【3分で分かる】日産の差別化戦略・経営戦略のポイントとは
最終更新日:2023年01月18日
この記事では、日本の大手自動車メーカー「日産」の差別化戦略について解説しています。貴社の今後の企業戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。
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日産の差別化・経営戦略のポイント
引用元:日産公式サイト(http://www.nissan.co.jp/)
現在、2020年度から4カ年の中期経営計画「NISSAN NEXT」によって、業績回復を目指している日産。旧経営体制を抜本的に見直す経営戦略と、これから先の時代を戦っていくために必要な差別化戦略とは一体どのようなものなのか、日産の差別化・経営戦略事例を詳しくみてみましょう。
「日産らしさ」を取り戻すための「NISSAN NEXT」
日産の業績悪化は、「ゴーンショック」という大打撃からさかのぼり、旧来から続いていた経営リソースの不適切な配分の結果だといわれています。経営の立て直しが急務となっている中、日産の新しい経営陣が打ち出したのが中期経営計画「NISSAN NEXT」です。
この計画では、事業の質と財務基盤の強化、自社の強みに集中した経営戦略によって、他社との差別化を図り、収益を確保しながら着実な成長を果たすことが狙いとされています。この先10年、20年を戦うための「日産らしさ」を再構築していく目的です。
NISSAN NEXTの柱は、「最適化」と「選択と集中」の2つ。過去の販路拡大戦略による各種事業の構造改革や、重点とする市場や商品、技術のコアコンピタンスに注力することで、経営の安定と、差別化戦略による市場占有率の上昇を目指しています。
「日本発」の新型EVで海外市場に売り込む
日産が力を入れている事業が、最新技術を詰め込んだ「日本発」の完全新型EV(電気自動車)です。EV事業は、国内の競合他社でも進められていますが、まだ日産ほど注力しているメーカーはありません。
「技術の日産」と言われる高い技術力を活かし、2020年には、独自技術を搭載した最新型EVを、コアマーケットである日米中市場に集中投入しました。
通常、グローバル市場で受け入れられた技術が日本に入ってくる流れが多いものですが、日産の最新型EVは「日本発」の独自技術を世界に送り出す形のため、成功すれば、日産の大きな強み、国内に限らず、世界中の自動車メーカーとの大きな差別化ポイントとなるでしょう。
「技術の日産」だからできる最新技術で差別化
日産の最大の強みは「技術力」です。四駆制御技術「e-4ORCE(イーフォース)」、半自動運転技術「プロパイロット」、ハイブリッドEV技術「eパワー」を独自のコアテクノロジーとし、グローバルに魅力と競争力を発揮できるピックアップセグメントの商品力強化につなげています。
日産が掲げるコアテクノロジーのコンセプトは、「誰もが安定した乗り心地を感じることができる」「ワクワクするような運転の楽しさを提供できる」というものです。
自動車を単なる移動手段としてだけでなく、ポジティブな体験が出来るツールとすることで、ユーザーを惹きつけることができ、結果として日産の魅力度や認知度の上昇につながると考えられます。
アライアンスを活用し「強み」を生かした分業制で差別化
日産は、三菱自動車、ルノーと連携体制をとっており、3社はそれぞれ担当する市場や注力するジャンルが分けられています。いわゆる「分業体制」です。それぞれが自社の強みを生かした差別化戦略をもって事業を展開しています。
日産が担当しているのは、コアマーケットといわれている日米中市場。日産では、自社の誇るコアテクノロジーを集中的かつ最大限に活かした「積極的な新車投入」「電動化の推進」「先進運転支援技術の拡大」を柱としています。
「誰もが自由に移動できる社会へ」というポリシーを掲げつつ、「NISSAN NEXT」の目標達成を目指しています。
他社と被らないターゲット層への訴求
自動車は耐久財と認識されている場合が多いため、公式サイトやソーシャルメディアを活用したデジタルプロモーションよりも、テレビCMを中心としたマスメディアプロモーションが主流とされてきました。
しかし、近年のデジタル化に対応し、日産では公式サイトをはじめとしたソーシャルメディアを活用したキャンペーンや、より共感度の高いコミュニケーション施策を実施。
その施策で一番成功しているのは、日産が販売しているMARCHです。ターゲット層の男性比率が高い業界でありながら、日常的に乗りやすく、デザイン性の高いコンパクトカーとして、あえて女性をターゲットとしたプロモーション戦略を取り入れました。
その結果、女性比率の上昇に成功し、他社が獲得していない、新たなターゲット層を開拓できたのです。これも日産の差別化戦略のひとつといえるでしょう。
日産の差別化・経営戦略まとめ
今まさに新しい経営戦略をもって、立て直しを図っている日産。過去の反省を活かした抜本的な経営計画のもと「新生・日産」を目指しています。
日産の最大の差別化ポイントは「技術力」であり、その技術を駆使したEVを筆頭に、魅力ある次世代型モデルを生み出しています。三菱自動車、ルノーとの連携・分業は、日産の技術力を集中的かつ効率的に投入するためのベストな体制といえそうです。
また、時代の流れを読み、「女性目線の自動車」という新しいジャンルを開拓したことも、差別化戦略の基本である「競合とは違い、かつニーズのある強み」に合致しており、差別化戦略の一手といえるのではないでしょうか。
差別化戦略・経営戦略を行うにあたっては、日産でいうところの「技術力」のような、大きな差別化ポイントを明確化し、集中的にアピールしていくことと同じくらい、それらを適正に発揮できる環境を整えることも戦略を成功に導くカギとなるのかもしれません。
関連記事:「【差別化戦略】競合他社と差別化を図るための要因分析と戦略立案のやり方」を読む
マーケティング戦略策定後には施策に落とし込もう
マーケティング分析をした上で大切なのは、その分析結果をもとに行うマーケティング戦略の施策と戦術の実行です。しかし、ほとんどのケースで見受けられるのが、
- そもそも適切な分析ができていない
- 分析はできたが、それを支える戦略と戦術まで落とし込めていない
- 分析や戦略までは組み立てたが、戦術と連動していない
という問題の発生が多くあります。そのため、多忙な中、分析や戦略策定をしたのにもかかわらず、成果に繋がらなければ、あなたの貴重な時間もお金も無駄にし、また練り直さなければなりません。
時間がさらにかかれば、状況も変わり市場からさらに置いてかれること可能性もあります。
下記の記事では、商品やサービスを認知させるだけでなく「成果」に繋がる差別化戦略の具体的な方法や、その他の企業の事例を紹介しています。今後の差別化戦略策定におけるヒントが詰まっていますので、こちらも合わせてご覧ください。