カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?向上方法と事例を紹介
最終更新日:2024年04月24日
カスタマーエクスペリエンスは、顧客が自社、あるいは自社の製品・サービスに関わる際に得られる「体験」です。近年はほぼどのぐらいでも競争が激しくなる中、カスタマーエクスペリエンスは製品の付加価値という観点から注目されています。カスタマーエクスペリエンスを向上させることで、競合他社との差別化や自社のファン獲得に繋がります。
この記事では、カスタマーエクスペリエンスの概要や重要性について詳しく解説していきます。また、記事の後半にはカスタマーエクスペリエンス向上の成功事例も紹介いたします。他社との差別化や顧客獲得に課題を感じている企業の方は、ぜひ参考にしてください。
カスタマーエクスピリエンス(CX)とは?
カスタマーエクスピリエンス(CX)は、顧客が自社、または自社の製品やサービスに関わる際に得られる総合的な体験、さらにはその価値やメリットのことです。カスタマーエクスペリエンスを日本語に訳すと、「顧客体験」となります。
カスタマーエクスペリエンスには、価格や機能といった側面だけでなく、製品・サービスを提供する企業の印象や商品購入後の満足度など抽象的な価値も含まれているのが大きな特徴です。そのため、将来的に企業が安定して成長していくためには、このカスタマーエクスペリエンス向上のための施策は必須と言えます。
カスタマーエクスピリエンスとUXの違い
カスタマーエクスペリエンスとに似た言葉にUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉があります。UXとは、製品やサービスを使用・利用する際の体験や価値のことです。
カスタマーエクスピリエンスとUXはどちらも商品・サービスに関わる顧客の価値体験のことを指しますが、対象となる範囲が異なります。
UXはあくまでも特定の製品やサービスを「使っているとき」の体験を指しているのに対して、カスタマーエクスペリエンスは購入前から購入後まで商品・サービスに関する顧客体験すべてを指します。個々のUXが積み重なって、一連のカスタマーエクスペリエンスが成立するのです。
カスタマーエクスピリエンスはどうして重要なのか?
製品やサービスは一度購入して終わりではありません。事業として、あるいは企業全体として長期的に成長していくためには、既存顧客には継続して製品やサービスを購入・利用してもらい、新規の顧客も開拓していく必要があります。
しかし、インターネットの普及に伴う生活様式や購買行動の多様化SNSの普及によって、「良いものを作れば売れる」というスタイルでの販売は年々通用しづらくなっています。市場は「そこそこ良いもの」に溢れ、顧客のニーズが多様化している中、製品・サービス自体以外で「価値」を提供することが求められます。
そこで注目を集めているのがカスタマーエクスペリエンスです。顧客が製品やサービスを購入して使用・利用しているときだけではなく、購入前の興味関心~検討段階や購入後を含めて「良い体験」を提供することで、競合他社と差別化を行い自社製品・サービスのファンを作り出すことが可能です。
カスタマーエクスペリエンスを向上させるには「商品・サービスを通して顧客にどれくらい満足してもらえたか」「購入前~購入後に顧客はどのような体験をしたのか」といったデータを蓄積し、それらのデータを企業のマーケティングに活用することが重要となっています。
カスタマーエクスピリエンスを向上させるメリット
顧客に「選ばれる」企業になるためには、カスタマーエクスペリエンスの向上は必須です。質の高いカスタマーエクスペリエンスを提供することで、具体的には以下のようなメリットがあります。
ブランドイメージの改善が図れる
顧客は商品やサービスを通して満足度の高い体験ができると、そのブランドに対して良い印象を持ち、信頼を寄せるようになります。ブランドのイメージがあがることで、顧客はその商品・サービスだけでなく、同ブランドの商品を購入するようになります。
カスタマーエクスペリエンス改善で得られるブランドイメージの向上は、自社の商品・サービスの価値を高めることに繋がるのです。
新規顧客の獲得に繋がる
一般的に、新規顧客の獲得は既存顧客に継続して購入してもらうより、約5倍のコストがかかると言われています。そんな中、良質なカスタマーエクスペリエンスを提供することは、新規の顧客を獲得するためにも役立つのです。
既存顧客からの売上が確保できれば、その分新規顧客獲得の予算として活用できます。さらに、既存顧客が発信者となって自社の商品・サービスの情報をSNSなどの媒体を通して拡散すれば、コストを抑えながら新規顧客を集めることが可能です。
競合と差別化できる
近年、技術の発展やデジタル化の推進によって、商品・サービスの質だけでは競合他社との差別化が難しくなっています。同じような商品・サービスが数多くある中で、消費者に自社の商品を選んでもらうためには機能面や価格以外での差別化が求められているのです。
そこで、商品・サービスの質だけでなく、Webサイトや広告の改善、丁寧な問い合わせ対応などカスタマーエクスペリエンスの向上に取り組み、企業自体に魅力を感じてもらうことで、競合他社との差別化が図れます。
リピーターや自社のファンが獲得できる
商品やサービスは一度購入してもらえても、顧客が満足する価値提供ができなければ、顧客は離れていってしまいます。一度離れた顧客は取り戻すのが難しいため、顧客離れは企業にとって大きなダメージです。
良質なカスタマーエクスペリエンスを提供し続けることで、自社製品やサービスを何度も購入・利用するファンを育成し、売上を高めることが可能です。
カスタマーエクスペリエンスを高める方法
競合他社との差別化や自社ファンの獲得など、カスタマーエクスペリエンスの向上には様々なメリットがあります。ここからは、具体的にカスタマーエクスペリエンスを高める方法について説明していきます。
自社の提供価値を再確認する
カスタマーエクスペリエンスを向上させる施策に取り組む前に、顧客への提供価値を再確認する必要があります。他社にはない自社独自の価値を見出し、自社の競争優位性を高めることが重要です。
ここでの提供価値は、製品・サービスの質だけでなく、問い合わせ対応の丁寧さやSNSを活用したユーザーとの親密なコミュニケーションなど、商品・サービスに関わる顧客体験すべてを指します。
自社が提供できる価値や体験を明確にして組織内で共有し、全員の認識を一致させておくことで、方向性がブレずに施策に取り組めます。
顧客データを収集して分析する
カスタマーエクスペリエンスのを向上には、施策のベースとして顧客データの収集が欠かせません。顧客の属性や嗜好、行動傾向などが把握できていれば、それに合わせたカスタマーエクスペリエンスの最適化も実施しやすくなります。使っているSNSの種類や購買履歴、よく使っている検索キーワードといったデータを収集・分析し、様々なアプローチ方法を検討しましょう。
例えば、ターゲットに合わせて力を入れるSNSを選んだり、ランディングページの導線を見直したりと顧客データの分析結果からニーズを明確にした上で、アプローチの仕方を検討することが可能です。
CXプラットフォームツールを使うと、顧客データの分析や打ち手まで一貫して行うこともできます。
関連記事:CXプラットフォームの料金や機能を比較するための情報まとめ
カスタマージャーニーマップを作成する
カスタマージャーニーマップとは、商品・サービスの購入までの顧客の行動パターンを思考や感情を含めて時系列で可視化したフレームワークのことです。
顧客のニーズが明確になったら、それをカスタマーエクスペリエンスのを向上に活かすために、顧客にとってほしい行動を把握する必要があります。顧客の行動パターンを整理するために、約立つのがこのカスタマージャーニーマップです。
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の行動パターンが明らかとなり、購入に至るまでの段階ごとに取り組むべき施策を洗い出すことができます。
PDCAを全体的に回す
質の高いカスタマーエクスペリエンスを提供し続けるためには、PDCAを回して定期的な施策のアップデートが必要です。カスタマーエクスペリエンス向上の効果は視覚化しづらく、施策の成果が出ているのか把握が難しいという特徴があります。
そのため、カスタマージャーニーの各段階でエンゲージメント数やコンバージョン率といったKPIを設定して、定量的に評価・改善することが重要です。分析結果によっては、施策の基盤となるペルソナ設定やカスタマージャーニーマップの見直しが必要な場合もあります。
各段階ごとの接点の改善だけでなく、複数の施策を打ち出して購入に至るプロセスと購入後の体験を全体的に改善しましょう。
また、カスタマーエクスペリエンスをさらに最適化するには、Webサイトのデータ解析などに加えて顧客向けへのアンケートなども行い、顧客のニーズや行動をさらに明確に把握できる施策も打ち出しましょう。
カスタマーエクスペリエンス向上の成功事例
ここからは、カスタマーエクスペリエンス向上の成功事例をいくつかご紹介します。自社の業種・業態に近い企業の事例は、ぜひ参考にしてください。
東京ガス
東京ガスは、電気自由化をきっかけに一般家庭向けポータルサイトの「MyTOKYOGAS」をリニューアルを行いました。
チャットボットによる各種サービスへの誘導やユーザー属性に併せて提供するコンテンツを合わせることなど、カスタマーエクスペリエンスの向上に取り組んだことで会員数が約6~7倍に増加。
電気自由化でインフラ各社の競争が激化する中、価格面だけではなく、サイトのサービスを充実させることで選ばれる企業になったといえます。
デル・テクノロジーズ株式会社
デル・テクノロジーズ株式会社は、アメリカに拠点を置くITソリューションサービスを展開する企業です。デル・テクノロジーズ株式会社では、パソコンの購入検討段階からアフターフォローまで「最良の体験」を提供することを、企業コンセプトとして掲げています。
修理対応時間の短縮や問い合わせが多い項目の見直しなど、部署や国を超えてプロジェクトチームを作って日々の業務の改善に取り組むことで、企業全体としてカスタマーエクスペリエンスの底上げに成功しています。
ナイキ
スポーツ用品メーカーであるナイキは、アプリと実店舗の連携によってカスタマーエクスペリエンスの向上に取り組んでいます。
アプリから顧客の好みに合わせたコンテンツ提供、店舗でのアプリ決済、気になった商品をアプリでスキャンすることで試着室まで商品を持ってきてもらえるサービスなど、アプリと実店舗それぞれの特性を活かした価値提供を行っています。
【まとめ】継続的な成長にはカスタマーエクスペリエンス向上が必要
以上、カスタマーエクスペリエンスの重要性について解説しました。カスタマーエクスペリエンスの向上には、自社ファンの獲得やブランドイメージの改善など、様々なメリットがあります。
商品やサービスの質だけでは他社との差別化が難しい昨今、選ばれる企業になるためには質の高いカスタマーエクスペリエンスの提供が欠かせません。カスタマーエクスペリエンスの向上によって、顧客をリピーターへ成長させたり、新規顧客を獲得したりすることで、企業の安定した成長に繋がります。
自社のマーケティング戦略に悩んでいるなら
カスタマーエクスペリエンスの定義範囲が広いため、対応方法も多岐にわたります。たとえば「顧客が自社の製品・サービスに出会うまでのプロセスの最適化」というマーケティングアプローチも、CX向上の選択肢の一つです。
キャククルの運用元であるZenkenでは、企業が自社を選ぶべき顧客とつながるWebメディア制作・運用サービスを提供しています。自社製品・サービスを魅力的に感じるメディアを作ることで、顧客・企業ともに得するマーケティング戦略の設計を得意としています。
Zenkenではこれまでに120以上の業種で、8,000を超えるWebマーケティング実績を上げてまいりました。サービスについて詳しく知りたい方は、ぜひ下記のページをチェックしてみてください。
他にも読まれている記事