ニトリのプロモーション戦略について調査
最終更新日:2022年01月18日
「お、ねだん以上。」でおなじみのニトリは、日々の暮らしに彩りと豊かさを提供するインテリア専門店です。2020年の新型コロナウイルス流行により一時売上に伸び悩みましたが、乗り越えて店舗数を右肩上がりに伸ばしています。
※参照元:株式会社ニトリ月次国内売上高前年比推移|IR情報|ニトリホールディングス
(https://www.nitorihd.co.jp/ir/performance/sales_2021.html)
本記事ではコロナ禍という逆境に打ち勝ち、収益を上げ続けるニトリのプロモーション戦略について考察しています。
ニトリのプロモーション戦略のポイント
ニトリは1976年に札幌の「似鳥家具店」として始まりました。創業当初はなかなか業績が上がらず苦戦を強いられていましたが、創業者の似鳥氏がアメリカで家具について学んだことにより転機が訪れます。
似鳥氏は渡米したことでアメリカの家具は高品質・低価格であり、消費者のニーズに応えられていることに気が付きました。これがきっかけとなり「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」というニトリの理念が誕生したのです。
SPAで「良いものを安く」提供
ニトリではビジネスモデルとして「SPA」を導入しています。
SPAは「Specialty stores of Private label Apparel」の略称であり、生産から流通までをすべて自社で行うのが特徴です。もともとはアパレル業界で導入されていた手法で、海外ではGAP、国内ではユニクロのビジネスモデルとして広く知られています。
従来の家具業界では工房などから仕入れた家具を販売するのが一般的でした。つまり家具の製造と販売は分離されていたのです。
しかし、ニトリでは家具の企画やデザイン、製造から販売までをすべて自社で行っています。このビジネスモデルには中間コストのカットやトレンドへの追従などのメリットがあり、営業利益の確保につながりました。
※参照元:ニトリの成功の秘密!?〜変わらない創業者のロマン〜 | BRANDINGLAB – ブランディングラボ
(https://www.is-assoc.co.jp/brandinglab/nitori-roman)
徹底的なPOSデータの活用で在庫回転率を上げる
ニトリではPOSデータを徹底的に活用し、在庫数を効率的に調整しています。この戦略は競合他社とは異なるポイントでしょう。
従来では家具の購入は大きな買い物であり、一度購入した家具を気軽に買い替えるものではありませんでした。しかし、近年では家具への認識がファッションに近い存在となっており、消費者は気軽に家具を手放し新しい家具を購入するのが一般的になっています。
消費者のニーズを満たすために、徹底的な管理で在庫回転率を上げて低価格な家具を提供しているのもニトリの特徴です。
※参照元:4P分析と5forces(ファイブフォース)で考えるニトリのマーケティング戦略 | BizMake Media(https://media.bizmake.jp/example/%EF%BD%8Darketing-nitori/#4_%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E4%BF%83%E9%80%B2Promotion%20https://moduleapps.com/post12238/)
公式アプリでお買い物をもっと便利に
消費者のお買い物をもっと便利にするために、ニトリでは2014年3月に公式アプリをリリースしました。公式アプリはiPhone・Androidの両方でダウンロードでき、以下のような特徴があります。
- ニトリメンバーズカードと連携できる
- 過去に購入した商品の履歴を確認できる
- レシートや保証書を紛失しても保証を受けられる
- 手ぶらdeショッピング機能を搭載している
ニトリ公式アプリの機能の中でも特に注目したいのが「手ぶらdeショッピング」です。店舗を訪れて気になる商品のバーコードを読み取るだけで、商品を簡単にお買い物リストに追加できます。
アプリから購入する際に、店舗受取と自宅配送を選択できるため大型家具でも気軽に購入できるのが魅力です。この機能が評価されて「手ぶらdeショッピング」はビジネスガイド社が主催する「第3回 リテールプロモーションアワード」を受賞(※1)しています。
(※1)参照元:ニトリ公式アプリが「リテールプロモーションアワード」を受賞|TOPICS|ModuleApps
(https://moduleapps.com/post12238/)
ニトリのプロモーション戦略のまとめ
消費者のニーズを上手に汲み取って「良いものを安く」提供し続けているニトリ。
高品質な家具を低価格で販売できるのは、基盤となるビジネスモデルにSPAを採用しているからです。またPOSデータによる徹底した在庫管理も無駄なコストのカットに一役買っています。
ニトリは消費者のニーズを常に考えて、高品質な商品を低価格で提供するためにコストカットに注力してきました。この販売力をもとに高い利益を見込めるからこそ、コロナ禍でも店舗数を増やすことに成功しています。
消費者のニーズと利益のバランスを取るためには、ニトリのように中間コストの見直しを行った上で、消費者のニーズを満たす為のマーケティング戦略を行うことも重要でしょう。