資生堂の広告戦略について調査
最終更新日:2022年01月18日
この記事では、化粧品の製造・販売を主な事業とする日本の企業で国内トップシェアを誇る「資生堂」の広告戦略について解説しています。貴社の今後の広告戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。
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資生堂の広告戦略のポイント
引用元:資生堂公式サイト(https://corp.shiseido.com/jp/)
化粧品業界は、テレビCMをはじめとした大規模なマスメディアを活用した広告戦略を行っていることで有名です。しかし、昨今のデジタル化により、リーチ数の増加が困難になっています。
ターゲット層の多くがスマートフォンやタブレットなどのデジタルツールを利用している背景から、資生堂はこれまで展開してきた広告戦略のシフトチェンジに着手。2023年までに広告媒体費の90%以上をデジタルシフトするという目標を発表しました。
この目標達成に向けて行われている資生堂の広告戦略のポイントをみてみましょう。
マスとデジタルを統合した広告戦略
資生堂の広告戦略は、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、マスメディアを活用したものが主流でした。
しかし、デジタル化の流れによって、ターゲットのデジタルメディア接触時間の増加が加速していることから、デジタルメディアを活用した広告戦略にシフトチェンジしつつあります。
その一方で、自社アンケートより「テレビを見ている時間が極端に少なくなったわけではない」との結果が得られているため、完全にマス広告を廃止するのではなく、デジタル広告と組み合わせて活用していくことで、コストを抑えつつ、リーチ数を積み上げるという戦略に取り組み始めたのです。
資生堂では、テレビCMの開始3日後にWebアンケートを実施して、広告認知度をチェック。その後、5日目辺りからは、認知が低いエリアや年代をターゲティングして、デジタルメディアにて補完するマスとデジタルを統合したプロセスでの広告戦略が行われています。
テレビCMは、流し続けてもリーチ数が伸びにくく、コストがかかるというデメリットがあります。そこで、よりリーチ拡大につながりやすいユーザーを、低コストで集めることができるデジタル広告と組み合わせて活用するわけです。
目的ごとに分けたInstagramアカウントの運用
資生堂の広告戦略で活用されているデジタルメディアのひとつが、Instagramです。資生堂は「エンゲージメント」を高める目的の公式アカウントと、「認知」を広げる目的のキャンペーンアカウントを運用しています。
Instagramのエンゲージメントは、ターゲットに対して訴求力があるほど高くなるため、エンゲージメントを高めることは、コンテンツに愛着や有益性を感じているユーザーが多いと考えられるわけです。資生堂では、公式アカウントのエンゲージメントをモニタリングし、ベンチマークとして活用しています。
Instagramは、自分の好きなものを表示するメディアです。その性質を踏まえ、資生堂の広告戦略では、ユーザーへの寄り添いや共感を重視。ロイヤリティを感じてもらえるようになったら広告やメッセージを少しだけ入れる配慮をしています。
一方、キャンペーンアカウントは、各商品の広告宣伝用として運用。一例を挙げると「recipist(レシピスト)」というスキンケアラインでは、架空カップルのアカウントをフォローしているような感覚が楽しめるようなコンテンツが用意されており、ターゲットである20代前半女性が共感しやすい構成となっています。
こちらのアカウントでは、記者発表会の際にライブ配信を行い、大きな話題となりました。
ソーシャルメディアの分散化
資生堂ではこれまで、自社サイトにすべてのコンテンツを集約し、一か所で集客を行っていました。しかし、近年のソーシャルメディア分散化という背景を踏まえ、複数のソーシャルメディアを使い分け、それぞれに適したコンテンツを配信して、集客につなげるという広告戦略に転換したのです。
このような広告戦略によって、よりユーザーのパーソナライゼーションに近づくことが可能となり、的確なパーセプションフローでの情報提供ができるようになりました。
従来のような、ブランドサイドからの一方的なコミュニケーションではなく、ユーザーとブランド双方のコミュニケーションによって、ロイヤリティを生み出すことが、資生堂の広告戦略のカギとなっています。
また、ソーシャルメディアには、「拡散」という大きな特徴があるので、分散化させることによって、さまざまな切り口からBtoC、CtoCに対して、リアルタイムでユーザーのニーズに近い情報を発信できる点も、ソーシャルメディア活用による広告戦略のメリットです。
資生堂の広告戦略まとめ
日本の化粧品業界のトップブランドである資生堂の広告戦略は、時代の流れとともにシフトチェンジされています。
現在は、デジタル広告への完全シフトチェンジを目標に掲げつつ、テレビや紙媒体などのマス広告とInstagramやオウンドメディアなどのデジタル広告を統合させた、より費用対効果の高い広告戦略を実施しています。
ターゲットに寄り添い共感し、個々との適切なコミュニケーションを図ることで、盤石なロイヤリティを生み出すことが資生堂の広告戦略のポイントです。
デジタル化の加速によって、有効な広告戦略の形は変わりつつありますが、既存のリソースと新しいリソースをバランスよく使い分けながら、時代の流れやニーズに合わせた戦略を立てることが必要なのではないでしょうか。
下記の記事では、商品やサービスを認知させるだけでなく「成果」に繋がる広告戦略の具体的な方法や、その他の企業の事例を紹介しています。今後の広告戦略策定におけるアイディアが詰まっていますので、こちらも合わせてご覧ください。