【3分で分かる】ダイソンの差別化戦略・経営戦略とは
最終更新日:2023年01月18日
この記事では、掃除機メーカーで知られるダイソンの差別化戦略を例にして、戦略のポイントを考察していきます。
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ダイソンの差別化戦略のポイント
ダイソンが日本に上陸した1980年代、掃除機市場は成熟期となっており、各メーカーからはどこも似たような製品が発売されていて、これといった革新的な製品は生みだされていませんでした。
そんな停滞していた日本の家電市場に、突如としてあらわれたのがダイソンです。ダイソンは自社のことを「エンジニアリングカンパニー」と自称しており、製品第一の理念を掲げています。その技術にこだわる姿勢は、差別化戦略にもあらわれていました。
技術力で差別化
これまでの掃除機は、掃除機内のフィルターに吸引したゴミが集められ、そのフィルターを交換することで清潔に保つように設計されていました。
ところが、そのフィルターにごみが溜まってきて目詰まりを起こすと吸引力が低下することから、各メーカーは高機能フィルターの開発や改善に力を入れていました。
そこで、ダイソンはフィルター以外の部分に目をつけ、吸引力が低下しない掃除機の開発に成功しました。「フィルター交換が要らない掃除機」が競合他社との差別化につながり、ダイソンは他に類を見ない掃除機メーカーになりました。
売り場で差別化
家電量販店の掃除機売り場では、どこも同じようなデザインやカラーリングで、遠くから見ても、どのメーカーの掃除機かが分からないほどでした。
そこでダイソンは、自社製品の売り場に投資して、ダイソン専用の大きくて綺麗な展示スペースをつくりました。さらに、売り場の店員に対し、ダイソン製品への理解を深めるための勉強会を実施。製品の見せ方・売り場のデザインや接客方法を工夫した結果、ダイソンが日本での大ヒットしました。
プロモーションで差別化
「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」。このキャッチフレーズをテレビCMで耳にし、強烈な印象に残ったという人は多いでしょう。
ダイソンは、自社の「独自の強み」をシンプルなキャッチフレーズにして、広告を見た人の記憶に残るプロモーションを行いました。
また、日本の掃除機メーカーが当時こぞって放映していた「さわやかな女性が家を掃除する」というような定番CMではなく、あえて製品の画像だけをクローズアップし、淡々と機能説明をするナレーションのみのCMを採用。
ダイソンが掲げる「プロダクト思考」を表現したテレビCMは、製品に対するこだわりと技術力への自信を消費者に感じさせました。また、他社とは全く違う切り口のCMも差別化となり、一気に日本中に認知されるメーカーになったのです。
ダイソンの差別化戦略まとめ
ダイソンは、自社の「製品開発・技術に対するこだわりや自信」を消費者に伝えて他社との差別化を図りました。「自社独自の強み」をキャッチコピーや売り場、さらにはCMでも明確に表現したことが一貫性を生み、急速な認知拡大につながったと考えられます。
ダイソンは「自分たちはマーケティングを行わない」と明言していますが、これらはすべてマーケティングの「差別化戦略」に則った巧みな手法です。自社の差別化戦略について見直したい、戦略を立てたい方は、ダイソンのように「他社にはない、自社独自の強みは何か」を振り返ることからはじめましょう。
自社ならではの強みを見つけるには、「3C分析」という便利なフレームワークがあります。差別化を図りたいが、どこから始めればいいのかわからない…という方は、ぜひ下記のワークシートをご活用くたさい。記入するだけで、自社の差別化ポイントを導き出すことができます。