キーエンスの経営戦略から学ぶ差別化戦略・マーケティングの考え方
最終更新日:2024年05月27日
この記事では、日本一、社員の年収が高いと言われる上場企業「キーエンス」の差別化戦略について解説しています。貴社の今後の企業戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。
競合他社と差別化する方法や成約率の高い見込み客にアプローチする手段など、集客課題を解決したい企業向けにWebマーケティング施策も紹介。ご興味のある方は以下より資料をダウンロードしてみてください。
加えて貴社が市場でどんな立ち位置でマーケティング戦略を策定すべきかが分かる「市場分析シート」を無料でご提供しています。自社の強みを活かしたマーケティング戦略を立てたい方は、今後の戦略策定にご活用ください。
平均年収ランキング1位を実現しているキーエンスとは
キーエンスは1974年に会社設立、自動制御機器をメインに販売している会社です。徹底的にユーザーニーズに応える付加価値のある商品を開発。また、代理店を通した販売はせず全て直販し続けることによってニーズの吸い上げの効率化からマージンの削減を実現することで、年商5000億円、営業利益率50%以上を実現しています。
キーエンスの経営理念
キーエンスは「経営にとって当たり前のことを当たり前に実践する」ことを大切にしています。本来の目的を見失わないよう、仕事の目的意識を持つことを重視しているようです。
参照元:キーエンス公式サイト(https://www.keyence.co.jp/company/about/#about-keyence)
キーエンスのビジネスモデル
キーエンスのビジネスモデルの一つとして、直販システムの「グローバルダイレクトセールス」が挙げられます。
営業担当が生産現場で課題や悩みを聞き、隠れたニーズを見つけたうえで適したソリューションを提案する手法です。
お客様の声は商品改良および新商品の開発に活かすことで、ユーザーに寄り添った製品企画を実現。販売促進に繋げています。
詳細は次の項目でご確認ください。
参照元:キーエンス公式サイト(https://www.keyence-soft.co.jp/group/businessmodel/)
キーエンスはなぜ強い?成長を支える戦略要素
キーエンスの成長を支えている戦略を紹介します。
市場、顧客が欲しい製品を次々と開発
キーエンスは専門知識のある営業スタッフが顧客の生産現場に訪問し、現状抱えている悩みや顧客が気付けていない悩みを吸い上げて商品企画部門へ橋渡しをしています。
そして、その商品はキーエンスならではのこだわりを持って製造されていることでより顧客に重宝されるサイクルを生み出すことができています。
その結果、顧客が抱える課題を解決し効率化によるコスト削減などが図れるため、他社よりも高額な商材であっても購入してもらえるのです。
キーエンスのものづくり①耐久性ある小型化
キーエンスのホームページを見ると「最小」「超小型」という言葉が使われた商品紹介コンテンツがいくつか見受けられます。
この最小化は製造ラインは日々複雑化しているからこそ取り組まれており、複雑化した現場やシステムの中では装置を設置できる領域が限られます。
また、ただ小型化するのではなく生産現場に求められる耐久性を実現し、生産ラインを止めない製品作りを徹底しています。
キーエンスのものづくり②高速化
生産性を向上させるには切っても切り離せないのが生産スピード。精度を高めるには時間をかけた生産が必要であり、スピードを高めるにはある程度の精度の低さに目をつむりながら生産を進める必要があります。
しかし、精度と生産スピードの両立をすることができれば劇的に生産効率をあげることが可能です。キーエンスは求められる精度を満たした高速化を実現できる製品開発に取り組んでいます。
技術者が欲しい情報を惜しみなく提供
キーエンスは現場担当へ情報を提供すべく、各分野ごとに手厚いコンテンツマーケティングを展開しています。例えば、「熱処理」に特化をした専門カテゴリーをサイトの中に作り、40ページ近く作っています。
またリード獲得に必要なダウンロード資料も、初心者向けコンテンツと熱処理に関する製品資料の二軸で提供。
さらに、コンテンツマーケティングの内容は製造現場から吸い出した抱えがちな悩みに沿ってコンテンツを展開。技術資料のページだけを見ても1500以上の資料が設置してあることから、リード獲得に相当な力を入れていることが頷けます。
この充実したコンテンツマーケティング体制によって、これから客からすぐに商品を検討してくれる顕在層に効率的にアプローチすることができています。
仕組み化された営業戦略と評価
キーエンスは営業個人の実力に頼るのではなく、横展開できる営業の仕組みを作っています。
顧客情報を徹底管理して、誰がキーマンであるかという情報から性格的なものまで事細かに記録されています。
また、営業マンへの報酬還元も独特で一般的には売上ベースで賞与への還元がなされていますが、キーエンスは利益ベースで還元でしています。組織的にも利益率に直結する値下げは特別なことがない限りほとんどしません。
キーエンスの経営戦略から学ぶ差別化・マーケティングの考え方まとめ
キーエンスの戦略を分析するといかに正確に早く顧客ニーズへ応えるか、そして利益を生み出せるかということにフォーカスを当てられた戦略が見受けられました。
またこの経営戦略をし続けてきた結果、キーエンスなら現場を理解した自社の課題解決をしてくれるというブランディングもできていることが考えられます。
このようにこの会社なら〇〇に対して解決してくれるという刷り込ませを行うことで指名買いを促せ、競合他社との争いをするという前提から脱却することができます。
マーケティング戦略策定後には施策に落とし込もう
マーケティング分析をした上で大切なのは、その分析結果をもとに行うマーケティング戦略の施策と戦術の実行です。しかし、ほとんどのケースで見受けられるのが、
- そもそも適切な分析ができていない
- 分析はできたが、それを支える戦略と戦術まで落とし込めていない
- 分析や戦略までは組み立てたが、戦術と連動していない
という問題の発生が多くあります。そのため、多忙な中、分析や戦略策定をしたのにもかかわらず、成果に繋がらなければ、あなたの貴重な時間もお金も無駄にし、また練り直さなければなりません。
時間がさらにかかれば、状況も変わり市場からさらに置いてかれること可能性もあります。
下記の記事では、商品やサービスを認知させるだけでなく「成果」に繋がる差別化戦略の具体的な方法や、その他の企業の事例を紹介しています。今後の差別化戦略策定におけるヒントが詰まっていますので、こちらも合わせてご覧ください。