競合分析とは?フレームワークのテンプレートや分析手法を解説
最終更新日:2022年02月15日
競合分析とは?種類と分析目的
競合分析とは、事業戦略を構築するうえで同市場にいる競争相手を分析することを指します。競合他社を分析することで他社がどのような戦略を行っているのかが明確になります。
また、市場での自社にどんな強み・弱みがあるのか、競合他社と差別化するにはどうすればいいかが見えてくるため、事業戦略を立てる際にも必要不可欠です。なお、競合分析と言っても、その種類は細かく分類できます。
サイト分析
サイト分析とは、他社が公開しているWEBサイトを分析することです。普段何気なく見ているサイトにも、実は他社がやっている集客のヒントなどが見つかります。とくにコーポレートサイトよりもECサイトや商品・サービスのLPの方が顕著に工夫している点などがみられるでしょう。
たとえば、WEBサイトを開いたときに初めに出現する“キャッチコピー”にはどんなことが書かれているか、サイト内にはどのようなコンテンツ(見出し)がみられるか、などがあげられます。とくにCTA(Call To Action)と呼ばれるユーザーのアクションを促す行動喚起には注目すべきです。
また、ソースコードから「titleタグ」と「meta keywords」の分析も忘れずに行いましょう。この2つが設定されているとSEOを重視して作られたサイトである可能性が高いです。
アクセス分析
アクセス分析とは、サイトにアクセスしたユーザーがどんな行動を取ったのか調査することです。自社サイトのアクセス分析も戦略を立てるのに欠かせないものですが、競合他社のサイトを利用したユーザーの動きも把握したいところです。
アクセス分析ではユーザー数やPV(ページビュー)数、さらにどんなキーワードを使って検索し、サイトにアクセスしたのかも調査します。競合他社のユーザー数やPV数などを調べるときは、市場調査ツールを活用しましょう。
SNS分析
SNS分析とは、競合他社が運用しているSNSのコンテンツを調査・分析することを指します。企業アカウントを運用していなければ、影響力の強い代表などのアカウントを分析してみましょう。
SNS分析の指標として重要となってくるのが、フォロワー数です。フォロワー数は各SNSの合計よりもそれぞれのフォロワー数で分析します。
また、SNSで投稿されている内容にも注目してみましょう。内容を分析することでどのような情報を発信しているのか、競合他社が推すコンテンツなども把握できます。
プロモーション施策分析
プロモーション施策分析とは、サイトやSNSから発信しているコンテンツやセミナー・イベント、広告などを分析することです。この項目では主にどの層に向けてプロモーション施策を実施しているのかを調査・分析していきます。
たとえば、製品・サービスの利用を既に検討している「明確層」、解決策を模索している「顕在層」、悩みを抱えているものの解決に動く前の「準顕在層」、今後悩みを持つ可能性がある「潜在層」に大別できます。プロモーション施策分析を行う際には、競合他社が実施するプロモーションをこれらの層に分け、どこに注力しているかを確認してみましょう。
営業ヒアリング分析
営業ヒアリング分析とは、現場を知る営業担当者にヒアリングを実施する手法です。経営陣よりも直接顧客と向き合う立場にある営業担当者は、自社と競合他社を分析するのに重要な情報も持っていることが多いです。
とくに、どんな特徴を持った顧客に選ばれるケースが多いのか、営業担当者しか把握していない独自の価値や強みなどが営業ヒアリング分析から見えてきます。また、商品・サービスの価格も現場で値引きされている場合があるので、実際に出ている価格をヒアリングします。
競合分析に使えるフレームワーク
競合分析を行う際にはフレームワークを活用すると便利です。各フレームワークの目的と手法をご紹介しましょう。
3C分析
3C分析は、「Customer(顧客や市場)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの視点から事業を分析することから、頭文字を取って付けられました。3C分析を行うことで3者の関係性と外部要因・内部要因を調べることができ、自社にはどんな強み・弱みがあるのかを把握できます。
3C分析ではまず市場調査としてマクロ・ミクロ分析を実施し、さらに顧客分析を実施して自社商品・サービスを利用する人の特徴・傾向・購買行動などを把握していきます。次に競合分析によって競合との差別化できるポイントを見極めたり、取り入れた方が良い部分を探したりします。最後に自社分析を実施し、自社が今後どのように手を打てばいいかを検討するのです。
3C分析をさっそく行ってみたい方には、下記のページにて無料のワークシートを用意しております。記入するだけで簡単に3C分析が進められますので、ぜひ自社のマーケティング戦略策定に活用してみてください。
4P分析
4P分析とは、マーケティングにおいて企業が操作できる「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」を分析する手法で、頭文字を取って名付けられました。4つの要素はそれぞれで検討されることも少なくありません。しかし、要素同士を組み合わせることで適合性を発揮し、効果を生み出す可能性もあるのです。
たとえば「どこで商品・サービスを売るのか」という流通と、「どうすれば顧客に知ってもらえるか」というプロモーションは一緒に組み合わせ考えることで、より顧客のニーズに合った商品展開につながります。逆に4つをそれぞれで考えると、どこかで矛盾や齟齬が生まれてしまい、顧客へのアプローチに失敗する恐れもあります。
5フォース分析
5フォース分析は自社周辺の環境を5つに分類し、自社が展開するビジネスにとってどれほどの影響を与えてくるのか、またそれぞれにどう対応していけばいいのかを考えるのに役立ちます。5つに分類していくために、以下のテンプレートに当てはめていきましょう。
【業界内の要因】
- 売り手
- 買い手
- 競合他社
【業界外の要因】
- 新規参入業者
- 代替え品
これらから自社ビジネスにとっての脅威を洗い出すことで、具体的な対策方法も見えてきます。また、「SWOT分析」を行う際にも役立つフレームワークです。
SWOT分析
3C分析や5フォース分析は、主に競争環境にフォーカスし分析するフレームワークでした。一方、SWOT分析は外部環境と内部環境の双方をプラス面・マイナス面に分けて分析することでマーケティングの意思決定や戦略策定に活用するフレームワークです。
SWOT分析ではまず4つの視点を分析していきます。
- Strength(内部環境×プラス要因)…自社の強み
- Weakness(内部環境×マイナス要因)…自社の弱み
- Opportunity(外部環境×プラス要因)…市場での機会
- Threat(外部環境×マイナス要因)…自社にとっての脅威
ここからさらにそれぞれの項目を組み合わせて分析することで、戦略の方向性を打ち立てることができます。
- 自社の強みを生かして利益獲得や成長の機会を掴むことはできるか(S×O)
- 現環境によって自社の弱みを克服できる機会につなげられないか(W×O)
- 競合他社からの脅威を自社の強みで対処していく手法はないか(S×T)
- 脅威に向けて対処していく中で自社の弱みも克服できないか(W×T)
PEST分析
PEST分析は、企業経営にも影響する外部環境を分析するためのフレームワークです。「Politics(政治的要因)」「Economics(経済的要因)」「Society(社会的要因)」「Technology(技術的要因)」の4つの視点を軸に、社会全体の動向を掴んだうえで自社のビジネスにとってどのような機会・脅威があるかを分析していきます。
PEST分析だけでも中長期的なマクロ分析につながりマーケティング戦略にも役立ちますが、ほかのフレームワークと組み合わせることでさらなる力を発揮できます。たとえばPEST分析によって外部環境に関する情報が集まれば、その後のSWOT分析で外部環境における解釈を深められます。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、主に原材料を調達してから加工・製造によって商品を作り、物流を経て利益が生まれるまでの企業活動を捉えられる手法です。バリューチェーン分析では、原材料調達から製造、物流、マーケティング、サービス提供などを手掛ける「主活動」と、主活動につながる人事・労務管理、研究・技術開発、調達先の開拓、企業全般のインフラ整備などの「支援活動」に分類します。
バリューチェーン分析で主活動や支援活動が具体的に示されると、どこから多くの付加価値が生まれているのか、逆にどこで無駄なコストが掛かっているのかが可視化できます。さらに自社の強みや弱みを把握できるようになるのです。
自社の目的に合う手法を活用すれば、課題や戦略が見えてきます。各分析項目をテンプレートとしてまとめておくと、PDCAサイクルで定期的に調査・分析したいときにも便利です。
競合分析で注意すべきこと
実際にフレームワークを活用して競合分析を行う場合、注意しないといけない部分もあります。次に、競合分析で注意すべきポイントを4つ解説します。
競合サイトの現状を知る必要性
競合他社というと、自社商品・サービスと似たような商品・サービスを提供している企業があげられます。競合サイトも同様で、顧客が流れてしまいそうな似たサイトが競合になりえます。ただし、マーケティング担当者の中には「自社の商品やサービスはニッチだから特筆すべき競合サイトは見つからない」と考える方も多いでしょう。
競合サイトを探す場合、まず自社のターゲットを明確にしたうえで、そのユーザーが検索しそうなキーワードを見つけていきます。キーワード検索したときに出てきた上位サイトを分析し、同じターゲット・同じキーワードで施策を行っているサイトがないか探します。このように調べていくと、実は競合だと思っていなかったサイトが競合サイトになってくる可能性も高いです。
キーワードは1つではなく、調べれば調べるほど競合サイトがないか詳細に分析できます。ただ非常に根気のいる作業になってくるので、手間を掛けたくない場合は競合サイトを自動で判別してくれるツールを活用してみましょう。
主観性よりもデータを重視
競合分析はもちろん、マーケティング分析全般に言えることですが、主観性よりもデータを重視することが大切です。とくにマーケティングにある程度携わってきた担当者に見られるのが、自身の経験則による情報です。
「●●だったから△△になるはず」という経験則は完全に間違いとは言えないものの、正しいものと確定することもできません。データは結果として出ている数字なので正しい情報となります。そのため、主観的な経験則ではなくデータを重視して戦略を立てるようにしましょう。
目的や課題を明確に
いくら競合分析を行っても、目的や課題が明確になっていなければあまり意味がありません。競合分析で失敗する原因には、目的・課題に合ったフレームワークを採用していないこともあげられます。
フレームワークは目的や分析したことで何が得られるのかがそれぞれで異なります。競合分析を実施する前に、まずは競合分析を行う目的や現状の課題を明確にしておきましょう。
ターゲットを絞って狙う
業界全体が広く、多くの競合他社が存在するケースもあります。これらすべての競合他社に対処し、市場全体を狙っていくことは非常に困難です。最終的に市場全体へ影響を与えるほどの企業を目指すのは良いのですが、まずはターゲットを絞って競合分析を行うようにしましょう。
情報分析・収集に使えるツール
競合分析で情報を分析・収集する際に、すべて自分たちで調べ上げることも可能ですが、かなり多くの情報を扱うことになるため手間と時間が掛かってしまいます。手っ取り早く競合分析を行うならツールを活用しましょう。
Web上で使える無料の競合分析ツール
現在、さまざまな種類の競合分析ツールが登場しています。その中でもWeb上で使える無料ツールの中からおすすめをご紹介します。
SimilarWeb(シミラーウェブ)
SimilarWeb(シミラーウェブ)は企業の意思決定をサポートするために、競合サイトのアクセス状況を調査できるツールです。競合サイトのURLを入力すれば、そのサイトの訪問者数や1人あたりの滞在時間、訪問したユーザーの属性などがわかります。有料だとコンサルタントからアドバイスを貰いながらさまざまな情報を得られますが、無料版でも十分に競合サイトを調査できます。
SEOチェキ!
SEOチェキ!は、競合サイトのURLを入力するとサイト情報やキーワードの検索順位を調べられるツールです。競合サイトがどんなキーワードで上位表示させたいかが大まかに把握できます。また、競合分析だけでなく自社サイトのSEO対策を評価する際にも活用できる便利なツールです。
SEOアクセス解析ツール
SEOアクセス解析ツールは、競合サイト内でどのキーワードが多く使われているかを調べられるツールです。キーワード出現率以外にもインデックス数や被リンク数なども把握できます。利用する際にはURLだけでなく、キーワードも一緒に加えるとより正確な分析が行えます。
Ghostery
Ghosteryは、競合サイトがどんなサービスを主に取り入れているのかがわかるツールです。たとえば出稿している広告の種類や解析ツールの特定なども可能です。
これらの情報を把握することで、競合サイトがどれくらいサイト運営に注力しているかがわかります。また、自社サイトを運営する際の参考にもできるのでおすすめです。
インターネットアーカイブ
インターネットアーカイブは、競合サイトの過去を知ることができるツールです。競合サイトのURLと見たい日付を指定すると、その日付のときに競合サイトがどのような状態だったかが確認できます。
現在運営元によって編集され、見られなくなってしまったページなども確認できます。競合サイトで現在までに改変された情報や、期間限定でイベントページを運営していたときにどのような情報が書かれていたのかなどをチェックできます。
eMark+(イーマークプラス)
eMark+(イーマークプラス)は競合サイトのアクセス分析に欠かせない、ユーザー数とPV数を調べられます。競合サイトを利用しているユーザー属性まで把握できるので、アクセス分析には活用したいツールです。
なお、無料版だとアクセスデータはPCのみになってしまいますが、BtoB向けの商品・サービスを展開する企業であればPCのみのアクセスデータでも十分活用できます。モバイルからのアクセスデータの取得は有料版からとなるので注意しましょう。
Ahrefs(エイチレフス)
Ahrefs(エイチレフス)は、無料ツールではないもののオーガニック流入キーワードやリスティング広告流入キーワードなどを取得できるツールです。被リンク分析やSNSの反応を把握することもできます。
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