三菱重工の経営戦略・マーケティング戦略を分析

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三菱重工は船舶やエネルギー関連機器、産業機械、航空機、鉄道車両、ロケットと、幅広く事業展開を進める国内最大の機械メーカー。1884年に創立され、100年以上の歴史を誇る三菱重工はどのような戦略で誰もが知る巨大企業へと成長したのでしょうか。

このページでは、三菱重工の経営戦略・マーケティング戦略を調査し、解説していきます。巨大企業の戦略を見て自社が学べるポイントを模索したい、自社のマーケティングを見直したい方は、ぜひご参考ください。

経営戦略やマーケティング戦略を考えるうえで欠かせないのは、自社が置かれている環境の把握です。他社のが打ち出している戦略を参考にしながら、自社の強みが活かせる経営方針を工夫することが重要です。

下記のページには自社の強みや競合他社を分析できるワークシートを用意しておりますので、ぜひこちらも活用してみてください。

自社と競合他社を分析し
「成果に繋げる」ワークシート

三菱重工の経営戦略のポイント

ポイントの画像

日本の近代化とともに成長してきた三菱重工。持続的な成長に向け、財務健全性を維持しながら成長投資を推進しつつ、グローバルに戦うための体制を整備しています。

キャッシュ・フローを重視した経営

三菱重工グループは、長期にわたる事業規模の停滞、利益水準の低迷と厳しい財政状況に立たされた時期がありました。その経験をもとに、財務基盤の方針を大きく転換します。

フリー・キャッシュ・フローが利益水準と相関関係にあることを発見し、キャッシュ・フローを重視する経営に変更。財務指標を改善させ、投資やリスクに対応しやすくなる結果を生み出しています。

調和のとれた経営を目指す

三菱重工グループは、「顧客」「投資家」「自社」の三方の調和のとれた経営を目指すため、売上高:総資産:時価総額=1:1:1の比率を目指すTOP(Triple One Proportion)を経営指標に掲げました。

このTOPを実現するため、効率的で質の高い事業活動を最優先要件にしながら長期的な経営改善に取り組んでいます。安定的な企業価値の向上を目指して、絶え間ない変革を行っているとのことです。

社会の変化に対応

三菱重工は、常に社会に求められる存在として進化するため、IoTやAIなどの最新鋭の技術やノウハウの積極的な導入に取り組み、社会のニーズの変化に向き合っています。

また、気候変動や天然資源の枯渇など、世界の環境危機の意識の高まりを受けて、環境保全への取り組みにも注力。サステナブルな社会を実現するために低炭素から脱炭素へのシフトにも取り組むなど、絶えず早いスピードで変化し続けている企業です。

三菱重工の巨大企業としての強み

大きな企業のビル

三菱重工は他社に比べて多品種の製品を扱っているコングロマリット企業です。その多様性を強みに、さまざまな面で戦略を展開し、社会に貢献する取り組みを実施しています。

技術戦略

ひとつの製品で開発した技術を他製品に展開することで、ひとつの開発投資から多くの成果を得られるメリットがあります。

たとえば、ガスタービンのために開発した技術をコンプレッサーやターボ冷凍機、ターボチャージャの技術に応用できる点が、三菱重工の技術戦略の強みの一つです。

人材戦略

三菱重工を支えるすべての人が活き活きと働けるよう、エンゲージメントの促進と組織力の向上に取り組んでいます。企業の戦略や方向性、目的を従業員にしっかりと共有しつつ、常に業務内容やプロセス、人事制度と運用の見直しに目を向けながら、働きやすい環境を整備しているのです。

また、ダイバーシティ・マネジメントの一環として、女性が働きやすい環境づくり育児・介護をする人に向けた短時間勤務・在宅勤務など、働き方や働くスタイルを自由に選べる企業を目指して環境整備を進めています。

カーボンニュートラル

三菱重工は、巨大企業の社会的責任と旗振り役として「2040年カーボンニュートラル」を宣言しました。既存の事業の脱炭素化や電化、知能化を推進し、2030年にはCO2排出量の50%削減、2040年にはゼロを目指しています。

また、自社のCO2排出だけでなく、顧客のCO2排出も視野に入れた目標を設定。政府目標の2050年よりも10年前倒した2040年に設定するなど、意欲的な目標設定を掲げて社会的責任への想いを表明しています。

三菱重工の経営戦略まとめ

戦略を考えている人々

三菱重工はその長い歴史のなか、いくつかの厳しい状況を乗り越えた結果としてキャッシュ・フローを重視し、TOPという独自の経営指標を掲げました。

そのうえで、三菱重工はIoTやITに積極的に取り組んだり、開発した技術を複数の分野で活かしたりするなど、大手企業ならではの強みを活かして今後も活躍していけるための施策を打ち出しています。

三菱重工の例を見ると、社会などの変化を予期し、経営戦略を必要に応じて調整していく重要さがわかります。巨大なコンゴロマリット企業にしかできない施策もありますが、売上を伸ばすためには競合にはできない資源を発掘し、効率的に活用しましょう。

経営戦略の立て方やフレームワーク、成功事例などについてさらに知りたい方は、ぜひ下記のページもご覧ください。

経営戦略の立て方や
成功事例を紹介

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