【3分で理解】5C分析とは?分析方法や事例をまとめて解説
最終更新日:2024年04月24日
この記事では、5C分析とその事例を紹介しています。5C分析は自社のマーケティングを最適化できるフレームワークです。ぜひ貴社の戦略策定に活かしてみてください。
なお5C分析は、3C分析という別のフレームワークを拡張したものです。フレームワークに沿ってマーケティング分析を行ったことがまだない方は、まず項目が少ない3C分析から始めることがおすすめです。3C分析の結果はそのまま5C分析に使えます。
下記のページでは3C分析を印刷して記入するだけで簡単に進められる無料ワークシートを用意しておりますので、ご興味のある方はご活用ください。
5C分析とは
自社で考えたマーケティング戦略を実施しているものの、なかなか成果につながらず、悩んでいる方はいませんか?そのような方に取り入れてもらいたいのが、5C分析です。
5C分析とは、マーケティングで用いられる分析手法のことです。5C分析の「5C」は、以下の頭文字がCの5つの項目を意味します。
- 自社(Company)
- 消費者(Consumer)
- 競合他社(Competitor)
- 中間顧客(Customer)
- 地域(Community)
扱うビジネスによっては、上記のCとして用いられている言葉が違う場合があります。たとえば、消費財業界では中間顧客(Customer)の代わりに協力者(Collaborators)、地域(Community)ではなく背景(Context)という言葉が使用されます。
近年では、5C分析は3C分析よりも主流の分析方法となっており、マーケティング環境を分析する際に使われます。5C分析というフレームワークを用いることで、どんなことが分かるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。
5C分析でわかること
5C分析を行うことで、KFSを明らかにすることができます。KFSとは、重要成功要因、ビジネスを成功に導いてくれる要因のこと。
適切なマーケティング戦略を練るためには、KFSを明確にしておく必要があります。5C分析を行わずに事業を進めることは、お店のスタッフが商品についてよく分からずに販売するのと同義です。このような状態では、ビジネスを成功させることは難しいでしょう。
マーケティング戦略を考える際、あらゆる要素を分析することにより、収益につながる可能性が高くなるのです。特に提供している商品・サービスの売上をアップさせたい企業は、5C分析に取り組んだ上で具体的なマーケティング施策を立てると良いです。
5C分析と3C分析の違いとは
前述したとおり、近年では5C分析が主流となっていますが、以前は3C分析がよく用いられていました。3C分析とは、
- 自社(Company)
- 消費者(Consumer)
- 競合他社(Competitor)
の3つの要素で構成されたフレームワークです。内部環境である自社と、外部環境である競合他社・顧客の3つの要素から分析を行います。3C分析を用いることで、競合の動向と市場のトレンドを把握し、自社の今置かれている状況を理解することが可能です。
デジタル化が進んだ現代では、他社のサービスを提供したり、個人間で行われる取引をサポートしたりするサービスなどが誕生しました。そのため、3C分析の3つの要素だけでは分析し切れず、新たな2項目が追加された5C分析が一般的になったのです。
3C分析で自社の勝てるポジションを見つけよう
5C分析と4C分析の違いとは
4C分析とは商品開発や現在提供しているサービスをブラッシュアップしていくことを目的として使われるフレームワークです。5c分析とは違い、
- 自社(Company)
- 顧客(Customer)
- 競合(Competitor)
この3C分析の考え方に加え、協力者(Co-Operator)の存在を追加したフレームワークです。
ビジネスの流れが非常に早くなった現在に対応すべく生まれた背景があります。ビジネスを進める上で自社にはない技術や販売網が必要になった際には4C分析で自社を見つめ直してみてもよいでしょう。
「4C分析」の具体的な事例とマーケティングミックス
5CのそれぞれのCの解説
冒頭でもお伝えしましたとおり、5C分析はCが頭文字の5つの項目で構成されています。ここでは、5C分析を構成する5つの項目をそれぞれ詳しく解説していきます。
自社(Company)
まずは、自社の現状をしっかりと把握しておくことが重要です。自社のイメージや目指している方向性など、自社の特徴を改めて確認しておきましょう。自社の市場での立ち位置や売上などの分析も行ってください。
また、自社の分析をする際、経営資源の強み・弱みを理解しておくことも大切です。これまでの歴史を振り返り、強みと弱みを分析することで、自社に最適なマーケティング施策を立てることが可能。
さらに、どれほどの予算・知財・設備・情報があるのかを確認し、またどのような人材が在籍しているのかも併せてチェックしていきます。自社をあらゆる側面から分析し、マーケティング戦略に落とし込むことで、実現性の高い戦略を立てることができます。
消費者(Consumer)
消費者を十分に理解することが、マーケティングを行う上で最も重要なことといえます。消費者をしっかりと理解していなければ、事業を成功させることは難しいでしょう。
消費者を分析する際、「質的理解」と「量的理解」の2つを分析します。質的理解とは、消費者の深層心理について理解すること。消費者が、自社の提供する商品やサービスを選んだ理由を分析していきます。
一方で、量的理解とは消費者の性別・年齢・家族構成などについて理解することです。自社の提供する商品やサービスは、主にどの年代の人に選ばれているのか、女性か男性のどちらの性別の顧客が多いのかなどを調査します。
また、消費者が何を求めているのかを理解するのはもちろんですが、消費者の悩みや価値観を把握できれば、尚良いでしょう。
競合他社(Competitor)
競合となる他社について、詳しく分析します。たとえば、
- 市場シェア
- 企業の規模
- 売上高
- 競合が提供する商品の強み・弱み など。
他社と自社をあらゆる要素を用いて比較してください。自社にはなくて他社にあり、取り入れることで自社の商品・サービスがより一層良いものになる、そのようなものがないか探してみましょう。
また、競合他社について理解する際は、広い範囲で競合について分析するのがポイントです。
たとえば、カフェの競合は同じカフェだけでなく、レストラン・コンビニ・お弁当屋さんなども競合にあたるため理解も深める必要があります。
中間顧客(Customer)
中間顧客とは、販売代理や流通など自社と消費者との間に入っている存在のことです。直接商材を使う消費者のことではありません。中間顧客には、市場価値を取り合う競合であり、共に協力し合うパートナーでもあるという、2つの側面を持ちます。
中間顧客の分析を行うことで、自社の提供する商品を届けてくれる店舗などについて把握することが可能です。
商材の売れ行きに大きな影響を及ぼす中間顧客については、競合他社や自社を分析するのと同様に、徹底的に分析してください。
市場でのシェアや全体的な戦略、経済資源や強・弱みなどについてしっかり理解しておきましょう。さらに、一社ごとの理解だけでなく、業界全体の特徴についても分析してください。
地域(Community)
ここでは、ビジネスに影響を与える外部要因について分析します。たとえば、社会的な変化・法規制・人口変動・世論・景気など。
これらの中から自社の事業に最も影響を与える項目を探し出し、観察し続けて変化を見逃さないようにします。
外部要因は自分たちではコントロールすることができませんが、常に観察しておくことで、変化の兆候をキャッチし、予めさまざまな準備を進めて対処することができます。
地域社会を分析する上で便利なのが、4つの視点から外部環境を分析する「PEST分析」です。PEST分析については、次で解説します。
PEST分析とは
PEST分析のPESTとは政治(Politics)・経済(Economy)・Society(社会)・技術(Technology)の4つの項目の頭文字を取った造語です。これら4つの項目について、以下に詳しくまとめましたので確認してみてください。
- 政治:税制(減税・増税)・法改正・政権交代・裁判制度など
- 経済:経済成長率・為替・株価・物価・景気動向など
- 社会:世論・流行・人口動態・少子化・教育・宗教・言語など
- 技術:IT・新たな技術・インフラ・イノベーションなど
上記の4つの要素を使って分析を行います。PEST分析を行うことで、5C分析だけでなく、SWOT分析やファイブフォース分析など、他の分析にも活用可能です。
5C分析の手順
5C分析を実際に行う際、最初に顧客の分析を行ってください。前述したとおり、顧客に関する量的・質的理解を深めたら、競合分析に取り掛かります。
競合分析の際は、結果と要因に分類して把握すると良いでしょう。結果とは、競合の利益率や売り上げのことで、要因とは売り上げなどの結果をもたらした、営業体制や消費者サポートのことなどのことです。
競合の分析を終えたら、自社の分析を行いましょう。自社をあらゆる側面から分析し、競合との違いなどをよく理解しておくことで、提供する製品やサービスのKSFを見出すことができます。その後、中間顧客と地域社会についての分析を進めていきます。
5C分析の事例
ここでは、5C分析を活用したモスバーガーとLINEの分析事例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
5C分析事例:モスバーガー
ではまず、モスバーガーの事例を解説していきます。
モスバーガーの自社(Company)
モスバーガーは、独自のメニューを提供している日本発のハンバーガーチェーンです。モスバーガーを分析すると、
- 美味しさの追求
- 国産の肉や野菜を使っている
- 高品質だが原材料費が高いため、高価格
- 徹底した衛生管理
- 経営戦略は地域密着・差別化
- 注文を受けてから調理するスタイル
といったことが分かります。
モスバーガーの消費者(Consumer)
つづいて、モスバーガーの消費者について見ていきましょう。モスバーガーは、学生からご高齢の方まで、さまざまな年代の人たちに愛されるハンバーガーチェーン店です。多少高価でも、安全・安心なものを食べたい方、美味しいものを食べたい方などに選ばれていることが分かります。
モスバーガーの競合他社(Competitor)
モスバーガーは、競合他社の中でも特にマクドナルドを意識して、差別化戦略を進めてきました。マクドナルド以外のモスバーガーの競合他社は、以下のとおりです。
- ファーストフード店:マクドナルド・ケンタッキー・ロッテリアなど
- ファミレス:サイゼリア・ガスト・バーミヤン・びっくりドンキーなど
- カフェ:スターバックス・タリーズ・ドトールなど
- お弁当屋さん:ほっかほっか亭・本家かまどや・ほっともっとなど
モスバーガーの中間顧客(Customer)
モスバーガーの中間顧客について分析していくと、
- フランチャイズチェーン
- 提供している商品・サービスをしっかり確認しづらい
- 経営理念が普及しにくい
といったことを把握することができます。
モスバーガーの地域(Community)
モスバーガーを取り巻く地域の分析結果については、以下のとおりです。
- 人手不足
- 安心して食せる食べ物を求める人が増える
- インバウンド効果 など。
5C分析事例:LINE
次に、5C分析を用いたLINEの分析事例を紹介します。
LINEの自社(Company)
LINEの自社の分析結果については、以下をご確認ください。
- 無料でメッセージのやりとりができる
- 無料で通話できる
- 文字や絵文字だけでなく、スタンプも使える
- 既読機能が搭載
- キャッシュレスやゲーム機能も搭載
- ニュースを閲覧できる
- クーポン配布などビジネスにも活用できる など。
LINEの消費者(Consumer)
利用者数8,600万人(2020年10月時点)(※)を誇るLINEは、幅広い年齢層に活用されているSNSです。学生や主婦にも利用されていますが、利用者数のおよそ半数が会社員といった特徴があります。また、手軽に連絡を取りたい方に使われています。
※ 参考元:ユニアド「【2020年10月更新】主要ソーシャルメディアのユーザー数まとめ」( https://www.uniad.co.jp/260204 )
LINEの競合他社(Competitor)
LINEの競合他社は、以下のとおりです。
- メッセージアプリ:カカオトーク・SLACK・チャットワークなど
- ダイレクトメッセージ機能があるアプリ:Twitter・Facebook・Instagramなど
LINEの中間顧客(Customer)
つづいて、LINEの中間顧客についての分析結果を見ていきましょう。
- LINEスタンプを販売するクリエイターや企業
- ダウンロードする際に使うApp StoreやGoogle Play
LINEの地域(Community)
地域について分析することで、以下のことが分かります。
- スマートフォンに変わる新たな機器
- 景気悪化によるスマートフォンの購入率低下
- 新しいアプリの誕生 など。
5C分析を活用して売上アップを目指そう
このページでは、5C分析について詳しくお伝えしました。5C分析とは、マーケティングのベースとなる基礎的な考え方で、ビジネスを成功へと導いてくれるものでもあります。なかなか売上や収益が上がらない企業は、特に取り入れてみることをおすすめします。
先ほど紹介しました2つの事例を参考にし、5つのCである、自社(Company)・消費者(Consumer)・競合他社(Competitor)・中間顧客(Customer)・地域(Community)について徹底的にな分析を行い、売上・収益アップを狙えるマーケティング戦略を立てましょう。
なお、5C分析を行う際、バリュープロポジションの考え方も組み合わせることで、より良いマーケティング施策を行えるようになります。バリュープロポジションについては、次で詳しく解説します。
バリュープロポジションを明確にしよう
バリュープロポジションとは、
- 消費者が必要としており
- 競合他社が提供しておらず
- 自社が提供している
価値のことです。自社ならではの強みである、バリュープロポジションがマーケティングにおいては重要な差別化ポイントになります。
5C分析を行い、バリュープロポジションを発見することは、事業を成功させる上で非常に重要なことです。しかし、しっかりとした分析を行って結果を出すには、時間や労力がかかります。そのため、外部に委託するのも一つの手でしょう。
弊社、Zenkenではこのバリュープロポジションに基づいたマーケティング戦略・ポジショニングメディアの制作を行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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