プロモーションの手法・方法を成功例を交えて解説します
最終更新日:2022年01月18日
プロモーションとは何か
プロモーションとは、自社の製品やサービスに対する顧客の認知・関心を高めて購買へ誘導する活動です。顧客目線ではコミュニケーション、つまり企業との対話を意味します。プロモーションの目的は以下の3つです。
- 自社の製品 / サービスの魅力をより多くの顧客に知ってもらう
- 既存顧客を購買へ誘導する
- 新規顧客を購買へ誘導する
プロモーションでは「何を、誰に、どうやって伝えるか」が重要になります。「何を」は、基本的に自社の製品やサービスが消費者に提供する価値といえます。
「誰に」は、自社の製品やサービスを店舗で販売するディーラーもしくは消費者のいずれかです。ディーラーを対象にする場合は売上を増やすことが主な目的、消費者を対象にする場合は購買へ誘導することが主な目的になります。
「どうやって伝えるか」は、プロモーションの手法と深く関わります。プロモーションというとテレビCMやインターネット広告などを思い浮かべがちですが、これらに限定されるわけではありません。
プロモーションの手法
プロモーションの手法は、大きく広告・広報・販促に分かれます。
それぞれの役割は以下の通りです。
プロモーションの手法 | 役割 |
---|---|
広告 | 自社の製品・サービスの認知度を高めるためこと |
広報 | 他社のメディアに自社の商品やサービスを特集してもらうこと |
販促(販売促進) | 消費者を購買へ促すこと |
実際のプロモーションでは、広告・広報・販促をミックスして展開します。具体的には広告で自社の製品やサービスを消費者に知ってもらい、広報で信頼性を高めつつ、販促で購買を後押しするなどのようになります。
広告・広報・販促の例は以下の通りです。
プロモーションの手法 | 役割 |
---|---|
広告 | テレビCM・インターネット広告など |
広報 | プレスリリース・記者発表会など |
販促(販売促進) | 期間限定クーポン・試供品提供など |
これらの活動を通して、自社の製品やサービスに対する顧客の認知・関心を高めて購買へ誘導することをプロモーションといいます。
プロモーション戦略のフロー
続いてプロモーションの手順を紹介します。
ターゲットの選定・定義を明確にする
最初にコミュニケーションのターゲットを明確にします。ターゲットは自社の製品やサービスを店頭で販売するディーラーまたは自社の製品やサービスを購入する消費者ですが、これらの情報だけでは不十分です。プロモーションの効果を高めるため、より詳細なターゲット設定が必要になります。
まずは居住地・年齢・性別・職業・年収・購買経験・購買頻度・価値観・趣味・ライフスタイル・ライフステージなど様々な切り口で顧客を細分化して、どのような顧客がどのようなニーズを抱えているかを明確にします。
次に、細分化した顧客の中から、自社の製品や商品を購入してほしいターゲットを選択します。ターゲットを選択するときは、ビジネスが成立する市場であること(市場規模・市場成長性)、ニーズが充足されていないことなどを確かめておく必要もあります。
ニーズに関しては、ターゲットがニーズを自覚しているかどうかまで理解しておくと精度の高いプロモーションを展開しやすくなります。
ユーザーの特徴を捉える
ターゲットを明確にしたら、自社の顧客データを活用して、あるいはアンケート調査などを実施して、設定したターゲットが実際に市場に存在することを確かめます。
同時にターゲットの特徴をさらに詳しく把握します。設定したターゲットに微調整を加えるといってもよいでしょう。
提供価値を明確化する
ターゲットを設定したら、自社の商品やサービスが提供する価値を明確にします。提供価値は「ターゲットのニーズを満たす自社だけの価値」になることが理想です。つまりターゲットのニーズを満たす競合他社が提供できていない、あるいは提供していない価値を考えます。
例えば「自宅で食べられる高級懐石」をターゲットが求めていて、競合他社が提供していないのであれば、「高級懐石のデリバリーサービス」が提供価値になりえるでしょう。
訴求ポイントを明確化する
プロモーションでは提供価値の伝え方も重要になります。基本的には自社の商品やサービスが提供する独自の価値を踏まえつつ、ユーザーが重視しているポイントをもとにプロモーションの内容を決定します。
例えば「自宅で食べられる高級懐石」を求めるターゲットが価格面も重視しているのであれば、「高級懐石のデリバリー」だけでなく価格面のコミュニケーションも必要になるといえるでしょう。ユーザーが重視しているポイントは、自社の顧客データやアンケート調査などで把握できます。
訴求ポイントが明確になったら訴求メッセージも考えます。訴求メッセージで重要になるのが、訴求ポイントが印象に残ることです。訴求ポイントが印象に残らないと、競合他社の製品やサービスに埋もれてしまいます。
また訴求メッセージでは、次の工夫なども必要になります。
- 自分のためにある商品だと思ってもらう
- 提供する価値の根拠を示して納得してもらう
- 期間限定キャンペーンなどで購入を後押しする
訴求ポイントを明確にしたうえで、購買へと誘導します。
ユーザーにリーチするチャネルや媒体の選定
ニーズを満たす自社だけの価値を魅力的に伝えるため、ターゲットにリーチするメディアを選定します。最適なメディアはターゲットで異なります。
例えばSNSを頻繁に活用する10代であればSNS広告、テレビをよく見る60代であればテレビCMが効果的と考えられます。参考に代表的なメディアの特徴を紹介します。
メディア | 特徴 |
---|---|
テレビ | ・幅広い層にリーチできる ・若年層にリーチしづらくなっている |
新聞 | ・他のメディアよりも信頼性が高い ・若年層へのリーチはテレビよりも低い |
雑誌 | ・ターゲットの興味・関心を絞りやすい ・リーチできる人数は発行部数が上限 |
インターネット | ・ターゲティングの精度が非常に高い ・シニア層へのリーチは限定的 |
プロモーションのアプローチ方法
プロモーションを広義でとらえると、その手法は以下のようになります。
- 広告宣伝
- 広報活動
- 販売促進
- 人的販売
- SNS・口コミ
それぞれの特徴を見ていきましょう。
広告アプローチ
プロモーションの代表的な手法といえるのが広告宣伝です。広告宣伝の主な目的は、自社の製品やサービスを幅広い層に知ってもらうことといえます。つまり認知獲得を主な目的として実施されます。
広告宣伝の特徴は、費用がかかることとターゲットに伝えたいメッセージを高い確率で届けられることです。広告宣伝は、大きく「マス広告」「インターネット広告」「SP広告」に分類されます。それぞれの具体例を示すと以下のようになります。
広告の分類 | 具体例 |
---|---|
マス広告 | テレビCM・新聞広告・雑誌広告・ラジオ広告など |
インターネット広告 | バナー広告・リスティング広告・ネイティブ広告・アフィリエイト広告・SNS広告など |
SP広告 | 交通広告・折込広告・ポスティング・フリーペーパー・ダイレクトメールなど |
テレビ・雑誌・新聞などに掲載される不特定多数の消費者に向けた広告をマス広告、ホームページ・ブログ・SNS・アプリなどに掲載される広告をネット広告、消費者の購買意欲向上を目的に実施されるダイレクトメール、折り込み広告などをSP広告といいます。
広告宣伝の種類により特徴は異なるので、プロモーションの目的やターゲットに合わせて使い分けることが重要です。
例えば幅広い層にニーズがある食料品の認知度を高めたい場合はマス広告、ニーズが偏っている健康食品の認知度を高めたい場合はターゲティングの精度が高いインターネット広告が適していると考えられます。
広報活動
テレビや新聞、雑誌などに、自社や自社の製品・サービスなどを特集してもらうため情報発信することを広報活動といいます。広報活動の最終的な目的は、社会と良好な関係を築くことです。
具体的には自社のスタッフ、取引先、顧客、求職者などと良好な関係を構築することを目的とします。広報活動の特徴は、広告費がかからないことと情報を発信しても実際に特集してもらえるとは限らないことです。
情報の価値を判断するのは、自社ではなく第三者のメディアです。情報の内容や発信のタイミングなどを自社でコントロールできない点が広告と異なります。自社でコントロールできないのであれば広告の方が優れていると思われがちですが、必ずしもそうとはいえません。
広告は宣伝をする企業がコストをかけて実施するため「商品・サービスの良い面しか伝えていない」と顧客から捉えられる傾向にあります。つまり商品・サービスの価値を伝えても、そのまま信用してもらえない恐れがあるのです。
広報活動では、メディアが第三者的な立場から自社や自社の製品・サービスについて情報を発信してくれます。社会から信頼されているメディアが情報を発信するため、広告よりも信頼性は高くなります。
広報活動の手法として、ニュースリリースの配信、ニュースレターの配信、記者発表会の開催、イベントの開催などが挙げられます。効率よく特集されるポイントは、メディアのニーズと合致する自社独自の情報を発信することです。
販売促進
販売促進は、見込み客に購入を促す活動を指します。販売促進の目的は、購入の動機付けを行うことといえるでしょう。販売促進の代表的な手法として以下のものが挙げられます。
販売促進の手法 | 概要 |
---|---|
POP | 店頭などに設置する広告物。パッケージを見ただけではわからない商品の魅力を伝えることなどができる。 |
インストア動画 | 店頭などに設置する動画広告。映像を使って商品の購入を後押しできる。 |
サンプリング | 試供品を配布して商品の良さを知ってもらう。よくある例として化粧品のテスターが挙げられる。 |
クーポン | 割引券などを発行して購入を後押しする。新規顧客に商品を買ってもらいやすくなる。 |
実演販売 | 店員などが商品を実際に使って機能や性能を説明しながら販売する。商品の価値を伝えやすい。 |
イベント | 商品を体験してもらうイベントなどを開催する。商品を知ってもらえるほか、顧客の意見を集められる。 |
実際の販促では、複数の方法を組み合わせて行うことが一般的です。
人的販売
人的販売は、企業のスタッフが顧客とコミュニケーションをとって営業販売活動を行うことです。具体的には企業のスタッフが顧客と対話を重ねながら営業販売活動を行います。人的販売の目的は、顧客を購入に導くことと顧客が抱える課題を把握することです。
顧客と直接コミュニケーションをとる人的販売は有効な営業販売活動・情報収集活動ですが、実際の成果はスタッフの接客技術などで大きく異なります。またコストがかかりやすい点にも注意が必要です。
人的販売の代表的な例として、訪問販売やキャッチセールスなどが挙げられます。ただしプロモーションにおける人的販売は単なる売込みではありません。
プロモーションの目的、人的販売の目的を明らかにしたうえで実施する必要があります。また成約後は適切なフォローを行い長期的な関係構築を目指すことも重要です。
SNS・口コミ
近年になってSNSや口コミを活用したプロモーションが注目を集めています。SNSや口コミを活用したプロモーションの主な目的は、ブランディングや認知獲得といえるでしょう。
ブランディングや認知獲得に有効と考えられる理由は、実際に利用した第三者の投稿や口コミは信頼性が高いと評価される傾向があるから、ユーザーとコミュニケーションが可能で拡散効果が高いからです。
プロモーションに活用されている代表的なSNSは次の3つです。
それぞれの特徴を紹介します。
SNSの名称 | 特徴 |
---|---|
・ユーザー数4500万人(2017年時点) ・魅力的な投稿を行うと爆発的に拡散することがある |
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・ユーザー数2600万人(2019年時点) ・ターゲティングの精度が非常に高い ・10代の利用率はやや低い |
|
・国内月間アクティブアカウント数3300万(2019年6月時点) ・写真・動画を手軽に共有できる ・ライフスタイルの参考にする10代、20代の女性が多い |
ターゲットとする顧客を分析した上で、自社の商品のプロモーションなどに合わせて適切なSNSを選択することが重要です。
プロモーションの成功事例
最後にプロモーションの成功事例を紹介します。
日本マクドナルド株式会社
日本マクドナルド株式会社は、SNSを活用して顧客を巻き込んだプロモーションを展開しています。一例として挙げられるのが2018年5月に実施した「食べて投票!あなたが選ぶレギュラー争奪オーディション」キャンペーンです。
「食べて投票!あなたが選ぶレギュラー争奪オーディション」は、次の2つの条件を満たす商品の中から新しいレギュラー商品を選ぶキャンペーンでした。
- レギュラーメニューになったことがない
- 過去2年以内に全国販売されていない
2つの条件を満たしエントリーしたのは「たまごダブルマック」「てりやきチキンフィレオ」「マックリブ」の3商品でした。
「食べて投票」、「ツイートで投票」、「部門審査」などの合計ポイントで争った結果、「てりやきチキンフィレオ」が優勝し、新たなレギュラー商品に加わっています。顧客を巻き込んで新商品の認知度を高めたプロモーション成功事例といえるでしょう。
オイシックス
食材宅配でお馴染みのオイシックスは、巧みな広告で認知度と好感度を高めることに成功しています。一例として挙げられるのが、人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の主人公である野原しんのすけが「かあちゃん楽しい夏休みをありがとう」と語る広告です。
「かあちゃん楽しい夏休みをありがとう」は、子どもの夏休みを支える母親に感謝を伝える広告です。夏休みの家事や育児の大変さを知る多くの母親などの間で話題になりました。
オイシックスはこのプロモーションを通じて、お母さんが気持ちよく夏休みを過ごせるようにできることを考えていますと決意表明をしています。人気なアニメキャラを活かしながら、ターゲットの悩みに寄り添う優れたプロモーションといえるでしょう。
キリン株式会社
キリン株式会社は、Twitterを活用して顧客参加型のキャンペーンを展開し商品認知度を高めることに成功しています。
具体的には「#イインダヨ」とツイートして、淡麗グリーンラベル「おに」Twitterアカウントから30分以内に「#グリーンダヨ」と返信されなかったら抽選で淡麗グリーンラベル350ml6本パックをプレゼントするキャンペーンを展開したのです。
遊び心のあるキャンペーンに多くの顧客が反応。参加者が非常に多かったため、沢山の顧客が逃げ切りに成功しています。キリン株式会社は、顧客が思わず反応してしまうプロモーション戦略で商品認知度を高めることに成功しました。
プロモーションは奥が深い取り組み
プロモーションの方法、手法について解説しました。プロモーションは、自社の製品やサービスに対する顧客の認知や関心を高めて最終的に購買へと誘導する活動です。
主な手法として広告・広報・販促が挙げられます。これらを効果的に活用するために必要になるのが、各施策に統一性・一貫性を持たせるプロモーション戦略です。
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