【3分で理解】メルセデス・ベンツのブランド戦略について解説
最終更新日:2024年05月27日
この記事では、ドイツの自動車メーカー「メルセデス・ベンツ」のブランド戦略について考察しています。自社のブランド戦略を策定する際の参考にしてみてください。
なお、自社のブランド戦略を打ち出すにあたって、ブランドやブランディングに関する基礎的な知識も必要です。下記のページではブランド戦略の概要やブランディングの流れを詳しく解説している資料を用意しておりますので、ぜひこちらもご活用ください。
メルセデス・ベンツのブランド戦略のポイント
高級車メーカーのメルセデス・ベンツでは、これまでの高級志向から、より一般消費者に親しまれるブランドを目指したブランド戦略を展開しています。メルセデス・ベンツがどのような戦略を行っているのかをみてみましょう。
「親しみやすさ」を強調したブランド戦略にシフト
メルセデス・ベンツといえば、超高級志向のイメージがあり、一般消費者が気軽に乗る車とはかけ離れていました。しかし、現在のメルセデス・ベンツは、「親しみやすさ」を押し出したブランド戦略を打ち出しています。
その目的は、新しい顧客層の獲得です。メルセデス・ベンツは、高級車の代名詞で、長年のファンも多いブランドといえます。
しかし、これまでの経営方針では、既存顧客の枯渇が懸念されることから、新たな顧客層の開拓に着手。メルセデス・ベンツが注目したのは、これまで接点が少なかった一般消費者層、特に若い世代です。
若い人でも手が届くベンツをコンセプトに、現在では、300万円台からのラインナップを展開しています。
しかしながら、メルセデス・ベンツの新たなブランディングは浸透しているとはいえません。そのため、メルセデス・ベン
では様々な切り口からのブランド戦略を行っています。
コンセプトカフェの運営
メルセデス・ベンツの世界観を気軽に体験できる場所として立ち上げたのが、「メルセデス・ミー」という施設です。
メルセデス・ミーは、カフェやレストランを併設したショールームで、希望すれば展示車両の無料試乗も可能となっています。
通常のディーラーと大きく異なるのは、「車を売らない」ことです。実に大胆でユニークなブランド戦略ですが、売り込むよりもまず、メルセデス・ベンツを知ってもらう、興味をもってもらうという点を重視しています。
ここでの店舗体験が高ければ、ブランドの認知を広げることにつながり、ひいては新規顧客の獲得が期待できるというわけです。まさに「急がば回れ」のブランド戦略といえます。
マス広告のイメージチェンジ
メルセデス・ベンツの「親しみやすさ」を訴求するブランド戦略では、マス広告のイメージチェンジも行っています。
従来のメルセデス・ベンツの広告では、価格を前面に出すことはありませんでした。既存顧客のニーズは価格ではなかったからです。
しかし、一般層や若年層のニーズは異なります。手の届く価格であってはじめてブランド自体に興味・関心をもつ傾向があるため、あえて低価格を強調した広告にしたのです。
また、親しみやすさを感じる要素として、新聞広告の背景を地域ごとに変える工夫も取り入れ、地域の消費者への訴求につなげています。
アニメやゲームキャラクターとのタイアップ
メルセデス・ベンツの「親しみやすさ」を、クルマ離れが進む若年層に訴求するツールとして活用したのが、ゲームやアニメとのタイアップです。
これまでに行ったタイアップで話題になったものには、任天堂のゲームキャラクターがゲームの世界でベンツを運転する、ベンツでカーチェイスをするという内容の6分間の短編アニメ映画「NEXT A-Class」などがあります。
ブランド価値の維持と新規ユーザー層開拓の両立
これまで顧客となってきた富裕層だけでなく、一般層を取り込むためにオープンなブランド戦略を展開しているメルセデス・ベンツですが、長年のファンからの反発も少なくありません。
そのため、メルセデス・ベンツのブランド戦略では、これまでと変わらないブランド価値の維持と新しいユーザー層の開拓のバランスが重要な戦略ポイントとなっています。
そのため、「親しみやすさ」を訴求しつつも、ブランド戦略の内容は、チープにならず、メルセデス・ベンツらしい重厚感や洗練性が維持するポリシーを貫いているのが特徴です。
メルセデス・ベンツのブランド戦略まとめ
メルセデス・ベンツのブランド戦略では、これまでのブランドイメージを払拭しつつも、ブランド価値を守りながら新しい流れを取り込むことを目指しています。
これまでの圧倒的な高級志向のイメージを親しみやすいものに換えるため、さまざまな角度からの訴求を展開していますが、売ることを第一としていないのが特徴です。
まずは、メルセデス・ベンツというブランドを知ってもらうこと、好きになってもらうことを重視しています。そのため、いずれのブランド戦略にも惜しみなく広告宣伝費を投入し、上質なプロモーションを展開しているのです。
メルセデス・ベンツにとっての広告宣伝費は、コストではなく投資といえるかもしれません。
メルセデス・ベンツのブランド戦略は、短期的に見れば、売上に直結しないかもしれません。しかし、中長期的に見ると、確実なブランドの認知拡大や新規顧客の開拓につながっていくと考えられます。
メルセデス・ベンツのブランド戦略からは、「急がば回れ」の精神で、先を見据えた戦略を立てることの重要性を学ぶことができます。
ブランドイメージとは一朝一夕では定着しません。
時代のニーズに合わせた変化は必要になりますが、その軸にある思いや信念がぶれないブランドをつくりあげます。
マーケティング戦略や差別化を考える際には、自社ならではの一貫した特徴や強みが表現できているか、しっかりチェックをしましょう。
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