「集中戦略」とは?企業の成功事例から学ぶ活用法
最終更新日:2023年06月19日
この記事では、集中戦略の基礎知識や成功事例、中小企業が導入している集中戦略の活用方法を紹介します。「集中戦略という名前は聞いたことがあるけどよくわからない」「自社で集中戦略を採用するためのヒントがほしい」と考えている方はご参考ください。
なお、当サイト「キャククル」では集中戦略を実現するための集客方法として、コンテンツマーケティングを活用したメディア制作「ポジショニングメディア」を紹介しています。
- 自社コンセプトにマッチした見込み顧客が増え、契約単価が1000万円向上した
- 商材の強みや特徴を理解した上で反響に至るため、価格競争から脱却し受注単価が2.5倍になった
- 数ある競合から自社に興味を持ってもらえるようになり、反響獲得後から契約までの期間を3分の1に短縮できた
このような成果実績がある施策については下記で詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご確認ください。
競争優位を確立する集中戦略の基礎知識
集中戦略とは勝てる見込みがある市場に注力し、競争優位性を確立するための戦略です。
この集中戦略を実行することで、「顧客満足度の向上」や「他社との競争回避」というメリットがあります。
中小企業白書によれば、56.6%の中小企業が「差別化集中戦略」を採用
リソースの限られている中小企業にも、集中戦略は役立ちます。
株式会社東京商工リサーチは2019年行った「中小企業の付加価値向上に関するアンケート」で、中小企業が最も採用していた競争戦略を調査しました(競争戦略については次章をご参考ください)。
- 差別化集中戦略 56.6%
- 差別化戦略 28.3%
- コスト集中戦略 9.9%
- コストリーダーシップ戦略 5.3%
中小企業白書 2020(中小企業庁)のデータを参照しキャククルで作成
4つの戦略の中で、最も選ばれていたのが「差別化集中戦略」です。その次に選ばれていたのが「差別化戦略」で28.3%。
また「コスト集中戦略」を採っていた企業は9.9%。集中戦略を採用していた中小企業は全体の65.5%でした。
中小企業白書によると「差別化集中戦略」を採った中小企業では、営業利益率も高くなっています。
このように集中戦略は経営資源を最適化しながら自社独自のポジションを築き、ビジネスを成功に導いてくれます。
集中戦略だけじゃない、競争優位をつくる戦略
集中戦略は、1980年にマイケル・ポーターが提唱した「競争優位を作り出すための戦略(=競争戦略)」のうちの一つ。この競争戦略は、下記の3つから構成されています。
競争戦略① 2種類に分かれる集中戦略
コスト集中戦略、差別化集中戦略の2つに分かれます。
- コスト集中戦略/特定の市場に対し、コストの優位性を集中的に打ち出す戦略
- 差別化集中戦略/特定の市場に対し、競合と差別化した商品・サービスを提供する方法
「差別化戦略」や「コストリーダーシップ戦略」との大きな違いは、限られた市場をターゲットとしていること。業界の中で細かく市場をセグメントしたり、ニッチな市場を狙ったりしてビジネスを展開します。
競争戦略② 低コストで優位性を発揮するコストリーダーシップ戦略
業界全体の幅広いターゲットに、他社より低いコストで製品・サービスを提供する戦略。リサーチ、開発、営業、宣伝など各工程でどれだけコストを削減できるかが成功のカギとなります。
コストリーダーシップ戦略をとっている会社には、
- ヒラキ/自社で企画した商品を海外の委託工場に大量発注し、安さと品質に定評がある靴・履物を販売
- 日産自動車/親会社との部品共有や無駄な業務プロセス削減により業績を回復
- マクドナルド/食料調達、加工、販売までローコスト管理を徹底
- 神戸物産/国内では珍しい商品を大量輸入し倉庫で商品陳列を行うことで、豊富な品ぞろえと低価格を実現
などがあります。
各社に共通するのは、事業工程の中に組み込まれた圧倒的にコストを削減できる仕組み。
一方で、ある程度の資金力があるからこそ行える集中戦略でもあります。
競争戦略③ 幅広いターゲットに独自性をアピールする差別化戦略
業界全体の幅広いターゲットに独自性のある製品・サービスを提供する戦略。ブランドや流通チャネルも差別化につながります。
例えば、iPhoneやMacコンピュータの製造・販売を行うAppleも差別化戦略を採用。
競合にはない最先端の商品を提供し続け独自のポジションを築いています。
差別化戦略を展開することで
- 他社との競争回避
- 強気な価格設定(価格以外の価値を顧客が求めるため)
- ブランドへのロイヤリティ向上
につながります。
差別化戦略についてさらに知りたい方は下記の記事もご参考ください。
集中戦略で成功した企業事例を紹介
それでは次に集中戦略によって成功した企業の事例を紹介します。
集中戦略事例① ケンタッキー・フライドチキン
画像引用元:日本KFCホールディングス株式会社(https://www.kfc.co.jp/top.html)
ケンタッキー・フライドチキンは、セグメントした市場に集中する差別化集中戦略で成功した会社として一番わかりやすい成功事例です。
同社はハンバーガーだけでなくファストフード全般で事業展開するマクドナルドに対抗するため、「フライドチキン」という特定の市場を狙っています。
業界の中に強い大手企業がいても、セグメント化した市場の中で自社が価値を提供できる分野を探すことで顧客に選んでもらうことができます。
集中戦略事例② 有明産業
画像引用元:有明産業株式会社(http://ariakesangyo.co.jp/)
洋樽の製造・販売をおこなう有明産業。創業当初からメイン事業としてきた木箱製造業界が低迷したことをきっかけに、現在の洋樽事業を開始しました。
参入から5,6年経ったころに競合4社との価格競争に陥りましたが、苦境のなか経営戦略を模索する過程で、
- 競合が少なく、磨き上げれば洋樽事業が一番の強みになる
- 洋樽は『調味料』として、お客様である酒造メーカーの製品価値を何倍にも高めることができる
という気付きを得ました。これをきっかけに「焼き加減を変えることで酒のフレーバーが変わる樽」や「加工が難しい日本木材を使用した樽」など差別化した商品を提案。現在では、国内唯一の洋樽専業メーカーとして新しい需要の創出にも取り組み、業界を牽引しています。
自社のリソースを最大限活用できる市場を見つけるためには、市場のセグメントだけでなく自社の強みを明確に認識することが大切です。
集中戦略事例③ 髙木商店
画像引用元:有限会社高木商店(https://www.big-advance.site/s/143/1480)
髙木商店はビーチボールや浮き輪などの空気入りビニール製品を製造する企業。従来は量産型の商品に注力していましたが安価な海外製品の普及による市場の縮小に伴い、差別化集中戦略に移行。
現在は主力商品である品質重視の競技用ビーチボールをはじめ、特注品など特定のニーズに応える商品で他社と差別化。特定顧客への依存度低下や適正な価格での受注につながっています。
セグメント市場を探す際「品質が良い」「○○機能が優れている」など量産品では十分に対応できないニーズを狙うのも一つの方法です。
集中戦略事例④ しまむら
画像引用元:株式会社しまむら(https://www.shimamura.gr.jp/shimamura/)
ターゲットを限定してコスト集中戦略を展開するしまむら。
ファストファッション業界では若者やおしゃれさ重視の層をターゲットとする企業が多い中、
しまむらは郊外に住む20~50代の主婦をターゲットにしぼっています。
そして徹底的なローコスト管理により、安さと手軽さを求める主婦たちのニーズに対応。
他社が狙っていないターゲットを「年代」や「エリア」という切り口から見つけ出し、
独自のポジションを築いています。
集中戦略事例⑤ スズキ
画像引用元:スズキ株式会社(https://www.suzuki.co.jp/)
「軽自動車ならスズキ」というポジションを確立しているスズキ。軽自動車という市場に経営資源を集中させて、大手との競争を避け、独自のポジションを築いています。
また軽自動車という市場の中でも、女性にターゲットをしぼり安価な軽自動車を提供するコスト集中戦略も展開しています。
スズキは、軽自動車の需要が高いインドにも進出。
新型コロナウイルスの影響で今年はインドでの販売が2割ほど減少してしまいましたが、
スズキはインドで40%以上のシェアを誇っています(2020年)。
この章では集中戦略を活用して成功している企業を紹介させていただきました。
集中戦略は業界だけでなく地域やターゲット、流通チャネルなど様々な切り口で展開できます。
自社が今よりもっと顧客に価値を提供できる市場がないか、ぜひ探してみてください。
それではここからは、中小企業の差別化集中戦略についてご紹介いたします。
中小企業が差別化集中戦略にシフトすべき理由
冒頭で紹介させていただいたように中小企業では、「差別化集中戦略」を採用している企業が56.6%。リソースが限られていることも多い中小企業では、少ないコストで自社の優位性を築き中長期的に利益をあげていくことができる集中戦略が役立ちます。
それでは「差別化集中戦略」には具体的にどのような施策があるのでしょうか。
株式会社東京商工リサーチは2019年行った「中小企業の付加価値向上に関するアンケート」で、差別化のために「国内でニッチ市場のトップ製品・サービスを保有している会社」が実際に行っている施策を調査しました。
下記は中小企業が行っていた施策のうちの上位4つを抜粋したものです。
- 類似のない新製品・サービスの開発 46.8%
- 製品・サービスの高機能化 43.9%
- 特定顧客向けの製品・サービスの開発 26.9%
- 用途・デザイン・操作性で差別化された製品の開発 24.5%
中小企業白書 2020(中小企業庁)のデータを参照しキャククルで作成
資金力のある大手企業では量産品を安く販売するコストリーダーシップ戦略をとったり、広告費をかけて認知度をあげることが可能です。
リソースが限られていることも多い中小企業では、自社の強みを最大限に活かすことができる市場を見つけることを優先すべきです。そしてその市場で集中戦略を選択すれば、少ないコストでリードを獲得することができます。
さらに大手企業を含む他社との激しい競争を回避して、安定的な利益をあげることができるのです。
「差別化集中戦略」にはポジショニングメディアが最適
詳細についてはお問い合わせください
ポジショニングメディアですとは、特定市場に対して自社の差別化ポイント・他社にはない強みをアピールすることに特化したWebサイトです。
ポジショニングメディアはマス広告と比べてアプローチできるユーザーの母数は減りますが、利点は下記の通りです。
- 相性の良い顧客にターゲットを絞ってアプローチできる
- 競合と違うポイントをユーザーにしっかり伝えて、納得してもらえる
例えば、A市で工務店を経営する社長が、ポジショニングメディアで集中戦略を活用することを決めたとしましょう。競合との差別化の切り口としては自社で使うことが多い良質な木材を選び、「良質な木の家」をテーマとしたポジショニングメディアを立ち上げました。Googleなどで「A市 木の家」と検索してそのサイトを訪れたのは、「良質な木の家がいいな」と考えている顧客でした。
上記のような流れで、ポジショニングメディアが短時間で成約に繋がる顧客との出会いを実現します。ポジショニングメディアを導入した結果、
- 自社コンセプトにマッチした見込み顧客が増え、契約単価が1000万円向上した
- 商材の強みや特徴を理解した上で反響に至るため、価格競争から脱却し受注単価が2.5倍になった
- 数ある競合から自社に興味を持ってもらえるようになり、反響獲得後から契約までの期間を3分の1に短縮できた
といった成果が上がっております。ポジショニングメディアについて詳しく知りたい方は、下記のページをご覧ください。
ポジショニングメディアにおける「差別化集中戦略」で成功した事例
それでは、実際にポジショニングメディアで差別化集中戦略を推し進めた事例を紹介します。
以下は弊社のポジショニングメディアをご活用いただいている顧客の声になります。
自院がある県名検索だけでなく、病院がある市名との掛け合わせた様々な産婦人科ジャンルのキーワードで上位表示できていることが集患に大きくつながっていると感じています。
- 病院がある地域を中心に弊社を訴求していただいている
- 同じ路線沿いや地域のクリニックを分析して載せている
ことが、この地域の患者さんに安心感を与えて通っていただけているのだと考えています。リスティング広告では同じ効果を得ることが非常に難しかったため満足しています。(産婦人科クリニック)
引用元:Zenkenクライアント様のお声より
月の売上の大半はポジショニングメディア経由です。正確な販売数は数えていませんが他に広告を打っていないため、効果があることは十分に実感できています。
自社の商品は他の広告では啓蒙のしようがない商品のため、ニーズがあるところに露出できるポジショニングメディア戦略はもってこいの手段です。(BtoB向け語学会社)
引用元:Zenkenクライアント様のお声より
認知度だけで選ぶのではなく、「自分のニーズに強く合致したサービスを求めているユーザー」の集客に向いているのがポジショニングメディアです。
「集中戦略」 の基礎知識と企業事例集まとめ
今回は、集中戦略の基礎知識と成功事例について解説しました。
集中戦略を使うことで狙う市場を絞り込むことで相性のよいお客様と出会い、顧客満足度を向上させながら売上アップも実現できます。集中戦略を上手く活用するために、自社にしか提供できない価値を追求してみてはいかがでしょうか。
もし、集中戦略をWeb上で実現したいがどのように市場を分析をし、どのような施策を行うべきか分からないとお困りでしたらお気軽に弊社コンサルタントまでご相談ください。
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