【3分で理解】タカラベルモントの差別化戦略・経営戦略のポイントとは
最終更新日:2024年05月28日
タカラベルモントは、どのような経営戦略でその地位を築いてきたのでしょうか。このページでは、タカラベルモントの経営戦略・差別化戦略について分析してみました。
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タカラベルモントの経営戦略・差別化のポイント
引用元:タカラベルモント公式サイト(https://www.takarabelmont.co.jp/)
タカラベルモントは、理容室・美容室といった特殊なニーズに目を向けて、存在感のある企業に成長しました。
理容・美容機器メーカーとしてBtoBビジネスを展開するタカラベルモント。2021年3月期の売上高は547億円と、安定して成長を続けている企業です。
一般消費者にはあまり耳なじみのない企業ですが、理美容や医療という特定の領域で圧倒的なシェアを占めています。
消費者向けの市場ではなくBtoBの市場、さらに理容室や美容室に絞り込んだ「ニッチな市場」を狙ったのです。
サロン用の椅子に特化
もともと、1921年に鋳物製造工場としてスタートしたタカラベルモント。
創業以来、理美容分野や医療分野の椅子や機器の製造、化粧品の製造に携わってきました。
その後、サロンのお客様が座って過ごす「美容椅子」の製造に特化。
アメリカ「コーケン社」の理容椅子を手本に製造を開始し、これまでに200機種以上、120万台の美容椅子を開発してきました。
美容師が椅子をリクライニングして後ろから髪を洗える椅子、精密機器が組み込まれた歯科医院用の診察台など、とにかく椅子の製造にこだわりました。
特殊なニーズに応えた結果、ライバルの少ない特殊な市場で独自のポジションを確立します。このようなニッチ戦略によって、理美容用・医療用の椅子市場を寡占するまでに至ったのです。
現在では、理容室向け・美容室向けのチェアの他にエステやアイラッシュサロン向けのチェアも販売。理美容業界は、顧客と対面しなくてはいけない業界のため、椅子というニッチながらも重要なアイテムの需要は途切れることはないでしょう。
積極的な製品開発
タカラベルモントは、理美容用椅子の他、理容室や美容室で使われるシャンプーの開発や製造も行っています。
技術者の洗い方によって異なる、シャンプーの洗い心地や心身の変化について着目。血流や自律神経などの体の変化を研究し、心身ともに高い快適性をもたらすシャンプーの開発に成功しています。
このシャンプーを利用すると、施術する技術者側の手の疲労や肌のバリア機能も失われにくくなるとのこと。施術する技術者の声に耳を傾けて、技術者と消費者の両方のニーズに沿える商品を日々研究しています。
強度と耐久性を追求
タカラベルモントは、鋳物を製造していたノウハウと技術力を活かし、強度や耐久性にこだわった製品づくりを行っています。
鋳物部分の穴あけや切削などの複雑な工程は、すべて職人が専用の機械を使って丁寧に加工しているとのこと。
椅子のレザー部分は1つずつ縫製・張り加工を行い、1mmのズレや妥協もなく、美しさと強度を備えた椅子に仕上げていきます。
開発段階で行う耐久テストを10万回も繰り返した上で、テストをクリアした椅子のみが販売されるとのこと。機能の動作確認や検査も入念に行って、万全の状態で届けています。
品質へのこだわりを、消費者の信頼につなげていると言えるでしょう。
タカラベルモントの経営・差別化戦略のまとめ
タカラベルモントは、他の企業が進出していない特殊な市場に参入する「ニッチ戦略」によって独自の地位を築きました。
創業以来培ってきた鋳物づくりの経験とノウハウを活かす「品質にこだわるものづくり」も、顧客や消費者からの信頼にしっかりとつながっています。
タカラベルモントのように自社の強みや価値を活かせるニッチな市場を見つけることができれば、競合他社と無理に争わず、市場で勝ち残るポジションが見つかります。
自社の経営方針や商品・サービスの売り出し方に悩まれている方は、ニッチ戦略を展開できないか、あらためて市場を見渡してみてください。