経営戦略がユニークで面白い企業に共通していることとは?
最終更新日:2022年07月25日
経営戦略に悩む中小企業が最初に参考にするのは、経営戦略で成功している事例です。さらに突き詰めて考えたい場合は、経営戦略が「ユニークで面白い」企業の事例を参考にしてみるとよいかもしれません。
経営戦略がユニークである、すなわち独自の経営センスを持ち合わせている企業の事例には、成功のヒントがたくさん隠れているものです。
ここでは、経営戦略で意識すべき点と、面白い戦略を展開した事例をご紹介していきます。
面白い経営戦略の根底にある「基本のキ」
中小企業は大企業と比較すると資本金、人材が限られているため大企業には勝てないと思い込んでしまいがちです。
しかし、マイケルポーターの基本戦略を軸として考えれば大企業とも勝負できます。
マイケルポーターとは競争戦略を研究するアメリカの経済学者で、マーケティングに携わる方なら知っておくべき人物です。
企業が競争に勝つための戦略として下記を重要視しているのが有名です。
- 差別化戦略
- 集中戦略
- コスト・リーダーシップ戦略
中小企業は弱点があるため大企業には勝てないと思っていても、実はその弱点が大きな戦略ポイントにできるケースがあります。
中小企業は面白い経営戦略を展開しやすい
面白い経営戦略を展開できれば、他でみないサービス展開やビジネスターゲットを狙えるため他社との差別化が図れます。
一方で中小企業は規模が小さいため方向性の転換や新たなサービスを始めるにあたっての社内障壁は少なく小回りが利きやすい企業です。
面白い経営戦略を考える上での準備
同業他社や大手にはない経営戦略を考える上で準備しておくべき点は下記のとおり。
- 自社がもつ技術、商材を見直す
- 市場ニーズを把握する
- ブルーオーシャンを調査する
まず自社がもっている技術や商品の強み、メリットやデメリットを把握しておくことです。現場の人だけがお客の声を聞いていて、経営層が認識していないというケースも多々あります。
その上で自社が責めていくべきニーズのある分野を調査します。すでに競合がひしめき合っているいわゆるレッドオーシャンではなく、まだ競合が参入していないブルーオーシャンを見つけだせば、大企業ではなくても充分な利益を上げられます。
面白い経営戦略を成功させるポイント
面白い戦略を事業の成につなげるポイントがふたつあります。
- 変化を怖がらない
- 数値だけにこだわらない
変化を怖がらない
面白い、ユニークな経営戦略に舵を切るといいながら、過去に事例がないからと失敗を恐れて新しいチャレンジに踏み切れないケースが多々あります。
面白い戦略で勝ちたいならば「ミスしても当たり前」という気持ちで進めなければいけません。
特に日本はミスを許さない文化がありますが、中小企業が他社と差別化するためにはミスを恐れない挑戦が成功に大きく関わっています。
数値だけにこだわらない
売上数や利益など数値化できるものだけにこだわるのも、成功を邪魔する要素にもなり得ます。例えば下記のような強みは、企業のイメージや売上アップにつながります。
- 企業の中で従業員同士の連携ができている
- 顧客とのコミュニケーションが取れている
特に人数が少ない中小企業では数値化できない面も、大企業と比較すると把握しやすいメリットがあります。
面白い経営戦略で成功した企業の事例
面白い経営戦略を検討している方に参考となる例をご紹介します。現在ではよく耳にする大企業も、中小規模の時代で他にはない戦略を展開したために成功したという事例も珍しくありません。
株式会社中川政七商店
製造小売事業や教育事業、ブランディングのコンサルタントも実施する、元々は衣類や工芸品を製造していた企業。技術自体は古くから伝わる伝統工芸ながらも新しい戦略展開で勝負する、老舗ベンチャーの事例として参考になります。
メーカーから製造小売事業へと転換
製造小売事業とは企画から製造販売までを一貫して行なう事業を指し、SPAと呼ばれます。
本来アパレルに多く広がっていた戦略ですが、工芸製品などにも適用されるようになってきました。
メーカーとコンサルタントの2面性
自社のみならず、他の工芸品メーカーを製造小売事業としてサポート。顧客はBtoCかつBtoBになります。
- 工芸品メーカー
- 一般消費者
奈良の伝統的な蚊帳生地を活用したふきん、長崎の陶磁器技術、波佐見焼で作られたマグカップなどが代表的です。場合によっては小売先としての販売ルートも用意しています。
工芸品の製造小売事業企業へコンサルタントを提供する、差別化事例です。
株式会社ハイデイ日高(日高屋)
安価で中華料理を提供する日高屋で注目すべきは、立地戦略の面白さ。展開する立地を公式Webサイトにて
「日高屋の大きなこだわりのひとつが、駅前の、しかも1階という立地。」
引用元:日高屋「日高屋のこだわり」(https://hidakaya.hiday.co.jp/point/index.html)
として掲げています。
他社にのる立地調査
調査に手間をかけないよう既に大手ファストフードチェーンが複数ある立地を中心に出店しています。特にマクドナルドや吉野家など外食最大手が並ぶ立地に見るのはこうした立地戦略が理由です。
また一般的にはコストを抑えるために家賃が安い場所を探しますが、日高屋は1973年の開業以降、あえて家賃の高い場所を狙っていました。
特に当時ラーメン店で家賃の高い駅前で出店するケースは少なかったため、大きなシェアを獲得に成功。一等地の顧客を狙う、集中戦略にあたります。
まだ大手とはいえない時代、埼玉からお店を東京にだした際も普通は価格を上げる手法をとりますが、あえて安くなる設定にしました。
一般的に基本とされる戦略とは逆の方法をとる逆張り戦略ともいえる方法で、同じラーメン店と比較すると価格帯で差別化できます。
利益をだすため自社工場の建築など、コスト・リーダーシップ戦略も重視されています。
開業時期には一般的ではなかった24時までと深夜営業している点も差別化戦略にあたり、客を獲得している大きな要因です。
株式会社サイゼリヤ
同業他社よりも価格が安いコスト・リーダーシップ戦略で有名なサイゼリヤ。しかしただ削減しようと従業員に周知するだけではなかなかうまくいきません。
サイゼリヤのすごさはコスト削減にあたり企業全体で業務を効率化している点にあります。
効率化に徹底
他社にまねできないようなコスト削減が成功したかげには、多くの工夫があります。いくつか例を挙げると下記のとおりです。
- 食材は自社農場で育成し品種改良も実施
- 関節と筋肉の動きを減らし無駄をなくす
- ホールとキッチンを区別しない
- iPod touch導入でオーダー用紙を削減
- 食材は下調理後発送し現場の仕込みを削減
特に体の動きを重視して作業量を減らすという点は、飲食店ではあまりみられない考え方です。徹底的に効率化した差別化戦略を進めている企業といえます。
サイゼリアの価格戦略について解説した記事もありますので、ご興味がある方はお読みください。
トラブルから効率化を決意
なお、生産性の効率化は開業当時からこだわっていたのではなく、従業員のトラブルから正垣泰彦社長が学んだことで生まれた方向性です。
従業員が会社の売上金を盗んだというトラブルがあり、給料の低さが原因と考えて社長は盗んだ従業員を許したのです。そして同じことが起こらないように、生産性の向上と給料引き上げし給与に反映させることを決めました。
こうしたトラブルから転換する発想も、小回りが利きやすい中小企業だからこそできる事例です。
スズキ株式会社
大手自動車企業ではありますが、海外進出で成功した事例としてスズキも注目すべき点があります。
日本企業だが海外の売上が大きい
スズキは1982年に、当時は発展途上国に含まれていたインドへ進出しました。進出以降インドの人口は爆発的に増えており、2022年時点においてはいずれ中国を抜くともいわれるほど巨大なマーケットとなったのです。
2020年に新型コロナウイルスの影響で一時期不調となるも、2019年までスズキの自動車売上はインドにおける割合が、日本よりとても大きい状況でした。
先見の明があったわけではない
インドへの進出だけを見ると、発展途上の国に絞った集中戦略とも思えますが、実はあえてインドを狙っていたわけではありません。進出前にインド政府が低価格で自動車を開発してくれる複数企業に交渉したのがきっかけです。
実はインド政府はスズキ以外の自動車企業にも交渉していたのですが、ちゃんと話を聞いたのはスズキだけでした。
インドが大きなマーケットになることを予想していたわけではなく、希望にそった低価格の自動車を開発できる技術があったところに話がきたので対応をしたというだけなのです。
自社分析は大切
ズズキのインド進出事例は他社にはない自動車の開発で差別化。何よりも自社の技術にそったマーケティングを熟知していたため、当時インド政府の期待に応えられた点は見習うべきです。
株式会社ドン・キホーテ
ドン・キホーテで有名なのは圧縮陳列ですが、他にも注目すべき点は多くあります。
社員の成長と商圏への柔軟な対応
ドン・キホーテは店員に学歴や経歴は求めず、出戻りも歓迎。さらに日々の売上が昇格や降格に影響し、頻繁に役職が入れ替わる企業です。また小売チェーンでは珍しく、店舗の売り場担当者に商品選定や価格設定の権限を与え、成果主義を貫いています。
売り場の担当者へ権限を与えることで商圏ごとの特徴に合わせて柔軟に対応でき、売り場作りを必死に考えるハングリー精神につながります。
販売へよい影響を与えるため従業員の扱いで他社と差別化できている、面白い企業のひとつです。
経営戦略が面白い企業に学べること
いずれの企業も切り口はユニークですが、下記の特徴があることも分かります。
- 自社がもつ技術をきちんと把握し活用している
- 信念、理由が根底にある
- 戦略展開後の状況を予測している
「他と異なる戦略なら必ず勝てる」というわけではありません。保有技術をきちんと把握し、そして「どうなりたいか」という目標、ビジョンの再確認が大切です。
ビジョンと技術を把握したマーケティング戦略を展開すれば、活かすための新しい切り口を展開すれば中小企業でも成功できるチャンスは多くあるのです。
経営戦略に合致したマーケティング戦略なら
ユニークな経営戦略を打ち出したいという気持ちはあるものの、具体的なマーケティングへの落とし込みの方法や、なにから始めればよいのかわからない…。そんな経営陣の悩みを解決する方法のひとつとして、外部のリソース活用があります。
Zenkenは経営コンサルティング会社ではありませんが、Webマーケティングに関しては市場調査から具体的な戦略の立案、マーケティング施策の展開、Web広告の制作および運用と、経営戦略を下支えするマーケティング戦略を得意領域としている会社です。
これまでに120業種を超える顧客の集客・マーケティングを支援してきた実績がございます。
8,000件以上のマーケティング実績を活かして、分析や戦略提案、メディア制作・運用など、すべてワンストップで対応が可能です。貴社課題の解決策やWebマーケティング施策の提案などにご興味があれば、下記問い合わせフォームよりご相談ください。