LCCの経営戦略・マーケティング戦略とは
最終更新日:2022年06月17日
航空業界でLCC(ローコストキャリア)と呼ばれる格安航空会社。LCCは従来の航空会社が行っていたサービスを廃止したり有料化したりすることによって、経営を効率化して正規運賃自体を低価格にするサービスを定期協しています。
この記事ではピーチ・アビエーションを例として、LCC特にの経営戦略・マーケティング戦略のポイントについて解説しています。
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LCCの経営戦略のポイント
2012年は日本発のLCC社が相次いで運航をはじめ、「LCC元年」とも呼ばれました。その後、各社がしのぎを削っていましたが、業績が低迷する会社が現れるなど経営状況に差がついていきます。
2020年には、新型コロナウイルス感染症の流行による影響を受け、ついにLCCの1社「エアアジア・ジャパン」が日本での事業を廃止してしまいました。コロナ禍でどの航空各社も苦境に立たされる中、ピーチ・アビエーションとジェットスターはLCC事業を継続しています。
この違いは一体どこにあるのでしょうか。企業価値を創業当初の7倍に押し上げたと言われるLCC「ピーチ・アビエーション(以下ピーチ)」の戦略に注目して考えてみましょう。
分かりやすいコンセプト設定
ピーチは、運航当初から「空飛ぶ電車」という分かりやすいコンセプトを掲げていました。
電車に乗るような感覚で、低価格で利用できるという点はもちろん、定刻になると遅れている乗客を待たずに出発する、新幹線のワゴンサービスのように飲食物は有料であるなど、LCCの特徴を「空飛ぶ電車」というひと言でうまくあらわしたのです。
はじめはLCCの特性をよく理解していなかった利用客も、その分かりやすいコンセプトによって、「既存の飛行機とは違う」と納得した上で利用してくれるようになりました。
企業の「キャラ」を出す
ピーチは、関西圏の空港を拠点とする大阪の企業です。そこで、利用客に覚えてもらう、親しみを持ってもらうことを目的に「大阪キャラ」を前面に打ち出しました。
例えば、機内で提供する食事をタコ焼きやお好み焼きなどのソウルフードにする、「まいどおおきに」を合言葉に、ときには関西弁でアナウンスする、などです。
これまでの常識をくつがえすような機内食メニューやアナウンスは好評となり、有料の機内販売でも売り上げを伸ばしたとのこと。一人の乗客がタコ焼きやお好み焼きをオーダーすると、匂いにつられて周りの人にも次々と売れるという現象さえ起こしました。
こうして企業に「キャラ設定」をして身近で親しみのある存在になったピーチは、着実に日本で運航するLCC社として独自のポジションを築いていったのです。
特定のターゲットに向けたPR
ピーチは、数ある大手航空会社との競争を避けるため、運航当初からターゲット層を「リゾートや観光地へ行く学生やファミリー」に絞ってPRやキャンペーンを展開してきました。
運航するエリアも、観光地やリゾートに便利な地域に絞って路線を集中させていることが分かります。「少しでも安く旅行へ行きたい」という層のニーズにこたえ、安定した搭乗率や利益を維持しているのです。
ターゲットニーズに合わせたサービス展開はピーチの顧客満足度にも好影響を与えており、リピーター獲得にもつながっています。
LCCの経営戦略まとめ
日本発のLCCとして成功をおさめているピーチは、分かりやすいコンセプトとキャラクター設定、明確なターゲティングによって独自のポジションを築きました。
コンセプト設定とターゲティング、そして市場で自社の立ち位置を知り、かつ独自のポジションをとってたたかうことは、どんな業種・業界においても非常に重要です。これから新しいビジネスを展開したい、経営戦略を練り直したいという方は、まず市場を知り、狙うべきターゲットと自社の立ち位置を決めることからはじめましょう。
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