小松製作所の経営戦略・マーケティング戦略を解説
最終更新日:2022年07月26日
2021年に創立100周年を迎えた建設機械・鉱山機械の製造メーカー「小松製作所」。日本での建設機械のシェア1位、世界的に見ても、キャタピラー社(アメリカ)に次いで2位につけているグローバル企業です。本記事では、小松製作所がどのような経営戦略やマーケティング戦略で成長を続けているのかをまとめました。貴社における経営戦略、マーケティング戦略の参考にお役立てください。
小松製作所の経営戦略
画像引用元:小松製作所公式サイト(https://www.komatsu.jp/ja)
小松製作所は、日本初の国産トラクターを世に送り出した歴史ある企業です。その他にも、
- ブルドーザー
- 油圧ショベル
- フォークリフト
- 重ダンプトラック
などの建機製品を次々と開発してきました。
いち早くグローバル化を目指す
小松製作所は、世界の市場に目を向けて、日本の自動車メーカーよりも早く、1950年代にはすでに海外への輸出や、海外工場の建設を手がけてきました。アメリカ・キャタピラー社が日本へ進出してきた際、このままでは品質で勝てないと予測。
「マルA対策」と呼ばれる品質向上を目的とした施策をコスト度外視で実施しました。結果、品質向上は成功し、キャタピラー社に対抗できるまでに成長。競合に対して価格ではなく、製品の品質向上で差別化を図った結果、世界進出の成功にもつながりました。
工場の体制整備で安定供給を実現
小松製作所は、製品の「開発」と「生産」の両方の機能を持つ「マザー工場」と呼ばれる拠点を北米やヨーロッパ各地に設置しました。新機種の立ち上げ時やモデルチェンジ時には、開発、生産、サプライヤーが一体となって、
- 品質
- コスト
- 納期
において安定供給できるように整備。主要コンポーネントは日本で開発・生産し、本体の組立ては需要の大きい各地域で行います。機械の現地仕様化や、品質向上に取り組みやすくして、国際的な競争力を強めています。
小松製作所のマーケティング戦略
小松製作所が世界を相手に巨大なシェアを獲得できたのは、その巧みなマーケティング戦略にもあらわれていました。他社との差別化を図る戦略で、小松製作所ならではの強みを創造して成長を続けています。
全世界をカバーする販売・サービス網
小松製作所の販売店は、世界148ヶ国・210代理店の代理店網が、各国の需要地にあります。台数ベースで全世界の99%をカバーし、どこにいてもコマツグループの製品を手に入れられるような戦略を行いました。グローバルな販売・サービスのネットワーク構築が、世界トップクラスのシェアにつながっています。
省人化・自動化による差別化戦略
小松製作所は、イノベーションによる価値創造を掲げ、建設機械にGPS技術やIoTを取り入れたネットワークシステムの開発にも注力しています。高精度GPSや無線ネットワークを活用し、稼働するダンプトラックを「無人運行」できるシステムを実用化。
さらに、生産から販売まで全ての工程をリアルタイムに連携させるため、IoT技術を駆使したプラットフォームを確立し、生産性の向上を強化しています。現場の省人化、自動化によって施工の安全性と生産性を高め、高付加価値を作り上げ他社との差別化を図っています。
他社との差別化を図る戦略がカギ
小松製作所は、戦後いち早くグローバル化に取り組み、世界各地に製造拠点を設けることで市場を拡大していきました。世界中のどの建設現場でも品質・安全性の高い機械を提供できる強み、サポートやサービスを受けられる強みが、世界シェアの獲得につながっています。
また、小松製作所は、さらに生産性や安全性を高めるため、DX化を加速させ、他社にはない新たな価値を創造しようとしています。このように、自社の製品やサービスが「どうすれば顧客から選ばれるか」を考え、競合他社との差別化を図っていくことは重要です。
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