXが必要な理由とDX化のメリットや効果についてお伝えしました。DXがなぜ必要なのか、DX導入後のメリットなどについて改めて確認して、「ぜひ営業のDXを進めたい」と思っている方も多いことでしょう。
営業のDX化を推進するには、営業活動の中にデジタルツールを導入していくのが基本的な進め方です。ただし、DX化を進める前に、考えるべきことがあります。ここでは、営業DXを導入する前に準備すべきことを説明していきます。
DX化する目的を明確にする
「DX化するのが良いことだから」「多くの企業で進めているから」といった漠然とした理由で、DX化を進めることはやめましょう。解決すべき課題や目標を持たずに、なんとなく始めてしまうと業務改善などにつながらず、失敗に終わってしまう可能性があるからです。
そのため、まずは、なぜ営業のDX化を進めるのか、何のためにDXするのかを明確にしておいてください。
たとえば、新しい事業をDX化により生み出したいのか、それとも、顧客とのコミュニケーションをより効率的なものにしたいのか、など本格的にDXを推進する前に、DXの目的を明確にしましょう。
ツールの活用を前提にプロセスを再構築する
ただやみくもに、既存のプロセスにデジタルツールを組み込んだだけでは、十分な成果につながりません。
従来のやり方に固執せず、デジタルツールの活用を前提として適切に営業プロセスを再設計しておきましょう。
目的が決まってからツールを導入する
すぐにデジタルツールの選定を行うのではなく、まずは目的を決めてから導入するデジタルツールを決定しましょう。
営業のDX化の目的が明確化されていなければ、ツールを導入すること自体が目的となってしまう可能性があります。その結果、ツールを使いこなせなかったり、不必要なツールを導入することとなったりして、無駄な工数をかけてしまう恐れがあるのです。
ツールを選ぶ際は、ツールを使用する人たちにも確認し、自社にとって必要な機能が搭載されているものを選定して導入してください。
DXについての理解を深める
DXについての理解を深めるのもDX化を進める上で大切。DXが一体どういうものなのか、しっかり把握してから進めなければ、失敗する恐れがあるからです。
営業部門のみでDX化を推進する際も、担当者だけがDXに対する理解を深めるのではなく、経営層がDX化についてしっかり理解しておく必要があります。
また、顧客が自社に興味を持ち購入にいたるまでのプロセスに関わるのは営業だけではありません。関連する他の部署とも協力して推進することで、全体的な効率化を目指すことができ、DX化をより効果的にできます。
DX化に必要な人材を用意する
営業のDXを進めるにあたって、DXに関わるデジタル技術やシステム設計、AIなどについて熟知している人材を用意しましょう。また、営業部でのDXを推進する場合は、営業部における業務についても精通している人材である必要があります。
ただし、DXに対応できる人材が不足しているのが現状です。DXにおける人材を準備するためには、新たに専門知識を有する人材を採用するほか、社内にいる人材を育成する方法があります。
人材育成をするなら、必要な知識・スキルを習得できる環境の用意が必須です。場合によっては、外部パートナーに依頼するのも一つの手ですので検討してみましょう。
営業のDX化のポイント
ここでは、営業のDX化を成功させるためのポイントを解説します。以下の内容を参考にして、DX化を進めてみましょう。
会社全体でデジタル化の目標を共有する
単に営業プロセスをデジタル化させるだけでは意味がない、ということを頭に入れておいてください。最終的な成果には、営業以外の力も必要です。会社全体でデジタル化における共通認識を持っておきましょう。
たとえば、マーケティングチームとも連携すれば、蓄積したデータをもとに、より効率的な営業が可能になります。
また、営業スタッフのデジタルに対するリテラシーやレベルには、ばらつきがあります。それらを把握して、必要に応じて研修などの実施も考えておきましょう。
DXの成果を定期的にチェックする
営業のDX化はデジタルツールを導入すれば終わり、というわけではありません。ツール導入後は、DX化を始める際に設定した目的や、解決したかった自社の課題などが、DXによって改善されているのかをチェックしましょう。
顧客の購買行動はいつも同じではなく、変化することがあります。それにしたがって、想定した営業プロセスから、変化させなければならない場合もあるのです。そのため、ただツールを導入して終わるのではなく、成果を見続ける必要があります。
営業DXにかかる費用をしっかり把握しておく
例えば、営業のデジタル化を推進し、オンラインでいつでも非対面で商談ができる体制が整えば、出張費の削減につながります。また、業務効率化を実現させることができれば人件費も減らすことが可能です。このように、DX化が進めばコストの削減につながりますが、
しかし一方で、デジタルツールやITサービスの導入には費用がかかります。導入するツールやシステムによってはそれなりの費用が必要な場合もありますので、DXにかかる費用を把握し、十分な費用対効果が得られるか確認しておいてください。
DXを担当する人材のスキルアップを図る
DXで継続的な効果を得るためには、人材の教育をし続ける必要があります。DXをスタートさせて成功を収めている会社は、人材教育に力を注いでいるところが多いのです。
DXに携わる人材を教育するために、DX検定やDX推進アドバイザー認定試験など、資格取得のためのサポート行いましょう。また、社外コミュニティーや研修などに継続して参加させ、最新のデジタル技術の知識を得られる機会を提供することも重要です。
営業のDXで役立つツール
ここからは、営業DXで役立つツールをご紹介します。ツール選定の際の参考にしてみてください。
オンライン会議ツール
顧客との商談や会議を、オンラインで行う際に利用するツールです。コロナウイルスの感染が広まり、なかば強制的にオンライン化が進みましたが、その利便性に気づいた企業は少なくありません。
いまや商談のオンライン化は一般的になっており、営業のDX化の中でも取り入れやすい手法です。交通費の削減つながる、移動時間・距離の制約がなくなり商談しやすくなるなど、さまざまなメリットがあります。
ZOOMやスカイプ、Googlemeetなどのほか、B-Roomやビデオトーク、はなスポット、ベルフェイスといった営業に特化したツールも存在していますので、自社で使いやすそうなものを検討してみましょう。
SFAツール
「SFA」とはSales Force Automationの略で、営業プロセスの自動化などの営業支援という意味です。顧客管理のほか、その顧客に対する行動管理や案件・プロジェクトの管理、予実管理、レポート管理などの機能があります。
営業の行動や案件の進捗などを管理し共有できるため、属人性の高い営業プロセスなども可視化が可能。営業活動を効率化できるだけでなく、全営業のスキルの平準化などにも役立ちます。
CRMツール
「CRM」とはCustomer Relationship Managementの略で、顧客との関係性の管理を指します。
顧客との情報管理をツールで一元化することにより、自社から行ったアクションや顧客情報の内容にずれがなくなります。部署を超えて会社全体で顧客情報を共有できることで、確認や引継ぎなどの時間を節約できます。
また顧客のニーズや検討時期なども管理できるため、適切なタイミングで適切な提案ができ、成約率の向上などにも役立ちます。顧客をセグメントしてのメール配信やアンケート実施なども、ツールによっては可能です。
Webセミナーツール
ウェビナー(Web+セミナーの造語)を活用した営業活動も、オンライン化にともない普及してきています。自社商品やサービスの成約につなげるべく、いままでもセミナーを開催していた企業は多いでしょう。
しかし、オンラインでセミナー行うことで、会場の確保にかかるコストやキャパシティなどの考慮が不要に。その分、多くの方にPRできる場をつくれるため、効率的な営業につながります。
Webセミナーのツールには、YouTubeやZoomのほか、クラストリーム、V-CUBEなどがあります。
営業のDX化事例を紹介
内勤の営業チームが見込み客を育成
A社では従来の外勤営業チームに加えて、内勤の営業(=インサイドセールス)チームをつくり、顧客管理や育成を実施。
デジタルツールを使い、獲得したリードをランク分けし、メールなどでコミュニケーションを取る顧客、営業が商談のアプローチをかける顧客といったリードの段階に合わせたアクションを実行しました。
見込み客を育成し、自社への興味が高まった段階で商談を行う営業に引き継ぐことで、営業プロセスの効率化や成約率向上につながっています。
社内事務のデジタル化で営業支援
B社では顧客に対するアクションの管理や共有に課題がありました。顧客管理はエクセル、日報はメールでといった非効率な形をデジタル化で一新。
SFAツールを導入したことで、商談の流れが可視化され、マネジメント層の状況把握が容易に。適切なアクションを早めに実行できるようになり、クロージングの機会ををみすみす取りこぼしてしまうようなリスクが減りました。
営業の育成を担うチームも各営業の課題点がわかりやすくなり、全体の営業スキルの底上げも実現しています。
DXにより営業活動を効率化しよう
営業プロセスのDX化を進め、無駄な移動時間がなくなったり作業を自動化できたりすることで効率的な営業が可能になり、注力すべき顧客に時間を使えるようになります。
また、営業の始点であるリード獲得においても、デジタルやWebを活用すれば、顧客の管理や精査はやりやすくなるでしょう。
Web集客はコンテンツSEOによって自社と相性の良いリードだけを狙った集客も可能です。自社と相性の良い見込み客が集まってくれば、精査ややりとりの工数は減り、成約確度は上がるという好循環を実現できます。
そのような優秀なリードを狙って獲得できるWeb集客施策がポジショニングメディアです。
成約確度の高いリードを獲得するポジショニングメディア
ポジショニングメディアは、自社ならではの強みや他社との差別化ポイントをわかりやすく伝えて、市場内での自社のポジションを明確にします。
競合と比較しながら、「〇〇で選ぶなら自社」「〇〇で実績がある自社」というイメージを持ってもらうことで、ユーザー側もニーズにあった商品・企業はここだと納得して選んでくれる状態をつくれます。
営業のDX化はツールの導入による効率化が一般的ですが、営業プロセス全体を見れば、最初のリード獲得の入り口である集客施策・マーケティング施策の改善も営業の効率化や成約率アップにつながります。
「リードの質がそもそも悪い」「リードは獲得できているがなかなか成約につながらない」といった悩みを抱えている場合は、ぜひポジショニングメディア導入も検討してみてください。