クッキーレスとは?集客・マーケティングの対策手段を合わせて紹介
最終更新日:2022年01月29日
Webマーケティングに携わる方なら、「クッキーレス」という言葉を最近よく耳にすると思います。「Cookieがなくなる」とは聞くけれど、一体どうなるのか、よく分かっていない方もいるのではないでしょうか。
ここでは、クッキーレスとは具体的にどのようなことか、Cookieの役割や基礎知識を解説しながら、クッキーレスによって起こり得る影響や対策法をまとめています。
デジタル化が加速する今こそ、自社の持つメディアにどのような影響が起きるかを知っておき、早めの対策を講じていきましょう。
そもそもクッキーとは?
クッキーとは、ユーザーがWebサイトを訪問したときにサイトの閲覧履歴を一時的に保存しておくためのテキストファイルデータです。簡単に言うと、クッキーはWeb検索に使用されるChromeやSafari、FirefoxなどのWebブラウザに情報が残るようになっている「足あと」のようなものです。
クッキーのデータを分析すると、ユーザーがWebサイトへアクセスした回数やアクセスした時間、広告の表示実態など、ユーザーの個人情報が分かるようになっています。
Cookieには大きく分けて2種類あります。
ファーストパーティークッキー(1st Party Cookie)
ユーザーがアクセスしたWebサイト自体から直接発行されるクッキーで、そのWebサイトのドメインの中でのみ有効なものです。
ファーストパーティークッキーは、たとえば下記のような役割を果たしています。
- ログインしたことがあるサイトへ訪問するときにIDやパスワード入力を不要にする
- ECサイトを閉じた後も、前にカートへ入れた商品をそのまま表示して買い物を続けやすくする
サードパーティークッキー(3rd Party Cookie)
ユーザーが訪問しているWebサイト以外のところで発行され、他のサイト訪問時にも適用されるクッキーです。
サードパーティークッキーは、ユーザーの行動を分析して配信する行動ターゲティング広告「リターゲティング広告」などで活用されます。
たとえば、ユーザーがある「サイトA」を訪問したとき、AのCookie情報をアドサーバーに保存できれば、サイトBを訪れたときにもサイトAに関連した広告を配信したり、ユーザーの関心が高い商品を予測して表示したりできます。
クッキーレス(Cookieless)とは?
クッキーレスとは、Webサイトを訪問した際にユーザーのブラウザに保存されるクッキーファイルが廃止される動きのことです。「脱炭素」などと同じく、今起こっている動きかつ到来するであろう未来に対して使われることばです。「ポストクッキー」や「アフタークッキー」とも呼ばれています。
Apple社は、2017年からiOSとMacのブラウザ「Safari」内でのCookieによるユーザーの行動データ収集の規制を開始しました。
Google社は、「2023年半ばから2023年後半までに、Google ChromeにおけるCookieサポートを段階的に廃止する」と発表しています。
また、EUやアメリカなど各国で法律による規制が進んでおり、世界的にもクッキーによる情報の取得が制限されるようになりました。日本でも2022年4月から「改正個人情報保護法」が施行される予定です。
このように、個人情報保護の観点から世界は「クッキーレスの時代」に突入していますが、なぜCookieを廃止・制限する必要があるのでしょうか。
参照元:Google Japan Blog「よりプライバシーに配慮したウェブの実現にむけて」(https://japan.googleblog.com/2021/03/a-more-privacy-first-web.html)
「サードパーティ Cookie 廃止に関するタイムラインの変更について」(https://japan.googleblog.com/2021/06/cookie.html)
クッキーが問題視されている理由
Cookieはインターネット広告で利用されてきたほか、データ分析によって広告効果や効率性を判断するために、Webマーケティング業界でも活用されてきました。
しかし、裏を返せば、Cookieはネット上でのユーザー個人の行動を追跡(トラッキング)し続けられるということになります。特にサードパーティークッキーは、自分の知らないところで企業に自分の過去の検索行動を見られ、営利目的の広告宣伝に利用される点が問題視されています。
ユーザーの同意なく、見たくもないのに何度も表示して購入を促す広告に、不快感を抱くユーザーが増えてきたのです。Cookieの技術そのものではなく、Cookieを使って顧客視点ではない広告を一方的に配信し続けた企業側が生んだ問題ということが分かります。
クッキーレスによって起こる影響とは
今後クッキーに対する規制が厳しくなるにつれて、履歴から個人情報を取得できなくなるでしょう。
ユーザー側から見れば一見メリットのように思えます。しかし、これまで広告を配信していた企業やマーケッターにとっては由々しき問題です。下記には、クッキーレスによる影響を詳しく見ていきましょう。
今まで通りのターゲティングができなくなる
クッキーレスになることで、従来のようにユーザーのサイトへ訪問履歴が追えなくなります。それにより、ユーザーの属性情報や行動履歴情報を組み合わせた広告を配信できなくなります。
これまでWebマーケティングは、自社の商品やサービスに関心の高い人をいかに効率的に見つけてもらえることが重要視されてきました。
自社をまだ認識していないユーザー、あるいは認識したが購入まで至らなかったユーザー向けに、自社商品と関連性のあるところに広告を出す。広告を出す場所を決めるうえ、顧客の感情を把握して分析するためにWebサイトの閲覧履歴が大事な役割を果たしてきました。
クッキーの制限や廃止は、リターゲティングをしてきた広告主にとって大きな弊害となります。
広告効果を計測しにくくなる
Web広告の配信において、これまではユーザーのクリック後にはブラウザ内にクッキーが保存されていました。しかし、クッキー制限によってブラウザに格納されるクッキーの保存期間が短くなります。保存期間が過ぎた後は、特定の広告がどれだけの購入に繋がったかなど、広告の効果が図れなくなってしまいます。
また、運用型の広告では、過去の実績データを機械が学習して運用効率を改善していました。コンバージョンの計測が正確でなくなると、機械学習による広告運用の効果も下がってしまいます。
手軽で便利な技術である一方で、これまでのWebマーケティングはクッキーに大きく依存していました。クッキーレスの流れは、Web広告を含むマーケティングの根幹を揺るがす問題といえるでしょう。
今後は、クッキーレス対応のターゲティング対策といった、サードパーティーCookieに依存しないマーケティング手法に変更していく必要があります。
クッキーレスの対策手段は?
1st Party Cookieの活用
クッキーレスと言っても、今後クッキーが完全になくなるわけではありません。
今後ますます制限が増えるのはサードパーティークッキーです。ユーザーが訪問したWEBサイトのドメインのみから入手できる「ファーストパーティークッキー」からの情報をもとに、マーケティングを講じていきましょう。
サードパーティーとは異なり、ファーストパーティークッキーは企業がユーザーから直接得るデータのため、許諾を得られた範囲内であれば自由に活用できます。
広告配信プラットフォームに登録されているユーザー情報とファーストパーティーのデータをマッチングさせて、ユーザーの行動計測が可能です。広告に接触したユーザーとコンバージョンしたユーザー(購入などの行動を起こしたユーザー)を同一人物と特定する仕組みは注目されており、今後規制がすすむ中でも精度の高いターゲティングを行える可能性があります。
コンテキストターゲティング
コンテキストとは、文章の「文脈」や「前後関係」という意味です。webページ上にあるサイトの文脈や画像をAIが読み取って、内容に合わせた広告を表示させることを言います。
このターゲティング手法を使えば、クッキーレスが進んで行動ベースのターゲティングが規制されたとしても、自社の商材やサービスに興味関心を持つユーザーへのアプローチができるようになります。
代替技術を導入する
Cookieを利用しなくても従来に近い状態でターゲットへの広告配信ができる、代替技術の開発が進んでいます。
たとえばGoogleが開発している「FLoC」は、プライバシーを保護しつつ、ユーザーの行動をもとにユーザーの興味を分析し、広告を選択して配信する技術です。FLoCを使用すると、広告主のサイトに頻繁にアクセスしたユーザーのほか、関連するトピックに興味を示したユーザー層にまで広告を表示できるようになります。
なお、FloCは現在まだ開発中・テスト中で、クッキーと同じく問題点も指摘されています。普及するまでにはもうしばらく時間がかかりそうです。
コンテンツマーケティングで見込み客に早期アプローチ
クッキーは、リターゲティング広告などでユーザーの行動を追跡するために必要な技術でした。しかし、そもそも自社の商品・サービスに興味を持ってもらわなければ、たとえ追いかけることができても購入などをしてもらう可能性が低くなってしまいます。
競合他社に興味を持つ前の段階でアプローチし興味をもってもらうには、ユーザーの課題や悩みに寄り添い、その解決手段として自社を早期に認知してもらうことが必要です。そのためには、自社の商品・サービスの魅力を理解してもらえるためのコンテンツマーケティング戦略が有効です。
サードパーティークッキーの多くはリターゲティング広告に使われてきましたが、広告ではな有益なコンテンツでユーザーに最初から興味を持ってもらうことができれば、リターゲティング広告の依存度を引き下げられます。
クッキーレス対策だけではなく、Webマーケティング戦略を根本から見つめ直し、自社の課題に合わせて戦略の再構築も検討しましょう。
コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングは、バナーなどの一般的なWeb広告とは異なる運用型の広告です。導入にはある程度の費用を要しますが、一度つくってしまえばコストを抑えながら中長期的な運用を実現できます。
SNSやその他のWebプラットフォームなどを使えば無料ではじめることも可能です。また、コンテンツマーケティングで一度作ったコンテンツが資産としてWeb上に蓄積されていきます。ユーザーニーズを満たした高品質なコンテンツであれば半永久的に価値を発揮し続けるため、長い目で見ると費用対効果の高い施策です。
なお、Cookieを利用した広告は一時的にユーザーに表示されるだけで蓄積されることはありません。アクセス数によって効果が左右される一時的な広告だけでなく、ターゲットとするユーザーを狙って集客できるコンテンツマーケティングにも目を向けてみてはいかがでしょうか。
コンテンツマーケティングの重要ポイント
コンテンツマーケティングで重要なのは、「ユーザーにとって、いかに有益で価値あるコンテンツを提供できるか」です。そのためには、誰に対し、どんな情報をどんな形で届けるかが大切になります。戦略を練る際は、以下の3つを明確にしましょう。
目標を決める
認知度を高めたい、新規顧客を獲得したい、問い合わせ数を増やしたいなど、どんな目標を定めるかによってコンテンツの方向性が大きく変わります。まずはコンテンツマーケティングで何を達成したいのか、目標を明確にしましょう。
ターゲットのペルソナを決める
コンテンツの目標が決まったら、次にターゲットとなる人物像「ペルソナ」を設定します。ペルソナは、設定が細かいほどターゲットを絞り込めるため効果が高まります。
年齢や性別はもちろん、住んでいる地域や職業、趣味嗜好など、人物像の背景までなるべく具体的に設定することが大切です。
コンテンツを決める
目標とターゲットまで決まったら、どんなコンテンツにするかを決めましょう。ユーザー(ペルソナ)が抱えている悩みや課題は何か、どんな情報を求めているか、ユーザーの目線に立って考えていきます。
自社ならではの強みを明確にする
コンテンツマーケティングで何を発信すべきかを考えましょう。ユーザーは自社や商品・サービスのどんな点に魅力を感じるでしょうか。競合他社との違いは何でしょうか?
自社ならではの強みや価値は、ユーザーが自社を選ぶ「理由」となる部分です。自社ならではの強み・価値が明確に伝わるコンテンツであるほど、親和性の高いユーザーの集客につながります。
市場を細分化して分類し、自社の立ち位置を把握して、自社の強みや競合と差別化できている点を明確にすることで、「自社ならではの価値」が見えてきます。
クッキーに依存しない戦略を早めに取り入れよう
クッキーレスの流れは、リターゲティングや広告効果の計測など、マーケティングのさまざまな部分に影響を及ぼす大きな動きです。
今後、広告配信に使用できるデータは減ってしまいますが、ファーストパーティークッキーや代替技術の活用による対策が可能です。早めに策を講じておきましょう。
また、適切なターゲットに対して自社の魅力をより早くアプローチできれば、さらに効率的な集客につながります。コンテンツマーケティングなどの「クッキーに依存しない戦略」も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
クッキーレス対策でお悩みなら…
クッキーレスによって広告戦略やWebマーケティング戦略を考えなおしている企業様も多いはず。
クッキーレスによって自社に興味を持つユーザーを狙い撃ちする広告は難しくなります。しかし、ターゲットユーザーを分析し、ニーズを理解した上でコンテンツを発信すれば、狙ったユーザーの集客は可能です。しかも、まだ自社に対する認知のない段階からアプローチが可能となります。
キャククルの運用元であるZenkenでは今までに120業種を超える企業様の集客・Webマーケティングを支援してまいりました。特にクライアントならではの強みを徹底分析し、その強みを軸としたマーケティング戦略の提案を得意としています。
クッキーレス対策の戦略にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。