【マーケティング戦略の失敗事例まとめ】失敗を防ぐポイントは?
最終更新日:2022年06月16日
この記事では、マーケティング戦略の失敗事例とその失敗の原因について解説しています。マーケティング戦略を仕掛ける際には、当然ながらできるだけ失敗は避けたいものです。過去の失敗事例を自社の戦略をより精度の高いものにするためのヒントとして活かしましょう。
なお、「顧客に響くマーケティング戦略がわからない」「いろいろ試してみたが、効果に繋がっていない」といった悩みを抱えている方に向けて、120以上の業界で成果に繋がったポジショニングメディア施策も紹介しております。
マーケティング戦略が失敗につながる理由
マーケティング戦略が失敗してしまう、成功につながらない要因には下記のようなものがあります。
- 消費者ニーズとのずれ
- 対象の不明瞭、選定ミス
- 市場分析の不足
- 戦略ミス
- 差別化不足
- コストの見通し不足
- デジタルコンテンツのノウハウ不足
消費者ニーズとのずれ
新しく展開する商品やサービスのマーケティングを仕掛ける場合、消費者のニーズとマーケティングのメッセージにずれがあると下記のような失敗につながる可能性があります。
- 利用者や購入者が増えない
- 魅力を感じるファンが出てこない
商品を購入する人は、商品自体がほしいのではなく悩みを解決できるものを探している可能性があります。悩みを解決するために新たな悩み、手間が増えてしまうことも避けなければいけません。
特に新しい分野だと自社でニーズが把握しきれていない状況が起こり得る可能性が高くなります。きちんとニーズを把握している、または調査できる会社に協力を依頼することも成功させる上で重要な対策です。
対象の不明瞭、選定ミス
商品・サービスの対象となっている対象についての共有や設定がきちんとできていないと、広告が求められていないずれた内容になってしまいます。
プロジェクトリーダーやマーケティング担当者はもちろんですが、広告担当者や製品開発に関わるスタッフまで、全体への共有が重要です。
認識できていない社員からずれが発生した場合、チェック体制が整っていなければ修正できません。結果としてマーケティング戦略全体の統一感がなくなり、成果につながりにくくなってしまいます。
市場分析の不足
自社が今まで展開してきたサービスとは別の分野へ足を踏み入れる場合、業界の調査もしなければいけません。
過去の慣例や常識を覆す目的で参入する事例もあるかもしれませんが、改革を起こすつもりであっても各業界に携わる生産業者や流通業者のニーズ把握は不可欠です。エンドユーザーである消費者のニーズ調査だけでは必ずしも充分であるとは限りません。
新たな分野でなくても市場分析はマーケティング調査を行なう上での基本手順です。市場の規模や顧客数、ライバル企業の数などを踏まえて戦略を決めなければいけません。
市場分析が不充分だったり、漏れがあったりすると戦略ミスが起こりやすくなってしまいます。
戦略ミス
商品・サービスを展開する業界の調査が万全で社内にノウハウを豊富に持っている場合でも、戦略の立て方が不充分だとマーケティング戦略は失敗しやすくなります。
特に展開を急ぐあまりに、商品設計や認知から購入に至る流れ(カスタマージャーニー)が消費者の属性・ニーズ・行動パターンを捉えた設計になっていなかったというのはありがちなミスです。
見込み客がいつ・どこ・どのように自社の商品やサービスと接し、それがどのように購入に結びつくのか、なるべく明確な設計図を作成しましょう。
差別化不足
すでに同事業で支持を得ている企業や大手企業がある場合、新たに自社が参入するならば差別化できる要素を用意しなければいけません。
価格帯や品揃え、提供サービス内容など自社を選んでもらうためのポイントがなければ新たに参入してもうまくシェアを獲得できない可能性が高くなります。
コストの見通し不足
新たなサービスや商品を提供する際には、準備に大きなコストがかかることも珍しくありません。特に他社を買収して新たな事業に参入する場合など、大きなコストが発生します。
当然売上を上げられればコスト回収を可能です。しかし予想以上に出費が大きくなった場合は利益が減少するため、販売数が減少しても問題のない体制を整えておかなければいけません。
デジタルコンテンツのノウハウ不足
特にSNSやコンテンツマーケティングを展開する際にありがちな失敗です。Webに対してのノウハウが少ないスタッフのみで戦略を考えてしまうと、下記のような事例が発生します。
- コンテンツの制作力が不足
- コンテンツの方向性が異なる
- 話題性を重視しすぎて目的を見失う
- コンテンツ内容のリスク管理に失敗する
SNSを活用したWebマーケティングは成功すれば一瞬で多くの人に広がる一方、炎上してしまうと悪評もすぐに広まってしまうリスクをもっています。
コンテンツ内容のリスク管理ができ、炎上を防げるスタッフを揃えることが重要です。
マーケティング戦略の失敗事例
いくつか実際の失敗事例を解説します。
SKIPのマーケティング戦略事例
戦略目的
SKIPというサービス名であまりピンと来る方がいないかもしれませんが、ユニクロの会社であるファーストリテイリングの子会社が2002年に行なった野菜の通販事業です。
当時すでに安くて品質の良い衣類を届けているというイメージがあったユニクロ。アパレル事業で得たノウハウを野菜の通販に活かすことが目的でした。
結果
結果として当初の売上予測を上回わらず、開始から1年半後には赤字が30億円になってしまいました。
撤退することを会社の会見で報告しています。
失敗ポイント
- ニーズのずれ:野菜購入者の要望調査不足
- 市場分析の不足:野菜業界の流通ノウハウ不足
失敗の改善点や活かし方
SKIPはアパレル業界では多くのノウハウをもっている事業者ではありました。しかし野菜を購入する人求めている購入方法、農業生産者の苦労に関するノウハウは充分にもっていませんでした。
理解していないまま戦略を立ててしまったのが要因です。
実はSKIPの担当者は失敗だけで終わったのではなく、ファーストリテイリングのブランドであるGUの巻き返しに成功しています。
購入者にとって衝撃的な価格帯のジーンズ発売や、日本人がデザインするため自社デザイナーに切り替えるといった方法でGUの黒字化に成功したのです。
失敗したマーケティングで巻き返せなくても、別のサービス提供や製品の戦略に活かすことは大切なポイントです。
ZOZOSUITのマーケティング戦略事例
戦略目的
アパレル通販サイトであるZOZOがPB展開のひとつとして、個別にオーダーメイドで制作するビジネススーツを販売。
計測時に必要だったのがZOZOSUITというタイツ状のアイテムで、着用してアプリで計測することにより個別のボディサイズを測れるというサービスでした。
結果
2017年11月に予約開始し、翌年9月にはZOZOSUITを廃止しました。一年も経たずにサービスを終了したことになります。
失敗ポイント
- ニーズのずれ:狙っている層は計測が面倒に感じるユーザーだった
- 戦略ミス:提供を急ぐあまり、サービス設計やアプリが不充分
失敗の改善点や活かし方
もともとビジネススーツで通販を使わない層を狙っていましたが、下記のような問題がありました。
- 計測するには専用タイツを着て40回転もしなければいけない
- そもそものアプリが使いにくい
- 納品に時間がかかり購入時にもっていた興味が薄れてしまった
しかし、ZOZOがプライベートブランドを立ち上げて海外展開も視野に入れていたこと自体はアパレルブランドとしては間違いではありません。
またオーダーメイドの通販事業において成功例である中国のメーカーである「衣邦人」は、出張計測する採寸師というシステムを導入して採寸の問題をクリアしています。
長く時間をかけてターゲットのニーズを把握し、戦略に時間をかけて考えていれば大きな収益につながった可能性のあるマーケティングです。
さらにZOZOもZOZOSUITで集めたデータをもとに体型の推測アルゴリズムを開発できたことを考えると、失敗を成功につなげたといえます。
コンビニドーナツのマーケティング戦略事例
戦略目的
コーヒーで成功していたコンビニが新たな差別化戦略のために並べていたレジ横ケースのできたてドーナツ。一時期見ていた記憶がある方もいるでしょう。
最初に始めたのは2014年のセブンイレブンで、他コンビニ会社も続いても同様にドーナツの販売を始めました。
結果
各種コンビニ店が追従したものの、3年ほどでどのコンビニもレジ横ケースでの取り扱いをやめました。
失敗ポイント
市場分析の不足:コーヒーよりも市場規模が小さかった
差別化不足:専門店のミスタードーナツよりも充実した品揃えを用意できなかった
失敗の改善点や活かし方
ドーナツ全体の市場がコーヒーと比較すると小さく、さらに全体の売上が減少している状況だったのです。加えて専門店であるミスタードーナツよりも豊富な種類を揃えることは難しく、ドーナツ市場の顧客を奪えませんでした。
結果としてコーヒーのような継続的な位置づけにはならなかったのですが、2021年現在でもパン売り場に一部のドーナツは並んでいます。
市場規模を分析し、合わせた販売展開なら失敗にはならなかったことが分かる事例です。
トロピカーナのマーケティング戦略事例
戦略目的
日本でも販売されているアメリカンの果実飲料であるトロピカーナ。2009年にリブランディングを目的としてパッケージを大きくリニューアルしました。
結果
おしゃれで果実飲料としての印象により近くなったデザインに変更しました。しかし1ヶ月でパッケージを元に戻してしまったのです。
一見するとリブランディング広告の失敗に見えますが、自社分析や差別化ができていなかったことが大きな要因になっています。
失敗ポイント
- 戦略ミス:変更前のパッケージで記載されていた情報が減ってしまった
- 差別化不足:変更前に差別化できていた部分をなくしてしまった
失敗の改善点や活かし方
とてもおしゃれなデザインに仕上がってはいるのですが、パッケージに記載している情報で他社と差別化できていた部分がなくなってしまったのが大きな失敗要因です。
変更前には下記がパッケージに記載されていました。
- 果肉がないこと
- 純粋な果実飲料でプレミアムな飲み物である
- 果汁100%
- 直接果実から飲んでいるイメージイラスト
しかし変更後は100%果汁であることしか記載されておらず、イラストも一般的に見られるグラスに変更されていたことにより、商品の特性がパッケージから消えてしまっていたのです。
パッケージに関わらず、商品やサービスに手を加える際は、なぜ商品が売れているのかという分析や差別化できていた点をしっかり把握するということの必要性を教えてくれる事例です。
キリンのブラジル進出のマーケティング戦略事例
戦略目的
日本でも飲料メーカーの大手であるキリンホールディングスが、2011年に海外進出を目的としてブラジルのスキンカリオールを買収しています。
結果
買収後ブラジルキリンとなりましたが2015年には400億円以上の赤字となり、2017年には売却することになってしまいました。
失敗ポイント
- 市場分析の不足:ブラジルの競合ビール企業の調査不足
- コストの見通し不足:買収による大きな出費
失敗の改善点や活かし方
予算の見通しが甘かった点とブラジルのビール市場におけるマーケティング不足が大きな要因といえます。ブラジルにおいてビール市場は拡大している状況にありましたが、競合企業もとても強くただ買収しただけでは勝てなかったのです。
新しい市場に参入する際は、綿密な市場分析とそれに基づく戦略の必要性がわかります。いまの市場で成功している戦略だとしても、時代や環境の変化に応じた修正やブラッシュアップは常に求められるのです。
アツギのタイツ広告のマーケティング戦略事例
戦略目的
タイツの大手メーカーであるアツギが、タイツの日である11月2日にTwitterでタイツに関連したイラストレーターの作品を投稿しました。ハッシュタグなども添え、プレゼントキャンペーンの広告が主な目的のSNSを利用したマーケティングです。
結果
紹介されていたイラストや、添えられたコメントがタイツを購入する女性向けではなく、女性を性的消費するコンテンツではないかと炎上してしまいました。Twitterの更新も停止しています。
失敗ポイント
- 対象の不明瞭、選定ミス:広告対象はタイツを利用する女性だった
- ニーズのずれ:タイツを購入する女性向けが求める広告ではなかった
- デジタルコンテンツのノウハウ不足:リスク管理不足
失敗の改善点や活かし方
Twitterの担当者やイラストレーターの問題ではなく、企業として下記のように対応していれば炎上が防げた可能性が高い案件です。
- ターゲットやニーズを企業内で共有
- タイツ利用者が購買意欲をもつ広告展開にする
- ターゲットとずれがないか広告内容のチェック体制を整える
同じイラストレーターとは過去にタイツやストッキングに対して製造のこだわりやノウハウについて対談を行なっていたこともありました。本来の購入者が求めているニーズを刺激する広告展開もできた可能性も充分に考えられます。
この事例からは、情報を受け取るユーザーが求めていることや、大切にしている価値観などをしっかりと把握し社内で共有しておくことの重要性がわかります。
マーケティング戦略においては、常にユーザー視点を忘れないことがポイントです。
マーケティング戦略の失敗事例を活かすには
マーケティング戦略での失敗事例を参考にする際は、なぜ失敗したかを分析することが大切です。また他社事例を見るのみならず、自社の過去の失敗も分析しておくことをおすすめします。
もしかすると自社で過去に失敗した事例の中に大きく参考になるケースがあるかもしれません。
日本経済新聞のコラムでも失敗について下記のように述べている経営大学院学長がいます。
仮説を立て、行動計画をつくり実行に移す。すると必ず不確定要因にぶつかり、当初の意図とは違う結果になる。世間的にはこれがいわゆる「失敗」と位置づけられる。
だが、簡単に失敗と断定する前にやるべきことが山ほどある。経営環境を分析して、どの仮説や前提条件が違っていたかを見極める。その苦境から脱するための選択肢をあげ、長所短所を分析して意思決定し、再び行動計画を立てて実行する。
引用元:日本経済新聞「失敗は成功へのステップ 足りない点を教えてくれる」(https://www.nikkei.com/article/DGXKZO03128400S6A600C1X12000/)
マーケティング戦略失敗事例から見るミスの主な原因
失敗の要因となるのは、主に下記の点です。
- ニーズのずれ
- 市場分析の不足
- 戦略ミス
いずれも基本的なフレームワークを活用防げるものばかりです。しかしながら下記のような部分でずれてしまうケースも多くあります。
- 戦略を考えているうちに本来の目的を忘れてしまう
- ターゲット選定や市場分析方法が間違っていた
- 分析する情報が充分ではなかった
分析やターゲット設定、把握しているニーズはマーケティング戦略を考える上で一貫して忘れないように常に確認できるようにしておきましょう。
さらにマーケティング戦略の成功確率を上げるには、自社ならではという差別化ポイントがあることが重要です。ユーザーニーズを踏まえて、自社ならどのような価値提供ができるのかという視点は戦略を考える上で常に意識しましょう。
成功するマーケティング戦略には学びを活かしたPDCAを
マーケティングは注意点が多く、「こうすれば100%成功する」という戦略もありません。過去の失敗から学びながら、継続的にPDCAを回して成功に導く進め方が必要不可欠です。
「やってみたもののうまく行かなかった」や「社内の人的リソースがかけられず継続的に力が入れられない」というのが課題であれば、社外のプロに依頼するのも手です。
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