ブランディングの効果のはかり方!効果測定の方法・ポイント解説
最終更新日:2024年03月22日
マーケティングの指標が「売上」である一方で、ブランディングは認知度や好感度といった「人々が捉えているイメージ」のため抽象的で、なかなか成果が目に見えない戦略です。
ブランディングの手法は分かっているけど、実行したあとの効果測定で「販促活動による成果なのか、ブランディングによる効果なのかが分からない」とお困りの方は多いのではないでしょうか。このページでは、ブランディングの効果測定について解説しながら、効果測定の指標や測定に使える方法をお伝えします。
また、ブランディングについての知識を今一度ブラッシュアップしたい方向けには下記のページにブランド戦略やブランディングの基本的な情報をまとめている資料を用意しております。ぜひこの記事と合わせてお役立てください。
※ブランディングにおける戦略の重要性についてはこちら(記事の後半へジャンプ)からでも詳しくご覧いただけます。
ブランディングの効果とは
会社や製品、またはサービスの「ブランド」を形成していくブランディング。
ブランドは、数ある競合や他社の似たような製品やサービスから区別するための一連の要素です。
会社や商品のデザインやシンボルマーク、ブランドロゴ、名称、キャッチフレーズなど、さまざまな要素が組み合わさって「ブランド」となり、人々に認知されます。
直接的には集客や売上にはつながらなくても、ブランディングには「目には見えない価値」で自社の魅力や強みを伝える効果があります。
認知度の向上
ブランディングが成功すると、他社の製品・サービスと差別化できるほか、「○○と言えばこの会社」「(地域)△△で食べるなら○○」というように、人々の中にイメージが形成されます。
いくら優れた商品やサービスを提供できたとしても、知名度・認知度が低いままだと、ユーザーに選ばれる機会はそう多くありません。
他社よりも選ばれる一手として、認知度を高めるブランディングはマーケティング戦略において必至と言えます。
顧客ロイヤリティの向上
顧客ロイヤリティとは、会社や製品・サービスに対する顧客の愛着心や忠誠心、信頼度のことです。顧客ロイヤリティが向上すると、ブランドに対する「根強いファン」がつくことになり、価格や品質以外でも選ばれるようになります。
顧客ロイヤリティの高いファンは、新製品を売り出すたびに買ってくれたりリピーターになってくれたりします。
また、周りの身近な人に製品・サービスの良さを伝えるなど、口コミ効果をもたらす頼もしい存在となるでしょう。
他社との差別化を図れる
どんなに品質が良く価格が安くても、独自性がなければユーザーにとっては「他社の似たような製品・サービス」と同じです。
せっかくの自社の強みや魅力が埋もれてしまい、優位に立てないまま他社との競争を延々と強いられてしまうでしょう。
ブランディングには、自社ブランドの特徴を際立たせる効果もあります。
価格や品質で争わなくても、自社の魅力や強みを感じて、顧客が自然と集まってくれる環境を築けるのです。
チーム・組織力の強化
ブランディングが成功すると、企業の組織力も自然と高まっていきます。
ブランディングは、代表やトップをはじめとしたチームや組織全体で取り組むもの。
ブランドの理念やブランディングの目的が全体に浸透することで、社員それぞれが目指すべき方向性を知り、ブランディングのための取り組みを実践したり主体的に行動したりできるようになります。
さらに、ブランドが「この会社で働く誇り」となり、社員の士気や会社に対する忠誠心を高めます。ブランディングが顧客獲得や売上につながると、さらに組織のブランドに対するロイヤリティがアップします。
ブランディングは製品・サービスに対する成果だけではなく、働く環境や周りの人々にとっても利益をもたらすのです。
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ブランディングの効果測定は難しい
ブランディングは認知度や好感度といった、人々の中にある「抽象的なイメージ」のため、効果を測定するのは容易ではありません。
また、製品・サービスを売り出すにあたり、ブランディング戦略だけで勝負している企業はほとんどなく、他の販促活動やマーケティング施策も同時に行っているためでもあります。
売上が上がったとしても、それが他の宣伝やマーケティング活動によるものか、ブランディングが向上したからかをすぐに分けることはできません。戦略と成果と紐づけるためには、まずはそれぞれの施策の評価を指標化することが必要です。
ブランディングの指標と定量化については、以下でくわしく解説していきます。
ブランディングの効果測定の指標
目に見えにくい効果を定量化するために、効果測定では「認知度」や「好感度」といったイメージや概念を具体的な数値にあてはめていきます。
デジタルマーケティングが活発な現在では、自社をブランディングする際にインターネット広告を活用する企業が多くいます。
そこで役立てられているのが「ブランドリフト」と「サーチリフト」です。
ブランドリフト
ブランドリフトとは、自社の広告のうち「ブランディングを目的とした広告」を抜き出し、その広告に接触した(目にした)グループとまだ接触したことのないグループに分け、接触経験のあるグループのブランドに対する認知度や購買意欲を確認する方法です。
広告のクリック率やコンバージョン率では測定できない、認知度や想起度、好感度、購入意欲度を測定することができます。
ブランドリフトの測定方法
ブランドリフトは、主にアンケート調査によって測定します。
アンケート調査の手法には2種類あり、最近では画像や動画などの広告キャンペーンと連携できることから、多くの企業で取り組まれています。
インバナーサーベイ
ディスプレイ広告枠内に、アンケート回答用のバナーを配信して回答者を集める方法です。回答者はバナー内の回答枠にタップやクリックによってアンケートに答えられるようになっており、1~3問程度のアンケートを実施できます。
たとえば、動画広告を見たあとに「この新製品に○○機能があることを知っていましたか?」「この新製品を買いたいと思いましたか?」などの質問を行います。
この設問によって認知度や購買意欲度をリアルタイムで知れるほか、最も反応が多かったセグメントへのアプローチを強めるなど、ターゲティングの調整や広告改善にも活かすことができます。
リードバナーアンケート
インバナーサーベイと同じく、広告に接触した人とそうでない人のブランド態度を、ディスプレイ広告によってリアルタイムで比較する効果測定手法です。
インバナーサーベイがバナー内でアンケートを行うのに対し、リードバナーアンケートは回答専用のページを配信して、回答してくれるユーザーを集めます。回答の精度が向上するほか、インバナーサーベイよりも多くの質問数を設けられるのが利点です。
ただし、広告をクリックして別ページに遷移するため、ユーザーの離脱を招いてアンケートの回答率が低くなるデメリットがあります。
サーチリフト
サーチリフトとは、企業がブランディング広告を打ち出したあと、対象の検索キーワードの「自然検索数」がどれほど上昇したかを測定する方法です。
広告によってどのくらいブランド名や製品・サービス名が検索されたかを測定して、ユーザーの検索行動の変化を可視化していきます。
サーチリフトの測定方法
Google Search Console(グーグルサーチコンソール)で、社名や製品名・サービス名など、実際にユーザーに検索されたキーワードを確認します。
サーチコンソールでは、キーワードの実際の検索ボリュームが分かるほか、表示回数のほかクリック数、平均クリック率、平均掲載順位などを細かく得られるのが特徴です。
ディスプレイ広告などでは測定機能があるものも
Yahoo!のディスプレイ広告には、ブランド効果測定の機能がついており、ブランドリフト調査やサーチリフト調査を行えます。
Yahoo!広告内の管理ツールで設定して、リアルタイムにチェックできるようにしておくと便利です。
ただし、Yahoo!との広告契約内容によっては、利用できない場合や利用条件が異なることがあります。はじめて測定機能を使う方は、ガイドを確認するかお客様サポートに問い合わせてみてください。
その他のブランディング効果の指標になるもの
新規接触率
そのブランドを初めて知った人の割合がどのくらいいるかの指標が「新規接触率」です。新規接触率を知ることで、社名もしくは製品やサービスの認知度がどのくらいかを測定できます。
新規接触率(%)=新規リーチUU÷各媒体の接触UU
決まった計測期間内に媒体やページを訪れたユーザー(UU)全体のうち、新しくリーチした人がどのくらいいるかを知ることで新規接触率が決まります。
新規接触率が多いほど初めて知った人(新規リーチUU)が多いということになり、あまり認知されていないことが分かります。
逆に新規接触率が少なければ、すでに多くの人に周知されている、認知度が高まっているということです。
一度の計測ではなく、定期的に計測を継続することで効果を検証できます。
エゴサーチ
Googleなどの検索エンジンやSNS上で自分のことを検索するのが「エゴサーチ」です。
自社名やブランド名(製品・サービス名)を入力して検索すれば、自社のブランドを話題にしている人がどのくらいいるか、どんなユーザー層に話題にされ、取り上げられているかが分かります。
SNSではTwitterやInstagramなど、ユーザー数の多いSNSで検索するのがおすすめです。自社やブランドを指したツイートやハッシュタグが見られない場合、あまり認知されていないということになります。
SNSは拡散されやすい特性を持つことから、ブランディングを含めマーケティングとの相性は良いとされています。
ただし、効果を測定できない、十分に定量化できない課題は残ります。
DWB(Definitely Would Buy)
ブランドロイヤリティの高さを計測するのがDWBです。
「Definitely Would Buy」を翻訳すると「絶対に買いたい」という意味。つまり、購入意向の非常に強いユーザーがどのくらいいるかを知ることができます。
DWBは、主にアンケート調査によって求められます。
アンケートで、この製品を
絶対に買いたい・買いたい・どちらでもない・あまり買いたくない・全く買いたくない
などの5段階に分けた質問をし、得られた回答から「絶対に買いたい」人の割合を導きます。
購入意向の高いユーザーの割合が多いほど、ブランドのロイヤリティが高いと分かります。
NPS(Net Promoter Score)
「Net Promoter Score」とは、他人へのおすすめ度を数値化した指標です。
NPSが高いほど、「周りの人に勧めたいくらいにブランドに良いイメージを抱いているユーザーが多い」ということになります。
NPSはアンケート形式で測定します。
「この製品(サービス)を友人や知人に勧めたいですか?」という質問に、0~10の点数で評価してもらいます。
その後、点数によって「推奨者・プロモーター」「中立者」「批判者」の3段階に割り振りし、全体の「推奨者・プロモーター」の比率から批判者の比率を差し引きます。
NPSが100に近いほど推奨者が多く、批判者が少ないことが分かります。
6点以下の点数はすべて「批判者」に割り振られるため厳しい設定ですが、ブランディングをすすめるにあたり、PDCAを回すのに活用できます。
ブランディングは戦略が重要
ブランディングを行うにあたっては、どういったイメージを商品や自社につけたいのかを考えます。
しかし、実態に沿わない、理想だけを追い求めたブランディングだと、実態とブランドイメージのギャップによってユーザーに違和感やストレスをあたえてしまいます。
そうなると、最大限のブランディング効果は得られないでしょう。
市場環境やユーザーニーズ、自社独自の持つ強みを俯瞰的に見つめて分析し、自社が勝ちやすい環境下で成り立つブランディング戦略を考えることが大切です。
ブランディングによって好感度や認知度を向上させた先で、何をしたいのか。
自社の「目的」を軸にして「達成すべき効果」を見つめ直すことで、自社のブランドがどの段階にあり、今後どんなブランディング戦略が必要か、が見えてきます。
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ブランディングは最初に定めるゴール、つまりどういったブランディングを、どのように実現するかという戦略が重要です。
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