【事例付】パートナー戦略とは?変化の早い現代を乗り切る方法
最終更新日:2022年12月01日
パートナー戦略とは今後マーケティングで重要な要素
近年、著しいIT技術の発達によって担当する顧客が新たなサービスを展開しなければいけない状況となっている広告代理店もあるでしょう。IT技術だけではなく新型コロナウイルスの影響によって従来通りの戦略が難しくなっている業種も少なくありません。
環境の変化に対応し新しいサービスを展開する、または事業拡大を考える際にはパートナー戦略が重要です。
今後新しいサービス展開や拡大を検討する担当者の方に向け、下記の点を解説します。
- そもそもパートナー戦略とは何か
- なぜパートナー戦略が重要となるのか
- パートナー戦略を展開するメリット
- パートナー戦略の事例
そもそもパートナー戦略とは?
自社で対応不可、またはリソース不足となっている業務の外部委託を検討する際、アウトソーシングではなくソーシングとして業務を依頼、受注するという意識が高まっています。アウトの文字をなくす意味としては外部ではなく協力しつつも自社内にて提供するという意味合いをもっているのです。
外部企業へ協力してもらいますがアウトではなく、あくまで自社内サービスの一環として進めていくのがパートナー戦略の根幹となります。
パートナー戦略なら企業に情報が残る
提携関係を活用しパートナー戦略を立てていくのがアウトソーシングと異なる大きな点。
例えば企業の公式サイト制作で考えると、アウトソーシングは基本的にサイト制作のみを行ないますが、パートナー戦略を展開していくなら制作のみに留まりません。
検索したサイト内に統計情報が計測できるように設計し、かつ計測データを元に今後の戦略を考えていくまでワンストップにて対応するなど、さまざまな面で依頼元企業をサポートするのです。
将来的な戦略は依頼元企業のみで考えるのではなく、下記のサポートなども含みます。
- 予測機能やAIを活用し必要とする戦略を迅速に手助け
- 依頼元企業のロードマップにパートナー企業も協力、参加
- 最終的に依頼元企業だけでも検討できるようにノウハウをサポート
ノウハウやスキルを全て外注先に頼ってしまうのがアウトソーシングですが、ソーシングのパートナー戦略では企業側に大きな情報やスキルが残り、将来の成長につながるのです。
広告代理店なら顧客にサービスするにあたり、将来も見据えたサポートを提供できると喜んでもらえる大きなポイントになります。
パートナー戦略とは?そもそもの目的を認識しよう
アウトソーシングで委託する目的とパートナー戦略を展開する目的は似ているようにも思えますが、同じではありません。
アウトソーシングの目的として下記があります。
- コスト削減
- 新規顧客の獲得
- 技術スキル、提供サービス向上
主に重視されるのはコスト削減です。加えて収益を上げるため、顧客拡大やサービス向上が求められていました。さらに高度な下記の要望も加わるのがパートナー戦略です。
- 市場変化に素早く対応
- より広範囲な顧客を捉えられる体制
- 変化していくコンプライアンスに対応
- 高度なデータ分析
パートナー戦略では低コストで作業を委託するだけではなく、将来的に得られるさまざまなメリットを期待するのが大きな違いです。
パートナー戦略で組む相手は査定し厳選しなければいけない
アウトソーシングの場合は主に専門的なサービスを提供している企業に依頼すれば、得られるメリットに大きな違いはありませんでした。しかしパートナー戦略の場合求められている目的や要望のレベルが高いため、提携企業は慎重に選ばなければいけません。
提携を考える企業はどんなレベルの技術をもっているか、依頼する企業が査定し厳選していく必要があります。
パートナー戦略の必要性・メリット
日々状況が変化する時代において、企業は今後パートナー戦略を重視しなければいけません。従来のようなコスト削減や効率化のみでは時代に追いつけず苦戦を強いられます。
2020年の1年間で日本企業に求められた変化事例を見てみましょう。
パートナー戦略を考えるべき状況となっている日本の事例とは
2020年の日本国内を取り巻く状況の変化として、シーズンを大きく分けると4つあります。
- 2020年1月〜
- 2020年3月〜
- 2020年6月〜
- 2020年10月〜
2020年1月〜
海外にて新型コロナウイルスの問題が発生しているニュースが日本でも流れていたものの、まだ大きな影響ではない時期でした。
日本を取り巻く変化としては前年の終わり頃より働き方改革の流れを受け、24時間営業をやめる動きなどが起こっています。
ファミリーマートは試験運用を踏まえて正式に時短営業を発表。またすかいらーくホールディングスが全店にて深夜時間の営業を短縮しました。働き方改革以外にも理由があり、東洋経済オンラインでは経済評論家が下記のように分析しています。
その背景にはファミレスの24時間廃止には3つの「時代のニーズの変化」という特別な事情があるからです。「SNS」「飲酒運転の撲滅」、そして「企業のコンプライアンス強化」です。
引用元:東洋経済オンライン「24時間営業廃止がファミレスから始まった必然」(https://toyokeizai.net/articles/-/326121)
SNSの普及という生活習慣の変化などに企業が柔軟に対応しなければ、利用者減少による赤字につながっていく企業がある状況です。
また当時は年内開催される予定だった日本での東京オリンピックにより宿泊需要が増加し、宿泊施設ではない一般人が所有する物件を利用する民泊の金額が高まっていました。
2020年3月〜
日本国内でも新型コロナウイルスが流行し、全企業に関わる問題となり始めた時期です。当時は一時的な流行だと考えていた企業もあったでしょう。
しかし緊急事態宣言の発令で自粛を求められて多くの企業は営業利益がないにもかかわらず人件費や地代家賃の固定費を出費しなければいけない状況に見舞われました。資金繰りを補助する制度の調査など従来では行わなかった手続きをした企業も少なくありません。
さらにマスクの需要が一気に高まり小売店で入手できない状況となりました。日本で元々マスクを製造していなかったシャープやアイリスオーヤマがマスクの国内製造に乗り出しました。政府の支援も大きいですが、機器を製造するクリーンルームが活用されており新たな工場を建設していないのはもっている設備やノウハウを活かした事例です。
他にも繊維素材を扱う企業など、従来はマスクを生産していなかったけれど製造に乗り出した企業も少なくありません。
2020年6月〜
新型コロナウイルスの流行が各地で落ち着きをみせるようになりましたが、既に消費者や企業の考え方が変わっていきました。小売業を始め接客を伴う業種では飛沫対策として今までにはなかった下記商品の需要が高まっています。
- フェイスシールド
- パーテーション
- フィルムシート
- ラミネートフィルム
- 立ち位置指定のステッカー
イベントに関連するアイテムを扱っていた企業では、従来では対応していなかった店舗の売れ行き増加につながったケースもあるでしょう。
2020年10月〜
全国的にも流行は落ち着いたものの、一般消費者の生活様式は根本的に変わってしまいました。さまざまな業種が対策を意識し、従来とは異なる戦略を検討せずには乗り越えにくい状況です。
交通業界ではJR東日本が発足以降、初めて終電の運行時間繰り上げを2021年春より実施すると発表しました。他にも格安航空会社で初めてエアアジア・ジャパンが撤退するなど、各種インフラにまで影響がでておりさまざまな業種への波紋が広がっていくことが予想されます。
落ち着けば以前の状態に戻るという状況ではなく、従来では当たり前だったことができなくなってしまう可能性があるのです。常に俊敏に対応しなければ生き残るのが難しくなっています。
パートナー戦略とは変化への対応に欠かせない戦略
目まぐるしく変化していく状況に対応するには今まで当たり前に行なっていたことを改めなければいけません。しかしながら、下記のように企業が今までもっていなかったノウハウが必要とされるなど、イノベーションを起こさないと難しいケースも多くあります。
- 店舗のみで提供していた飲食店がデリバリーに対応
- 対面していた販売や手続きをオンラインにて実施
- 物流の無人化
- キャッシュレス決済の導入
一時的なテレワークを経験した方のなかには、急な導入に戸惑った方もいるのではないでしょうか。
環境や要望に対応するため、新しい技術が急に必要とされる時代になっているのです。
イノベーションにてパートナー戦略を活用する
IBMが調査した結果では下記のようになっており、経営者や役職者など責任のある方がイノベーションを求めている場合、外部企業との提携を検討していることが分かります。
企業のイノベーションと成功に必要な重要な機能であるほど、外部プロバイダーを利用したいと考える経営幹部が増えています。外部パートナーの活用戦略を考えるCEOが増えているだけでなく、そのうちの実に53%がイノベーションを加速するために外部パートナーを活用しています。マーケティング担当役員(CMO)の92%が顧客とデータの分析に外部パートナーの活用を検討し、成長重視の情報担当役員(CIO)の68%が将来自社内で必要となる各種スキル、専門技術、能力のバランスの変更に備えて、パートナーを広範に活用しています。
引用元:IBM「パートナー活用戦略の重要性」(https://www.ibm.com/downloads/cas/YNJLKBYP)
自社では実現するのが難しいイノベーションの専門知識をもつ外部企業と協力して実現していくのが求められている戦略です。
パートナー戦略の事例
具体的にパートナー戦略でイノベーションを起こした事例をご紹介します。
CLOMO MDM
画像引用元:株式会社アイキューブドシステムズ公式サイト(https://www.i3-systems.com/)
パートナー提携企業
- 株式会社アイキューブドシステムズ
- 日本マイクロソフト株式会社
パートナー提携時期
- 2016年〜
モバイルデバイスの管理システムであるCLOMO MDMを提供する株式会社アイキューブドシステムズが採用していたクラウドシステムは、シェア率の高いAmazonのAWSでした。しかしマイクロソフトのAzureへと移行し、それまではiOSとAndroidのみの対応だった端末にWindows10もサポート端末として追加。
モバイル端末のみを中心としていたためWindowsデバイスに対してのノウハウがなかったところへ、OSを制作しているメーカーと協力した図式です。従来マイクロソフトは自社が優位に立つパートナー関係での連携が多かった戦略を切り替え、ユーザーの利便性を重視していたためお互いの戦略に沿った相手同士となりました。
トヨタスマートシティ「ウーブン」
画像引用元:トヨタ自動車公式サイト(https://global.toyota/)
パートナー提携企業
- トヨタ自動車株式会社
- 日本電信電話株式会社
パートナー提携時期
- 2020年〜
現時点では発表されたのみで具体的にユーザーに見える形にはなっていないものの、トヨタとNTTが提携する事業はイノベーションのために提携している代表的な例。スマートシティ事業とはクラウドサービスやAI、IoTを活用した次世代の街をつくるプロジェクトです。
自動車のみならず暮らし全体を支える開発を行なうため、トヨタは所有する工場跡地をスマートシティとして活用すると2020年に発表しました。NTTは日本の各官公庁との協業に加えて既に海外ラスベガスにて同様事業に関わっており、まさに最適なノウハウをもっていた企業と言えます。
PayPay
画像引用元:PayPay公式サイト(https://paypay.ne.jp/)
パートナー提携企業・団体
- paypay株式会社
- 各種導入店舗、企業
パートナー提携時期
- 2018年〜
接触を減らす決済方法として多くの店舗などで導入されているPayPayの名前を知らない方はいないでしょう。さまざまな企業や事業者と提携するマルチパートナー戦略として知っておくべき事例です。
キャッシュレス決済を後押しする政府が行なっていた還元事業も広まった要因のひとつですが、さまざまな選択肢からPayPayが多く選ばれたポイントはいくつかあります。
通常決済システムの導入で発生する費用がかからず、直接契約すれば決済手数料も2021年9月30日までの期限が設定されているものの無料。さらに決済システムを挟むと通常であれば数ヶ月かかる入金が翌日から数日の間で入金されるというのも資金繰りに苦しむ店舗には嬉しいポイントです。
またICチップカードのようにわざわざ読み取り機器を導入せずとも、読み込みコードを配置するだけで利用できる敷居の低さも見逃せません。
横浜スタジアム技術実証実験
画像引用元:横浜スタジアム公式サイト(https://www.yokohama-stadium.co.jp/)
パートナー提携企業・団体
- 株式会社横浜スタジアム
- 株式会社横浜DeNAベイスターズ
- LINE株式会社
- 日本電気株式会社
- 神奈川県
- 株式会社ディー・エヌ・エー
- 横浜市(協力)
パートナー提携時期
- 2020年10月・11月
急激な時代の変化に対応するため、一時的ではあるものの複数の企業や公共自治体が協力した事例。
新型コロナウイルスの影響によって入場制限しなければいけない状況下において、さまざまなITシステムを活用し通常の5割から8割を目指し条件緩和ができないかという実証実験を行ないました。会場は横浜スタジアムにて開催される横浜ベイスターズの公式戦。LINEビーコンという位置情報を活用したアプリケーションなどで混雑状況や観客の状況把握や感染発生時の通知、また日本電気の高精細カメラ撮影画像によって人の流れを把握しています。
実験自体や結果については賛否があるものの、情報量や権限、技術的な問題でひとつの企業や公共団体のみでは難しい状況を乗り越えた技術発展につながるケースとして参考にするべきでしょう。
パートナー戦略でバリュープロポジションの相乗効果を活かす
ひとつの企業が専門的な技術やノウハウを取得するには時間がかかります。過去に扱っていない分野についてはなおさらです。
しかしながら現代は早いスピードで状況が変化しており、対応するために自社内で新しい技術の習得やサービスを取り組むことは簡単ではありません。
新たなビジネス成長を目指すための近道として、既に長い年月をかけ実績やノウハウを組み合わせて、お互いのバリュープロポジションを掛け合わせることが重要です。
バリュープロポジションとは強みを活かした戦略
バリュープロポジションを簡単にまとめると、下記3点の条件を満たす強みや価値です。
- 顧客が望んでいる
- 他社が提供できない
- 自社なら提供できる
同じ商圏内の競合他社に差をつけるなら必ず活かすべきポイント。見つけられていない企業でも分析すれば発見できるもので、詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。
異なる強みをもつ企業同士がメリットを活かし、お互いの苦手な分野をサポートし新たな技術やサービスへと俊敏に対応できるのがパートナー戦略最大のメリットです。
パートナー戦略が強く求められる分野とは
パートナー戦略は分野問わず有効ですが、特に早い変化を求められるのはIT分野です。事例として挙げた4点も生活や観戦といった分野ではありながらも全てITに関連。
自社の提供サービスにてIT化が求められているケースだけではなく、代理店やコンサルティング会社が顧客との連絡や管理もIT化しなければ差をつけられてしまう時代です。
パートナー戦略とはただのIT化ではない
今までアナログで行なっていたことをただIT化すればよいわけではありません。デジタル分野においてトランスフォーメーションを有効に活用し、企業の経営方針や将来的なビジネスモデルも絡めて考えていくのが重要です。
しっかりパートナーとして連携するべき相手を査定しなければいけません。「技術を提供できます」というだけではなく下記のように将来性も踏まえて考えてくれる相手を選びましょう。
- 提供技術の活用方法
- 提携相手の経営戦略も見据える
- マーケティング展開も踏まえて検討
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