【3分で理解】3C分析の事例「星野リゾート」編
最終更新日:2022年07月26日
この記事では、星野リゾートを3C分析の観点から解説しています。事例として、どうぞ貴社の現状分析や戦略立案にお役立てください。
なお、この記事に合わせて自社と競合の分析を通じてマーケティングを成果に繋げるためのワークシートも提供しています。シートに記入するだけで3C分析が進められる内容になっていますので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。
そもそも3C分析とは?
3C分析とは、マーケティング戦略における環境分析のフレームワークです。3C分析を用いることで、効果的に戦略構築が可能となります。
3Cとは?
市場や顧客を意味する「Customer」、競合を意味する「Competitor」、自社を意味する「Company」という3つのCの頭文字をとって3C分析は行っていきます。
これら3つの関係性を戦略的に分析していくことで、効果的なマーケティング戦略立案が可能となります。3C分析の起源は古く、マッキンゼーの戦略コンサルトだった大前研一氏が自著『The Mind of Strategist』内で提唱したことで広まっていきました。
3C分析の目的とは?
マーケティングの際に3C分析を行うことで、サービスの差別化ポイントを明確にできるほか、事業の方向性といった自社の戦略を洗い出すことができます。どのようにすると自社が「勝つ」方向へ向かえるのかを明確にできるのです。
以下では、星野リゾートを例にして3C分析を行ってみました。
星野リゾートにおける3C分析
星野リゾートにおける「Customer」
星野リゾートにおける市場は、温泉旅館などの宿泊業はもちろん、広く括ると観光業、特に都市観光の分野に精通した企業です。
市場を見ていく
宿泊業の中にはホテルはもちろん、旅館も該当します。これらは2017年度のデータでは約39,000軒にのぼる旅館と、10,000軒のホテル(※1)が国内には存在していました。
前年比では約20%ほど増えており、旅行業界が堅調だったことが分かります。
また、日本国内だけではなく訪日外国人数も大きなターゲットでした。2020年は新型コロナウイルスの影響で数が大きく落ち込んでおり、5月は前月比マイナス99.9%となる1,700人に留まります。※2
これまでインバウンド顧客のニーズを上手く獲得してきた星野リゾートですが、新型コロナウイルス感染症の影響で外国人の入国が見込めなくなる可能性が高いです。
今後宿泊産業は苦境に立たされる可能性があります。
※2情報参照元:インバウンド 訪日外国人動向(https://www.tourism.jp/tourism-database/stats/inbound/)
星野リゾートを取り巻く顧客とは?
インバウンドを狙い、訪日外国人を対象にしていた点はもちろんありますが、もうひとつの戦略として都市部を中心にホテル事業を展開していました。理由は明確で、12歳以下の子を持つファミリー層をターゲットにしているのです。
既に飽和している「宿泊を希望する人たち」という広いターゲット設定ではなく、あくまでもニッチなターゲットを設定し、自社の独自性を発揮できるポイントを研ぎ澄ましている点が特徴です。
星野リゾートにおける「Competitor」
一般的には多くの宿泊産業を運営する企業や、観光業を主体とする企業が競合となり得ます。海外展開を主に行う企業や、リゾート系ホテルを運営する企業が競合となるでしょう。
しかし星野リゾートは戦略的に、本来競合となり得る奥地の老舗旅館などを、自社の顧客へと変えることで、新たな価値創造を行っています。
競合こそビジネスチャンスと捉え、経営再生など幅広く手掛けている点が特徴です。
星野リゾートを取り巻く「Company」
徹底したコンセプト設計を行うことで、顧客満足度を高める工夫を随所に散らしています。
コンセプトは現場社員が決めることで、社員満足度を高めてから顧客満足度を高めるという動線を徹底います。このような動線を組むことで、顧客満足度は高まっていき、リピーター獲得はもちろん、おもてなしの代表格として名を馳せることに成功しています。
現場社員の裁量権という点では、ほかの宿泊業者とは大きく異なるでしょう。
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