【3分で理解】3C分析で浦和レッズの経営戦略を紐解く
最終更新日:2024年07月23日
この記事では、浦和レッズを3C分析の観点から解説しています。どうぞ貴社の現状分析や戦略立案にお役立てください。
なお、この記事に合わせて自社と競合の分析を通じてマーケティングを成果に繋げるためのワークシートも提供しています。シートに記入するだけで3C分析が進められる内容になっていますので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。
そもそも3C分析とは?
3C分析は、マーケティング戦略におけるフレームワーク(手法)の一つで、市場環境を分析してKSF(Key・Success・ Factors=成功要因)を導き出すために用いられます。
3Cとは?
3Cは、以下の3つの要素で構成されているビジネスフレームワークです。
- Customer:市場・顧客
- Competitor:競合他社
- Company:自社環境
「Customer=市場・顧客」「Competitor=競合他社」「Company=自社環境」の3つの頭文字を取って3Cと呼ばれています。
3C分析では、市場・顧客、競合・自社の3つの視点から市場環境の調査・分析を行い、自社が取るべき戦略と立ち位置を明らかにしていきます。
3C分析の考案者は、経営コンサルタントとして活躍する大前研一氏です。
3C分析の目的とは?
3C分析の目的は、ビジネスに置ける成功要因(Key Success Factor)を見つけ出すことが3C分析の目的です。
KSFは、マーケティング戦略上の基本的な概念で、ある市場において自社が効率的かつ持続的なビジネスモデルを構築するための施策を意味します。
KSFを見つけるためには様々な情報収集を行わなければなりませんが、投下できる資源は限られているので重要なポイントに絞って調査・分析を行います。その重要なポイントこそが、3Cです。
3C分析を行うことにより、市場環境の現状や見通し、顧客・ニーズの把握、競合他社の状況、自社の強みと弱みを明らかにできます。
以下、浦和レッズをモデルにして、3C分析をしてみました。
浦和レッズにおける「Customer」
浦和レッズにおけるCustomer=市場・顧客について、3C分析に当てはめて考えてみます。
浦和レッズを取り巻く市場とは?
浦和レッズは、プロサッカーチームとして「Jリーグ」に加盟しています。日本のサッカー界は、1993年にプロサッカーリーグ(Jリーグ)が開幕する以前は、独立したプロサッカーチームやリーグはなく、それぞれの企業に属するアマチュアチームでした。
しかし、1993年にJリーグが開幕し、入場料収入とスポンサー企業からの広告料収入で成り立つ、プロサッカーのビジネスモデルが構築されていき、市場は発展していきます。市場規模は2008年に営業収入が過去最高を記録するなどピークを迎えますが、2009年以降は縮小の一途をたどっています。
このような市場環境の中で活動している浦和レッズの顧客は誰でしょうか?
浦和レッズを取り巻く顧客とは?
浦和レッズの収益構造は、「広告料」「入場料」「物販(グッズ販売)」の3本柱で成り立っています。浦和レッズの顧客とは、広告を出してくれるスポンサー企業と、入場料やグッズを購入してくれる観客(ファン)ということになります。
プロサッカーチームにおける顧客のニーズは、“広告価値”と“強くて魅力あるチーム”です。広告価値の高いチームにはスポンサー企業からの引き合いが多くあり、強くて魅力あるチームの試合には多くの観客やファンが詰めかけます。
現在はインターネットを通じたオンラインでの試合観戦やグッズ購入も可能なので、浦和レッズとしてはネット市場における潜在的なニーズや顧客掘り起こしに向けたマーケティング戦略も必須になるでしょう。
浦和レッズにおける「Competitor」とは?
浦和レッズのCompetitor(競合)は、スポンサー企業と観客を奪い合うことになるJリーグ所属のライバルチーム達です。競合チームとの試合に負け続け、チームとしての魅力を失えばスポンサーも観客も離れてしまい、チームの運営は立ち行かなくなります。
浦和レッズではチームの戦力強化とブランディングへの取り組みにより、見事にライバルチームとの差別化を図ることに成功を収めてきました。2017年にはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を制覇して“アジアNo.1のフットボールクラブになり、2018年度の決算では19億2千万円の入場料収入を獲得、売上高は2005年以降、10年連続でトップになりました。
一方、売上高成長率は2014年以降、減退しているため、今後は既存顧客へのアピールと同時に、新規顧客の開拓が課題になるでしょう。
浦和レッズにおける「Company」
プロサッカーチームとしての浦和レッズの戦力、知名度、人気はトップクラスといっていいでしょう。上述したような大会成績や経営的実績からも分かります。浦和レッズには“強くて魅力あるチーム”のイメージが定着しているので、今後も市場の中で発展していく可能性は高いです。
一方、リーグ成績が低迷している、新規顧客の割合が低い(2018年シーズンはJ1最下位)など、弱点や課題もあります。強くて人気が高くても、ビッグクラブとしての地位を不動のものにしている訳ではないのです。
今後はリーグ戦の成績向上と、新規顧客の割合を向上させるための施策が必要です。