企業ブランディングとは?方法やメリット・事例を紹介
最終更新日:2022年12月08日
企業ブランディングの重要性
商品が溢れかえる現在の市場において、消費者に自社商品を選んでもらうことはもちろん、企業ブランディングを行い会社組織全体として差別化を図っていかなければ、生き残っていくことは難しい時代となりました。
企業ブランディング行うにあたっては商品消費者よりもステークホルダー(利害関係者)にターゲットを絞った企業戦略を立案していかなければなりません。
この記事では企業ブランディングを行う目的やその重要性、メリットなどを紹介し、効果的に行う企業ブランディングの方法なども紹介していきます。
また、下記のページにはブランドの価値構造やその例など、ブランディングに関する詳しい情報をまとめている資料も用意しております。ぜひこの記事と合わせてお役立てください。
企業ブランディングとは
企業ブランディングとは、コーポレートブランディングとも言い、企業のブランドを構築、確立させるためのさまざまな活動のことを指します。
商品ブランディングが自社商品に対して行うブランディングに対して、企業ブランディングは自社そのものに行うブランディングです。
また商品ブランディングは一般消費者をターゲットとして実施しますが、企業ブランディングはステークホルダーに向けて行いますので、取るべき戦略や行う施策は根本的に異なります。
近年ではコンプライアンスや企業の社会的責任(CSR)を評価して商品を購入する消費者も増え、企業のイメージづくり、ブランドづくりは重要な課題ともなっています。
企業ブランディングを行う目的
企業ブランディングを行う目的は一般消費者を含むステークホルダーに対しての企業価値を高めることにあります。
自社の強みや特徴をアピールし、コンプライアンスに対する企業としての姿勢やCSRへの積極的な取り組みを、一般消費者を含むステークホルダーに認知してもらい、競合他社との差別化を図ります。
人・モノ・カネ・情報に続く、第5の経営資源である「ブランド」の価値を上げることによって、数ある企業の中から自社を選定してもらいやすくします。
ステークホルダーからの支持が得られ、企業が認知されはじめると、「人・モノ・カネ・情報」といった企業の経営資源が回り始め、企業としてのブランド価値は更に上がっていきます。
このような「グッド・サイクル」に成功すると、企業は長期的に安定した経営ができるようになり、継続的な利益を生み出せるようになります。
企業ブランディングは個人ブランディングと商品ブランディングの掛け合わせ
個人ブランディングと商品ブランディングがそれぞれ確立して、企業ブランディングの構築へと繋がります。
個人ブランドの個人とは、企業の顔である社長や創業者を主に指します。カリスマ性のある個人をブランディングすることは、ステークホルダーからの信頼を高めることに繋がります。
社員がみな同じ方向を向くための指針にもなり、企業として一体感を得られるようになります。
個人ブランディングが確立できたら、同時に自社商品に対してもブランディング強化を図っていきます。
商品の強みや特徴、顧客にとっての商品価値を積極的にアピールし「商品は顧客に対して何ができるのか」「どのように悩みや問題を解決できるのか」を伝えていきます。
個人ブランディングと商品ブランディングの両方が確立すると、消費者からは「あの会社の(あの社長の手掛ける)〇〇はいいよね!」と認知してもらえるようになります。
この状態こそが企業ブランディングが確立した瞬間と言えるのです。
企業ブランディングの効果
企業ブランディングに成功すると企業にとってはさまざまなプラスの効果を得られるようになります。
ステークホルダーから信頼を得られるようになり、顧客のファン化も期待できます。
また競合他社からは差別化もでき、商品の宣伝をしなくても顧客に商品を選んでもらいやすくなります。
一方企業内では社員のモチベーションアップに繋がります。
社会に対して価値を提供している意義のある会社、尊敬を集めるカリスマが在籍している(経営している)会社で仕事ができることは社員としては誇らしさを感じ、働く意欲が湧いてきます。
エンゲージメントも高まり社内では一体感が生まれるようになるでしょう。
そして企業のブランドに魅了された就職希望者も集まるようになります。離職率は下がり優秀な人材にも恵まれるようになります。
一見すべて、別々の企業努力によって得られる効果と思われがちですが、これらはすべて関連しているのです。このような「グッド・サイクル」を企業ブランディングでは目指すところです。
企業ブランディングを行うことによるメリット
企業ブランディングを行うことによりさまざまなメリットも発生します。
- 競合他社との差別化が図れる
- 資金の調達や確保がしやすくなる
- 優秀な人材に恵まれやすくなる
- 組織内部の統一化が図れる
- 従業員のモチベーションアップを図れる
- 会社全体のマーケティング効果もアップする
競合他社との差別化が図れる
企業の規模も同じで取扱商品も同じ、商品の性能や機能、特徴もほぼ同じといった場合に、最終的にその企業がステークホルダーに選定される決め手となるのは、企業ブランディング次第と言えるでしょう。
企業ブランディングを日頃から行うことで、企業の価値を認知してもらえるため、ステークホルダーが自社を選ぶべき理由が明確になるのです。
資金の調達や確保がしやすくなる
企業の価値をステークホルダーへ提供できている企業は、その企業を支持している理解者や賛同者の支援を得やすくなります。
企業にブランド力がついてくるに従って、投資家や関連企業からの期待値が高まり、資金調達に必要な信用力が得られるようになります。
自己資本のみで企業の運転資金を賄うことが難しい中小企業などは、支援をすべき価値を提供している企業だと認知してもらうことはより重要でしょう。
優秀な人材に恵まれやすくなる
企業ブランディング行い、名が知られるようになってくると、企業のブランドに魅せられた就職希望者が集まりやすくなります。
また大学在学中に企業に興味を抱いた新卒者なども応募してくれるようになり、優秀な人材にも恵まれやすくなります。
就職希望者は企業理念や社風、企業風土など、待遇面以外の部分もしっかりと確認している人も多く、企業ブランディングによってそれらが明確に示されていれば、就職した際の新入社員側と企業側とのミスマッチも減らすことができます。
組織内部の統一化が図れる
企業ブランディングは組織内部の統一化を図れる効果もあります。企業の理念や目標が全従業員に浸透し、会社に対する意識が変わります。
更に組織文化も共有され統一されるようになります。会社組織として、上層部から一般社員にまで共通の認識が形成されますので、より強固な一体感・組織力が手に入ります。
この強固な一体感のことを「エンゲージメント」と言いますが、このエンゲージメントが強ければ強いほど、企業としてブレることがなくなり、ステークホルダーからも厚い信頼を寄せられるようになるのです。
従業員のモチベーションアップを図れる
市場や競合他社から自社はどう見られているかは、従業員としては気になるところです。
企業ブランディングによって、自社が市場や競合他社から一目置かれる存在であると知った時は、いち社員として誇らしく、モチベーションが上がることでしょう。
逆にビジネスSNSや企業の評価サイト、口コミサイトなどであまり好ましくない評価が付けられていたり、批判的な意見や口コミが投稿されていたりしたときには、モチベーションが低下してしまうものです。
このように企業ブランディングを通して、市場や競合他社、及びステークホルダーに自社の良い印象を与えることは、従業員のモチベーション維持に大きな影響を与えるのです。
会社全体のマーケティング効果もアップする
企業ブランディングを行うことは、マーケティング効果を高めることにも繋がります。
上述していますが、近年ではコンプライアンスに対する企業の姿勢やCSRへの積極的な取り組みを評価する消費者が増えてきています。
企業ブランディングを行う中で、コンプライアンスに対する姿勢やCSRへの積極的な取り組みをアピールしている場合は、それが動機づけとなり、何も宣伝しなくても商品が売れていくことがあります。
また企業ブランディングを行うことで、消費者の中にその企業が提供する商品に付加価値が生まれることがあります。
例えばその人から見たApple社製品は「おしゃれである」ことが付加価値かも知れませんし、また他の人から見れば「操作性が他社製品に比べて格段によい」ことが付加価値であるかも知れません。
その付加価値は消費者一人ひとり違うものではありますが、その人にしてみればその商品を購入する立派な理由となります。
このように企業ブランディングを行うことで、マーケティング効果を後押しする効果もあるのです。
企業ブランディングは特に中小企業にこそ必要
2014年時点での中小企業庁の統計データによりますと、日本国内における全事業者の99.7%が中小企業です。
更に小規模事業者に至っては99.7%中のおよそ85.1%を占める結果となっています。
引用元:中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/180404seisaku.pdf)
つまり日本国内のほとんどの市場は中小企業で占められており、中小企業者同士で生き残りをかけ日々競争を繰り広げているのです。
この熾烈な競争下において少しでも自社が勝ち残っていくには、他社との差別化を図り少しでもお得意様・ファンを増やしていかなければなりません。
すでに長きに渡り企業ブランディングを行ってきている有名企業よりも、むしろ熾烈な競争を強いられている中小企業にこそ企業ブランディングは必要不可欠であると言えるのです。
企業ブランディングの方法・考え方
企業ブランディングを成功へ導くためには以下の手順で進めると効率的です。
- 競合他社の調査及び自社立ち位置の確認
- 企業ビジョンを明確にする
- 企業ブランディング戦略の立案と具体的な施策
- 施策実施と効果測定・検証
競合他社の調査及び自社立ち位置の確認
企業ブランディングを行う前にまず市場調査を行い、市場における自社の立ち位置を確認します。
自社にできることはなにか、顧客に対して何をしてあげられるか、など再確認をしていきます。
企業のビジョンを明確にする
自社における企業のビジョンをステークホルダーへ伝えるべく明確に打ち出します。
企業のビジョンはステークホルダーの支持や賛同を得る上で重要なファクターとなります。
競合他社との差別化が図れるように、自社の目標や熱意を伝えていきます。
企業ブランディング戦略の立案と具体的な施策
顧客に提供できる価値や企業のビジョンなどが固まってきたら、企業ブランディング戦略を立案し、具体的な施策を行っていきます。
どのような媒体を活用してステークホルダーへアピールをしていくか、制作物は何を使用するか、など具体的に絞り込んでいきます。
施策実施と効果測定・検証
すべての項目が決定したら企業ブランディングを実施していきます。
また企業ブランディングはしばらく実施したのち、効果が得られたかどうかの検証を行う必要があります。
企業ブランディングは効果を持続させる必要があり、むしろ実施したあとの検証のほうが重要と言えるのです。
企業ブランディングの事例
企業ブランディングが成功している企業として有名なのがAppleです。
Apple商品は統一感があり、シンプルなデザインや操作性が際立っています。これが消費者に受け入れられ、ヒット商品を連発しました。
また故スティーブ・ジョブズというカリスマ経営者の存在が大きかったことも特徴です。
Appleの戦略のポイントは以下の事例が挙げられます。
- 一貫した商品コンセプトとロゴ
- スティーブ・ジョブズというカリスマ経営者
一貫した商品コンセプトとロゴ
Appleの商品は一貫して「シンプル」なデザインで統一されています。
操作がシンプルということは直感的に扱えるため、多くの人に受け入れてもらいやすくなっています。
機能性よりも商品に触れたときの体験に重きをおいた商品コンセプトを貫くことで、まったく新しい商品を出すとしても「Appleの製品ならまたすごい体験をさせてくれるはず」と期待を抱かせます。
そしてその期待に応えつづけることでブランドを確かなものに成長させました。
りんごをかじったようなユニークなロゴは記憶に残りやすく、ブランドイメージの定着に大きな役割をはたしています。
スティーブ・ジョブズというカリスマ経営者
上述していますが、企業ブランディングは個人ブランディングと商品ブランディングの掛け合わせです。
Apple商品がヒットしたファクターの一つに故スティーブ・ジョブズ氏の存在が大きいことは疑う余地がありません。
新商品を生み出すたびに彼がステークホルダーの前に立ち、巧みなプレゼンを行ってきたことは広く知られています。
Apple商品はその機能性だけでヒットしたわけではなく、カリスマ経営者である故スティーブ・ジョブズが立役者となりヒットしたのです。
企業ブランディングのまとめ
企業ブランディングは大手企業だけが行うものではありません。むしろ日本国内企業のほとんどを占めている中小企業にこそ、企業ブランディングを行う価値があります。
人材の採用においても、製品の広告・集客においても、自社を選ぶべき理由が明確になっていることが重要です。
自社ならではの差別化ポイントを持つこと、それが機能性や品質では難しくても、歴史や想いといった情緒的価値で示すことが企業ブランディングでは可能です。
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