BtoBでインバウンドマーケティングを展開するときに意識したいポイント
最終更新日:2024年07月26日
インバウンドマーケティングとはなにか
インバウンドマーケティングは、自社を知らない顧客に自社のコンテンツを見つけてもらい、製品やサービスなどに興味を持たせるマーケティング手法です。
インバウンドマーケティングでポイントとなるのは、(1) 潜在顧客にコンテンツを自ら見つけてもらうことと、(2) コンテンツを見つけた潜在顧客が製品やサービスに興味を持つように仕組みを構築することです。主な手法として、WebサイトやSNSでの情報発信が挙げられます。
アウトバウンドマーケティングとの違いは?
インバウンドマーケティングと対をなす言葉に、アウトバウンドマーケティングがあります。アウトバウンドマーケティングは、製品やサービスを知ってもらいたい企業から潜在顧客に直接アプローチするマーケティング手法です。
アウトバウンドマーケティングの主な手法として、テレビCM、ダイレクトメール、訪問販売などが挙げられます。潜在顧客の興味・関心ではなく、企業が主導して情報を発信する点がインバウンドマーケティングと異なります。
インバウンドマーケティングの必要性
近年、インバウンドマーケティングの必要性が高まっています。なぜかというと、顧客の行動が変化し、ニーズが多様化してきているからです。
インターネットが普及してから、顧客はスマートフォンやパソコンを使い、自ら情報収集をして意思決定を行うようになりました。テレビや雑誌を中心に、受け身的に情報収集をしていた時代とは大きく異なります。
自分で情報を集めて意思決定をしたいと考えている顧客に、企業の都合で製品やサービスの情報を発信すると「押し付けがましい」「売りつけられる」など、マイナスの感情を引き起こしてしまう恐れがあります。
インバウンドマーケティングは、自分で情報を収集し、自らのニーズと合う商品を探している現在の顧客を引き付けるために重要なツールです。
BtoBのインバウンドマーケティング施策で得られる効果
インバウンドマーケティングはBtoCビジネス向けの施策と思われがちですが、BtoBビジネスにも有効です。BtoCビジネス、BtoBビジネスとも、潜在顧客の行動や心理は大きく変わらないからです。
BtoBビジネスを展開する企業が実施することで、さまざまな効果を期待できます。代表的な効果は以下の通りです。
顧客に良いイメージを印象付けられる
潜在顧客の疑問や悩みを解決する情報を発信することによって、良好な第一印象を残すことができます。
インバウンドマーケティングでは情報を必要としている潜在顧客が、自ら自社のWebサイトなどへやってきます。そのため、「情報を押し付けられている」という印象に繋がりにくく、自社の製品やサービスに対しても悪い印象を抱かれる可能性が低くなります。
顧客の具体的なニーズを考慮せずしつこいアプローチを行っている場合は、悪い印象を抱かれてしまうリスクがあります。その結果、自社の商品を効果的にアピールできる前にコミュニケーションをシャットダウンされることも少なくありません。BtoBビジネスでインバウンドマーケティングを展開展開することで、潜在顧客との良い関係の構築という効果が見込めます。
効率の良い費用対効果
インバウンドマーケティングは、費用対効果も優れています。その理由は、自社WebサイトやSNSなどを活用して情報を発信している点です。もちろんコンテンツの制作費はかかりますが、潜在顧客が自発的にアクセスするため、集客にかかる費用はそれほど大きくなりません。
また、コンテンツへアクセスするのは何かしらの具体的なニーズを持っている顧客であるため、成約につながりやすい点もインバウンドマーケティングのメリットの一つです。
これに対しアウトバウンドマーケティングの費用対効果は、必ずしも優れているとはいえません。多額の広告費などがかかるからです。広い層へアプローチできる点は魅力ですが、潜在顧客が自社の製品やサービスに興味を持っているとは限らないため、成約につながりやすいとはいえません。
BtoBビジネスでも、インバウンドマーケティングを導入することで、コストを抑えつつ成約数を増やせる可能性があります。
マーケティング分析が容易
インバウンドマーケティングのもう一つの魅力として、潜在顧客の行動が分析しやすい点も挙げられます。分析が容易な理由は、潜在顧客が自社のWebサイトなどに訪れるからです。
解析ツールを導入してさえいれば、潜在顧客の行動や属性を瞬時に確認できます。例えば、アクセスの多いコンテンツのテーマで、自社の製品に興味を持つユーザーの悩みがわかります。データを蓄積して分析すれば、現在の施策をブラッシュアップすることや新たなマーケティング戦略を立案することなどが可能です。
インバウンドマーケティングは直接的な売上につながらなくても導入しておきたいマーケティング施策といえます。
制作したコンテンツを資産として持つことが可能
インバウンドマーケティングで製作したコンテンツはWeb上に公開するため、自社の資産として半永久的に残ります。この点において、契約期間中だけに表示される広告とは大きく異なります。一定のアクセス数を維持し続ければ、一回制作したコンテンツで中長期にわたる集客が可能になります。
自社Webサイトにコンテンツを制作する場合、コンテンツ数に上限はありません。コンテンツを制作し続けることで、集客数を増やしていくことが可能です。コンテンツを資産化して、中長期的に集客数を増やしていける点も、インバウンドマーケティングに期待できる効果です。
営業活動に役立つ
インバウンドマーケティングには、営業活動をスムーズに進めやすい特徴もあります。なぜかというと、自社の製品やサービスに既に興味をもっている潜在顧客にアプローチできるからです。
資料請求などのアクションがあった顧客(リード)を育成し、適切なタイミングで営業活動につなげれば、高い確率で成約につながります。BtoBビジネスを展開する企業にとっても、魅力的なマーケティング手法といえるでしょう。
BtoBのインバウンドマーケティングのポイント
BtoBビジネスでインバウンドマーケティングを実践するうえで、意識したいポイントを解説します。
ペルソナの設定
インバウンドマーケティングを実践するうえで、欠かせないのがペルソナの設定です。マーケティングにおけるペルソナは、自社の製品などを利用している典型的なユーザー像を意味します。詳細な人物像を設定する点がターゲットの設定と異なります。
BtoBビジネスはペルソナを設定しなくてよいといわれることもありますが、BtoBビジネスでもペルソナの設定は必要です。ただし、BtoCビジネスとペルソナの設定方法は異なります。
BtoBビジネスのペルソナ設定では、担当者個人の課題ではなく、企業や事業の課題を意識します。したがってBtoCビジネスのペルソナ設定とは、設定したい項目が異なります。BtoBビジネスのペルソナ設定で、設定したい項目の例は以下の通りです。
【会社のペルソナ】
- 会社名
- 業種
- 資本金
- 売上高
- 売上目標
- 社風
- 企業としての課題
- 将来の見通し
【担当者のペルソナ】
- 氏名
- 年齢
- 性別
- 所属部署
- 役職
- 社歴
- 担当している事業
- 担当している事業の課題
- 決済権の有無
- 情報収集手段
自社の顧客データを活用すると、詳細なペルソナを設定することができます。より詳細なペルソナを設定したい場合は、取引先にアンケートをお願いしてもよいでしょう。
ペルソナの検討・購買フェーズにあわせたコンテンツづくり
インバウンドマーケティングのコンテンツは、ペルソナの検討・購買フェーズを想定して制作します。検討・購買フェーズは顧客が抱えている課題が多く、解決を求めている段階だからです。
BtoBビジネスにおける検討・購買フェーズは、大きく3段階に分かれます。最初の段階が「認識」です。顧客は何かしらのきっかけで課題を認識します。課題を認識した顧客は、課題が自社に与える影響や課題の解決方法について考え始め、情報収集を行ていきます。
「認識」フェーズの顧客には、課題の原因を示すコンテンツや課題を解決に導くコンテンツが有効です。
課題の原因や解決策を把握した顧客は、次の段階の「検討」へ移ります。「検討」段階で最初に行うのは、課題解決に必要な条件の明確化です。必要な条件がわかった顧客は、条件に合う企業を探し、比較検討を進めます。
「検討」フェーズの顧客には、自社の実績や自社商材の特徴がわかるコンテンツなどが有効です。
比較検討を進めた顧客は「選択」へと移ります。選択の段階では、さらに詳しい製品・サービスの情報やサポート体制の情報などが求められます。したがって、顧客が自社の商材に対して抱きがちな疑問に回答する「よくある質問」などのコンテンツが有効と考えられます。
インターネットの普及により企業に問い合わせを行う前に、情報収集・比較検討を済ませている企業が増えています。ペルソナの検討・購買フェーズに合わせたコンテンツを提供することが重要といえるでしょう。
継続的な情報発信と分析
インバウンドマーケティングでは、継続的な情報発信と結果の分析が欠かせません。顧客主導の施策であるため、顧客の反応を見ながら最適化していくのがおすすめです。
インバウンドマーケティングでは、コンテンツを制作して配信すれば終わりの施策ではありません。目標の達成状況を見ながら、コンテンツの改善を行っていきます。
Webサイトでコンテンツを配信する場合はアクセス数にこだわりがちですが、アクセス数が常に最も重要というわけではありません。例えば成約が目標であれば、アクセス数よりも成約数、成約率が重要になります。
アクセス数が多くても成約につながっていなければ、目標を達成したとはいえません。成約までの導線を見直す、集客するキーワードを見直すなどの改善が必要と考えられます。
インバウンドマーケティングにはペルソナの策定がカギ
潜在顧客に自社のコンテンツを見つけ、製品やサービスなどに興味をもってもらうマーケティング手法をインバウンドマーケティングといいます。顧客が能動的に行動する点が、従来のマーケティング手法であるアウトバウンドマーケティングと異なります。
BtoBビジネスにおけるインバウンドマーケティングを成功させるポイントとなるのは、ペルソナの設定とコンテンツの設計です。ペルソナの検討・購買フェーズに合わせたコンテンツを制作することで、自社の製品やサービスに興味をもってくれる顧客の割合を高められます。
インバウンドマーケティングは自社のリソースだけでも打ち出せる施策ですが、着手するにあたりやはり一定の知識が必要です。インバウンドマーケティングについて更に詳しく知りたい方は、ぜひこちらの資料をダウンロードしてください。また、キャククルの運用元であるZenkenはインバウンドマーケティングを全面的にサポートするサービスを提供しております。興味のある方はぜひWebフォーム・お電話でお問合せください。