市場カバレッジ戦略とは?集客につながるマーケットの攻め方
最終更新日:2024年03月27日
ここでは、市場カバレッジ戦略の意味や事例、無差別型マーケティングの難しさなどについて解説しています。
市場カバレッジ戦略とは何かを知ってマーケティングに活かしたい方は、ぜひチェックしてみてください。
市場カバレッジ戦略とは
商品やサービスの戦略を考える際に、市場カバレッジ戦略を重要視したほうがよいといわれることもあるでしょう。
カバレッジとはカバーしている割合です。市場をセグメント化し、どこまでカバーするか考える方法を市場カバレッジ戦略といいます。
複数種類あり攻め方は大きく変わるため、選択を誤ってしまうと商品やサービスが求めている顧客に届かない結果になりかねません。
種類の違いについて事例を交えてご紹介します。新たな商品やサービスの戦略を検討している方、または既存商品のマーケティングの見直しを考えている方は参考にしてください。
市場カバレッジ戦略の種類
市場カバレッジ戦略は下記の3種類に分けられます。
- 無差別型マーケティング
- 差別型マーケティング
- 集中型マーケティング
必ずしも会社全体としての戦略がいずれかのマーケティングに当てはまるとは限りません。ブランドAは無差別型の戦略、ブランドBは差別型といったケースも考えられます。
無差別型マーケティング
狙うべき相手を特定せず多くの人に対して提供するのが目的の手法です。
市場を細かく分けて検討したけれど、一部ではなくすべての市場において求められる商品であった場合に選びます。
例えば化粧品であれば年代や職業を問わず幅広い方に使ってもらいたい商品で選択する手法です。
差別型マーケティング
セグメントされたなかで、狙いたい市場に合わせた最適な戦略を検討する方法です。
きちんとターゲットに合わせた戦略をとらえなければいけませんが、他社よりも優位に立てるため価格競争に巻き込まれにくくなります。
化粧品で考えると、事例は下記です。
- 自然素材を使った商品
- 高級かつ高品質であり使っていることがステータスになる商品
- 10代や学生などに向けた気軽に購入できる低価格商品
集中型マーケティング
集中型は差別型と同様に一部にしぼりますが、差別型と異なるのは、複数の商品を投入しシェアを得る点です。
化粧品なら下記の戦略になります。
- 男性のみにターゲットを絞り、複数の商品を販売する
- 敏感肌向けの製品にこだわり肌水からメイクまで展開する
- 初めてメイクする若者向けの商品展開
市場カバレッジ戦略の手順
市場調査は上記で紹介した3種類の方法のどれを採用するか決めてから行なうものではありません。市場を細分化や調査し、提供するべき商品やサービスに向いている方法を選択します。
手順としては下記になります。
- 商品やサービスに鍛錬した市場を調査する
- 市場を細分化する
- 商品やサービスに向いている市場を評価し検討する
- 攻めていく方法を選択する
- マーケティング方法を検討する
攻めるべき市場を決める際には、参入コストや競合他社のリサーチも必要です。市場評価を間違えると、よい商品であっても売上が伸びません。下準備はしっかりとしておきましょう。
市場カバレッジ戦略のメリットとデメリット
市場カバレッジ戦略は種類によってメリットやデメリットが異なります。
無差別型マーケティング
メリット:基本的には多くの市場に対してひとつのマーケティングミックスで仕掛けることになり、比較的資金の準備や人員コストが低くなります。
デメリット:現代では消費者のニーズが多様化していることもあり、無差別型は通用しにくいのが現状です。また価格競争に巻き込まれやすく利益が上げられないケースも珍しくありません。
差別型マーケティング
メリット:他商品との差別がきちんとできていれば、費用対効果が高くなります。また価格競争に巻き込まれにくく利益を上げやすいのが特徴です。
デメリット:市場ごとに戦略を考えなければいけません。状況によっては複数のブランド展開も行なうなど無差別型と比較すると入念な準備が必要です。
集中型マーケティング
メリット:集中型は同じ市場に商品を複数開発していくので、企業自身も該当ジャンルに詳しくなれます。ノウハウをたくさん積めば同業他社が参入してきても負けない商品開発が可能です。また差別型よりもコストがかからないため中小規模の企業に向いています。
デメリット:市場がひとつに限られているため、縮小してしまうと売上が大きく下がってしまいます。分析時の将来性評価が今後を左右します。
市場カバレッジ戦略の事例
具体的な事例を踏まえて見ていきましょう。一般家庭で日常的に使用されるティッシュペーパーのメーカーブランドを例に挙げます。
無差別型マーケティングの事例
まずは無差別型の事例を紹介します。幅広いターゲットに向けての製品を展開しているため、多くの方が耳にしたことのある企業ばかりです。
エリエール ティシュー
画像引用元:エリエール ティシュー公式サイト(https://www.elleair.jp/product/detail/tissue_elleair-tissue_box)
ターゲット:一般家庭全般
💡ポイント
普段ボックスティッシュは安さで選んでいるという方なら、お店で見かけた覚えが多くあるだろう商品です。肌触りがよくなるように商品開発を行なっていますが、できるだけ製造コストを抑えて安く販売する無差別型に該当します。
ネピア プレミアムソフト ティシュ
画像引用元:ネピア プレミアムソフト ティシュ公式サイト(https://www.nepia.co.jp/stressfree/)
ターゲット:一般家庭全般
💡ポイント
ネピアプレミアムソフトもエリエールティシューと同様に一般家庭で使われることを想定し、できるだけ安価に提供するブランド商品です。手触りの研究などを重ね、独自の製法なども取り入れていますが、市場は限定していません。
差別型マーケティングの事例
続いて差別型のティッシュの事例を見てみましょう。市場を限定しているため、商品の存在を知らなかったという方もいるかもしれません。
クリネックス ティシュー 至高
画像引用元:クリネックス ティシュー 至高公式サイト(https://shikou.crecia.jp/)
ターゲット:贈り物など高級感のあるティッシュを求める人
💡ポイント
一般家庭では節約のためできるだけ安価な商品が求められるティッシュですが、クリネックスの至高ブランドは反対に一箱1,000円と高級感を求める人がターゲットです。質感はもちろん箱も金襴や黒硯など、ティッシュの箱とは思えないようなデザインに仕上がっています。
至高というブランドに加えて2021年現在では極、羽衣を加えて3種類あり、差別型から集中型に移行しつつあります。
花ゴールド
画像引用元:花ゴールド公式サイト(https://www.tissue.co.jp/recommendation/)
ターゲット:おしゃれなティッシュを求めている人
💡ポイント
ティッシュに透かし模様が入っている製品です。透かし模様は5種類用意されており、何がでてくるかは使ってからのお楽しみ。ハヤシ商事株式会社の所在地である高知県においていくつかの会社しか製造できない技術を採用しています。至高シリーズ同様に贈り物として、または日々使うティッシュにおしゃれさを求める方に向けた商品です。
集中型マーケティング
最後に集中型の事例です。ひとつの市場に対して複数商品の研究を重ねるため、最初は差別型で展開していたのが集中型に移行する事例も多くあります。
河野製紙 保湿ペーパー
画像引用元:河野製紙 保湿ペーパー公式サイト(https://www.kawano-p.co.jp/)
ターゲット:保湿ティッシュを求める人
💡ポイント
現在では複数商品が展開されている保湿系ティッシュですが、さまざまな保湿ティッシュのさきがけとして1993年に販売されたのが河野製紙株式会社の保湿ペーパーです。現在では下記のように保湿ティッシュを複数展開しています。
- こだわり保湿BOX
- 保湿ペーパーアプローズ(厚手製品)
- 保湿ペーパーアプローズ ポケットx16P
- ふっくらやわらか贅沢3枚重ね
田子浦パルプ
画像引用元:田子浦パルプ公式サイト(https://www.tagopa.jp/)
ターゲット:業務用、ノベルティ
💡ポイント
田子浦パルプ株式會社は小売店で販売する一般向けのティッシュも製造していますが、業務用品やノベルティにも力が入っている製紙会社です。ある程度制限のある活版印刷から完全オリジナルのオフセット印刷まで幅広く対応し、完全オリジナルデザインを制作するための展開図データも用意されています。ノベルティまたは業務用展開ならば、一般消費者向けの価格競争にも巻き込まれません。
市場カバレッジ戦略の無差別型マーケティングは難しい?
現在の日本において無差別型で利益を上げるのはとても難しくなっています。理由は大きく分けて下記の3つです。
- 勝てる商品開発が難しい
- 現代では誰でも見る広告はない
- 価格競争に巻き込まれやすい
勝てる商品開発が難しい
ニーズが多様化している現在では、セグメント化された市場に合わせて商品やサービスを開発するのが一般的です。細かく分けずに不特定多数を相手にすると、きめ細やかなサービスを提供するのが難しくなります。
大きな開発力がないと、趣味や属性が異なる多くの人に受け入れられる商品を作り出すのは簡単ではありません。
現代では誰でも見る広告はない
スマートフォンが普及する前の時代ではテレビや新聞、いわゆるマス広告は誰もが見るというイメージでした。しかしテレビと新聞は誰もが見ているコンテンツではなくなっています。
下記はPRESIDENT ONLINEによる、テレビ離れについて解説している記事の1文です。
年齢別にみると、50代以下は軒並み減少。とくに、10~15歳は56%(2015年調査78%)と22ポイント減、16~19歳は47%(同71%)と24ポイント減、20代は51%(同69%)と18ポイント減、と、いずれも激減した。つまり、今や10代や20代の若者は、2人に1人がテレビを見ないということになる。
また、30代も63%(同75%、12ポイント減)、40代68%(同81%、13ポイント減)、50代83%(同90%、7ポイント減)と、いずれの世代も「テレビ離れ」が加速している。
引用元:PRESIDENT ONLINE『「毎日テレビを見るの老人ばかり」キー局が冷や汗をかく”テレビ離れ”の最新データ』(https://president.jp/articles/-/47695?page=1)
誰でも見ている広告というのはなくなり、ポジショニングメディアなどターゲットに合わせた広告方法を展開しなければ費用対効果も下がってしまいます。
業界内でブランドポジションを確立できる集客メディア
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価格競争に巻き込まれやすい
ターゲットを細分化せず不特定多数に対して商品を売り込む無差別型は、差別化できていない商品のため価格競争に巻き込まれやすくなります。
商品であれば大量に生産する、販売ルートを効率化するといったコストを削減する工夫しなければ勝てません。
さらに多くの人に提供するためには商品なら大量の流通ルート確保、店舗なら全国展開するなど、仕掛けるためにも費用がかかります。大きな資金をもっている企業でなければ無差別型を展開するのは難しいのです。
市場カバレッジ戦略は自社の強みとニーズが合致する市場を
新たな商品やサービスを開発する際に下記の2点は意識するべき点です。
- 同業他社との価格競争を避けたい
- 費用対効果を高めたい
- できるだけ開発コストを抑えたい
上記をクリアするならば、競合調査やユーザーニーズの把握を含めた市場分析が欠かせません。かつ分析したデータから、自社なら可能な価値や強みを発見し前面に押し出すことが重要です。
市場のニーズに価値や強みがはまれば、価格勝負をせずとも勝てるようになります。
ニーズに合致する、自社ならではの提供できる強みや価値をバリュープロポジションといいます。
上図のとおり競合他社は提供できないけれども自社が提供でき、かつ顧客が望む価値に一致する商品やサービスです。
バリュープロポジションを提供するにはしっかりとした分析調査が重要です。
中小企業の市場カバレッジ戦略は差別型と集中型がおすすめ
市場カバレッジ戦略は細分化したなかから選ぶ戦略で、大きく分けて3種類あります。3種類のうち無差別型は大きな資金力や開発力が必要です。差別型、集中型はできるだけコストを抑えライバルを減らしたいと考えている中小企業が向いています。
しかし差別型と集中型は、あくまで市場調査がきちんとできており、かつ商品の特徴や強みがニーズに沿っていることが前提の戦略です。
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