テレビCMとWeb広告の長所と短所を徹底比較してみた!
最終更新日:2022年03月27日
テレビCMとWeb広告を、効果的な宣伝方法はいったいどちらなのか。事業規模や商材・サービスにもよりますが、判断が難しいところですよね。
そこで今回はテレビCMとWeb広告のメリットやデメリットを含め、広告としての特徴などを徹底的に比較してみました。
テレビCMとWeb広告の比較表も作成していますので、広告戦略の見直しを検討されているかたは、参考になさってください。
テレビCMとWeb広告、どちらが効果的なのか
新商品やサービスの広告を展開する際に、テレビCMとWeb広告のどちらを優先すべきか、悩むことがあると思います。
テレビCMとWeb広告は必要な費用や訴求できるターゲットの数などに違いがあるため、目的に合わせて広告戦略を立てて使い分けることが大切です。
ネット広告がマスコミ四媒体を初めて上回った
状況に応じて使い分ける必要のあるCMですが、年々広告業界においてWeb広告にかかっている費用が増加していることは認識しておく必要があります。
下記は日本の広告会社大手株式会社電通による調査データを基にした、2018年から2021年の広告費用の推移です。インターネット広告費は増加しており、2019年にはテレビCMの広告費用を抜きました。
さらにテレビCMを含めたマスコミ四媒体の合計広告費も、2021年に初めて抜いています。
テレビCMの傾向
2020年においてはマスコミ四媒体の広告費は6年連続で減少しています。新型コロナウイルスの影響もありましたが、それでも広告利用が減っている状況でした。
しかし2021年には下記の理由で2020年よりも増加しています。
- 新型コロナウイルスの影響が減った
- 巣ごもり需要によるテレビ視聴の期待
- オリンピックやワールドカップなど大型イベントの開催
特に在宅時間が長くなったことで情報通信関連のジャンルは広告が増加しました。また飲料水や嗜好品も好調で、2020年に中止されたイベントの広告も増加しています。
Web広告の傾向
2020年は新型コロナウイルスの影響はあったものの、通販サイトやライブ配信での販売が数字を伸ばしました。2021年には前年抑えられた分、反動で伸びています。
テレビCMと同様にオリンピックやワールドカップなど大型イベントの動画配信サービスでの動画広告も増加しています。
今後はWeb広告に絞るべきか?
2021年分の調査においてはWeb広告が初めて逆転したものの、必ずしも今後はWeb広告だけでよい、というわけではありません。下記のような広告目的の条件によって最適な手法を選ぶことが大切です。
- 用意できる予算が潤沢にあるか
- ブランディング効果は狙うか
- 認知度向上が優先か
- ターゲットを広くとるか狭くとるか
テレビCMとWeb広告を比較する前に特徴を知ろう
目的によって広告方法を使い分けることが大切ですが、向いている広告方法を判断するためには広告の特徴を知っておかなければいけません。
テレビCMの特徴
いわゆるリアルタイムでしか視聴できないテレビの広告枠で、大きく分けて2種類です。
- タイムCM
- スポットCM
タイムCM
タイムCMはいわゆる番組についているスポンサーになれる枠です。枠は最小30秒からで、1クール3ヶ月×2クールから放送できます。
番組にて提供として表示するかどうかも選択でき、場合によっては1社独占のケースもあります。視聴率の高い人気番組になるほど多くの人へ宣伝力が高くなるのです。
ただしテレビ番組によって大まかなターゲット層が異なるため、番組内容や時間を踏まえて考えなければいけません。
放映期間が長いため同じターゲット層にブランディングさせたい場合に向いています。テレビ番組とのタイアップといった企画も実施できると効果的です。
さらにローカルCMは契約した地域のみで放送され、制作コストも抑えられます。最近ではCSチャンネルの広告出稿が増えていますが、ひとことでテレビCMといっても、放送形態の違いやペイテレビなどの選択肢が増えている点も、把握しておく必要があります。
スポットCM
スポットCMは15秒で、番組と番組の間に入ります。最小時間は15秒と短く、購入する期間の制限はありません。タイプ別にみると下記になります。
タイプ | 時間帯 | コスト |
---|---|---|
全日型 | 曜日問わず全日 | もっとも安い |
ヨの字型 | 平日の朝、昼、夜と土日の全日 | 全日型より安い |
コの字型 | 平日の朝、夜と土日の全日 | 逆L字型より高い |
逆L字型 | 平日の夜と土日の全日 | もっとも高い |
時間帯に合わせた視聴者がターゲットになります。
期間は自由に設定できるので、短期集中などの販促に向いています。
Web広告の特徴
続いてWeb広告の種類と特徴をご紹介します。
またインターネットを利用するのは若い人、という印象をもっている方もいるかもしれませんが、あまり関係ありません。
2020年に行なった調査結果では60代までの利用率が8割を超えています。したがってアクティブシニア向け広告はこれからますます増えていくと予測されますし、
後期高齢者のみを狙いたいというケース以外では有用な広告手法です。
動画広告
YouTubeを代表とする動画配信サイトに配信する広告。スキップ可否が選択できる形式や最後まで視聴されなければ課金されない形式もあります。初回の数秒間でインパクトを与える動画が効果的と言われています。
またYou Tubeでは有料プランに加入すると広告は閲覧されませんが、「Tver」なら広告を消す有料サービスが2022年時点ではありません。知名度を高めたいなど確実に見てもらいたい場合には、展開するサービス選びも大切です。
SNS広告
日本でも多く利用されている世界的なSNSサービスに展開する広告。展開方法によっても異なりますが、アカウントの配信として利用すれば費用もかかりません。
バズれば一気に拡散するのも特徴的です。
検索連動型広告
検索サイトにて検索した際、検索結果上部に表示される広告。あらかじめキーワードを設定しておき、関連するキーワードも含めて入力された際に表示されるシステムです。
入札形式で設定されるのが一般的で、人気が高いキーワードほど費用がかかる傾向にあります。検索数が少ないキーワードなら費用も抑えられますが、見てもらえる機会が少なくなります。
ディスプレイ広告、バナー広告
Webサイトがあらかじめ設定している広告枠に掲載してもらう方法です。Webサイトによって金額は異なりますが、一定期間で費用が設定されているケースもあります。
動画広告や検索連動型広告とは異なり掲載される状況が決まっているため、ターゲットを捉えやすいのが特徴です。
テレビCMとWeb広告の長所と短所を比較
続いてテレビCMとWeb広告の長所(メリット)と短所(デメリット)を比較していこうと思います。何事にもメリットとデメリットは表裏一体、良い面だけを見ずに、デメリットも把握しておくことが重要です。
テレビCMの効果と長所(メリット)
テレビは受動的なツールのため、新規ターゲット候補を幅広く網羅できます。自身で調べてたどり着くインターネットとは異なり、まだサービスを知らない方にもアプローチ可能です。
また人気の高い番組スポンサーとならブランディング効果がとても大きくなります。
さらに拡散されるまでにはジワジワと日数がかかるインターネットに対し、宣伝開始直後から多くの人に見てもらえるため即効性が高い点も見逃せません。
- 新規層の獲得が期待できる
- 潜在層へのアプローチが可能
- とにかく幅広く宣伝できる
- 即効性が高い
- 番組によっては大きなブランディングになる
Web広告の効果と長所(メリット)
一方Web広告は種類によっても異なりますが、ターゲットを限定しやすいのが特徴です。たとえば年齢やエリア、過去の検索履歴などが挙げられます。
またWebサイトの管理側に訪問データが残るため、訪問数やクリック率など効果を測定できるのはテレビCMにない魅力です。
検索連動型なら興味をもっているターゲットへのアプローチができ、クリック時や注文時に料金がかかるタイプなら費用対効果も高まります。
最小単位でのコストが少なく、個人でも広告出稿が可能という特徴があります。
- さまざまな広告形式が選べる
- ターゲットを限定し効率を高められる
- データで効果が測定できる
- 費用対効果が高い広告が多い
- 顕在層にアプローチできる
- 広告コストのコントロールがしやすい
- 個人でも広告をだせる
テレビCMの短所(デメリット)
テレビCMはCM制作および配信に数百万円単位の費用がかかってしまいます。ローカル番組であれば費用が安くなるものの、毎月少しずつ費用を支払うといった選択ができません。
またスポンサーとして認知されている以上、番組内容や出演者に不満があった際に矛先がCMを配信している企業に向かう、いわゆる「電凸」を受ける可能性もあります。さらに番組の資料率が低ければ、人の目に触れる機会も激減します。
テレビ局ごとに厳しい審査基準があり、これをパスしないとテレビCMを流すことができません。さらに個人では広告出稿ができず、法人に限られます。
- コストが高い
- 番組や出演者に結果が左右されることがある
- ターゲットを大まかにしか特定できない
- 細かなデータ測定ができない
- 個人広告不可
ただしテレビCMにおいても効果を測定しPDCAを回転させるプラットフォームサービスも登場しているなど、サービスの多様化は進んでいます。
Web広告の短所(デメリット)
Web広告は細かくターゲットが設定できますが、事前の分析が甘いと期待している効果が得られないことがあります。またテレビCMのように配信開始直後から大勢に見てもらえるわけではないため、効果が出るまでに日数がかかります。
測定においても、データは集められるものの修正も含めてノウハウをもった担当者がいないと改善効果が得られません。
- 事前準備が必要
- 配信開始後の即効性が低い
- 運用、改善にノウハウが必要
テレビCMとWeb広告の特徴を比較してみた
テレビCM・Web広告のどちらにも長所があり、短所があるものです。一概にどちらの方法がよいというものではなく、ケースバイケーで異なることがわかっていただけたと思います。
いま一度、さまざまな面からテレビMとWeb広告を比較して表にまとめてみました。
項目 | テレビCM | Web広告 |
---|---|---|
事前準備 | 不要 | ターゲット選定が必要 |
対象範囲 | 時間帯や番組による 大まかなターゲット |
限定して選定可能 |
運用測定ノウハウ | 不要 | ある程度必要 (外注できる) |
効果測定 | 難しい | リアルタイム細かく分析できる |
即効性 | 高い | 低いが拡散も期待できる |
主なターゲット | 不特定多数 新規層、潜在層 |
細かく限定できる |
コスト | まとまったコストがかかる | 最小コストは低い |
審査 | 厳しい (個人広告不可) |
媒体による (基本的に個人も可能) |
宣伝方法 | 動画のみ | 種類が豊富 |
ブランディング | 番組によってはできる | 難しい |
トレンドはクロスチャネルの実践
2022年における広告のトレンドは、複合的な宣伝を行なうクロスチャネルです。同じ商品によっても、目的によって使い分けることで効果的かつ幅広いターゲットへ宣伝できるようになります。
たとえば下記の宣伝方法はひとつのモデルとして考えられます。
- 新ブランドの認知をテレビCMで実施
- メインターゲットへの検索連動型広告でコストを抑える
- 新商品はSNSを活用したプロモーションにて拡散させる
もちろん、他にも公共交通機関のビジョン広告など活用できるものは多くあります。最適なCM方法の選択が重要です。
テレビCMとWeb広告比較まとめ
広告として主流であるテレビCMとWeb広告は、一概にどちらがよいというものではありません。
2019年よりWeb広告費がテレビCMの広告費を抜き、2021年ではマスコミ四媒体よりもWeb広告費が上回りました。
しかしテレビCMが完全になくなるわけではなく、どちらにも長所と短所があります。
特徴を活かした広告手段の選択と、いわゆるクロスチャネルといわれる、複数のプロモーションを組み合わせた広告戦略の重要度が高まっています。
広告は手段であり、目的ではありません。費用を投じてなにを獲得したいのか、目標のない費用投下とならないように留意したいところ。十分に社内で精査したうえで、中長期にわたる広告戦略を立てるようにしていきましょう。
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過去にはテレビCMへ大きな広告費を投じてきた企業でも、Webプロモーションはうまくいかず苦戦しているケースもあります。
成功させるポイントは、ターゲットの詳細な分析および効果測定に基づいたマーケティング戦略を施策に落とし込むことです。
分析機能が付いたテレビCMのプラットフォームを活用したり、Web広告との連携を図ったりして、広告効果の見える化を進めることが大事。データに基づいたマーケティングが必須の時代になっていることを認識して、広告戦略を見直してみてはいかがでしょうか。
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