フェイク広告とは?広告例とあわせて解説
最終更新日:2024年04月24日
フェイク広告とは?
フェイク広告とは、芸能人・有名人などの画像を無断で使用・加工をするなどして、嘘の体験談や虚偽の内容を記載し、消費者をだまして購入させようとする広告のこと。
具体的には以下のようなものが、フェイク広告に当てはまります。
フェイク広告の一例
- 著名人の名前や画像を勝手に使用する
- ワイドショーなどのTV番組の場面を加工して使う
- 役場や省庁のシンボルマークを無断で使用する
- 煽り気味のタイトルでうその内容をニュースとして流す
- ニセの口コミを記載する
- 無関係の人物の画像を使って広告する
フェイク広告の問題点
フェイク広告は、以下のような不法行為になる可能性があります。そのため、損害賠償を請求されたり裁判を起こされたりするだけではなく、場合によっては刑事罰の対象となるため注意が必要です。
著作権侵害
ロゴや商品の画像、イラスト、写真、音楽、動画など、他人が作った著作物を無断で使用すると、著作権侵害にあたります。
著作権には、特別な届け出や登録が必要ありません。著作者が創作すれば直ちに発生するため、特に届け出がされていなくても、他人が作った著作物を無断で使用した時点で著作権侵害となります。
肖像権侵害
他人の写真や動画を、許可なくネット上に公開したり加工したりすると、肖像権の侵害にあたります。
タレントや芸能人の写真を許可なく無断で使用することは肖像権侵害です。また、肖像権は有名な人だけに与えられた権利ではありません。芸能人や著名人ではない一般人にも認められています。体や顔を撮影して、本人の許可なく利用・公表することも肖像権の侵害となります。
不当表示
実際は利用していないのに、「○○(芸能人名)が絶賛!」とあたかもその人が商品を愛用・おすすめしているかのように表示することは不当表示にあたります。
この場合、無断で広告に使われた芸能人のイメージを損なったとして、名誉棄損にあたる可能性も考えられるでしょう。また、「使うだけでシミやシワが消えた」など、虚偽の内容を記載するのも不当表示の一種です。
フェイク広告は誰が作っている?
メーカーではない
フェイク広告を作っているのは、実際に商品を作っているメーカーではありません。
メーカーは、商品を作ったあとに販売を代理してもらうことが一般的ですが、メーカーと直接的に販売代理契約を結ぶ広告代理店もまた、フェイク広告を作ることはありません。契約内容や会社の信用に関わるためです。
フェイク広告は、メーカーでも代理契約を交わした広告代理店でもない「第三者」が販売依頼を受けたときに作られています。
悪質なアフィリエイターや広告業者
フェイク広告に手を染める傾向にあるのが、自身のブログやサイトで商品を紹介し、広告主から報酬を得ている「アフィリエイター」と呼ばれる人たちです。
自身のコンテンツを経由して商品が売れた時に成果報酬を得るため、売れば売るだけ収入が増えていきます。
こういったアフィリエイト広告の仕組みから、一部の悪質なアフィリエイターがとにかく商品を売るために、うそや誇大表現を使ったコンテンツを作成しているのです。
ですが当然このようなフェイク広告は罰則の対象となります。フェイク広告という言葉が、その問題性とともに一般化してきているにも関わらず、なぜなくならないのでしょうか。
フェイク広告はなぜなくならない?
フェイク広告がなくならいのは、審査やチェックの体制が不十分であることが大きな一因となっています。
いまやネット上にあふれる情報は膨大です。アフィリエイト広告に絞っても、ASPと契約してアフィリエイトを活用する広告主は、国内に1万社以上いるといわれています。
日々更新されていく広告内容・コンテンツ内容をすべてチェックすることが難しいことは容易に想像できます。
AIを活用した内容チェックなども増えていますが、それすらすり抜けて広告を掲載している悪質なアフィリエイターもいるのです。
アフィリエイト広告自体は、コストを抑えて出稿でき、自社への様々な流入経路をつくれるため、多くの広告主が利用しているWeb広告の手法です。
急速に拡大しているアフィリエイト市場のチェック体制不備をつかれてしまっているため、取り締まりが難しい現状となっています。
また、確信犯的にやっているアフィリエイターもいれば、他の人もやっているしバレないだろうと軽い気持ちでやっているアフィリエイターもいます。
巨額の賠償金を請求されるリスクを知ってか知らずか、「フェイク広告の方が簡単に儲かるから」と気軽につくってしまっているのです。
サイト運営側も苦戦
自身・自社のサイトに広告枠を設けているサイト運営者も対応に苦慮しています。
広告枠には閲覧しているユーザーにあわせた広告が表示されるため、広告枠を置いているだけのサイト運営者にはどのような広告が表示されるのか把握できません。
そのため、知らないうちにフェイク広告を載せてしまっているケースも多々あります。大手サイトだからフェイク広告が掲載されることはない、ということはなく、どんなサイトでもフェイク広告が出てしまう可能性はあると考えておきましょう。
こうした現状を踏まえて、Yahoo!などの大手プラットフォームでは、実際に商品を販売している広告主やメーカーのみが広告を掲載できるようにするなど、成果報酬目当てのフェイク広告を排除する対策がとられています。
フェイク広告のリスク
自社の商品・サービスでフェイク広告を作られ、掲載されてしまうとどうなるのでしょうか?ここでは、フェイク広告のリスクについて考えていきます。
広告主が責任を問われる
フェイク広告を掲載すると、それが故意でなかったとしても、広告主が行為の責任を問われる可能性があります。
著作権者から侵害行為の停止や損害賠償の請求、他人の著作権を侵害したことについて刑事上の処罰を受けることもあるでしょう。
実際に、広告主側が行政処分を受けた事例や消費者団体が広告内容について裁判を起こしたケースもあります。「アフィリエイターが勝手にやったこと」という言い訳だけでは通用しないので注意が必要です。
自社のブランドイメージが低下する
会社の商品・サービスに不信感を抱かれてしまうことは明らかです。フェイク広告にだまされた顧客を、深刻なトラブルに巻き込んでしまうかもしれません。
また、ネット上で「あやしい」「だまされた」と感じるユーザーが増えることで、ブランドイメージを大きく棄損してしまう危険性があります。アフィリエイトに出稿したら常に自社商品が紹介されている広告や記事をチェックするなど、広告内容の監視にも注力することが重要です。
フェイク広告に使われやすい商材の一例
フェイク広告に使われやすいのは、コンプレックスや欲にかかわる商材や商品です。消費者(ユーザー)の弱みに付け込み、「飛びつきたくなる情報」を掲載する手口が多く見られます。
また、ネットに慣れていない、リテラシーが身についていない中高年層などが誇大な表現を鵜呑みにしてしまうケースが多く、問題視されています。
フェイク広告に使われやすい商材は、以下の通りです。
ダイエット商材
「飲むだけで○日間で△kgやせた!」「タレントの○○が激ヤセ!」など、女性の「痩せたい」「スタイルアップしたい」という願望に対し、誇張した表現を使って商品の購入を促します。
テレビで人気の芸能人やタレントといった、一般人よりも影響力のあるインフルエンサーの名前や画像を使うのは、親近感を抱かせ信頼性をアピールするためです。
科学的な根拠がなく、実際に効果がなくても「あの人がおすすめしているから良い商品なんだろう」と思い込ませる方法で商品を訴求します。
化粧品
「○週間でしわが消えた」「シミがポロっと剥がれ落ちる」という表現とともに、ビフォー・アフターの画像を紹介するような広告にも注意が必要です。しわがなくなるという表現は、化粧品などの広告表記を規定している薬機法に違反している可能性があります。
化粧品の効果効能に関する広告ガイドラインでは、「乾燥による小じわを目立たなくする」以外の表現を使ってはいけないと決められています。化粧品では、加齢によるしわ等を含め、すべてのしわに対し効果があると誤認される表現をしてはいけません。「シミがはがれる」という、常識ではあり得ない謳い文句はもってのほかでしょう。
このようなフェイク広告で紹介されている画像は加工されているケースも多く、だまされて購入してしまう消費者が後を絶ちません。
健康食品・サプリメント
「飲むだけでがんに効く」「血圧が下がった」「便秘が治った」といったような、医薬品ではないのに病気が治癒したり病状が改善したりといった表現は、薬機法違反にあたります。そもそも健康食品は、医薬品のような効果効能を謳えません。
さらに、省庁などのシンボルマーク画像を無断で使用したり「医師がおすすめ」と謳ったりする行為は「権威を利用している」ともみなされます。国レベルで認めている、医師が薦めているとあれば、普通に商品の良さアピールよりも容易に消費者の信用を得る可能性が高いからです。
フェイク広告を防ぐ方法
広告を出稿する際、フェイク広告を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。現状でできる対策についてまとめました。
広告内容や著作物をチェックする
嘘の内容や誇大な表現が使われていないか、画像を無断で使用してしまっていないか、自社の広告内容を常にチェックしましょう。
また、自社の画像や著作物が他の広告で使われている場合にも、後々会社にとってリスクとなる可能性があります。無断で広告に使われていないかにも注意が必要です。
広告運用を任せきりにしない
不適切なアフィリエイターを抱えているASPや代理店とは、契約しないようにしましょう。また、ASPや広告代理店と契約したあとも、運用を任せきりにしてはいけません。アフィリエイトサイトをこまめにパトロールするなど、不適切な表現が使われないためのチェックが必要です。
万が一、フェイク広告を見て購入した消費者の生活でトラブルが起きてしまったとき、「身体や財産に害を及ぼした」と責任を問われるのはメーカーや広告主です。
もしアフィリエイト広告を出稿しており、自社商品のフェイク広告を見つけてしまったら即座に対処しましょう。
「でもすごく売れているし…」と黙認するのは絶対にやめてください。
悪質と判断されれば、広告をつくった人はもちろん、広告主もあわせて逮捕されるケースも実際に起こっています。
広告会社選びが大切
広告の管理や広告出稿を外部の会社に委託している場合は、制作物やコンテンツをしっかりとチェックしましょう。
また広告戦略やマーケテイング戦略に精通している会社であれば、自社の強みにあわせた真っ当な戦略や広告コンテンツを提案してくれるはずです。
そのほか、法律や広告ガイドラインを熟知しているか、チェックや審査体制があるか、モラルある対応をしてくれているか、など信頼に値するパートナーを厳選してください。
Zenkenではクライアントの強みを徹底的に分析し、競合との差別化ポイントを明確に示すことができるポジショニングメディア戦略を得意としています。
ユーザーニーズや競合の分析、市場分析による客観的なデータに基づき、貴社に最適な広告戦略を提案。社内には各種法律や広告ガイドラインのチェック部署をおき、制作するコンテンツが適正なものか審査をしています。
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