フォロワー戦略とは?メリット・デメリットや事例もあわせて解説
最終更新日:2022年07月08日
フォロワー戦略は、市場におけるトップ企業やチャレンジャー企業に追随し、少ない営業資源を効率的に活かして売上を伸ばしていく戦略です。フィリップ・コトラーが提唱した競争地位の戦略分類では、最も小さいマーケットシェアを持つ企業が打ち出す戦略にあたります。
フォロワー戦略で企業として生き残るには、リーダー企業のやり方を模倣するだけでなく、自社のオリジナリティを確立することも求められています。
この記事では、フォロワー戦略の概要やフォロワー企業の事例、戦略の具体的なポイントを詳しく解説しています。自社の経営戦略やマーケティング戦略を見直したいと考えている方は参考にしてみてください。
なお、自社に合った経営戦略・マーケティング戦略を特定するには、まず自社が置かれている環境を把握することが重要です。下記のページには記入するだけで自社と競合他社、そして自社のターゲットとすべき顧客を分析できるワークシートを用意しております。この記事と合わせて、ぜひこちらも参考にしてみてください。
そもそもフォロワーとは?
フォロワーとは、「競争地位戦略」を提唱したアメリカの経済学者、フィリップコトラーによる競争地位のひとつです。
競争地位は、経営資源の多い企業から順にトップ企業である「リーダー」、準トップ企業「チャレンジャー」、ニッチな領域に特化した「ニッチャー」、最も多くのライバルを抱える「フォロワー」の4つに類型化されています。
- リーダー:業界内で最も大きな市場シェアを持つトップ企業
- チャレンジャー:リーダーに挑戦し、トップの座を狙う企業
- ニッチャー:ニッチな領域に特化し、特定の市場で支持される企業
- フォロワー:経営資源が少なく、多くのライバルを抱える企業
日本の多くの企業は「フォロワー」に分類すると考えられており、競合他社からの攻撃や報復を避けながら市場でのシェア拡大を図っています。
フォロワー企業の特徴
フォロワー企業は、量的・質的ともに最も経営資源の少ない企業です。チャレンジャーのようにシェア率を狙う位置になく、ニッチャーのように特定の市場で独自性を発揮しているわけでもありません。
経営資源の投下が難しいため、多くのフォロワーは、リーダーをはじめ上位企業を模倣することによって合理的な経営を行っています。また、最低限の機能を備えた製品やサービスを販売するケースが多いので、低価格志向の顧客層がターゲットになることが多い傾向にあります。
フォロワー企業の主な戦略
フォロワー企業は、自社のマーケットでのシェア率が低く、経営資源も少ないため、市場で生き残るために利益の確保を最優先に考える必要があります。
他社を製品やサービスを真似ることで製品の開発コストを抑える戦略や、製品の機能を最低限に抑えてサービスを簡略化するなど、徹底したコストダウンによって利益を確保する戦略を行います。
低価格を武器に、価格競争で一定のシェアを確保するのもフォロワー企業の戦略のひとつです。これらの戦略はまとめて「フォロワー戦略」と呼ばれます。
フォロワー戦略を打ち出している企業の事例
フォロワーに位置する企業は、実際にどのような戦略を行っているのでしょうか。ここでは、競争地位戦略におけるフォロワーの事例をまとめました。
コンビニ業界
コンビニ業界では、最大手チェーンであり売上高1位のシェア率を持つセブンイレブンが「リーダー」です。
それに続く「チャレンジャー」がローソン、独自の営業スタイルで顧客の支持を集めている北海道のセイコーマート、九州を中心に店舗展開を行うポプラが「ニッチャー」にあたります。
「フォロワー」にあたるのはファミリーマートやサークルKやサンクス、ミニストップなどとされています。ただし、ファミリーマートはここ数年、店舗数でローソンを抜き、売上高でも競っていることから、チャレンジャーに近い立ち位置のフォロワーとも言えるでしょう。
旅行業界
旅行業界での競争地位は、売上高(取扱額)の最も大きなJTBがリーダーです。JTBに追随する近畿日本ツーリストがチャレンジャーにあたります。ニッチャーは、実店舗を持たずネットのみで営業し、個人客に特化している楽天トラベルやエアトリなど。
リーダー、チャレンジャー、ニッチャーのどこにも属さない日本旅行やHIS、その他国内の旅行会社は、フォロワーとなります。
ビール業界
ビール業界で、最も売上とシェアを持っているリーダーはアサヒビールです。
アサヒに続くキリンがチャレンジャーで、ニッチャーは特定のセグメントに向けてクラフトビールの製造を行っている銀河高原ビールやヤッホーブルーイング、沖縄で支持されているオリオンビールなどがあたります。
従ってフォロワー企業には、サッポロビールやウイスキーなどの製造・販売をメインとするサントリーが挙げられます。
フォロワー企業が取るべき戦略
フォロワー企業が取るべき戦略として有効なのは、「模倣戦略」と言われています。フォロワー戦略=模倣戦略と捉えている人も多いでしょう。
模倣戦略は、リーダーやチャレンジャーなどの上位層にいる企業が世に送り出した製品やサービス、または売り方などを模倣して、独自の狭い商圏で売り出していく手法です。
フォロワーは上位層の企業に比べて経営資源は乏しいですが、リーダーの真似をすることで研究費用や開発費、それにかかる経費を抑えることができます。開発に人手や時間をかけなくても良いので、リスクを抑えることも可能です。
ただし、単に商品やサービスを真似るだけで顧客が手に取ってくれる訳ではありません。リーダーやチャレンジャーの商品と比べて良い面がないと顧客は魅力を感じませんし、同じ価格で売り出せば、顧客は知名度・ブランド力を持つリーダーやチャレンジャーの製品を選ぶでしょう。
そのため、フォロワー企業の模倣戦略では、競合他社よりも低価格で販売することが求められます。
かけられるコストが抑えられる代わり、市場のシェアは比較的小さくリターンも少なめ。先発の商品・サービスに近いものの最低限の機能に絞られた商品、原材料費のコストを抑えた商品など、低価格で提供するためにフォロワー企業側にも利益を最大化するための工夫が求められます。
フォロワー戦略のメリットとデメリット
ここからは、フォロワー戦略のメリットとデメリットを解説します。
フォロワー戦略のメリット
フォロワー戦略で得られる最大のメリットが、ビジネスリスクの回避です。
上位層の企業がすでに成功しているビジネスモデルで商品・サービスを模倣してつくるのですから、売れるかどうか分からない新しい商品・サービスよりも失敗するリスクを抑えることができます。また、新しい商品を開発する必要がないため、開発費用や研究費などのコスト削減にもつながります。
フォロワー戦略のデメリット
フォロワー戦略はリーダー企業が開発し、販売した商品・サービスの廉価版を提供するアプローチです。たとえ売れたとしても、大きいな利益が得られないデメリットがあります。
また、すでにリーダーやチャレンジャーが大きなマーケットを寡占しているので、自社の売上によってシェアが拡がるチャンスも少ないでしょう。さらに、リーダーやチャレンジャーからシェアを奪われてしまうリスクも常にあります。
フォロワー企業戦略成功ポイントは「オリジナリティの確立」
リーダー企業の模倣が主な戦略となるフォロワー企業にとって、生き残るために必要なのはオリジナリティ(独自性)の確立です。リーダーを模倣しながらも自社の資源や経験を活かして「新たな価値」をつくることで、オリジナリティが生まれます。
リーダーを単に真似するだけではなく、展開商品・サービスを少しアレンジしたり、店舗展開を工夫したりするなど、ニッチャー・チャレンジャー寄りの施策も必要です。戦略を少しだけ「ひねる」だけでも、独自性が生まる場合もあります。
確立されたオリジナリティをもっとも必要とする市場がブルーオーシャンである可能性もあります。そうなれば、新しい市場で多くのシェアを獲得できるチャンスも広がるのです。
自社の強みを伝えるマーケティング戦略も必要
シェアの少ない業界で選ばれるためには、自社ならではの独自性や強みを生み出すことはもちろん、その強みをユーザーに伝えることも重要です。Webサイトやメディア、SNS、動画などを活用してWebマーケティングに取り組むことで、ユーザーに対して自社を選ぶ「理由」を伝えやすくなります。
自社とマッチ度の高い見込み客に効率よくアプローチする手法のひとつに、「ポジショニングメディア」があります。ポジショニングメディアとは、特定の市場内で、競合他社と自社の立ち位置を明確にし、それをユーザーに明確に示すメディアです。
ポジショニングメディアによって、ユーザーは自社の商品・サービスの魅力や強みと競合他社との違いについて深く知ることができます。市場のリーダーが打ち出すような社名のブランド名、デザイン性やリーチを生かした広告ではなく、客観的な視点から自社を選ぶべき理由を伝えていきます。
SEO施策と合わせて自社と相性の良いユーザーに対してピンポイントでアプローチできるため、比較検討しているユーザーに対し効率的なアプローチが可能です。
フォロワー戦略にお困りの方はご相談を
フォロワー企業が打ち出すフォロワー戦略の基本は「模倣」です。ただし、経営戦略・マーケティング戦略のどこかに独自性を発揮することで、売上がさらに伸ばせられます。マーケットリーダーに追随しながらも、自社ならではの要素を活かして独自のポジションを築きましょう。
「自社ならではの独自性や強みがわからない」
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