多角化戦略に成功したキヤノンの歩み。成功のポイントとは

多角化戦略に成功したキヤノンの歩み。成功のポイントとは
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この記事では、カメラ業界の危機に多角化戦略で成功したキヤノンの戦略ポイントを紹介しています。どうすれば多角化がうまく行くのか、事例で見ていきましょう。

なお、多角化戦略は自社の強みやユーザーのニーズ、競合の動向の把握が土台となっています。新しい戦略を取り入れるときには一度原点に戻り、現状を理解するのがベストです。そのためにはこの記事に合わせて、自社と競合の分析を通じてマーケティングを成果に繋げるためのワークシートも提供しています。どうぞ貴社の戦略策定にお役立てください。

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キヤノンの多角化戦略の歩み

アイディアから成功まで
現在は多角化に成功しているキヤノンですが、最初から多角化戦略があったわけではありません。キヤノンの多角化の歩みを紹介します。

カメラ事業の危機

1937年の創業から数十年間にわたって、キヤノンの主力製品はフィルムカメラでした。キヤノンは「世界一のカメラメーカー」を目標として、着実な成長を続けていたのです。

しかし2000年ごろになると、デジタルカメラの普及によってフィルムカメラの市場は急激に縮小。キヤノンは業績を維持するため、他分野に進出して、多角化を進める必要に迫られました。

事務機器関連事業へ参入

キヤノンが新たな進出先として狙いをつけたのが、事務機器関連事業です。プリンターや複合機といった製品であれば、キヤノンがカメラ事業で磨き上げてきた光学技術を活かせるからです。

なかでも複合機の事業には、インクなどの消耗品の補充や故障対応など、アフターサービスで利益を得られるという特徴がありました。キヤノンは「製品を売るだけ」から「製品を売ってサービスでも稼ぐ」ビジネスモデルへと転換することで、安定した収益を確保したのです

他社技術も活用し新規事業へ

キヤノンがさらに多角化を進めるうえでは、他社の買収が大きな役割を果たしました。新しい領域に進出するために不足している技術があったとき、足りない技術を自前で開発するのではなく、すでに技術を持っている会社を取り込むことで解決したのです

たとえばネットワークカメラ事業を始める際には、カメラのデータを管理するためのネットワーク技術が不足していました。そこでキヤノンは必要な技術を持つ海外企業を買収することによって、時間をかけずに新規事業を立ち上げることに成功したのです。

キヤノンの多角化戦略のポイント

円グラフ
キヤノンの多角化戦略が成功した要因は何なのか、ポイントを解説します。

特許・知的財産を重視

キヤノンは創業当時から特許や知的財産を大切にしており、事業の多角化戦略においても大きな武器になっています。新規に参入する分野を決める際には「自社の特許や知的財産を有効活用できないか」という点が意識されるため、参入後にキヤノンならではの強みを作りやすくなります。

さらにキヤノンの特許や知的財産を重視する姿勢は、他社からの信頼獲得にもつながりました。他社との共同研究などが活発になり、自社だけでは得られない研究成果を得たことが、事業の多角化を進めるための大きな力となったのです

光学技術を中心に多角化戦略を進める

キヤノンには「創業当初から磨き上げてきた光学技術」という、圧倒的な強みがあります。光学技術を中心とした多角化戦略を立てることで、新しい領域でもキヤノンの強みを活かした製品を開発できました。

カメラや複合機、医療関連機器などには関連が薄いようにも思えますが、実は光学技術という核があります。技術的にすぐれた点があったからこそ、キヤノンの製品は新しい市場でも受け入れられたのです

主に4つの分野で事業を展開

現在のキヤノンの事業は、以下の4つに分類できます。

  • プリンティング(複合機など)
  • イメージング(カメラなど)
  • メディカル(MRIなど)
  • インダストリアル(露光装置など)

こうして異なる分野に展開することで、特定の分野の市場環境が厳しくなっても、他の分野でカバーできるというメリットがあります。安定した成長を続けるためにも、多角化は重要です。

グローバル化

キヤノンは多角化と同時にグローバル化を進めてきました。1950年代から積極的に世界市場に進出した結果、現在ではグループ全体の売り上げの7割以上が、海外市場でのものです。

アメリカ、ヨーロッパ、アジアの売り上げ比率が同程度なのも、キヤノンの特徴です。これにより、どこかの地域で市場の悪化があっても、全体への悪影響を抑えられます

サービス事業会社化も進める

キヤノンは近年では、ITソリューションやセキュリティー、クラウドサービス事業などに力を入れています。これらの事業には、顧客の持つ課題により幅広く対応しようという狙いがあります。

キヤノンはサービスを充実させることで、「製品を売るだけ」では提供できない価値を生み出そうとしているのです

独自技術によって多角化戦略を成功したキヤノン

メリット・注意点
キヤノンは光学技術を中心とした多角化によって、事業を拡大させてきました。自社の強みを活かすことで、新しい市場でも競争力のある製品を開発できたのです。

自社開発にこだわらず、他社と共同研究を行ったり、ときには他社を買収したりすることによって、必要な技術をすばやく手に入れてきたのもキヤノンの特徴です。技術を軸としたキヤノンの多角化戦略は、他の企業にとっても参考になるでしょう

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