自治体の広報戦略とは? 行政広報の事例と戦略ポイント

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自治体に求められる広報戦略

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広報戦略を考える際に重要なことは、「誰に対して情報を届けるか」ということです。自治体が情報を届ける相手は地域住民か、移住や観光、企業誘致を目指した地域住民以外となります。

これらは総じて「シティプロモーション」と呼ばれ、地域を活性化させるための広報活動を意味します。広報活動をするにあたり、情報の届け先によって求められる情報内容も異なるため、それぞれに適した広報戦略が必要です。

行政の情報を伝えられる媒体は、広報紙に加え、FBやInstagramなどのSNSなど多岐にわたります。これらの媒体を作ること・使うことが目的化してしまいがちですが、まずは誰にどのような情報を届けるべきかを決め、それにあった媒体を選定し、活用していきましょう。

地域住民への情報提供

地域住民への情報提供する内容としては、下記が上げられます。

  • 行政サービスなど日常の暮らしに関する情報
  • 行政施策の情報
  • 防災や災害時など緊急性を要する情報

これらの情報を、地域の住民に確実にわかりやすく伝える必要があります

移住・定住・観光・企業誘致のシティプロモーション

自治体外に住んでいる方への情報提供としては下記が主です。

  • 移住や定住を促進させるための情報
  • 名所や食など、地域の魅力を伝える情報
  • 企業を誘致するための情報

これらの情報を発信することは、自治体の魅力をアピールする狭義の「シティプロモーション」と呼べるでしょう。

地域の魅力を自治体外に向けて情報発信をすることで、観光客の増加や企業誘致につながります。それをきっかけに、移住や定住を検討してくれる方も増えるでしょう。

自治体の広報戦略のポイント

注意点やチェックポイント
自治体の広報戦略はどのように策定すればよいのでしょうか?策定時のポイントは下記の5つです。

  1. 明確な目標・計画設定
  2. 住民のニーズを把握する
  3. 外部の視点を取り入れる
  4. 目的に合わせてメディアを選ぶ
  5. 住民を巻き込む

それぞれを詳しく見ていきましょう。

1.明確な目標・計画設定

広報戦略の決定にあたり、まずは情報を届けるべき対象者(ターゲット)ごとに、目標と計画を設定しましょう

地域住民に対しての情報発信も、地域外に住んでいる人・企業に対する情報発信も、ターゲットと期限を設定することが重要です。ターゲットごとに情報を整理し、どのように、何の媒体を使って発信すべきかを策定していきましょう。地域住民であれば年齢や性別、地域によって必要な情報が異なります。

また、地域外の住民・企業に対しては、移住や観光施設への来訪促進、企業誘致などの目標値も決定しましょう。目標値を決めるのは、施策の実行中や終了後に検証を行うためです。数値があれば、客観的に検証でき、より施策をブラッシュアップさせることができます。

2.住民のニーズを把握する

地域住民向けの広報の場合、情報を届けるターゲットがどのような情報を知りたいのかを検討します。

従来では広報紙や行政サービスの窓口で一方的な発信しかできませんでしたが、インターネットやSNSの普及により、住民と双方向でやりとりすることが可能になりました。地域住民の情報ニーズがどこにあるか、ターゲットが利用しやすい媒体を使って情報を集めましょう。たとえば次のような方法が考えられます。

  • SNSによる双方向の情報受発信
  • 住民が参加、投稿できるアンケートの設置
  • モニター制度などを活用した直接的な意見収集

3.外部の視点を取り入れる

とくに地域外の住民を対象としたシティプロモーションの場合、地域を訪れる観光客など、地域外に住む人から意見を取り入れるとよいでしょう

地域住民の意見だけでは、客観視することが困難です。住民にとっては慣れ親しんだ地域なので、実は外部から見た時に魅力的であっても気づきにくいかもしれません。そのため、観光客や専門家など、外部の意見を聞くようにしましょう。

4.目的に合わせてメディアを選ぶ

自治体が伝えるべき情報とターゲットに応じて、メディアを決定します。もし高齢者向けのお知らせをSNSで発信したとしたら、思うようにターゲットに届かない可能性が高いでしょう。逆に施設の掲示板や新聞等では、若い世代に情報が届きづらいかもしれません。一概に全ての情報をHPやSNSで発信するのではなく、インターネットやパソコンに触れにくい人も考慮し、適切なメディアを選定することが重要です。

目的別に、効果が期待できる媒体の例を紹介します。

行政情報を認知させるメディア

行政情報のお知らせには広報紙やHPが効果的でしょう。種類や量が多い情報を網羅的にカバーでき、また情報を探している人にとっても見つけやすいメディアであるためです。

防災や災害情報を認知させるメディア

TwitterやFBなどのSNSが最適です。テレビやラジオなども緊急性が高い情報であれば有効です。即時性・拡散性があるため、多くの人に情報を伝えられます。

観光情報を認知させるメディア

InstagramやYouTubeなどのSNSが効果的です。視覚に直感的に伝えることができるため、地域の魅力を的確に伝えられます。また、SNSに触れるのが難しい人向けに、パンフレットや旅行雑誌などを観光名所に設置するのもよいでしょう。

企業誘致を促進させるメディア

専用のパンフレットやカタログやビジネス系の雑誌への露出が有効です。閲覧するターゲット層が狭いため、専用に作成し配布していくとよいでしょう。企業にとって立地や税制面でのメリットを記載するのがおすすめです。

移住や定住を促進させるメディア

FBやInstagramなどのSNS全般で効果が期待できます。移住を決断した理由や実際の暮らしの様子をタイムリーに発信できるため、身近に感じてもらいやすいです。SNS以外では、専用のカタログを作成することで、手にとってじっくり考えてもらえる環境を整えるのも有効でしょう。

5.住民を巻き込む

一方的に行政側から情報発信をするだけではなく、地域住民による参加型の施策を行うとよいでしょう。広報紙で住民からの声を募集することや、SNSによる投稿を促進することで、住民自身に地域の魅力を考えてもらえる契機を作れます。

自治体の広告戦略事例

ここからは実際に、自治体の広報戦略の実例をみていきましょう。

1.東京都立川市:市民特派員

東京都立川市では、市民特派員と題して広報紙に「ここが大好き立川」というコーナーを設けています。「広報たちかわ」は毎月10日号の最終面で、地域住民から寄せられた写真をコメント付きで掲載。この活動により、地域住民が参加しながら広報紙を作成、運営している親近感を醸成しています

2.茨城県:動画サイト「いばキラTV」

全国の都道府県が運営するYouTubeアカウントのなかでも、動画本数、再生回数、チャンネル登録者数が多いのが、この「いばキラTV」です。

動画では茨城県内の観光スポットやグルメ情報などを紹介。地域住民や茨城県を訪れる観光客に向けた、さまざまな動画コンテンツを見ることができます。

3.千葉県流山市:日本初のマーケティング課

民間のシンクタンク出身者が市長になったことで話題となった千葉県流山市。子育てがしやすい街をPRするために、市長が広告の企画や作成を行う「マーケティング室」を設置。さまざまな施策が打たれています。

4.山形県:有料配信サービスの活用

山形県では、共同通信社によるプレスリリースサイト「PRWire」を活用。山形県のグルメ情報やイベント情報などをプレスリリース配信することで、Webメディアやマスコミに素早く情報を共有し、取材や記事化による集客を実現しています。

5.宮城県:農産品のブランド化

宮城県は、県内の農産品のブランド化に取り組んでいます。宮城県の農林水産部が「ぷれ宮夢みやぎ」というサイトをオープンさせ、ブランド食材の販売を開始しました。食の情報をひとまとめにし、産地や生産者の思いをFBなどのSNSを使いながら情報発信をしています

地域の特徴を活かした広報戦略で地域ブランド化

評価・評判
自治体の広報戦略を策定するにあたり、まずは地域を知り、情報を届けるべきターゲットが何を知りたいのかを考えることが重要です。その上で、情報を届けるのに最適なメディアを選定し、運用していきましょう。

以前は一村一品運動のように、工法が地域産品の訴求をメインに行っていた時代がありました。今では地域産品に加え、自然などの環境や行政サービス、その地域に暮らす人々など、総合的な地域情報を発信することが求められています。そして、地域そのものがブランド化され、観光や移住に影響を与えることにつながります。一連の流れの根幹となる自治体の広報戦略は非常に重要な時代です。

そのため、自治体の広報戦略を独自で策定していくのはなかなか難しいのが実情。特に、Webを活用した広報の相談は、プロに相談するのも一考です。
Zenkenでは、120業種以上の集客ノウハウをもとに地域の特徴を生かした広告戦略を立案し、ターゲットにあった情報発信の支援が可能です。自治体を活性化させる広報戦略にお悩みの場合、ぜひ一度ご相談ください。
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