コミュニケーション戦略とは?立案に使えるフレームワークと理論を解説
最終更新日:2024年03月26日
この記事では、さまざまなクライアント企業へのマーケティング支援でキャククルが培ったノウハウをもとに、コミュニケーション戦略の概要と理論について解説していきます。
コミュニケーション戦略とは?
自社の製品やサービスの魅力、メリットなどを最大限顧客にアピールするためにはケースバイケースでコミュケーション戦略を取る必要があります。
コミュニケーション戦略とは顧客とコミュニケーションを取ることにより、自社の製品やサービス魅力、メリットといったものを効果的、また効率的に伝える戦略のことです。
コミュニケーションの手段は「広告」「販売促進」「人的販売」「パブリシティ」「クチコミ」に分けられ、これらの手段をミックスすることをコミュニケーション・ミックスといいます。
これらの「手段」をミックスしたコミュニケーション戦略を行うことがマーケティングでは非常に有効です。
※参照元:グロービス経営大学院公式サイト「コミュニケーション戦略」
コミュニケーション戦略「広告」
広告の役割は自社の製品やサービスの魅力を顧客に「知ってもらうこと」です。製品やサービスは顧客に知ってもらえなければ売れることはありません。
そのため顧客の認知促進を促す「広告」はマーケティングにおいて、売れ行きを左右する基本的かつ重要な手段となります。
ただしすぐに購入に結びつける目的の「販促」と異なり、「いつか購入してもらう」のが広告の主目的である場合は、即購入行動に直結させる必要はありません。
商品を認知している人を増やす事ができれば、広告としての目的は達成されているといえます。
コミュニケーション戦略「販売促進」
販売促進はセールスプロモーションと同義で、顧客の購買意欲を引き出したり、また流通業者側の販売意欲を向上させたりする取り組み全般のことを指します。
キャンペーンやイベント、デモなど行い販促を促していきます。セールスプロモーションは大きく分けて、3つの対象者に向けて行われます。
販売促進のためのコミュニケーション戦略対象者は「顧客」「流通業者」「社内(営業スタッフ)」となり、それぞれ取るべき戦略が異なります。
またセールスプロモーションは基本的に「PULL型戦略」となるため、対象者に製品やサービスの魅力、メリットを最大限伝えるためには、広告やサンプルの見せ方などを工夫する必要があります。
コミュニケーション戦略「人的販売」
人的販売は顧客に対して、販売員や営業担当者が直接営業して販売活動を行うことを指します。
人的販売はコストがもっともかかるコミュケーション戦略ですが、最終的に顧客がその場で購入する決断を下すことが多く、直接的な利益にもっとも結びつきやすいのが特徴です。
しかしながらインターネットが普及してきた昨今では、マスマーケティング全盛時代のような一方的な売り込みや情報提供では顧客の反響が得にくく、顧客ニーズを正しく把握した上でのコミュニケーション戦略が必要となります。
コミュニケーション戦略「パブリシティ」
パブリシティとは自社の製品やサービスが何かのきっかけでマスメディアに取り上げられる、あるいはマスメディアに自社から売り込みをかけるなどしてそれがテレビやラジオで報道されることをいいます。
英語訳では「広く知ってもらう」というような意味合いになります。広告とは違い企業側が費用を払うことがなく、あくまで「メディアに記事として取り上げられた情報」のことを指します。
常日頃からよりよい製品やサービスを提供していれば、パブリシティをきっかけにヒット商品が出ることもしばしばあります。
コミュニケーション戦略「クチコミ」
クチコミは英語で「word-of-mouth communication」と書き、マスコミをもじった語として広く世界に浸透しました。
企業などによる情報操作が行われていない生の利用者の声が聞ける、また親しい友人や知人が提供する情報であるなど、信頼できるクチコミはコミュニケーション戦略の中でもっとも売上貢献度が高い戦略です。
信憑性がある情報であれば消費者は大きな信頼を寄せ、顧客の購買行動にも大きな影響を与えます。特に製品やサービスの値段が高額になればなるほど、顧客はさらにより良いクチコミを求めて探し回ります。
ただしやらせのステルスマーケティングやわざと悪評を書き込む手法など、クチコミには投稿する側と投稿される側のモラルが問われる、という課題があります。
また医療や健康系など、クチコミによる広告が法令で禁止されている場合もあるため、注意が必要です。
コミュニケーション戦略2つの柱
コミュニケーションはアウターコミュケーションとインナーコミュケーションに分けられます。
一般的に顧客に対して行われるコミュニケーションはアウターコミュケーションです。
それぞれ取るべき戦略が変わってきますのでしっかりと内容を理解しておく必要があります。
アウターコミュニケーションとは
アウターコミュケーションは主に自社から外部へ向けて行うコミュニケーションです。
社外広報とも言い顧客となるべく密にコミュケーションを取り続け、製品やサービスの魅力、メリットなどを発信していきます。
いわゆる広告掲載や販売促進(セールスプロモーション)などを取り入れたコミュニケーション戦略のことです。
収益を大きく左右するためターゲットをよく分析した上で行う必要があります。
インナーコミュニケーションとは
一方インナーコミュニケーションは自社内に向けて行うコミュニケーションです。
社内広報とも言い企業の理念や経営方針、会社上層部の考え方やその指導方針などを社員に浸透させ、共有させるための取り組みを行います。いわゆる企業内組織改革や従業員の意識改革のことを指します。
その他にも社員の会社に対する意識調査を行ったり、研修を行ったりして社員を教育することもインナーコミュニケーションのひとつといえるでしょう。
コミュニケーション戦略立案に必要な要素とプロセス
コミュニケーション戦略を立案するには主に4つのプロセスに分けられます。それが以下の項目です。
- コミュニケーションの方向性や目標を設定して予算を算出する
- コミュニケーションの手段を決定する
- コミュニケーションはどのような内容にするかを考える
- コミュニケーション戦略実施後は効果測定のモニタリングを実施
コミュニケーションの方向性や目標を設定して予算を算出する
まずコミュニケーションの方向性を設定します。例えば製品やサービスの購入対象者が若者なのか高齢者なのかでも、取るべきコミュニケーションの方向性は変わってきます。
そして最終的にどこが着地点なのか、目標もしっかりと設定をする必要があります。
現在の製品やサービスが市場で知られていない段階ならば、まずは知ってもらう戦略を取る必要がありますし、知られているのに売れていないのであれば、売れるための施策を行わなくてはなりません。
このような取るべきコミュニケーションの方向性や目標をしっかりと設定した上で、予算の考察に入っていきます。
コミュニケーションの手段を決定する
コミュニケーションの種類は「広告」「販売促進」「人的販売」「パブリシティ」「クチコミ」に分けられることは当記事の冒頭でもお伝えしています。
これらのコミュニケーションを単体で行うのか、あるいはコミュケーションミックスによって組み合わせて行うのかなど、細かいコミュニケーションの手段を決定していきます。
更にメディアにもテレビやラジオ、新聞など複数の媒体が存在するため、これらも単体で利用するのか、メディアミックスにより組み合わせて利用するのか、合わせて決定していきます。
コミュニケーションはどのような内容にするかを考える
製品やサービスに顧客の興味を惹かせるためには実際にその商品やサービスに触れてもらうことがもっとも手っ取り早いと言えます。
しかしどのようにして製品やサービスに触れてもらうか、顧客に対して取るコミュニケーションの内容を考えなければなりません。
例えばラインやツイッター、メルマガなどのオウンドメディアを活用する方法もあります。
顧客とオウンドメディアを通してコミュニケーションを取り、ストーリー形式で物語を進行していくような内容にします。
最終的には無料使用期間を提供してあげるといった形で製品やサービスに触れてもらえるようにします。
また別の方法としては、対面形式でのコミュケーションという形を用いて、話術でもって相手を引き込み、商品に触れてもらう、という内容にすることもできます。
このようにコミュニケーションの内容もターゲットによって色々考察する必要があります。
コミュニケーション戦略実施後は効果測定のモニタリングを実施
コミュニケーション戦略を実施し、実際に製品やサービスを顧客に提供しはじめたら、今度は使用した感想や評価、効果の有無などフィードバックを分析しはじめなければなりません。
製品やサービスは顧客に提供してそれで終わりではなく、モニタリングで顧客からの悪い評価を改善してこそ、ファンやリピーターを増やすことにも繋がります。
良い評価は更によりよい製品やサービスを開発するための参考とし、悪い評価は改善を重ねることで品質アップに繋げていきます。
コミュニケーションデザインという考え方
コミュニケーションデザインは「BtoC」「BtoB」における、人と人とのコミュニケーションをデザインするという考え方です。
人がどのように考え、どう行動するのかを熟考しそこから最適な方法を逆算、模索していきます。
コミュニケーションという目に見えない価値をデザインし、顧客との接点を持とうと考える企業が増えています。
たとえば純広告は使用せずに動画などを活用して、製品やサービスの活用法や自社製品を使用したアレンジ調理例、変わった味付けなどのレシピを公開してあげるのも、コミュニケーションデザインのひとつといえます。
コミュニケーションデザインにたけている企業のプロモーション戦略は魅力的で、いつのまにか購買スイッチが入る仕掛けになっています。
コミュニケーション戦略立案に有効なフレームワーク事例と理論
コミュニケーション戦略の立案に有効なフレームワークをいくつかピックアップしてみました。コミュニケーション戦略を立てたくてもどこから着手すればいいかわからない、という場合などに活用します。
- 3C分析(ブランド論)
- ポジショニングマップ(ポジショニング論)
- アカウントプランニング論
- ダイレクト論
- IMC論
- エンゲージメント論
- クチコミ論
3C分析(ブランド論)
ブランド論は企業の持つブランド力を前面に押し出した戦略論のことでコミュニケーション戦略ではもっとも重要な位置にあります。
例えば特定の製品やサービスを目にしたときに「この企業の製品なら大丈夫」と無意識に思うことがあります。
これがブランド力でありブランド論はこの企業の持つ強みに着目します。企業の持つ強みは3C分析によって明確にできます。
3Cは顧客、自社、競合のことでこれらを分析することにより、自社だけの強みをあぶり出すことができます。上記の図にもあるように、自社にあって競合になく、顧客が価値と感じてくれる「バリュープロポジション」をあぶりだすことが先決です。
自社だけの強みは企業としてのブランド力となりブランド論を実践するうえで必要不可欠な要素となります。そしてこれがコミュニケーション戦略の骨子となります。
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ポジショニングマップ(ポジショニング論)
ポジショニング論は自社の「立ち位置」を明確にした上で行う戦略で、同じような製品やサービスが乱立している市場においてはとても有効な戦略論です。
他社とは違う製品やサービスを顧客に提供し自社だけの「立ち位置」を確立します。
自社だけのオンリーワンを顧客に提供することで、他社との価格競争から脱することができ、リピーターやファンなどの「濃いユーザー」を獲得することに繋がります。
ポジショニング戦略を効果的に行うには、ポジショニングマップを使用して戦略を練り、ターゲットや提供価値を可視化することが大事です。
言葉だけでのコミュニケーションには限界がありますので、戦略を具現化するためにフレームワークを活用して、関係者全員のコンセンサスを得ておくとよいでしょう。
ポジショニングマップの作成方法と軸の決め方について解説
BtoB・法人のポジショニングマップの作り方
ポジショニングマップテンプレートダウンロードはこちら
アカウントプランニング論
アカウントプランニングは顧客がどのように行動して何を考えているのかを分析して、その調査結果を広告などに反映させ、自社に対し顧客の反応をより良いものにしていくための行動計画です。
顧客をセグメントで見るのではなく、顧客の一人ひとりの更に深い部分まで見ていきます。個別の顧客にシナリオをたてアクションプランを練り、販促の方針を打ち出していきます。
営業で成果をだすためには必要不可欠な工程で、各企業の営業パーソンが拡販に関する方針などを作成します。
ダイレクト論
ダイレクトは「直接」という意味です。ダイレクト論とは顧客の直接的な生の声を聞き、顧客の要求やニーズに応えてあげたり、悪い箇所を改善してあげたりすることで長期的な関係を築き上げていく戦略論を指します。
ダイレクト論は顧客の反応に重点を置いているため、広告を出稿したとき顧客にすぐ行動を起こしてもらうように戦略を練らなければ、意味がないものとなってしまいます。
例えば「顧客にその場ですぐに購入してもらう」「サンプルをダウンロードしてもらう」「無料体験に申し込んでもらう」など、その場の顧客行動を狙っている場合はダイレクト論で戦略を練ることがとても有効です。
IMC論
IMCは「統合マーケティングコミュニケーション」の頭文字を取った名称で、複数のコミュニケーション手段を統合的に管理し、運用していく戦略論です。
コミュケーション手段を複数持つことで顧客との接点を複数持つことができます。
コミュニケーション手段には「実店舗」をはじめ「オウンドメディア」「ソーシャルメディア」「パンフレット・ちらし」「訪問セールス」など多岐にわたります。
このIMCがしっかり統合、確立されていないと企業側は顧客に価値を十分に提供できません。
例えばそれぞれの媒体で違う情報が提供されている場合など顧客が困惑してしまい、ときに企業イメージを損ねてしまうこともあり得ます。
エンゲージメント論
エンゲージメントは使用される場面では、異なる解釈がされる言葉でもあります。
例えば従業員に対して使用する場合には愛社精神や組織への愛着心、一体感などの意味合いで捉えられます。
顧客に対する「顧客エンゲージメント」の場合は、顧客との二人三脚、顧客と共感し合う関係などの意味合いで使用されます。
企業側が一方的に情報提供を行っているだけでなく、顧客にも自ら意思を持って参加してもらう目的の戦略論です。
クチコミ論
クチコミ論はインターネット上のソーシャルメディアなどをはじめとする、いわゆる「口コミ」を拡散させていくことが目的の戦略論です。
クチコミ論は戦略論として、まだしっかりと確立していない部分も多く「論」と呼ぶには十分ではないとされています。
しかしながら企業が情報操作できないことも多く、顧客にとっては信頼に足る情報源として購買行動にも影響を与えることがあります。
実際にクチコミが消費者行動に及ぼす影響に関する大学の研究論文も発表されています。
※参考論文:育英短期大学研究紀要 第32号「クチコミの発信内容と共感他社が消費行動に及ぼす影響」 (2015年3月)
口コミの集客にはどういった方法が有効か?
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コミュニケーション戦略立案のフレームワークと理論まとめ
コミュニケーション戦略にはさまざまな手段と理論があるため、あるいはハードルが高いと感じられるものかもしれません。ただ、自分事として咀嚼していまの戦略に要素を追加していくことはできるはずです。
顧客の購買意欲を掻き立てるだけのマーケティングを行うためには、顧客とのコミュニケーションがいかに重要であるかを理解するところから始めてみてはいかがでしょうか。
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