【3分で理解】市場細分化戦略とは?メリット・事例で解説
最終更新日:2022年07月15日
自社製品を広く浸透させ、競合にはない自社のポジションを確立させたいと考えている企業は、市場細分化戦略がひとつの手段になりえます。
この記事では、市場細分化戦略の概要・メリット・事例を紹介していきます。
あわせて市場細分化による集客・マーケティング戦略の具体例として、ポジショニングメディアについてもご紹介しています。
自社の強みと相性の良いユーザーをセグメントして狙う戦略のため、商談率や成約率の改善、受注単価アップなどの実績のある戦略です。
実際にポジショニングメディアを導入したことで、受注単価が従来の2.5倍にアップした事例もございます。
※ポジショニングメディアの詳細については記事の最後でご紹介しております。
またポジショニングメディアのご紹介ページも別途ご用意していますので、興味がございましたら以下ページもぜひご覧ください。
ポジショニングメディア戦略の
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市場細分化戦略とは?
市場細分化戦略とは、類似の特徴・行動パターンを持つ消費者どうしで区分し、グループごとに最適なマーケティングを行う手法です。
なぜ類似の消費者を集めるかというと、「サービス・製品を購入する発端はライフスタイルの維持や拡張によるもの」と位置づけられているためです。
つまり、消費者はライスタイルを保つために、ニーズを満たす商品やサービスを定期的に買いなおしたり、買い足したりします。
また、家族が増える、趣味を始めるなど、ライフスタイルを拡張するのに品揃えを増やすケースもあります。消費が増えるのは生活環境に絡む場合が多いため、ライフスタイルに焦点を当てて施策を打つと効率的だと考えられるのです。
市場細分化戦略が広まったのは1956年以降
市場細分化戦略の必要性を広めたのは、スミス(W.R.Smith)です。1956年にスミス氏は、「差別化戦略は広範囲な市場でシェアを獲得でき、同時に市場細分化戦略はセグメントの中で市場ポジションの深さを生み出す傾向がある」と述べています。
つまり、差別化戦略をより効果的なものにするためには、市場細分化戦略が重要であると提唱しています。
市場細分化戦略の目的・効果とは
市場細分化戦略を立てる目的は、消費者の属性で区分すると、狙うべき市場がハッキリするところにあります。消費者のニーズによってマーケティング戦略を変えることで、ターゲットに対して最も効果的なアプローチを考えやすくなります。
また、区分ごとに自社の競合となる会社が分かるので、自社と他社の違い(強みや弱み)を明らかにでき、他社との差別化を図るのに役立つでしょう。新製品を開発するか否かの判断基準にもなります。
市場細分化戦略のメリット
市場細分化戦略では、地理的変数・人口統計的変数・心理的変数・行動的変数の4つの軸で評価できるメリットがあります。ここでは、4つの軸から得られるメリットを紹介します。
地理的変数から見えること
地理的変数では、国・地域・気候・文化・地域の規模といった観点から消費者の行動パターンを洗い出していきます。
たとえば、本州ではスギ花粉、北海道には白樺・ハンノキ花粉があり、本州・北海道の地域では花粉症の対策グッズが売れる見込みがあります。
しかし、アレルギーとなる花粉が少ない沖縄では、花粉症対策グッズを同量卸したところで売れる数は少ないでしょう。同ケースのように地理的変数を用いると、地域に適したマーケティングが行えるメリットがあります。
人口統計的変数から見えること
人口統計的変数(人口動態変数・デモグラフィック変数)では、消費者の性別・年齢・職業・所得・学歴といった情報からペルソナを設定していきます。
車の販売一つとっても、車種によって狙うべき層は大きく異なります。安くて可愛らしい軽自動車なら20~30代のOLを狙ったり、ミニバンなら30~50代のファミリー層を見込んだりと、施策の変更が必要です。
同ケースのように、人口統計的変数を用いると、見込みが高い層へ訴求できます。
心理的変数から見えること
心理的変数は、生まれた環境・人生経験によって形成した価値観を言い、消費行動に影響を与えると考えられています。
たとえば、暖かい気候の本州では夏にアイスの売れ行きが好調となるのに対し、寒冷な気候の北海道では暖房をつける冬に売れ行きが良くなります。
このように、育った環境一つで、アイスは夏に食べる物・冬に食べる物と意見が割れるケースは多くあるのです。心理的変数が消費に与える影響を予測すれば、商品・サービスの売れ行きの検討をつけられるでしょう。
行動的変数から見えること
行動的変数は、製品やサービスに対する知識・使用頻度・購買後の態度を指しており、消費者の状態を把握できます。ライトユーザー・ミドルユーザー・ヘビーユーザーのどの層が自社に一番貢献しているか分かると、力を入れるべき層が見えてくるでしょう。
製品・サービスによって貢献している層が意外と異なり、年に1~2回程度買うライトユーザーが売上の8割を占めているケースもあります。
反対に、数%しかいないヘビーユーザーが売上の6割以上を占めているパターンもあるので、行動的変数によって自社が注力する層を見極めるのが大事です。
市場細分化戦略の進め方・ポイント
市場細分化戦略を進めるうえで、2つのアプローチ方法があります。
1つ目はアプリオリ・セグメンテーションで、基準変数の選定後に消費者を区分けしていく方法です。
2つ目は、クラスタリング・セグメンテーションで、消費者行動のデータをもとに区分けしていく方法となります。
従来では何らかの基準を設けて消費者を分けるアプリオリ・セグメンテーションが重宝されていました。しかし、消費を増やすには購買行動が大事であるという認識が広まりつつあるため、クラスタリング・セグメンテーションにも注目が集まっています。
アプリオリ・セグメンテーションのポイント
アプリオリ・セグメンテーションでは、事前に集めた情報をもとにして区分けするため、簡単に評価できるのがポイントです。
取っ掛かりやすい反面、集めたデータの範囲内でしか評価できないデメリットもあります。基本的に、地理的変数・人口統計的変数・心理的変数などの区分けに多く用いられています。
クラスタリング・セグメンテーションのポイント
クラスタリング・セグメンテーションは、直接集計できない消費者の行動を評価できるメリットがあります。
何が購買行動に繋がっているのか、おおよその見当をつけられるでしょう。一方で、購買行動データは評価しにくい側面があるため、人によって解釈が違うデメリットがあるのです。
基本的には、複合的なセグメンテーション(複数の変数を区分け)や、ライフスタイル分析を進めるうえで重宝します。
ライフスタイル変数・パーソナリティ変数が注目されている
市場細分化戦略では、近年のライフスタイル変数・パーソナリティ変数によるセグメントが注目されています。というのも、年齢・地域・性別といった他の変数だけでは、分析しにくい時代に突入してきているからです。
たくさん物があふれ、人々の価値・ライフスタイルが多様化する現代では、評価できない層が一定数存在します。評価しにくい層にアプローチする方法として、ライフスタイル変数・パーソナリティ変数によるセグメントから戦略を紐解くのも有効です。
ライフスタイル分析とは?
ライフスタイル分析は、消費者の属性だけでなく、「価値観・趣味嗜好・興味・関心・メディア接触状況・好むブランド・IT機器の利用状況」などを長期間かけて調査する必要があります。
ライフスタイルのデータを集めると、いつどこでどのような感情の時に購入する傾向があるかが見えてきます。
パーソナリティ分析とは?
パーソナリティ分析では、性格・気質・興味・態度・価値観を照らし合わせてセグメントします。知的好奇心の強さや誠実さ、社交性や協調性の有無、情緒の不安定性などでカテゴライズし、パーソナリティが消費行動に与える影響力を予測しています。
実は、消費者は自分と合うパーソナリティを選ぶ傾向が高いと言われています。ただし、心因的な要素のみで考えると偏ったデータが抽出されてしまうので、パーソナリティ分析と他分析を組み合わせて総合的に判断するのが望ましいでしょう。
市場細分化戦略を用いたSTP分析とは?
STP分析とは、セグメンテーション(市場細分化)・ターゲティング・ポジショニングの3つで効果的に市場を開拓できるマーケティング手法です。
市場細分化で消費者を属性や法則性を持って区分した後は、自社製品が狙うターゲット層を抽出し、消費者の購入を促すための競合他社にはない優位性を持たせます。
STP分析誕生の秘密とは?
STP分析は、マーケティングの権威と言われているフィリップ・コトラーが確立させました。しかし、その理論の礎となったのは、顧客セグメンテーションとポジショニングの概念です。
顧客セグメンテーションは、アルフレッド・スローンが提唱しました。所得によって車のニーズが変わると分析したスローン氏は、セグメンテーションを活かして、顧客ニーズに応じた多品車種量産のスタイルを築き上げたのです。
さらに、アル・ライズとジャック・トラウトがポジショニングの概念を提唱し、競合他社の中で消費者は自社をどう位置づけているか予測できるようになりました。
STPのターゲティング(T)の方法
ターゲティングは、自社が狙うターゲット層を絞り込む方法で、無差別型・差別型・集中型の3パターンのいずれかを使って行います。まず、無差別型はセグメントを一切無視し、同じ商品を全ての市場に供給する方法となります。
分類してヒット率を上げられる形で供給するのではなく、とにかく一律に供給してヒットを生み出すスタイルです。
続いて差別型ですが、セグメントした市場ごとに合った製品を供給する手法で、多くの企業で用いられています。
最後に集中型ですが、セグメントした市場の中でも、ごく一部に対してのみマーケティングを行う手法となります。リピーターとなるようなファンを獲得するには、集中型マーケティングが必要でしょう。
STPのポジショニング(P)の方法
ポジショニングは、競合他社がひしめく中で、消費者が自社をどの位置につけるかを予測する作業です。消費者をセグメントし、たとえば20~30代のOL向けの軽自動車で勝負しようとした時に、消費者が自社をどう見るのかを考えていきます。
もし競合他社が同じ価格帯で可愛らしい軽自動車を販売していて、自社は真逆となる格好いいデザインを売りにしているなら、スタイリッシュやオシャレといった路線でポジションを確立できます。
ポジショニングをする際は、商品軸・価値軸の設定をし、ポジショニングマップを作成したうえで、他社にはない明確な差別化ポイントを見極めます。
STPのデメリットとは?
STPには、セグメントをどこまで厳密にするか、線引きがハッキリしないというデメリットが存在します。
というのも、消費市場が多様化する中で、消費者をどのように分けるべきか分かりにくいのが問題視されているのです。しかし、ターゲット・セグメントはポジションに付きものなので、マーケティングの基礎知識として身につけるのがおすすめです。
市場細分化戦略の事例
ここでは、市場細分化戦略(セグメンテーション)で成功を収めた企業の事例を紹介していきます。ブランドの認知向上や市場拡大を図るなら、市場細分化戦略を取り入れてみましょう。
ホンダスーパーカブの市場細分化戦略
ホンダは「ホンダスーパーカブ」で、アメリカのバイク市場で大成功を収めました。実は、ホンダがアメリカ市場に進出する際に、競合と比べてブランド力・品質・コストで突出するものがありませんでした。
そこで、セグメンテーションを行い、ホンダは小型バイクに活路を見いだしたのです。大型バイク市場が過熱していたアメリカでは、小型バイク市場は重要視されていませんでした。
しかし、小型バイクをコストを下げて売り出すことで、ブランドの認知向上と市場拡大を実現させています。
ホンダ事例から分かるSTPの大切さ
ホンダの事例では、セグメンテーション(S)に小型バイク・ターゲティング(T)に安さを求める人・ポジショニング(P)で「圧倒的な安さの小型バイク」の位置づけを明確にしました。
既に飽和している市場で品質やブランド力で欧米メーカーに勝てないなら、手つかずの市場でコストを下げて売り出すという戦略に切り替えたのです。
逆転の発想で打ち出した施策は見事に成功を収め、世界にホンダの名を轟かせました。無理して技術面・ブランド力で勝たなくとも、ポジショニング次第で成功に導けるのです。
ユニクロの市場細分化戦略
ユニクロは、ファッション業界としては異例のセグメンテーションで、世界的に有名な企業へと昇り詰めています。ファッションといえば、オシャレにこだわりがある人をセグメントする企業が多い中、ユニクロはオシャレ嫌いをセグメントしています。
ベーシックなデザイン・豊富なカラーバリエーション・機能性の3つの軸で、オシャレに抵抗を持っている人からオシャレが好きな人まで幅広い層の獲得に成功しています。
ユニクロの事例から分かるSTPの凄さ
ユニクロは、オシャレを追及するファッションとは真逆の戦略で、大衆の心を掴みました。セグメントにオシャレ嫌い、ターゲティングにコーディネートのしやすさを求める人、ポジショニングにコーディネートしやすい安い服という位置づけをしています。
なんにでもシンプルに合わせやすいからこそ、オシャレが苦手な人も得意な人も購入しやすい服となっています。
コメダ珈琲店の市場細分化戦略
コメダ珈琲店はカフェチェーン店として、瞬く間に規模を拡大しています。セグメントに飲食のボリュームの多さ・落ち着ける座席・パンメニューを設定し、肩ひじを張らずに通えるカフェとして地位を確立しているのです。
ファミリーから中高年まで幅広い層から人気を集め、売上アップに成功しています。
コメダ珈琲店の事例から分かるSTPの強み
コメダ珈琲店は、セグメントに飲食のボリュームの多さ・落ち着ける座席・パンメニュー、ターゲティングに肩ひじを張らずに珈琲店を利用したい人を設定しています。
さらに、ポジショニングで、「どの年代でも気軽に利用できる、注文が難しくない珈琲店」という位置づけをしています。
分かりやすいメニュー名に、店員が注文からセッティングまで行うフルサービスは、小さな子どもがいるママやパパ、お年寄りから高評価を得ているのです。
市場細分化戦略(セグメント)で他社と差別化を図ろう
市場細分化戦略は、顧客の属性や購買行動を徹底的に分析し、ニッチなニーズに応えることで自社のポジションを確立するとともに、顧客を獲得できる戦略です。
セグメント(S)で、抽出したデータを類似グループに分けたら、ターゲティング(T)で自社が狙うべき層を明確にします。さらに、ポジショニング(P)で、競合にはない自社の強みを創出していきます。
フィリップ・コトラーの提唱通りに、STPはセグメント・ターゲティング・ポジショニングの順で分析するのが一般的です。
差別化・シェア拡大を図る際に、STP分析を用いて市場細分化戦略によるポジションの確立を検討してみてください。
細分化した市場でマッチする顧客だけを集める「ポジショニングメディア」戦略
ポジショニングメディアとは、その名の通り市場内での自社のポジション(立ち位置)をユーザーに伝えるメディアです。
STP分析でもポジショニング(P)のお話がありましたが、まさにポジショニングメディアでは、自社ならではの強みや価値を、競合と比較しながら見せることで、「◯◯といえば自社」という立ち位置を市場内で確立できます。
上記イラストのように、ユーザーは「自分に合う会社・商品はこれだ」と納得して選べるため、ポジショニングメディアを経由して問い合わせてくれたユーザーは商談率・成約率も高まります。
実際にポジショニングメディアを導入した企業からは、
- 自社の商品・サービスを理解してくれる検討者が増えて商談率が8割以上になった
- 自社商材と費用感の合う検討者が増え、受注単価が2.5倍に増えた
- 競合と比べた上で自社に興味を持ってもらい契約までのリードタイムが3分の1に短縮できた
といった成果を実感する声もいただいています。
キャククルを運営するZenkenでは、ポジショニングメディアをはじめとした、クライアント独自の強みを軸とする集客・マーケティング戦略をご提案しています。
現在までに120業種を超えるクライアント企業を支援しており、そのノウハウを活かして貴社ならではの戦略をご提案させていただきます。
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