マーケティングオートメーション(MA)の失敗事例と成功ポイント
最終更新日:2023年01月13日
マーケティングオートメーション(MA)とは
マーケティングオートメーションとは、オンラインでマーケティングプロセスを自動化することで、マーケティング業務を可視化・効率化する仕組みです。Marketing Automationの頭文字を取ってMAと略されます。MAツールを活用することで、マーケティング戦略にMAを導入することができます。
MAツールの活用方法はBtoCとBtoBで異なる
MAツールはターゲットを消費者とするBtoC用と企業とするBtoB用があり、活用方法が異なります。BtoCビジネスのMAでは、リードとして消費者の個人情報(メールアドレス、電話番号、SNSアカウントなど)を獲得し、見込み客として育成したり商品・サービス購入を促したりすることを目的とします。
一方BtoBビジネスのMAでは、企業や担当者の情報(メールアドレスや電話番号、URLなど)がリードになり、取引相談や自社ビジネスに関する問い合わせを獲得することが目的です。
BtoCビジネスと比べてBtoBビジネスはリード数が少なく、集客から販売までに長い時間がかかります。自社ビジネスモデルに適したMAツールを選びましょう。
マーケティングオートメーション(MA)導入で可能になること
マーケティング戦略にMAツールを導入すれば、マーケティングプロセスであるリードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーションを自動化します。マーケティングプロセスが自動化されることで、マーケティング業務が効率化・可視化されます。
マーケティングプロセス自動化とマーケティング業務の効率化・可視化について詳しく解説します。
見込み客情報の獲得・管理(リードジェネレーション)
MAツールを導入すると獲得した見込み客情報(リード)を一元管理し活用できます。リードを獲得するマーケティングプロセスがリードジェネレーションです。リードジェネレーションに活用できるMAツールの機能として、ホワイトペーパーやランディングページ、フォームがあります。
通常のWebページと同じように、ユーザーがホワイトペーパーをダウンロードしたり、ランディングページにアクセスしフォームから問い合わせたりすることができます。登録されたユーザー情報は、MAツールのデータベースに自動的に保存され管理・活用されます。
これまでは営業時間中に消費者一人一人に営業しリードを獲得しようとしてきました。しかしMAツールを導入することで、365日24時間サイト訪問者全てを対象にリードジェネレーションを行うことができます。
見込み客とのコミュニケーションやアプローチ(リードナーチャリング)
MAツールは管理する見込み客へアプローチを図りコミュニケーションを深めることで、自社商品・サービスの魅力を紹介することができます。見込み客を顧客へと育成するプロセスが、リードナーチャリングです。
リードナーチャリングに活用できるMAツール機能は、メール配信です。メール配信のコンテンツ・順番・時期をプログラムすることで、メール開封やメールからのサイト訪問数などの行動を記録(トラッキング)することができます。
通常のメール配信プログラムは、マーケティング担当者が見込み客や時期を設定してメールを配信します。しかしMAツールはプログラムに基づいて、見込み客の育成状況に応じて必要なコンテンツを自動的に配信することができます。
見込み客の選別(リードクオリフィケーション)
育成した見込み客の中から購買行動を起こしてくれる可能性の高い見込み客を選別する際にも、MAツールを活用することができます。見込み客の選別が、リードクオリフィケーションです。
MAツールは、トラッキングした見込み客の行動を、事前登録されたスコアに変換(スコアリング)します。スコアが一定に達した見込み客が選別され、営業担当者へリード情報を提供すれば、成約率が高まります。
これまでリストから営業相手を選んでいたマーケティング担当者は、MAツールを導入することで見込みの高くなったユーザーをデータに基づいて自動的に絞り込み、集中的に営業活動を仕掛けることができます。
マーケティング業務の効率化と可視化
MAツールはマーケティングプロセスを自動化することで、マーケティング業務を効率化・可視化させます。
MAツールがリード獲得・育成・選別を自動的に行うことで、メールやフォームから見込み客情報を取り出してまとめたり、資料請求した見込み客へ営業メールを送ったりする手間が省略(効率化)されます。MAツール上に一元管理されたリード情報は、行動記録と共に常に自動更新(効率化)されます。
またMAツールによる集客・接客の成果がデータとして記録(可視化)されます。データを分析することで成果と課題を把握(可視化)し、MAツールのプログラムを修正することでマーケティング業務を改善できます。
MAツールを導入することで、マーケティング担当者に求められる役割は実際にマーケティング活動をすることではなく、マーケティング活動するMAツールを管理しデータに基づいてプログラムを評価・改善することに変化します。
マーケティングオートメーション(MA)導入でよくある失敗事例
マーケティングプロセスを自動化しマーケティング業務を効率化・可視化するMAツールは魅力的ですが、導入することは簡単ではありません。そこでマーケティングオートメーション(MA)導入でよくある失敗事例を紹介し、原因を解説します。
失敗事例:MA導入が目的になり目標が曖昧になる
MAツール導入を目的とし目標が曖昧になると、集客・販売の成果を上げることができません。マーケティング活動にMAを導入するためには、ツール選定や情報登録、機能設定などの作業が必要です。
導入作業に時間を取られていると、マーケティング業務の効率化・可視化というMAの目的を忘れ、具体的な数値目標を設定できません。マーケティング戦略の手段としてMAツールを位置付けていないことが、MA導入の目的と目標が曖昧になる原因です。
失敗事例:正しいデータ分析やプログラム設定ができていない
MAツールが記録したデータを分析しプログラムを改善しないと、効率的に成果を上げることができません。
MAツールでLP・フォーム作成やメール配信し集客・販売成果をデータとして記録しても、データを分析してMAツールのプログラム設定を修正しなければマーケティング戦略を改善することができません。MAツールの分析や設定をできない原因は、MAツールの役割と使い方を理解していないことです。
失敗事例:自社サイト内のコンテンツが不足している
自社サイトのコンテンツが不足していると、MAツールが見込み客へ継続的にコンテンツを配信し続けて集客・接客することができません。
例えば住宅リフォームにMAを導入する場合、見込み客がサービスを申し込むまでに数週間から数か月かかります。MAツールから配信するコンテンツが数回分しかなくては、見込み客へアプローチし購買を促し続けることができません。
コンテンツ不足はMA導入以前の問題であり、コンテンツマーケティング運用体制が整っていないことが原因です。
失敗事例:リード母数が不足している
MAツールに保存されているリード母数が少ないと、販売の絶対数を増やすことに失敗します。もし毎月リード100件を獲得し成約30件を獲得しているならば、自社の成約率は30%です。月にリードを1000件獲得することができれば、成約数を300件に増やすことができます。
MAツールは設定されているサイトに訪れたユーザーを対象とするため、サイト外にいるユーザーに働きかけることはできません。リード母数の不足はMA導入以前の問題であり、広告やWebマーケティングなどの戦略が上手くいっていないことが原因です。
失敗事例:短期間で成果をあげようとしてしまう
短期間で導入成果を上げようとすると、本来獲得できたはずの売上を失います。BtoCビジネスとBtoBビジネスでは、MAツールを活用して成約を勝ち取るまでに必要な期間が異なります。
同じ車関連のビジネスでも、車修理業者のMAであれば即日成約を勝ち取れるかもしれませんが、工事用車両販売のMAでは成約までに数週間が必要かもしれません。短期間でMAツールから成果を上げようとする原因は、顧客の購買行動を分析していないことです。
マーケティングオートメーション(MA)を成功に導くためのポイント
マーケティングオートメーション導入の失敗事例からどういった教訓を学べるのでしょうか?失敗事例に学ぶMAを成功に導くためのポイントを解説します。
自社マーケティング戦略の手段としてMAツールを位置付ける
MAツールを導入する前に自社マーケティングプロセスの成果と課題を把握し、課題を解決する手段としてマーケティング戦略の中にMAツールを位置付けましょう。
リードの獲得、育成、選別というマーケティングプロセスのどこに課題があるのかによって、MAツール導入の目的や目標が変わります。例えばリード育成に課題がある場合には、配信メール開封率の目標を設定し、MAツールでメール配信しながら、効果測定することができます。
リード獲得や選別に課題がある場合でも、MAツールの機能で解決を図ることができます。
MAに必要なコンテンツを制作する
MAツールを導入する前に、リード育成に必要なコンテンツを制作しましょう。MAに用いられるコンテンツとして、メルマガやホワイトペーパー、ウェビナーなどが挙げられます。
ユーザーのサイト訪問から購入までの行動を考えながら、自社商品・サービスを訴求するのに適したコンテンツを制作しましょう。もちろん顧客にこれまで提供してきたマーケティング資料を改変して、コンテンツを制作することもできます。
MAツールを導入してからも見込み客を集客し続けるために、データに基づいてコンテンツを修正・追加しましょう。
MAツールの機能やサポート体制を比較検討する
自社マーケティング担当者が管理・運用できるように、各MAツールの機能とサポート体制を比較して、導入するMAツールを検討しましょう。
MAツールの機能として、メール配信やWebページ制作、ユーザーのアクセス解析、シナリオ作成、スコアリングなどがあります。また、サポート範囲については、操作に関するFAQページを提供しているだけのMAツールがある一方で、MA全般について提案・支援してくれるサービスもあります。
MAツール利用料金はフリープランから月数万~数十万円の有料プランまであります。自社マーケティングに活用したい機能とサポートを選ぶことで、適したプランを絞りましょう。
PDCAサイクルを回し評価・改善をする
MAツールを導入してからはPDCAサイクルを回し、データに基づいてリード獲得・育成・選別の成果を評価・改善しましょう。PDCAサイクルにおいては、MAツール導入の目的と目標を明確に定めてから、リードをトラッキング・スコアリングし、
可視化されたデータを基にMAツールのマーケティング活動を評価することがポイント。改善方法は、シナリオやコンテンツ、スコアリングなどの設定を追加・修正することです。PDCAサイクルを回しながら、マーケティングプロセスの課題を把握しMAツールのプログラムを修正しましょう。
マーケティングオートメーションを導入するタイミングも重要
マーケティングオートメーションを成功させるために、タイミングよくMAツールを導入することも重要です。マーケティングオートメーション導入前に、ある程度のリードとコンテンツが必要だからです。
リード獲得に課題がある場合には、MAツールを導入する前に、Webマーケティング戦略を展開しましょう。SEO対策やSNS運用、Web広告などによりリードを獲得できるようになれば、MAツールを導入することで効率的に見込み客を育成・選別できるようになります。
またMAに必要なコンテンツが不足している場合には、コンテンツマーケティング戦略を展開しましょう。継続的にコンテンツを制作・修正しリードを安定的に獲得できれば、MAツールを導入してリードを育成・選別することができます。
さらに競合他社との差別化を図りたいなら、ポジショニングメディアで自社商品・サービスを必要とするユーザーを集客することができます。ポジショニングメディアの集客力が高まった段階でMAツールを導入することで、接客を自動的・効率的に行うことができます。
MAツールはマーケティング手法の一つです。マーケティング手法を組み合わせながら、タイミングよくMAツールを導入することで、マーケティング戦略の目標を達成することができます。
マーケティングオートメーションの効力を最大化するにはリードの質も高めよう
マーケティングオートメーションは、マーケティングプロセスを自動化することでマーケティング業務を効率化・可視化し、集客・接客することができます。
マーケティング戦略の中で、Webマーケティングやコンテンツマーケティングなどの手法と組み合わせながら、MAツールを導入することで成果を上げることができます。
しかし、マーケティングオートメーションが効果を発揮するには良質なリード獲得が大切で、特にインバウンドマーケティングをし始めた段階であればリードが不足し短中期における売上不足が見込まれます。
成約になるリード育てるリードナーチャリングをしていくのにも期間と根気、そしてノウハウ次第でそもそもうまくいくかが決まってしまいます。
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