シーブリーズの広告戦略・マーケティング戦略のポイント
最終更新日:2022年01月18日
1902年にアメリカで生まれたシーブリーズは、肌のほてりや切り傷の殺菌消毒、虫刺され、ニキビや吹き出物予防など多目的に使える家庭の常備品として普及し、1960年に日本に上陸しました。
塗るとスーッとする冷たい感触で、夏場に売れるスキンケアローションとして人気を博したシーブリーズでしたが、時代の流れとともに売り上げが低迷。2007年には売り上げが大不振となり、ついにブランド存続の危機にまで追い込まれます。
しかし、そんなシーブリーズが2013年、あるマーケティング戦略を機に人気を取り戻すことに成功したのです。ここでは、シーブリーズが取り組んだマーケティング・広告戦略について紹介しています。
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シーブリーズの広告・マーケティング戦略のポイント
誕生から100年以上の長寿ブランドであるシーブリーズが「今の時代に求められる商品になるには」と考えたとき、たどり着いた結論は「ブランドのポジションを見直す」ことでした。
「時代遅れ」なイメージからの脱却
シーブリーズは日本上陸当初、理美容院を中心に輸入・販売されていたスキンケアローションでした。その後ファミリー層を経て、若者世代にターゲットを移行し人気を獲得していきます。「海のそよ風」を意味する「SEA BREEZE」という名前に、ヨットやウインドサーフィンを連想させる帆のシンボルマーク。
名前やロゴのイメージ通り、ターゲットは「マリンスポーツを楽しむ若者」で、ペルソナには「海でマリンスポーツの後に汗を拭く20~30代の男性」を設定していました。80年代からは夏や海をイメージさせるテレビCMでプロモーションし続け、スポーツファンや若者に「夏の定番ブランド」として定着します。
しかし、時代の流れとともに、そもそも「若い男性が海へ行く」「夏にマリンスポーツを楽しむ」こと自体が少なくなっていきました。「海の定番」というブランドイメージが、逆に足かせとなってしまったのです。
また、ブランドの方向性を長らく変更していなかった結果、ブランドに対して時代遅れなイメージがついてしまいました。
「海」や「マリンスポーツ」というイメージからの脱却を図るため、シーブリーズは思い切ってブランドのポジションを大きく転換させます。
ターゲット層を変更
シーブリーズを「制汗剤」という大ジャンルでとらえたとき、市場をリサーチし直すと、制汗剤を使いたがっているニーズの多くは「高校生」であることが分かりました。また、高校生の中でも女子のほうが汗のケアに気を使っている傾向にありました。
そこで、シーブリーズはターゲット層を「20~30代男性」から「女子高生」へと大きく変更します。「海」や「男」というイメージだったシーブリーズは、高校生向けのブランドとして生まれ変わることとなりました。
コンセプトを変更
長年にわたりターゲットを「マリンスポーツを楽しむ若い男性」として貫いてきたシーブリーズでしたが、ターゲットを「部活のあとに汗を拭く女子高生」に変更したことでコンセプトも刷新します。
「部活のあと、好きな男子に会う前に汗をケアする女の子」にすることで印象を大きく変えました。「さわやか」という本来の商品イメージは保ったまま、「時代遅れな定番ブランド」というイメージからの脱却に成功したのです。
ターゲット変更に合わせたプロモーション戦略
ターゲット変更に合わせた戦略的なプロモーションによる効果も、シーブリーズが再ヒットした一因です。
「部活のあとに汗を拭く、恋する女子高生」というイメージにあわせて、シーブリーズは長年にわたり白や青が基調だったパッケージを刷新しました。ピンクやオレンジなどのカラーバリエーションを増やして半透明のボトルに変更し、かばんに入っているとかわいい、コスメのような存在感を持たせました。
テレビCMでは、部活のイメージに似合う若い女性タレントを起用。「ラブ!部活!」や「アセきゅん」というキーワードを使いながら、女子高生が身近に感じられる、日常生活で恋しているイメージや世界観を演出しています。
さらにティーン雑誌とのコラボやサンプリングなど、10代の女子中高生へ浸透するように多面的にアプローチ。シーブリーズは、このプロモーションからわずか1年で低迷期の8倍にまで売り上げを伸ばしました。
シーブリーズの広告・マーケティング戦略まとめ
シーブリーズが売り上げを回復させたマーケティング戦略には、商品のポジショニングを転換させる「リ・ポジショニング」とブランドの再生を図る「リ・ブランディング」がありました。
会社や商品・サービスがどのように認知され、どんな人に求められているか「ポジション」を知ることは、マーケティング戦略に欠かせない基軸です。
Webメディアによる集客においても、自社や競合他社を分析してポジションを探り、ユーザーの行動や心理を分析しながら「求められること」を追求していくことは重要です。購買意欲の高いユーザーを集客し、売り上げを向上させることにつながります。
下記の記事では、商品やサービスを認知させるだけでなく「成果」に繋がる広告戦略の具体的な方法や、その他の企業の事例を紹介しています。今後の広告戦略策定におけるアイディアが詰まっていますので、こちらも合わせてご覧ください。