ポカリスエットの広告戦略・マーケティング戦略を調査
最終更新日:2024年05月27日
この記事では、売上低迷期から見事脱却した大塚製薬「ポカリスエット」の広告戦略とマーケティング戦略について解説していきます。テレビCMを目にしない日がないほどのメジャーブランドですが、じつは苦戦していた時期があったのです。どのようにして復活したのでしょうか?貴社の今後の広告戦略の策定の際お役立ていただければ幸いです。
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ポカリスエットの広告・マーケティング戦略のポイント
画像引用元:大塚製薬株式会社ポカリスエット(https://pocarisweat.jp/)
ポカリスエットの広告・マーケティング戦略のポイントは、若年層への訴求に力を入れたことです。ポカリスエットのようなロングセラー商品は長く親しまれている反面、認知度はあっても新規顧客の開拓が難しくなる場合が多々あります。
特に、ポカリスエットは30年以上販売されているため、当時学生だった人たちも40代、50代となってしまい清涼飲料水を飲む機会が減ってしまっています。若年層のように部活や習い事、遊びで汗をかいて水分補給を取るという場面が少ないので、どうしても中高年層の顧客だけでは売上が伸び悩んでしまうのです。
そのため、いつの間にかポカリスエットは、風邪をひいたとき、あるいは熱中症にかかる時期に飲むものとしてイメージが根付いてしまい、売上低迷期に突入します。
競合他社の清涼飲料に押され危機感を抱いた大塚製薬は、ポカリスエットの販売について大々的なな改革を行います。
これまで機能性をメインに広告を展開していましたが、「青春の味」として若年層に向けて広告を打ちだし始めたのです。2011年以前は売上が横ばいで推移していましたが、手法を変えたことで2015年以降は売上が伸び続けています。
機能性の高さより身近な飲料として若年層にアピール
ポカリスエットを手掛ける大塚製薬がまず行ったのは、CMの一新です。2015年に若年層に人気の高い女優を起用し、高校生が青春時代に飲む飲料としてCMを打っています。
さらに、2016年からはより中高生に身近に感じてもらうために、「#ポカ写」という取り組みを開始しています。当初は青春一発動画をユーザーから集め、CMに起用するといった取り組みでした。
しかし、CM内のダンスの振り付けを知りたいという意見が多く挙がったため、2017年にはポカリスエットガチダンス選手権の企画をスタート。ターゲットユーザーの声をいち早く拾い上げ実行に移すことで、ポカリスエットの地位を不動のものへと押し上げたのです。
ポカリスエットのマーケティング戦略
ポカリスエットを販売する大塚製薬のマーケティング戦略は、良いと思ったものを走りながら決めるというものです。
じつは、ポカリスエットガチダンス選手権は思いのほか多くの中高生から支持を得ますが、最初から人気が出ると想定していたわけではありません。というのも、企画立案時にはダンスが難し過ぎて、投稿数がそこまで伸びないのではないかと予想していたからです。
中高生にダンスが人気となったこともあり、「ポカリスエットガチダンス選手権」「ポカリ鬼ガチダンス選手権」「ポカリガチダンスFES」と3年も続く大きなプロモーションに成長していきました。
企画を打つ前にガッチリと型を決めて取り組むのではなく、大まかな企画を決めてユーザーの反響をみて動いていくスタイルにしたのです。必ずしも成功するかは分からないけれど挑戦してみるという姿勢、対応までの早いスピード感が、若年層への認知度を高めていくきっかけとなっています。
成果に捉われず信頼して任せる
ポカリスエットのプロモーションを、大塚製薬は電通CDCへと依頼しています。テレビCMのテーマからデジタルへ繋げて、再びテレビCMの広告に活かすことができたのは、外部に信頼してプロモーションを任せたことが大きいといえます。
なかなかデジタルで広告を打っても、結果に繋がらないケースがあります。そのため、結果が出るかが分からないからと、企画を遂行するのに二の足を踏んでしまう企業は少なくありません。
企画立案してから遂行までに時間がかかってしまうと、ユーザーの熱が冷めてしまい訴求が難しくなってしまうものです。その点、ポカリスエットの宣伝では、ユーザーのニーズを早く汲み取り、直ぐに企画へと移行しているため、ユーザーの関心が高いうちにキャンペーンを行うことに成功しています。
ポカリスエットの広告・マーケティング戦略まとめ
ポカリスエットの事例からわかるのは、広告・マーケティングには鮮度が大切であるということです。
デジタルマーケティングに力を入れ、ユーザーの反応を確認し、ユーザーの関心があるうちに次から次へとプロモーションを展開していく、鉄は熱いうちに打て、方式です。関心が高いうちに企業や商品について情報を発信すれば、広く認知してもらうきっかけになります。
また、ポカリスエットの成功事例から学べるのは、挑戦する姿勢自体が広告戦略になり得る点です。
ポカリガチダンス選手権も簡単なダンスにしようと思えばできたはずですが、他社と差別化を図るためにあえて難易度を高く設定しています。気軽にトライできない少し上の挑戦を試みることで、ユーザーに印象を残すことができます。
下記の記事では、商品やサービスを認知させるだけでなく「成果」に繋がる広告戦略の具体的な方法や、その他の企業の事例を紹介しています。今後の広告戦略策定におけるアイディアが詰まっていますので、こちらも合わせてご覧ください。