【徹底解説】コストリーダーシップ戦略と差別化戦略の両立は可能か?

【徹底解説】コストリーダーシップ戦略と差別化戦略の両立は可能か?
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コストリーダーシップ戦略とは、コスト面で競争優位性を獲得するための戦略です。差別化戦略と同時に実施できれば、市場内で不動のポジションを確立できるでしょう。ただし、コストリーダーシップ戦略と、差別化戦略を同時に実施して、両立させるのはかなり難しいと言われています。

では、一体なぜ「コストリーダーシップ戦略」と「差別化戦略」は両立が難しいのか、その理由を解説していきます。

コストリーダーシップ戦略とは

コストリーダーシップ戦略とは、競合他社に比べて安い価格でサービスを提供し、市場内での優位性を確立するための戦略です。安い価格で提供しても利益率を増大させるために、原価を抑える必要があります。
コストリーダーシップ戦略とは?事例やメリット・デメリットまとめ

大量生産でコストを抑える

安い価格でサービスを提供する方法として、大量生産があります。仕入れ量を増やすことで材料費を抑える分、1つあたりの原価を下げ、利益を上げる方法です。1つ1,000円の商品が、これまで500円かけて作っていたものを300円で作れるようになれば、得られる利益が上がるという訳です。

また、人件費や製品を提供するために必要な設備にかかる費用といった固定費も、大量生産することで分散でき、1つあたりにかかるコストを下げられます。

生産工程の効率化

安い価格で提供するためには、生産工程をマニュアル化し、無駄をそぎ落とす必要があります。生産工程の無駄を省ければ省人化につながり、人件費や固定費を削減できます。また、生産効率が上がることで、生産数を増加させることも可能です。何度も改善を重ねて無駄のないシステムを構築していけば、従来よりも販売価格を抑えられるようになるでしょう。

人件費や仕入れ費の削減

国内で製造すると人件費がかかるため、人件費が抑えられる海外で製造するのも1つの手です。海外で大量生産し製造コストを抑えられれば、利益率をアップさせられます。また、材料もメーカーから直接仕入れて安くしたり、海外製品を仕入れて抑えたりと、仕入れ費を下げる方法もあります。

コストリーダーシップ戦略のメリット・デメリット

ここからは、コストリーダーシップ戦略のメリットとデメリットを解説していきます。

コストリーダーシップ戦略のメリットとは?

コストリーダーシップ戦略のメリットは、価格面での競争で優位に立ち、利益を見込めなくなった競合を撤退させられる可能性がある点です。そうなれば、ますます自社の優位性は高まるでしょう。また、製品を購入する際に価格は判断材料の1つになるため、価格で優位に立てれば、集客力が向上します。市場での優位性を保ち続けられれば、安定した利益を長期間にわたって確保できるでしょう。

コストリーダーシップ戦略のデメリットとは?

コストリーダーシップ戦略のデメリットは、価格競争が激化するリスクです。他社が自社よりも安い価格で参入してきたら、対抗して価格を下げざるを得ません。そうしないと「安さ」に魅力を感じている消費者が離れていくためです。そうして価格を下げるほど利益は生み出しづらくなります。販売数量を上げないと利益が出ない事態に陥り、販路拡大ができないと市場でのポジションを失っていくでしょう。

また、一度価格を下げると値上げがしづらくなり、ブランドとしての価値が下がるリスクもあります。

差別化戦略とは

差別化戦略とは、他社にはない自社の強みを打ち出す戦略です。希少性や付加価値といった他社にはない強みはもちろん、既存の製品やサービスの見せ方を変えることでも戦略を立てていけます。

差別化したサービスを提供することで、市場での優位性を獲得できます。競合他社が持たない価値を活かして、市場内での地位を盤石なものにしていけるのです。つまり、価格を追及しなくとも、魅力あふれる製品で顧客を集客できるため、利益率を上げやすい手法だといえるでしょう。
【差別化戦略】競合他社と差別化を図るための要因分析と戦略立案のやり方

選択肢が多様化しているからこそ、差別化を

類似製品があふれる現代では、技術力やコスト、商品力だけでは優位性を獲得するのは難しくなっています。差別化戦略で消費者の心を揺さぶらなければ、購入につながらない時代に突入しました。

消費者はたくさんの選択肢があるうえに、インターネットで簡単に比較検討できるため、常に自分にとって得になる製品を探しています。差別化戦略は、競合が多く選択肢が多様化する現代では、欠かせない生存戦略だといえます。

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差別化戦略のメリット・デメリット

ここからは、差別化戦略のメリット・デメリットを解説していきます。

差別化戦略のメリットとは?

差別化戦略のメリットは、ブルーオーシャン市場で勝負を始められる点にあります。競合他社が提供していない価値=ブルーオーシャンです。新しい市場を開拓することで、先発者優位性を発揮できる可能性が高まります。

また、まだ他社が見出していない強みになるため、消費者は価格よりも製品やサービスのスペックを重視して選択してくれるでしょう。コストリーダーシップ戦略時のように、価格を下げなくとも売れる状況が作れます。

差別化戦略のデメリットとは?

差別化戦略のデメリットは、誤った戦略であってもすぐに気が付けない点です。効果を分析するまで一定の期間が必要なため、軌道修正するのに時間がかかります。自社が差別化できるポイントだと思っていても、顧客からすると大した差別化ではない、または訴求するポイントがずれているケースも少なくありません。

差別化戦略をする際は、自社の既存製品・既存顧客のニーズ・競合製品の3つをよく分析したうえで、顧客の利益になる価値を考えましょう。
差別化戦略の具体的事例集【製品・サービス・企業別】

コストリーダーシップ戦略と差別化戦略の違い

コストリーダーシップ戦略は安さを追及し、差別化戦略は希少性の高さを追及した戦略です。2つの戦略は目指すベクトルが異なります。

コストリーダーシップ戦略を実施すると、市場内で低コストメーカーとしてのポジションを確立でき、集客効果がアップします。しかし、製品が成熟期に差し掛かると開発にも力を入れるべき時期が訪れ、価格を追及するのか、付加価値を重視するのか選択を下す時期が訪れるでしょう。

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💡コストリーダーシップ戦略・差別化戦略と集中戦略の違いは?

コストリーダーシップ戦略と差別化戦略は、業界全体に対して行われる戦略です。一方、集中戦略は特定のセグメントに絞ったうえで、コストリーダーシップ戦略または差別化戦略を展開します。

コストリーダーシップ戦略と差別化戦略は両立できるか?

コストリーダーシップ戦略と差別化戦略の両立が難しいと言われているのは、低価格と希少性の高さは相反する要素のため。
松茸をイメージすると分かりやすいですが、希少性が高いものは、おのずと価格が高騰します。対して、大量に生産できる他のキノコ類は松茸に比べれば安価で、一定の価格を保つことが消費者からは望まれます。

何かしらの要因で不作になれば、製品の希少性が高まったとも言えます。しかし、価格が上がることで売れにくくなるため、利益率を下げてでも低価格化を選択せざるを得ないこともあるでしょう。

コストリーダーシップ戦略と差別化戦略は同時進行が難しい戦略のため、両立できれば競合に負けないポジションを築ける大きなメリットがあります。
ただし難易度が非常に高い戦略です。しかし両立を目指すならば戦略が失敗に終わることがないよう、自社にとってベストな戦略がどちらかを考えて実施するようにしましょう。

どちらの戦略に比重を置くか

規模の大きな企業であれば他製品で売上げをカバーできるため、コストリーダーシップ戦略で低コストメーカーとしての地位を築くのも1つの手です。

反対に、利益を生み出せる製品が限られている企業の場合、コストを追及すると利益を確保するのが難しくなり、赤字化が進むリスクが高まります。コストリーダーシップは、たんに価格を安く提供するコストダウンではなく、低コストながら利益が出せるような仕組みがあって初めて成り立ちます。勝負できる製品や資金が限られているのであれば、差別化戦略を取るのがおすすめです。

自社にとってベストな選択を

それぞれが強力な戦略でも、両立させるのは難しいものです。両立を追い求めて、戦略の効果を発揮できないケースは決して少なくありません。中途半端になってしまわないように、まずは目的を定めて1つの戦略に集中しましょう。

自社の優位性を獲得するためには、自社の強みと消費者のニーズを分析し、自社が競合に勝てる市場に挑戦する戦略を立ててみてください。

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