ポジショニングと差別化の違いとは?解説と事例紹介
最終更新日:2021年09月04日
ポジショニング戦略とは
ポジショニング戦略は、競合他社との差別化という意味で捉えられるケースがほとんどです。しかし、ポジショニングの正しい意味を知らないと、マーケティングの成果に結びつかない可能性があります。差別化との違いを明確にするために、まずはポジショニング戦略の特徴からご紹介しましょう。
業界内での立ち位置を設定する
ポジショニングの定義は、ほかには代えられない独自の地位を築き、競合他社と比較されずに継続的に購入してもらう状況を生み出すことです。そして、ポジショニング戦略とは業界内で自社の強みを洗い出して立ち位置を設定し、商品やサービスを効率よく売れやすくする戦略を意味します。
自社商品・サービスを継続的に指名買いしてもらうためには、「この業界といえばこの会社(ブランド)」という風に、顧客の心の中で業界と自社ブランドを連想付ける必要があります。多数の競合他社と比較されず、自社を選んでもらうためには業界内で独自のポジショニングを築いていくことが大切です。
ポジショニングによって競争しなくても勝てる領域を見つける
ポジショニング戦略では、競合他社と競争しなくても勝てる「オンリーワン」の領域を見つけ出すことが重要です。業界で上位の企業など格上相手に同じ立ち位置で争っても、勝ち目は薄いでしょう。
それなら、他社と切り口を変えてみるとどうでしょうか?企業ごとに強みは違うので、切り口が変われば同じ業界内でも企業の優劣は少し変わります。切り口を変えて自社の強みを活かせる領域で地位を確立できれば、競争せずとも競合他社に勝てる可能性は十分にあります。
ポジショニングについて詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
ポジショニング戦略について
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差別化戦略とは?
ポジショニング戦略と同じ意味合いで捉えられやすい差別化戦略ですが、具体的にはどのような戦略を指すのでしょうか?続いては差別化戦略の特徴をご紹介します。
顧客に他とは違う特別なものとして認識してもらう
事業戦略における差別化とは、他社とは異なる「特別なもの」と認識してもらうことを指します。つまり、差別化戦略とは、商品やサービスを通じて顧客に特別な価値を付与し、継続的な信頼の獲得を図る戦略です。
自分にとって特別な価値がなければ、「その商品が欲しい」「このお店に行きたい」という気はなかなか起きません。ありふれた商品・サービスの中から自社を選んでもらえるためには、差別化が求められます。
差別化については、こちらで詳しく解説しています。
差別化戦略について
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「そのお店だからこそ行く」信頼感を持ってもらう
差別化戦略の狙いは、「この会社(ブランド・お店)だから」という信頼感を持ってもらうことです。たとえば飲食店なら、顧客が来店した理由が単純に「料理が美味しいから」の理由だけでは特別な価値が付与できているとは言えません。
しかし、商品やサービスの枠を超えて独自の価値を付与できれば、顧客から「このお店だから行きたい」と思ってもらえるようになります。差別化により顧客の信頼を獲得することで、購入や来店のリピートにつながるのです。
ポジショニング戦略と差別化の違いとは
ポジショニング戦略と差別化戦略は、自社の強みを活かす意味ではとても似ています。しかし、双方は意味と目的に明確な違いがあるので、それを正しく理解して施策を講じることが大事です。
まず、ポジショニングは「同業界内での自社の位置づけを行うこと」を意味します。同じ業界の中でも他社にはない自社の強みを活かせる領域に地位を築き、比較されずに勝っていく戦略です。自社の商品やサービスに他とは違う役割を見つけ、顧客からその認識と支持を得ることがポジショニングの目的です。
一方、差別化は「他とは違った特別なものとして認識してもらうこと」を意味します。顧客から信頼を得るために、特別な価値を付帯して他社と差を付けていく戦略です。競合他社との比較が前提であり、競争優位を築くことを目的にしている点がポジショニングとの違いです。
ポジショニング戦略の具体例を紹介
ポジショニング戦略に取り組み、業界内で独自の地位を築いたケースは多数あります。ここで有名コーヒーチェーン店のポジショニング戦略の具体例をご紹介しましょう。
「家でも職場でもない第三の場所」スターバックス
「コーヒーを飲むならスタバ」と誰もが思うほどにスターバックスは有名なコーヒーチェーン店であり、店内では行列になることも珍しくありません。スタバは「家でも職場でもない第三の場所」をコンセプトに、多くの顧客を呼び寄せています。
スタバではコーヒー以外の商品も多数取り扱っています。ほかの商品はオーダーを受けてからカスタムにも対応しながら一杯ずつ作っているので、注ぐだけのコーヒーと比べて提供に時間がかかっています。
それでも顧客がお店を利用したい理由は、店員の接客や机のレイアウト、多種多様な商品など、さまざまな面から「居心地の良さ」に追求しているからです。その結果、気軽に立ち寄れるコーヒーチェーン店のポジションの確立させていきました。
「スキマ時間を過ごす」ドトール
同じくドトールもスタバに負けず人気のあるコーヒーチェーン店です。ドトールの場合は、「スキマ時間を過ごす」コーヒー店としてのポジションが確立されています。
ドトールは低価格で商品を提供しており、提供までの素早さにも重視した戦略を取っています。そのため、安くコーヒーを飲んだり軽食を食べたりしたい、空いた時間を潰したいという顧客のニーズに合っています。出勤前や短い昼休み、次の予定の合間などスキマ時間に過ごせるお店のポジションで、人気を集めているのです。
差別化戦略の具体例を紹介
続いては差別化戦略の事例をご紹介します。差別化により顧客から信頼を得ているテーマパーク2社の事例を見ていきましょう。
「夢と魔法の国」東京ディズニーランド
東京ディズニーランドは、「夢と魔法の国」で親しまれる日本が誇るアミューズメントパークです。運営会社のオリエンタルランドは、イメージ戦略により他社と差別化を図っています。
東京ディズニーランドの強みは、ディズニーという知名度が高く顧客からの支持も厚いブランドを活用できることです。ディズニーシリーズのキャラクターが登場する作品・メディアの力を活かすことができ、子どもから大人まで多くのファンを付けています。それがパークへの来場数増加に貢献しています。
「学びと体験」キッザニア
世界中で展開しているキッザニアは、職業体験ができる体験型テーマパークです。キッザニアと他のテーマパークの違いは、体験を通じて子どもに学びを提供していることです。職場見学とは違って遊び感覚でありながらも職業体験ができるので、リアルな将来設計の考え方や仕事に必要な社交性・協調性を子どもたちに提供できています。
昨今は早くから子どものキャリア形成の関心を持つ親が増えており、教育投資に積極的な家庭も増えています。キッザニアはその層にターゲットを絞り、子どもの職業体験でブルーオーシャン市場への参入に成功しました。他のテーマパークでは投資しない部分・苦手な部分に投資したことも差別化につながり、少子化が社会問題になっている中でも人気テーマパークの地位を維持しています。
ポジショニングと差別化の違いを正しく理解した事業戦略を
今回はポジショニングと差別化の違いについてご紹介しました。ポジショニングは「同業界内での自社の位置付けを行うこと」です。一方、差別化は「他とは違った特別なものとして認識してもらうこと」を示します。似ているようで意味や目的が違うので、事業戦略として行う際は違いを再度確認し、自社にとって適切な施策を講じていきましょう。
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