本記事では、遺失物管理や落とし物対応に特化した各種システムを比較・紹介します。規模や業種に応じて最適なツールを選べば、紙の台帳や電話応対に要していた手間を削減し、スタッフの業務効率化や顧客満足の向上が期待できます。
ホテルチェーンやテーマパークなど、多様な施設運営者が抱える「拾得物の管理・問い合わせへの対応」などの課題を解決するためのヒントとして、ぜひご覧ください。
遺失物管理システムの一覧
会社名 | サービスの特徴 |
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HOKURYO CONNECT 遺失物管理システム |
遺失物業務をまるっと管理!複数施設・多店舗導入にも対応
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MONODOKO |
画像認識と簡単操作で拾得物の登録・検索を支援 |
NEC 遺失物管理ソリューション |
特例施設占有者にも対応、百貨店や大規模商業施設で導入実績多数 |
落とし物管理さくらさん |
AIチャットボットが問い合わせを自動化、スタッフ不在時も安心 |
find |
AI画像認識と横断検索で落とし物の返却率アップ |
pickture |
AIが写真を解析し、自動で警察分類へ割り振り |
日本ソフテック |
清掃管理や販売管理など多角的な業務システムを展開するシリーズ |
日立 遺失物管理ソリューション |
大型インフラや公共交通に強み、セキュアな遺失物管理をサポート |
みつけるくん |
レジャー施設での大量落とし物に対応、警察届出もスピーディー |
忘れ物ポータル |
問い合わせフォームやチャット対応も選べる一括管理サービス |
遺失物管理システムとは?
遺失物管理システムとは、店舗や施設、交通機関における落とし物や忘れ物などを正確に記録し、保管期間や持ち主の情報などを管理するためのソフトウェアシステムです。従来は紙に書き留めた台帳やExcelなどの表計算ソフトを使って管理するケースが多かったのですが、近年ではIT技術の進歩やクラウドサービスの浸透、個人情報管理への意識の高まりによって、より機能的で安全性の高い専用システムへの乗り換えが広がっています。
遺失物管理では、単に物品を保管するだけでなく、法律面や行政への届出、遺失物を捜している方からの問い合わせ対応、持ち主本人の確認作業といった手間がかかるのが一般的です。特に日本国内では遺失物法が存在し、遺失物の取扱いに対するルールや手続きが定められています。たとえば、一定の期間を経過しても持ち主が現れない遺失物があった場合や、個人情報の入ったカード類の扱いには細心の注意を払わなくてはなりません。遺失物管理システムは、これらの管理をミスなく進めるための管理台帳機能や、警察への届出に必要な情報を素早く抽出できるレポート機能などを備えています。
さらに、一括で情報を管理することにより、担当者間での情報共有や引き継ぎも容易になります。たとえば、店舗を複数展開している企業が、一元管理システムを導入すれば、どの店舗にどのような落とし物があるのかがリアルタイムにわかります。また、落とし物を探す人(お客様)からの問い合わせがあった際に、すぐに在庫状況を検索・回答できるため、顧客満足度の向上にも貢献します。こうした業務効率化とサービス向上の両立が、遺失物管理システム最大の価値と言えます。
遺失物管理システムのメリット・デメリット
メリット
情報の一元化と共有の容易さ
従来、紙の台帳やExcelで管理していると、各店舗・各部署ごとに管理が分散しがちで、見落としや二重登録のリスクが高まります。専用システムであれば、誰がいつ、どこで落とし物を受け取り、どこに保管しているのかといった情報を一元的に記録できます。複数名の担当者がいても、最新のデータを同時に参照できるため情報共有がスムーズです。
紛失や管理ミスの防止
紙の台帳やExcelでは、誤入力や更新忘れなど人的ミスが起こりやすく、さらにデータが散在することで重要書類の紛失リスクも高まります。一方、遺失物管理システムは入力フォームや検索機能が整備されており、データがクラウドなどのサーバーに保存されることで、安全性も高まります。物理的に書類を紛失する心配がない点もシステム導入の大きな利点です。
問い合わせ対応の迅速化
落とし物を探している利用者から問い合わせがあった場合、システムを使ってキーワード検索をかけるだけで保管状況を即時に確認できます。紙やExcel管理の場合、担当者が複数いるとデータの最新状況がどこにあるか見つからず、すぐに回答できないことも珍しくありません。システム化によって応対時間が大幅に短縮され、顧客満足度の向上に直結します。
法令順守と届出の効率化
遺失物法では、発見された落とし物が一定期間経過後にどう処分されるのか、また警察や行政への届出が必要な場合にどのように情報を提供するのかといったルールが定められています。専用の遺失物管理システムは、これらを踏まえた通知機能やレポート出力機能を備えているため、手続きがスピーディーかつ正確になります。
ブランドイメージやCS向上
落とし物に素早く対応できる企業や施設は、利用者から「きちんと管理されていて安心」「サービス品質が高い」と評価されやすくなります。顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)が向上し、ブランドイメージの向上にもつながるでしょう。
デメリット
導入コストがかかる
無料のExcelや紙ベースの台帳管理に比べると、システムを導入する際には初期費用や月額利用料などのコストが発生します。小規模な店舗などでは、コスト負担が見合わないと感じる場合もあるでしょう。ただし、長期的な業務効率化やトラブル回避を考えると、コスト以上の価値を得られる可能性も高く、慎重に検討する必要があります。
使いこなしに時間がかかる
新しいシステムを導入すると、必ず操作方法の習熟や社員の研修が必要になります。IT操作に慣れていない担当者やアルバイトスタッフなどがいる場合、最初のうちは操作ミスや入力漏れなどが起こりがちです。導入企業側もマニュアル整備や研修の実施に力を入れる必要があります。
システム障害やセキュリティリスク
遺失物管理システムも他のITシステム同様に、サーバー障害やネットワークトラブル、サイバー攻撃などのリスクがあります。特にクラウド型の場合は通信環境が安定しないと操作がスムーズにいかない可能性があり、万が一の障害時には業務が一時停止するリスクも考慮しておかねばなりません。
カスタマイズの必要性
遺失物管理と一口に言っても、業種や企業規模によって扱う物品や手続きの進め方に違いがあります。システムが標準機能だけで十分対応できない場合は、追加のカスタマイズが必要になり、さらに費用や時間がかかるかもしれません。事前に自社の運用フローを明確にしておくことが大切です。
遺失物管理システムの選び方
遺失物管理システムはさまざまなサービスプロバイダーから提供されていますが、それぞれ機能や料金プランに特徴があります。ここでは導入を検討する際に押さえておきたい主なポイントを解説します。
運用形態(クラウド型 or オンプレミス型)を確認する
遺失物管理システムには、インターネット経由で使用するクラウド型と、自社のサーバーにインストールするオンプレミス型があります。クラウド型は初期導入コストが比較的低く、アップデートや保守をサービス提供会社に任せられるのが魅力です。一方、オンプレミス型は自社の環境でシステムを構築するため、カスタマイズの自由度が高い反面、導入費用やメンテナンスにかかる負担が大きくなります。自社のITインフラの体制やセキュリティポリシー、予算などを考慮して選択しましょう。
使いやすいUIと豊富な検索機能
遺失物管理を担当する人は、必ずしも高度なIT知識を持っているわけではありません。操作画面が複雑なシステムだと、現場スタッフの負担が大きくなり、導入のメリットを十分に活かせない可能性があります。そのため、シンプルな画面設計で直感的に操作できるUIを重視しましょう。また、問い合わせ対応をスピーディーにするためには、物品名や拾得場所、日付など複数の項目で柔軟に検索が行える機能が欠かせません。試用版やデモ画面で実際の操作感を確認すると安心です。
カスタマイズや拡張機能の柔軟性
企業や施設によっては、レジ周りのPOSシステムや顧客データベースなど、すでに別の業務システムを運用している場合もあります。遺失物管理システムと連携できれば、情報の重複入力を避けられ、管理精度も高まります。API連携やインポート・エクスポート機能など、外部システムとのやり取りがどの程度対応しているかを事前に確認しましょう。
また、電子申請機能や所有者確認のための本人確認書類のデジタル管理など、高度なオプションを備えたシステムも存在します。自社の運用に合う機能を備えているかどうか、将来的に機能拡張が可能かどうかをよく見極めることが大切です。
セキュリティ対策とバックアップ体制
遺失物には、財布やクレジットカード、マイナンバーカードなど、個人情報や機微情報が含まれる場合もあります。そのため、遺失物管理システムでは厳重なアクセス制限やデータ暗号化などのセキュリティ対策が求められます。さらに、データ消失を防ぐためのバックアップ体制がしっかり整備されているかも重要なポイントです。クラウド型の場合、データセンターのセキュリティ水準や冗長化構成などについても確認しておきましょう。
サポート体制と導入実績
システム運用時には、操作方法がわからなくなったり、エラーが発生したりすることがあるかもしれません。こうしたトラブルに迅速に対処できるカスタマーサポート体制が整っているかどうかは、導入後の満足度を大きく左右します。平日だけでなく土日祝日も対応しているのか、電話サポートやチャットサポートに対応しているのかなどをチェックしましょう。
また、同業種や同規模の企業・施設への導入実績が多いシステムは、ノウハウが蓄積されているため、比較的スムーズに運用に乗せられるケースが多いです。自社の業種に近い導入事例を調べるなど、実績面も評価の基準にすると良いでしょう。
コストと導入メリットのバランス
システムの導入には初期費用や月額利用料などのコストがかかりますが、これらの負担が業務効率化や顧客満足度の向上、法令順守リスクの低減などのメリットと見合うかどうかを冷静に判断する必要があります。導入効果を測定するために、問い合わせ対応にかかる時間や紛失トラブルの件数、警察やお客様への報告書作成にかかる手間などを数値化し、コスト削減や売上向上につながる可能性を試算してみるのもおすすめです。最終的には、自社の規模感や扱う落とし物のボリューム、業務フローに最適化されたシステムを選ぶことが大切です。
遺失物管理システムのまとめ
遺失物管理システムは、煩雑になりがちな落とし物・忘れ物の管理を一元化し、ミスを減らすだけでなく、問い合わせへの迅速対応や法令順守のサポートなど、企業や施設にとって重要な業務支援ツールとしての機能を果たします。導入コストや運用負荷などのデメリットこそあるものの、長期的な視点でみると、顧客満足度の向上やブランドイメージの向上、管理体制の強化につながるケースが多いでしょう。
選び方のポイントとしては、クラウド型とオンプレミス型どちらが自社に合うのか、UIの使いやすさや検索機能、外部システムとの連携やカスタマイズの可能性、セキュリティ・バックアップ面、そして充実したサポートが受けられるかどうかが挙げられます。特に遺失物には個人情報が含まれやすいことから、セキュリティ対策は導入を検討する際に最優先で確認しておきましょう。また導入実績が豊富なシステムは、導入後の運用もスムーズな傾向にありますので、事前に提供元がどのような事例を持っているかを確認するのも効果的です。
遺失物管理システムの導入は、単に“落とし物の管理”をデジタル化するだけでなく、事務作業の効率化やトラブル防止、サービス品質の向上につながる可能性を秘めています。そのためには、自社の運用形態や業務フローを見直し、将来的な拡張性も見据えたうえで最適なシステムを選ぶことが大切です。もし導入に迷った際は、無料のデモ版やトライアル期間を活用して実際の操作感やサポートの質を確かめ、社内の関係者を交えながら検討を進めることをおすすめします。そうすることで、現場で使いやすく、かつ業務改善につながる遺失物管理システムを選び出せるはずです。
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- 本記事は、2025年4月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。