自社メディアとは?制作運用のポイントやメリット解説
最終更新日:2022年12月21日
Webマーケティングが主流になりつつある昨今、自社メディアの制作・運用を検討している企業が増えています。
自社メディアとは、Web広告や費用を支払って掲載されるような他社メディアとは異なり、メディアそのものを自社で制作・運用するものです。掲載費や期間に縛られることなく、自由に情報発信できるのが大きな特徴といえます。
この記事では、今注目の自社メディアについて、メリットや制作運用のポイントなどを解説。成功事例も織り交ぜつつ詳しくまとめています。
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自社メディアとは
自社メディアとは、企業や団体が自社で保有するメディアです。Webサイトやビジネスブログなどをはじめ、広義ではパンフレットや広報誌も自社メディアに分類されます。
自社メディアを保有する主たる目的は「自社ファンの獲得・育成」です。
そのため、自社メディアは、ユーザー目線のコンテンツであることが重要なポイント。企業側とすれば、自社の商品やサービスについて少しでも多く伝えたいと思うのは当然ですが、だからといって一方的に情報を押し付けるのは逆効果となることもあります。
自社メディアは、あくまでユーザーファーストを意識し、どのような情報が必要とされているのか、関心を持ってもらえる情報は何かを常に考え、発信し続けていくことが目的達成につながるのです。
また、マーケティング戦略によっては、費用を支払って広告掲載するペイドメディアや、facebookやTwitterなどのアーンドメディア、いわゆる他社メディアや第三者によるメディアと組み合わせて運用することもあります。
特徴の異なる複数のメディアを組み合わせることで、幅広いユーザー層との接触機会を増やせるためです。
自社メディアと他社メディアの違い
自社メディアの大きなメリットは、情報発信のタイミングや内容がコントロールできるということです。しかし、目に見えた成果が出るまでに時間がかかるというデメリットがあります。
一方、他社メディアは、Webサイト運用のノウハウがなくても情報発信できるものの、掲載コストがかかる、掲載期間や内容に制限があるといった点がメリット・デメリットです。
このように、どちらのメディアにもメリット・デメリットがありますが、それらをきちんと把握して運用すれば、メリットを最大限に活かしたり、デメリットをカバーしたりすることができます。
自社メディア、他社メディアそれぞれのメリット・デメリットをみてみましょう。
自社メディアのメリット・デメリット
メリット
- コンテンツを自由にコントロールできる
- ブランディング効果やロイヤリティ醸成が期待できる
- 自社保有のメディアなので資産として残せる
- 広告掲載費が不要であるため、費用が削減できる
- 会員情報や顧客データを取得・活用できる
デメリット
- 公開後、効果が出るまでに時間がかかる
- 中長期的に継続運用できる体制づくりが必要
- メディア作成の専門知識・技術など、ノウハウがないと制作するのが難しい
- 制作・運用を外注する場合は、各種コストが発生する
他社メディアのメリット・デメリット
メリット
- SEO対策などを自社でやる必要がないため、ノウハウが不要
- 既存フォームに情報を書き込むだけで、すぐに掲載・発信ができる
- 一定の流入数やPV数がすでにあるため、即時的な成果も期待できる
デメリット
- 掲載内容や量を自社でコントロールできない
- 掲載にコストがかかる
- 掲載期間が定められており、掲載期間終了後は閲覧できない
- 基本的に同じフォームを使用して掲載するため、競合他社と横並びになりやすい
- 大手サイトになるほど、情報量も多いので自社の情報が埋もれやすい
自社メディアを持つべき理由とは?
ここまでの流れで、そもそも自社メディアとはどういうものか、そのメリット・デメリットは何かを解説してきました。では、なぜ今自社メディアを持つべきなのでしょうか。
他社メディア(広告)の効果が落ちてきた
近年、各種Webサイト上に掲載されるバナー広告のクリック率が大幅に低下しています。これは、ユーザーが「広告=邪魔なもの」と敬遠する傾向が高まっているためといえるでしょう。
つまり、どんなに広告費用をかけても、それに見合うだけの効果が期待できなくなりつつあります。こうした理由から、広告とは違ったアプローチ手段が必要となっており、自社メディアが注目されています。
Googleの検索アルゴリズムが大きく変化した
以前のGoogleの検索アルゴリズムでは、検索順位を上位に持ってくる手段として、有料リンクを使うという方法が有効でした。そのため、単純な広告掲載であっても自然検索から流入が獲得できていました。
しかし近年、Googleの検索アルゴリズム自体が大きく変化し、コンテンツの内容がユーザーニーズに適ったものであるかどうかが重視されるようになり、ただリンクを集めるような方法では検索上位が狙いにくくなったのです。
こうした背景が「ユーザー目線で情報発信していく」という特徴をもつ自社メディアの必要性を大きく後押ししています。
ターゲットを絞った効率的なアプローチが可能となる
自社の商品やサービスに興味・関心のあるユーザーに絞ってアプローチしやすいのが、自社メディアの強みといえます。ユーザーに響くコンテンツを適切なタイミング・内容で発信していくことで、訪問者を見込み顧客、最終的には優良顧客やリピーターに育成することが可能です。
さらには、長期スパンで信頼関係を築いた優良顧客やリピーターなどがSNSで好意的な情報を拡散すれば、新たな訪問者や見込み顧客の獲得も期待できます。
コンテンツが資産として蓄積していける
マス広告の効果が落ちてきたことに伴い、自社メディアにコンテンツを蓄積・充実させることで、広告費の削減や営業効率の向上に舵を切る企業が増えています。
自社メディアは、ユーザーの利益を最優先した情報を継続的に発信して、優良顧客を増やすだけでなく、そこで発信されたコンテンツはすべて自社の資産として蓄積していけるためです。
さらに、蓄積したコンテンツをPDCAサイクルを回しながら適切に運用していけば、よりユーザーファーストのメディアに成長させることができ、結果としてロイヤリティの醸成やブランディング効果も期待できます。
他社メディアに依存しない戦略が立てられる
各種広告をはじめとした他社メディアへの掲載は、費用をかけた分だけの集客が期待できますが、その母集団の中にどれだけ自社に興味・関心をもったユーザーがいるのかは分かりません。競合他社と比較検討して選ばれないことも十分に考えられます。
また、他社メディアは掲載期間が定められているものが多いため、ユーザーとの長期的なコミュニケーションを図りにくく、ロイヤリティの醸成には不向きなメディアといえるでしょう。
自社メディアがあれば、広告費用がかからないのはもちろん、掲載期限や競合との比較の壁に阻まれることがありません。自社に興味・関心を持ったターゲット層にピンポイントでアプローチでき、長期的なコミュニケーションも図りやすくなります。
自社メディアから得たデータを分析し、ユーザーに響く内容にアップデートしていけば、他社メディアに依存しない中長期スパンでのマーケティング戦略を立てることが可能です。
関連記事:オウンドメディアとは?8,000サイト制作実績から見えた成果の出る作り方
自社メディアを制作・運用するときのポイント
自社メディアを制作・運用し、成功に導くためには、事前準備からフォローまでの流れで、確実に押さえておくべきポイントがあります。
目的・目標を設定する
なぜ自社メディアを制作するのかという目的は、制作・運用していくうえで大きな軸となります。しっかりとした軸のもと、誰をターゲットにし、どのようなコンテンツにするのかを明確化することで、効率よく成果につながる自社メディアにすることが可能です。
目的達成には、いくつかのステップで具体的な目標を設定しておいたほうが、PDCAサイクルを回しやすいでしょう。例えば月間PV数・収益額・ユーザー流入数・自社メディア経由での売上額など、数値化できる形のものがおすすめです。
短期・中期・長期に分けて目的達成につながるような無理のない目標を設定しましょう。
ペルソナ設定
ペルソナとは、ターゲットとなる具体的なユーザー像のことです。ペルソナを設定することで、より自社の商品やサービスにマッチしたターゲット層に響くコンテンツを発信することができます。
ペルソナは、できる限り詳細に設定することがポイントです。ただし、あくまでも「商品やサービスにマッチするユーザー像」であり「自社側が思い描く理想のユーザー像」と混同しないように注意しましょう。
ペルソナ設定と併せて、カスタマージャーニーの設定も重要です。ユーザーの行動や思考・感情などを時系列形式でまとめたもので、ユーザーが自社サイトにアクセスしてから、購入などの目的達成に至るまでの流れを可視化します。
ユーザーの動きが可視化できると、コンテンツの選定や、訴求のタイミング・方法などが定めやすくなり、目的達成に近づきやすくなるでしょう。
逆にそもそものペルソナ設定がずれてしまっていると、どれだけキーワードで上位表示されていても、ターゲットに響かないコンテンツが量産されてしまいます。
キーワード選定
ペルソナを設定し、ペルソナが抱える課題やニーズを把握したら、それらをキーワード化していきます。ユーザーの目線に立ち、どんな検索ワードを使っているかを定めた上で、検索上位を狙う有益な情報発信をしていきましょう。
つい検索数が多いキーワードを選びがちですが、そのようなキーワードは上位表示の難易度も高まります。まずは検索数が少なくとも、コンバージョンにつながりやすいキーワードを中心にSEO対策をして上位表示を目指してみてください。
自社と相性の良い悩みを持ったユーザーであれば、購入などへのアクションにもつながりやすいです。またメディアへの流入が増えれば、サイトののパワーも強まり、より検索数の多いキーワードから流入も狙っていけるようになります。
サイトコンセプトを決める
サイトコンセプトは、提供コンテンツの方向性を左右します。「商品・サービスを購入してもらうため」「自社の認知度を高めるため」「採用ブランディングのため」など、コンセプトは様々です。
前のステップで決めているペルソナやカスタマージャーニーの情報をもとに、よりユーザーに刺さるようなコンセプトを設計しましょう。サイトコンセプトを端的に表現したキャッチを打ち出すのも有効です。
コンテンツをつくる
自社メディアの命運を左右するコンテンツ制作。コンテンツ制作では、単純に記事を掲載するだけでなく、どのようにコンバージョンにつなげるかという導線を考えるのも非常に重要です。
どんなに良いコンテンツが揃っていても、ユーザーをスムーズに誘導できなければ成果につながりません。目的につながるようなコンテンツを散りばめ、ユーザーのアクションを引き出す工夫を施しましょう。
また、競合他社メディアをチェック・分析することも重要です。そのうえで、差別化ポイントや自社の強みを見つけ出し、コンテンツのアップデートにつなげましょう。場合によっては、自社だけがアプローチできるニッチ市場の創出につながる場合もあります。
運用スケジュールや体制をつくる
自社メディアの骨組みが固まったら、それを運用するスケジュールや体制を決定していきます。自社メディアは制作したら完成というものではありません。むしろ、完成してからの運用が成果を左右するので、安定的な運用ができるスケジュールや体制づくりは欠かせないプロセスです。
ポイントは「運用スケジュールの確立」「役割分担」「コンテンツ作成」などで、どれも自社メディア運用では重要となってくるため、無理のないスケジューリング、体制づくりをおすすめします。
集計・分析・改善を行う
自社メディアを公開した後は、実際の動きを集計・分析し、必要に応じて改善していきましょう。
集計・分析のポイントは、設定した目標をどれくらい達成できているかの確認です。良い数値であってもなくても、なぜこのような数値になったのか、それはユーザーがどのようなアクションをとったからかなど、仮説を立て分析します。
そのうえで、継続すべき部分と改善すべき点を明確化し、次回以降の施策立案を行いましょう。
最初のうちは、期待外れの数値がでてしまうこともありますが、根気強く継続していくことで、少しずつメディア全体の精度があがり、やがてユーザーニーズにマッチした自社メディアに成長していきます。
自社メディアの事例
メルカン
引用元:mercan(メルカン)公式サイト(https://mercan.mercari.com/)
メルカンは、フリマアプリ大手のメルカリが運用している自社メディアです。メルカリの企業紹介・研修内容・イベント情報などを中心としたコンテンツで構成されており、採用メディアとして位置づけられています。
メルカンを通して、メルカリが取り組んでいる様々な側面を知ってもらうことで、採用ブランディングを形成。入社後の定着率の向上や早期活躍という成果につながっています。
また、あえてKPIを設定せず、メルカンから得られる副次的な効果に応じて、自社にマッチするメディアにアップデートし続けているのが成功のポイントといえるでしょう。
サイボウズ式
引用元:サイボウズ式(https://cybozushiki.cybozu.co.jp/)
サイボウズ式は、生産性向上・マネジメント効率化を図るアプリ・グループウェアなどのサービスを提供しているサイボウズが運用している自社メディアです。
2012年から運用が始まったサイボウズ式は「新しい価値を生み出すチームのメディア」がコンセプト。働き方やマネジメント、ワークライフバランスなどをテーマに取り上げています。
サイボウズ式のコンテンツは、ソーシャルでの話題性にこだわっているのが特徴です。幅広い層に認知されることで、サイボウズのブランディング、ひいてはサービスの問い合わせ獲得、採用エンゲージメントの向上を目的としています。
北欧、暮らしの道具店
引用元:北欧、暮らしの道具店(https://hokuohkurashi.com/)
北欧、暮らしの道具店は、ECサイト自体が自社メディアを兼ねている新しい形の自社メディアです。新商品の案内・生活のお役立ち情報・編集部スタッフコラムなど、多様なコンテンツで情報発信しています。
SNSも併用しており、多くのフォロワーを獲得。自社のブランディングとともに、商品購入につなげることを目的としている自社メディアです。
運用にあたっては数字よりも、ユーザーの持つ世界観を入念に分析・定義することを重視しているのが特徴。常にユーザー目線で情報発信することで、ユーザーに響く自社メディアを作り上げています。
この記事のまとめ
ニューノーマル社会の到来とともに、オンラインユーザーの価値観や動向も刻々と変わり続けています。
従来のWebマーケティング施策で多く行われていた広告掲載も、ユーザーから敬遠される傾向が高まっており、費用対効果が低下しているという現状です。
また、大手検索エンジンであるGoogleの検索アルゴリズムの評価基準の変化により、ユーザーに有益なメディアでなければ検索上位を取ることが難しくなっています。
他社メディアへの掲載についても、競合他社との差別化が困難、情報が埋もれやすい、コストばかりがかさみがちという傾向が否めません。
こうした時代の変化や課題に対して有効とされているのが自社メディアです。自社メディアは、一度制作してしまえば、適切な運用によって購入や成約などの売上を生み続ける大きな資産ともなります。
自社メディアの制作・運用には、事前のリサーチやコンテンツ設計などが重要で、運用を始めたからといって、すぐに成果が期待できるものではありません。
しかし、中・長期的に安定したユーザー獲得・ブランディング・利益アップなどを目指すのであれば、他社メディアよりも結果として費用対効果が高く有益であるといえるでしょう。
「他社メディアの活用をしているが効果がいまいち…」「自社にマッチするターゲットをうまく集客できない…」というような課題がある場合は、自社メディアの制作を検討してみることをおすすめします。
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