サントリーの経営戦略から学ぶ差別化戦略・マーケティング戦略

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この記事では、清涼飲料や洋酒などのトップメーカー「サントリー」の差別化戦略について解説しています。貴社の今後の企業戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。

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サントリーの差別化・マーケティング戦略のポイント

サントリー公式サイト
引用元:suntory公式サイト(https://www.suntory.co.jp/)

サントリーは、ニューノーマル時代を生き抜くための経営戦略を打ち出し、リアルタイムのニーズに合った商品を提供することに成功しています。まず、サントリーが目を付けたのは個人消費の拡大にともなう酒類の消費量の増加についてです。

新型コロナウイルスの影響により外食をする人が少なくなった一方で、自宅で食事を楽しむ人が増えています。

そのため同グループのサントリー酒類では、2020年上半期は外食産業の消費量が減少し売上が落ち込んだことから、下半期に売上回復できるよう個人消費を増やすための対策を講じています。

個人消費の動向を把握するためのサントリーリンクの開発

サントリーでは、ドラッグストア・スーパーマーケットなどの需要が伸びていることを受けて、“サントリーリンク”というシステムを開発しました。

約半年ほどでスピーディーにつくられた同システムは、メーカーのデータ・流通のデータ・オープンデータをクラウドに保存するために使われています。クラウド上のデータをサントリーと流通企業で共有でき、3つの機能を使って店舗ごとの顧客の情報や動向を確認することが可能です。

顧客の買い物体験の向上や物流の最適化が図れるようになるため、ニューノーマルへの対応に悩む多くの企業から注目を集めています。

製造品や店舗ごとの売上・購入者の地域・棚割を確認できるようにした

サントリーでは、サントリーリンクのシステムを導入したことで、店舗ごとの客単価や店舗会員の割合を確認できるようになりました。

また、各店舗に来店した顧客の居住エリアを確認できる機能が付いているため、地域ごとの特性を把握するのに役立てられています。

顧客の居住エリアごとの客単価が分かれば、売れ筋情報を配慮した品揃えをメーカー側から店舗に対して求められるので、在庫の適性化を図れるというメリットがあります。

さらに、同システムにはカメラによって棚割りを確認し、リアルタイムで自動発注ができる機能も搭載しています。店舗に設置されたカメラで、棚状況を逐一確認できるので物流の最適化が図れます。

今後は、映像で在庫状況を確認するだけでなく、AIの画像診断を使って在庫状況をリアルタイムで管理し、顧客に在庫状況を知らせる機能も追加させる予定となっているそうです。

流通企業とサントリー間の情報共有システムに力を入れることにより、顧客体験および売上の向上が期待されています。

純利益が前期比29%減少するもチューハイの販売数は29%と増加

サントリーでは外食産業企業向けのビール販売数が激減したことを受けて、直ぐに家庭向けの商品に力を入れて回復を試みています。

2020年度の純利益は前期比で29%落ち込んだ一方で、チューハイの販売数は29%増加と好調な売れ行きを見せています。損害を最小限に食い止めることができたのは、サントリーが柔軟に経営戦略の見直しを行ったためです。

サントリーリンクで物流の最適化を図るのに加え、売上が好調のチューハイの新商品を次々と打ち出すことで、家庭需要をひき込むことに成功しています。

不景気でビールの売上が不調になっているため、ビールよりも低価格で購入できるチューハイの販売に舵を切っています。

ラインナップには、甘くないレモンサワーなどがあり、これまでチューハイは甘くて飲まないと言っていた層にもアプローチしているのが特徴です。

健康志向がトレンドになっているので“ノンアルコール商品”にも注力している

サントリーでは、酒類以外のノンアルコール商品の需要も高まっていると分析し、商品開発に力を入れ始めました。チューハイでも人気の高いレモンサワーなどのノンアルコール商品を打ち出すなど、宅飲み需要のさらなる開拓を狙っています。

また、宅飲み需要の開拓の一環として、反響が大きかった神泡サーバーの販売にも踏み切っています。

2021年もまだ宅飲み需要は継続するとの見通しから、顧客が自宅でも品質の高いビールを手軽に楽しめるように、ビール関連商品のEC販売に着手しているのです。

サントリーの差別化・マーケティング戦略まとめ

サントリーでは、2020年の厳しい状況を省みて、続々と新しいマーケティング手法を確立しています。

飲食店向けの商品が売れないときは家庭向け商品に舵を切り、ビールの売れ行きが不調なときは手が届きやすいチューハイ・ノンアルコール商品の販売にシフトしています。

その時その時の状況に合わせて、スピード感を持って思い切って方向性をチェンジすることで、利益を確保することができているのです。また、サントリーは売上が不調なジャンルも切り捨てるのではなく、売上を伸ばせるよう対策を講じています。

不景気で低価格の酒類・ノンアルコール商品の需要が高まる一方で、宅飲みでちょっとした贅沢をしたいという高級志向の需要もあると見込み、神泡サーバーなどの高級路線の商品も販売しています。このように、サントリーでは市場の調査に力を入れ、柔軟に対策を打ち出すことで競合他社との差別化を図っているのです。

関連記事:「【差別化戦略】競合他社と差別化を図るための要因分析と戦略立案のやり方」を読む

マーケティング戦略策定後には施策に落とし込もう

マーケティング分析をした上で大切なのは、その分析結果をもとに行うマーケティング戦略の施策と戦術の実行です。しかし、ほとんどのケースで見受けられるのが、

  • そもそも適切な分析ができていない
  • 分析はできたが、それを支える戦略と戦術まで落とし込めていない
  • 分析や戦略までは組み立てたが、戦術と連動していない

という問題の発生が多くあります。そのため、多忙な中、分析や戦略策定をしたのにもかかわらず、成果に繋がらなければ、あなたの貴重な時間もお金も無駄にし、また練り直さなければなりません。

時間がさらにかかれば、状況も変わり市場からさらに置いてかれること可能性もあります。

下記の記事では、商品やサービスを認知させるだけでなく「成果」に繋がる差別化戦略の具体的な方法や、その他の企業の事例を紹介しています。今後の差別化戦略策定におけるヒントが詰まっていますので、こちらも合わせてご覧ください。

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