【3分で理解】スターバックスのブランディング戦略について解説
最終更新日:2024年03月25日
この記事では、アメリカのシアトルに本社を構えるカフェチェーン店「スターバックスコーヒー」のブランド戦略について考察しています。自社のブランド戦略を策定する上で参考にしてください。
なお、自社のブランド戦略を打ち出すにあたって、ブランドやブランディングに関する基礎的な知識も必要です。下記のページではブランド戦略の概要やブランディングの流れを詳しく解説している資料を用意しておりますので、ぜひこちらもご活用ください。
スターバックスのブランディング戦略のポイント
引用元:Starbucks Coffee Japan公式サイト(https://www.starbucks.co.jp/)
競争の激しい飲食業界において、確固たるポジションを維持し続けているスターバックス。1杯600円前後という決して安くない価格にもかかわらず、客足が絶えることはなく、根強いファンが多く存在します。
CMや広告などのメディア戦略を一切行わないポリシーを貫きつつも、スターバックスがブランディングに成功した背景には、特徴的な戦略ポイントがあります。
あえて宣伝広告を出さない―店舗体験によるブランディング
一般的なブランディング戦略では、自社の商品やサービスに対し、より高い認知度を得るためにさまざまなメディアを活用します。
しかし、スターバックスはCMや広告を一切出していません。ブランディング戦略としては不利なように思えますが、実はこれこそがスターバックスのブランディング戦略なのです。
スターバックスのブランディング戦略はメディアを通じてではなく、実際に店舗に足を運んだ利用者の「店舗体験」がベースとなっています。スターバックスに足を運んだ経験があれば分かりますが、スターバックスの店内は、従来のカフェとは一線を画した心地の良い空間に調えられています。
ホテルのラウンジのようなソファ、おしゃれなBGM、店内に漂うコーヒーの香り、細やかなオーダーに応じてくれるバリスタなど、高いホスピタリティで、「お客様に満足してもらうこと」がスターバックスのブランディング戦略なのです。
スターバックスよりも安い価格でコーヒーを楽しむことができる店舗はたくさんありますが、スターバックスは価格ではなく、「スターバックスでしか味わえないひととき」というブランドアイデンティティで差別化を図りました。その結果、リピーターやファンが集まり、ブランディングが成功したといえます。
デジタルツールを活用した密なコミュニケーションで店舗体験の向上を図る
CMや広告をださないスターバックスですが、その分、公式サイトのコンテンツを充実させたり、SNSを活用したりといったデジタルプロモーションを行っています。
公式サイトでは、季節ごとのおすすめやこだわりのカスタマイズなどの紹介、コーヒーをおいしく楽しむコツなど、スターバックスを利用したくなるようなコンテンツが充実しています。
また、スターバックスの公式Twitterは、460万人以上ものフォロワー数となっており、広告と同等のリーチ数を誇っています。新作や期間限定商品の情報発信などを行なっているほか、従来の広告ではできない「利用者の声を聞く」ことを重視。
SNSを通じて利用者と密にコミュニケーションを図ることで、より心地の良い店舗体験に活かしています。
期間限定商品で根強いファンを囲い込む
スターバックスの季節限定商品は、発売前に公式サイトやSNS、店舗媒体などで情報発信されます。そのため発売前から話題となることが多く、初日には限定商品を求めて行列ができていることも珍しくありません。
これもスターバックスならではのブランディング戦略で勝ち取ったブランド力といえます。
期間限定という特別感と、利用者の満足感にこだわる姿勢がロイヤリティを高め、安くない商品でありながらも、根強いファンを囲い込むことにつながっているといえるでしょう。
質の高いコミュニケーションのできる人材の育成
スターバックスの「店舗体験」というブランドアイデンティティを支える要素として重要なのが、現場で接客にあたるスタッフです。スターバックスでは、2014年に800人を超える契約社員を正社員に切り替えるという大胆な人材投資を実施しました。
通常の飲食チェーンであれば、大きなリスクと判断される人事ですが、リスクを背負ってでも、利用者と直接コミュニケーションをとるスタッフの質を高めることが、将来にわたってのブランド力を高めると判断したわけです。
その結果、スターバックスのブランドアイデンティティは盤石となり、ブランディング戦略は成功となりました。
スタッフ1人1人のオーナーシップを尊重する接客
スターバックスには、接客マニュアルが存在していません。スタッフ1人1人が自ら考え、利用者へのホスピタリティを提供しているのです。店舗運営の常識としては考えられないものですが、マニュアルに縛られていないからこそ、利用者それぞれに合わせた接客が可能となっています。
自分だけの特別感のあるホスピタリティを提供されれば、利用客にとって「スターバックスでのひととき」は格段に心地の良いものとなります。この店舗体験がリピートや口コミにつながり、集客はもちろん、さらなるブランディングにつながっているのです。
スターバックスのブランディング戦略まとめ
ゆったりと落ち着いた空間で上質なコーヒーが楽しめるスターバックスのブランディング戦略は、競争しがちな「価格」ではなく、「お客様が満足できる高いホスピタリティ」を提供価値とすることで大きな成功を収めました。
一方で、このブランドアイデンティティに対しては「高すぎる」「おしゃれすぎて入りにくい」「タバコが吸えない」などというマイナスのイメージを持つ人もいます。しかし、スターバックスは、こうしたウィークポイントに注目するのではなく、自社しか提供できない提供価値を最大限に伸ばしていったのです。
他社と差別化できる提供価値を明確にし、その価値にこだわり、最大限に高めていくことが、ブランディング戦略成功のカギといえるでしょう。
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